これまでのコラムで、日報と活動報告の違いや、営業報告の運用形態、また営業担当者に負荷をかけないデータ入力促進の方法(ワンファクト・ワンインプット)について説明してまいりました。ここからは、活動報告の活用方法について検討してみましょう。
営業力強化のたとえ話として、山登りを引き合いに出すことがあります。誰よりも早く、山の頂上に到達するには、(1)頂上までの近道を探す、(2)誰にも負けない体力をつける、という二通りの方法があります。どちらが容易かは想像に難くありません。角度を変えてみると、近道を探すのは“動き始める前に考える”ことで、体力をつけるのは“動きながら考える”と言えるでしょう。
これを営業活動に当てはめてみると、(1)は営業開始前に確率の高い顧客を探し出すこと、(2)は顧客の要求に柔軟に対応できる営業スキルを向上することにつながります。また頂上への到達は、営業におけるゴール(売上向上など)を意味します。今回のコラムでは、(1)の近道を探すための手段について検討しましょう。
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■ 営業モデル と 近道の探し方
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次に示す図は、営業活動の流れを“入力→処理→出力”の簡易モデルで表現したものです。中心に位置するのが処理(プロセス)で、営業活動におけるプロセスの役割は、潜在顧客を見込み客にする、見込み客を顧客にするといった、対象となる企業の状態変化を促すことにあります。次に、営業プロセスの入力(インプット)は、状態変化を促す対象となる企業(いわゆる担当顧客)で、出力(アウトプット)は、ある時点の対象企業の状態(受注予測時期や金額、受注確度)となります。

これを概念的に表現すると、営業とは“顧客”を入力として、“営業”の活動を行い、“売上”を出力する活動であると言えます。つまり投入された顧客から、いかに売上を算出するかが生産性指標となります。
話は横道にそれますが、第一世代のSFAコンセプトは、“プロセス=処理手順”という発想から、営業プロセスを工場のラインに例えて説明していました。しかし、営業プロセスと工場の大きな違いは、工場はステップ・バイ・ステップで先の工程に進むのに対して、営業プロセスは各工程を行き来することです。すなわち、営業プロセスにおける顧客の状態は、一定の手順に沿って変化しないということです。
そこで、必要な時点における顧客の状態を正確に把握する必要が出てきます。これが出力(アウトプット)の役割で、その時点での売上(獲得時期、獲得予測金額、進捗状況、受注確度など)を正確に把握することで、期末の予測を精度の高いものにします。このアウトプットは、経営層にとって非常に重要な意思決定の要素となります。
話を山登りに戻しましょう。先ほどの営業モデルにおける “近道を探す” ことは何を意味するのでしょう。
前述の通り、近道を探るのは“動き始める前に考える”ことを意味しますので、出力(売上)に貢献する確率の高い入力(顧客)を分類することに他なりません。また確率の高い顧客とは、(1)お金を持っている、(2)お金を使っている、(3)自社のサービスを必要としている、といった観点で判断することができます(図参照)。
3つの観点から導き出された確率の高い顧客、つまり“優先的に計画すべき顧客”と、営業担当者が顧客との接点に費やす時間(これを“活動可能時間”と定義します)という2つの視点から訪問計画を立案することで、“売上”貢献の期待が高い入力(インプット)が導き出されます。

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■ 近道を探るための “3つのガイドライン”
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営業担当者は、1日のうちどのくらいの時間を顧客との面談に費やしているのでしょう。ある統計では、営業の262ルール(営業は常に目標達成する2割、成果の上がらない2割、その他の6割で構成される)のうち、6割を占める一般営業は1日のうち20%強の時間を、また売れる営業マンは40%を超える時間を顧客面談に費やしているといわれています。営業スキルが同じ2人の営業担当者を仮定すると、活動量(顧客面談数)の違いが、最終ゴールである売上に大きく影響します。
次に示す図は、売上と活動の関係を図式化したものです。このように最終ゴールである“売上”を要素分解することで、最下層に位置する“行動”をマネジメントする意味が明確になります。

では、3つのガイドラインの検討に入りましょう。営業担当者の1日平均の顧客面談数は、1日平均の顧客面談時間÷1回あたりの平均面談時間から算出されます。これに月間稼働日数を掛け合わせると、月間あたりの顧客接点数が算出されます。

この活動数を「顧客接点のガイドライン」と定義します。例えば、1日のうち2時間(20%)を顧客接点にあて、1回あたりの面談時間が40分であれば、1日あたり3件、月間(稼働20日で)60件の顧客接点が想定されます。60件の顧客接点ガイドラインを増加するためには、顧客接点に充当する20%の割合を増加する、すなわち業務効率化を目的としたタイム・マネジメントが必要になります。その他、1日の労働時間を増加する(残業増加)、月間稼働時間を増やす(休日出勤)、1回あたりの面談時間を減らす(中身の薄い面談)など効果の期待できない指標は除外します。
この60件という限られた顧客接点(活動可能時間)を最大限に有効活用するために、2番目の「顧客訪問のガイドライン」を検討します。この顧客訪問ガイドラインは、(1)お金を持っている、(2)お金を使っている、(3)自社のサービスを必要としている、という視点で対象顧客の優先順位を設定します。
※誌面の関係上、以降のガイドラインと近道を探る検討は、次号の「
効果的な報告システムの実装方法【その4】」で説明します。
(※これまでのコラムについては以下をご参照ください。)
「効果的な報告システムの実装方法【その1】」
「効果的な報告システムの実装方法【その2】」
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