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情報誌『アシスト』

2006 2006/09/01


組織営業力強化のための「営業報告の活用法」
~効果的な報告システムの実装方法~ 【その2】

新本 幸司
株式会社アシスト ウェブハロー推進室 室長
新本 幸司

前回のコラムでは多重入力の問題を取り上げました(本誌『アシスト』の 前号2006年7-8月号をご参照ください)。多重入力は情報の蓄積(システ ムへの情報入力)を阻害するばかりでなく、営業担当者のモチベーション 低下を招きます。

近年、企業競争力強化のテーマとして、「見える化」がキーワードとして 脚光を浴びており、「見える化」の実践は営業現場においても非常に効果 的です。共通の指標に沿って課題や問題が可視化されることで、営業現場 の気づきを促進し、自身が考え(思考のステップ)、関係者の支援を得る (対話のステップ)。このサイクルを繰り返す中で「考える営業」として の自律化が芽生え、問題解決の実践(行動のステップ)に至ります。

つまり「見える化」とは、企業の営業現場が自律的に問題を解決する能力 (現場力)の向上を目指した、気付きのステップと言い換えることができ ます。

「見える化」については、別の機会にご説明させていただくとして、営業 現場における「見える化」を推進し、継続的なプロセス改善に取り組むに は、見える化すべき情報が漏れなく蓄積されていなければなりません。そ こで営業担当者の情報入力を促進する手段として、ワンファクト・ワンイ ンプット(1 fact 1 input)を意識したシステム設計をお勧めします。

ワンファクト・ワンインプットとは、営業担当者の多重入力を排除(負荷 軽減)しつつ、必要な情報を漏れなく蓄積するための仕組みを意味し、重 要なポイントは営業担当者に特別なシステムを意識させない、つまり通常 の営業活動の中で自然と情報収集できる仕組みを構築することにあります 。

前号で説明しましたとおり、営業活動で発生する事実(FACT)とは、顧客 との面談時に収集される情報で、下図中央部分の面談内容で表される5W2H で整理でき、目的に応じて「活動情報」、「商談情報」、「案件情報」の 3つに分類できます。




「活動情報」は4W(いつ、どこの誰に、誰が、何の目的で)の要素で構成 され、蓄積された情報は、行動計画値と比較され、営業活動サイクル (PDCA)の改善に再利用します。「活動情報」はすべての顧客接点におい て収集すべき(はずの)基礎情報で、顧客データベースに付加された属性 情報(顧客重要度や訪問ガイドラインなど)と突き合わせることで、様々 な分析を行うことが可能になります。

この「活動情報」は、営業の全顧客接点を管理でき、また4Wの構成要素は スケジューラで網羅されます(若干の工夫が必要ですが)。これが活動報 告のユーザ・インターフェースにスケジューラが最適といわれる所以です 。

「商談情報」は、顧客との面談時に会話(メモ)した内容をアナログで管 理します。アナログ情報を否定する数値至上主義のSFAパッケージも存在 しますが、「活動情報」と「商談情報」をあわせて、顧客データベースと して運用することで、過去からの商談履歴が一元管理され、他部門や違う 職種との報/連/相に活用するばかりでなく、営業担当者の引継ぎに大き な効果を発揮します。つまり営業担当者(企業)が顧客を熟知するために 重要な情報となるのです。

  また「商談情報」に、少しの工夫を加えることで以下のような活用方法が 考えられます。

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・日や週間で括り、日報、週報として上位管理者へ
 報告する(時間で集約)。

・同一顧客を担当する、他地区の営業担当者と情報
 共有する(顧客で集約)。

・同一案件を担当する、技術者などの他職種との情
 報共有に活用する(案件で集約)。

・クレーム情報を関係者へ即座に通知する(カテゴ
 リを付加)。

・顧客の機能改善要望や新しいアイデアを製品開発
 へ通知する(カテゴリを付加)。

・効果を発揮した提案書などの資料をナレッジとし
 て蓄積する(カテゴリを付加)。

・店頭にて売上効果の高い販促ツール(POPなど)
 を情報共有する(カテゴリ追加)。

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さらに、顧客接点を持つ他の職種(技術者や企画担当)が、活動報告を記 入する運用が可能であれば、営業担当者以外からの案件創出チャネルとし て有益な情報となり得ます。

「活動情報」と「商談情報」は一対の関係ですから、スケジューラ(4W) に商談情報を連携させることで、ワンインプットの報告システムができ上 がります。

「案件情報」は、案件の登録(発生)から獲得(消滅)に至るまでの、受 注確度や商談ステージ、獲得予測金額などの状態変化を捉える、いわゆる トランザクション管理です。したがって時間軸で進捗する「活動情報」と は全く異なる視点で運用する必要がありますが、「案件情報」が更新され るタイミングは顧客接点が発生したタイミング、すなわち「活動情報」が 更新されるタイミングと同一です。

ここで「活動情報」と「商談情報」、「案件情報」を整理してみましょう 。




「活動情報」と「商談情報」は一対一の関係にあります(【1】)。「活動 情報」に訪問目的(What)が網羅されている場合、活動報告(※ここで活 動報告とは本コラムのテーマである営業報告を指します)に「商談情報」 は存在しない場合もあります。

単一顧客で複数案件が提案される場合がありますので、顧客と案件の関係 は一対多の関係ですが、活動報告の視点では、訪問先(例えば協業相手) と提案先(最終顧客)が異なる場合があります。したがって「活動情報」 と「案件情報」は多対多の関係になります(【2】)。

当然、訪問先と提案先が同一の場合においても、訪問先で当該案件の話題 がなかった場合には、活動報告に「案件情報」は存在しません。

訪問先と提案先が異なる場合においても、「活動情報」と「商談情報」は 一対一の関係が保たれ(【1】)、商談内容が提案先案件の話題の場合「商 談情報」と「案件情報」は一対多の関係になります(【3】)。

以上の論理関係が整理され、顧客面談時の収集すべき情報が明確になると 、多重入力が排除されたワンファクト・ワンインプットの活動報告システ ムが構築可能になります。ワンファクト・ワンインプットの活動報告シス テムは、当然ながら、その仕組みとして営業担当者の入力負荷が低いとい うメリットがあります。さらに「活動情報」(時間軸の思考)をユーザ・ インタフェースに据えるので、普段の営業活動以外の思考の転換を必要と せず、特別なシステムを意識せずとも自然に情報蓄積を可能にします。

蛇足ながら、「案件情報」には5W2Hの全要素が網羅されているという誤解 (ここまでの説明で誤解は解けていると思います)から、従来型のSFAシ ステムでは、「案件情報」を中心に営業活動を管理すれば良いといった発 想もありました。

しかしながら米国型の営業スタイル(案件を基点としたプロセス管理)を 忠実に実装したSFAのコンセプトでは、日本企業の営業スタイル(顧客を 基点とした関係構築)を網羅することは不可能なのです。


(※次号は、「効果的な報告システムの実装方法【その3】:計画的な営業活動への思考」 について解説します。)


(※これまでのコラムについては以下を参照してください。)
効果的な報告システムの実装方法【その1】




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