TOP>事例>運輸/物流>導入から15年間進化を続けたWebFOCUSシステム。現在も社内標準のBI基盤として徹底活用。

導入から15年間進化を続けたWebFOCUSシステム。
現在も社内標準のBI基盤として徹底活用。

川崎汽船株式会社

導入製品/サービス…
WebFOCUS  

導入から15年間進化を続けたWebFOCUSシステム。
現在も社内標準のBI基盤として徹底活用。


川崎汽船株式会社は、コンテナ船から自動車専用船、原油を運ぶタンカーまで、幅広い海上輸送をリードする世界的な総合海運会社です。

同社では、1980年代からWebFOCUSの前身製品であるメインフレーム版FOCUSを採用、その後WebFOCUSに移行し情報活用を行ってきましたが、当初は一部のエンドユーザのみに知られるツールにとどまっていました。
そうした折、日本版SOX法の出現と大規模なサーバ統合プロジェクトを機に、WebFOCUS環境を大幅に構成強化、社内標準のBI基盤に位置づけることにしました。

環境強化から約1年。WebFOCUSユーザ数は600名を超え(グループ会社含む)、今やシンプルなデータ抽出で実現できる資料やレポートのほとんどは、WebFOCUSがベース。なくてはならない業務ツールとして大活躍 しています。

導入のポイント

導入の背景

川崎汽船株式会社では、1980年代、データ分析業務のためメインフレーム版FOCUSを採用、長年にわたって利用してきました。

オープン化のタイミングでWebFOCUSの導入も決定。それまで作成したプログラム資産も移行し、エンドユーザが汎用的に検索を行う環境として提供され始めました。

しかし当時は、同社の情報システム部門が介在することなく、ユーザとシステム開発を担うグループ会社の担当者が直接やりとりし、開発を行う体制であったため、情報システム部門による全体資産の把握やリソース管理が困難でした。

また、便利さを知る一部のユーザのみに活用される反面、誰にも管理されない資産が増え続けたり、社内で広くデータ共有を行う習慣も根づかないといった課題を抱えてい ました。

導入の理由

日本版SOX法の登場により、IT統制の観点から、開発体制の強化、メニュー/レポートに対するアクセスコントロールなどが必須要件に。情報システム部門では、これを契機にすべてのレポート作 成を情報システム部門を経由する開発案件として取り扱い、適切なリソース管理のもと、ユーザに最適な情報を提供することを決断します。

また、社内に開発ノウハウを持った人材がいたことや、柔軟なサーバ構成がとれることから、WebFOCUSを社内標準のBI基盤として位置づけ、サーバ環境の強化に取り組むことに。

まずは、検索時のストレスを軽減するため汎用検索専用のサーバを新たに設け、負荷分散を行いました。さらに、本番環境とは別に開発環境を設け、開発体制を強化しました。過去、基幹 システムのDBが変わる中で、唯一15年間変わらずに同じインターフェースを提供し続けたWebFOCUSに対する信頼が、これらを後押ししました。

導入の成果

構成強化から約1年で、WebFOCUSユーザ数は600名を超えるまでになりました。船舶の運航実績レポート、税関や省庁に提出する関連レポート、為替レート情報など、 様々な業務で活用され、今ではすっかり社内標準BI基盤として定着しています。

WebFOCUSサーバ環境の増強と並行して、データベースの整備およびチューニングを施したおかげで、データを抽出する性能も非常に高速になりました。最も劇的な例では、131秒から2秒へと66倍に高速化したものもあった程です。

また、WebFOCUSをベースに情報活用プロジェクトをスタートさせたコンテナ船事業戦略グループでは、属人化しがちだったデータ分析ナレッジの共有が進み、業務プロセスの標準化が進むなど、情報活用水準が大幅に向上しています。

さらに、この動きは自動車船事業グループなど他の事業部門にも広がりつつあります。


世界の海上輸送をリードする総合海運会社


川崎汽船株式会社は、世界の海上輸送のニーズに適応した船を保有・運航する世界有数の総合海運会社です。その船種は、あらゆる製品や食品をコンテナに詰めてスケジュールに沿って輸送するコンテナ船、自動車を一度に数千台も輸送可能な大型自動車専用船、原油を運ぶタンカーなど実にさまざまで、世界中の海で“K"の文字を掲げた船が活躍しています。

長く活用されるものの、知る人ぞ知る存在だった側面も


情報システムの中核がホストであった時代、同社ではデータ分析のためのツールとして、WebFOCUSの前身製品であるメインフレーム版FOCUSを利用していました。後に、ホストはオープン化され、基幹業務パッケージが導入されましたが、それはあまりデータ参照機能が十分ではなかったため、同社はWebFOCUSを採用。FOCUS上の資産も移行して、エンドユーザが汎用的にデータ検索するツールとして提供されてきました。

しかし、少し問題もありました。WebFOCUSの利便性は認められていたものの、それを知っているのは一部のエンドユーザだけだったのです。データ分析の必要が生じたとき、そうしたユーザは、同社の情報システム会社であるケイラインシステムズが務めるヘルプデスクにコンタクトを取って、開発を依頼しました。それを受けた担当者は本業のかたわら、データ参照メニューを開発、発注者に対して提供します。そのため、うまく社内で広くデータ共有は行わず、その発注者が異動すると、そのデータ参照メニューも利用されないという状況でした。また当時は、分析のために提供されているデータソースも限定されていました。

そこへ出現したのが、日本版SOX法です。IT統制の観点から、メニューやレポートに対して厳密なアクセスコントロールを施し、これを情報システム部門を経由するシステム案件として取り扱うことになりました。

折しも、同社では大幅なサーバ統合プロジェクトが立ち上がり、それを機にWebFOCUS環境の構成強化を図ることになりました。

全社活用をめざしてWebFOCUS環境を増強


全社活用に向けた環境刷新にあたって、同社が決断したのはWebFOCUSのサーバ追加でした。本番環境を定型検索とWebFOCUSのオプションであるマネージドレポート(以下MRE)※で提供する汎用検索の2台構成と負荷分散をさせ、新たに開発環境を設けました。

それまで、1台のサーバ環境で実装していたために、MREで複雑なデータ検索を行うと他の検索に影響を与えてしまい、定型検索利用でレスポンス低下が生じることがありました。定型検索で提供されるメニューの中には、コールセンタースタッフが運賃や為替レートなどの情報を電話の向こうの顧客に即座に回答するのに利用されるものもあり、レスポンス低下は解決すべき課題でした。開発体制を強化させるためにも開発環境を新たに設置したかった、と川崎汽船株式会社 情報システムグループ 企画チーム 湯浅健太郎氏は語ります。

湯浅氏 「本番環境のみにWebFOCUSが搭載されているときには、当然開発テストや、サーバの環境設定を変更するといったことを思いきって試すことができませんでした。バージョンアップに関しても影響を事前に調査しスムーズに本番移行したかったので、本番とは別に開発環境を設ける必要性を感じていました。」

WebFOCUSの環境強化にあたっては、新規に提供するメニュー/レポートも数多く企画され、それに伴ってさまざまな体制作りが行われました。

まずは正式にWebFOCUSが社内標準のBIツールとして認定されました。基本的に、定型的なデータ参照・分析はすべてこのツールで行うことになったのです。

また、データ提供メニュー作りは開発案件として情報システム部門が関与し、不要プログラムの整理やエンドユーザからの要件とりまとめを行い、全体の整合性を取ることにしました。

そして、Active Directoryと連携した認証基盤も用意。より快適な性能で、よりセキュアな環境で情報活用を行う下地を整えました。

  • 現在は「インフォアシストに名称変更」

WebFOCUSを活用して社内外に最新情報をタイムリーに提供


WebFOCUS環境強化を機に、新しく始まった取り組みに、コンテナ船事業戦略グループの情報活用プロジェクトがあります。これについて、川崎汽船株式会社 コンテナ船事業戦略グループ 情報戦略チーム 高橋康平氏は次のように語ります。

高橋氏 「最初、データ分析用に自らデータウェアハウス構築を検討したのですが、コストや工数を考えるとWebFOCUSを活用するのが最適と判断してプロジェクトを立ち上げました。また、個々人が持っている価値あるデータ分析ナレッジをできるだけ共有して、業務プロセスの標準化を進めたかった ので、一元管理が可能な仕組みを作り上げました。」

2011年5月、本プロジェクトはサービスを開始、現在メニューが12種類存在します。その中にはたとえば、コンテナ船の航路ごとに現時点での月次収支状況を把握できるものがあります。それを見ることで、担当者はさらなる収支向上に向けてその後の営業施策を機敏に変更できます。

これ以外にも、同社ではWebFOCUSを駆使してさまざまな情報活用を行っています。

まず、最新の運賃や為替レート情報ですが、社外の顧客に対して情報提供をするため、インターネット上でレポートを公開しています。

また、同社の船舶の運航実績情報、貨物の積載情報を顧客向けに提供したり、日本各地の税関や関係省庁へ提出する多様なフォーマットの書類を作成したり、顧客に送付するEDIデータを作成したり、分析用に特別な観点で集計する実績情報を自動蓄積したり、シンプルなデータ抽出で作成できる資料やレポートのほとんどは、WebFOCUSがベースになっているといっても過言ではありません。ユーザに提供するメニューを開発する川崎汽船株式会社 情報システムグループ 企画チーム 越智 恵美氏は、使用実感を次のように語っています。

越智氏 「WebFOCUS担当になってからまだ日が浅いのですが、あまり悩むことなく求められるデータ提供メニューやレポートを開発することができています。仕事の方向性を探るのに便利な道具だと思うので、さらに社内に広く浸透させていきたいです。実際、当初はコンテナ船事業戦略グループでの活用が中心だったのですが、自動車船事業グループでもデータ参照メニューが増え始めました。」

性能がさらに高速化し業務になくてはならないツールに


WebFOCUS環境強化から約1年。今や社内のユーザ数は600名を超えているといいます。以前に比べてどのような点に大きな変化が生まれているでしょうか。

湯浅氏 「途別にWebFOCUS環境を分けたおかげで、検索性能が非常に高速になりました。これは、参照していた海外データベースのコピーを国内に持ち、チューニングを施したこともあるのですが、最も劇的な例では、従来131秒かかっていた検索が2秒と66倍になっています。顧客対応で活用するデータ参照メニューでは、電話口でお待たせすることがなくなっています。」

高橋氏 「私の所属する部署では、WebFOCUSを活用して仕事をするのが当たり前になっています。これがあるおかげで本来のデータ分析業務に集中することができています。もし、この環境が失われたとしたら、分析の前準備となるデータ抽出や加工に長い時間をかけなければならないので、もう前の世界には戻りたくないですね。」

同社では、ユーザのアクセスログや利用状況を分析するためのオプションであるリソースアナライザを活用して、レポートメニューの使用頻度を定期的にチェックし、ユーザ数の少ないレポートの洗い出し、使われていないレポートの統廃合など、こまめにメンテナンスを実施しWebFOCUSのサーバ環境の保守工数抑制に努めています。

今後も、他部署への横展開や、ユーザのニーズに沿ったレポートの継続した提供など、情報活用基盤としていっそう活用の裾野を広げていく予定です。

(2012年3月)

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 川崎汽船株式会社
本社 〒100-8540 東京都千代田区内幸町2丁目1番1号(飯野ビルディング)
設立 1919年(大正8年)4月5日
資本金 650億3,156万円
従業員数 659名(陸員485名、海員174名)
URL http://www.kline.co.jp/

関連製品/サービス

WebFOCUS

WebFOCUSは、社内外のユーザに情報を届け、情報活用を定着させるBIプラットフォームです。現場のビジネスユーザから経営者、顧客やパートナーまで、あらゆる人がいつでも、どこでも、必要な情報をリアルタイムに活用できる“オペレーショナルBI”をベースコンセプトに、ユーザが“使いやすい”情報活用環境を実現します。

  • 全社での情報活用を可能にする「オペレーショナルBI」
  • 社内外問わず誰もが簡単に使える操作性
  • さまざまな業種/業態での事例を公開中

詳細へ

事例に関するお問い合わせ

資料請求/お問い合わせはこちら(専門の担当者が確認し、ご対応します。)

ご興味のある事例がございましたら、お気軽にお問い合わせください。より詳しい情報をお届けします。

ページの先頭へ戻る