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情報誌『アシスト』

2009 Spring 2009/03/01
最新技術動向  株式会社アシスト SRC

「サーバ仮想化」は、仮想化技術の成熟に伴い「サーバ統合によるハードウェア・コストの削減」や「運用管理の効率化による運用管理コストの削減」といったメリットが知られるようになり、過去のWindows資産の延命や社内に乱立するサーバを統合するといった用途での導入事例が増えてきている。一方で「サーバ仮想化を導入しても期待した効果が得られない」といったケースを聞くことも少なくない。

サーバ仮想化の現状
安易な「サーバ仮想化」の導入ではコスト削減は、期待できない

浜島 大
株式会社アシスト データベース事業部
(ソフトウェア・リサーチ・センター)
浜島 大





サーバ仮想化の現状

安易な「サーバ仮想化」の導入では
コスト削減は、期待できない
 




「サーバ仮想化」とは、1台のサーバ上で複数サーバが稼働しているかのような環境を提供する技術です。その際に必要となるのがVMwareをはじめとする仮想化ソフトウェアで、その仕組みには、OS上でアプリケーション・ソフトウェアの1つとして仮想化環境を動作させるホスト型と、物理的なハードウェア上で直接仮想化環境を動作させるハイパーバイザー型の2つがあります。また、仮想マシンの実装方式には、仮想環境のエミュレート処理に最適となるようカーネルに改造を施したOSを搭載する準仮想化手法と、通常のOSを搭載する完全仮想化手法の2つがあります(図1)



多くのユーザ企業はサーバ仮想化への期待として「ライセンス・コストやハードウェア・コストの削減」、「運用管理コストの削減」、また「ハードウェア・リソースの有効利用」を挙げています。事実、これまで別個のサーバで稼働してきた複数のシステムを仮想化環境に統合することでサーバの稼働率が高まります。物理サーバの台数も削減できるため、ハードウェア・コストの削減にもなり、管理 対象サーバの台数が減るため運用管理コストを低減することができます。

例えば、カシオ計算機がXenをベースにした「SUSE Linux Enterprise Server」を採用。仮想化環境への移行/管理ツールが必要なシステムにはVMwareを利用することで、2008年3月時点で320台の部門サーバを64台に統合することに成功しました。またオラクル本社では自社製品であるOracle VMを採用し、「物理ハードウェアを3分の1に削減」、「CPU使用率は9%から55%に上昇」、また「データセンターの電源使用量を40%削減」といった効果を上げています。

アシストでもIBMのハードウェア上でOracle VMを使用したデータベース・サーバの仮想化環境を構築し、その基本性能を検証した結果、3~4年前のサーバを最新のサーバに統合した場合、4台のサーバを1台に統合できることを実証しました。懸念されていたパフォーマンスの劣化や安定性等は準仮想化環境においてほとんど見られず、仮想化環境特有の障害にも遭遇しませんでした(図2)。また複数の仮想マシンを同時並列稼働した際のスループットへの影響も小さいことが確認できました(図3)。準仮想化環境は、充分実用に耐え得るレベルであると言えます。





■「サーバ仮想化」の落とし穴

ただし、すべてのシステムにおいてこれらのメリットを享受できるわけではなく、サーバ仮想化を実現する上で配慮すべき事項も見えてきています。

まず、サーバ仮想化導入=コスト削減ではないということ。導入当初はコスト増になる場合もあります。なぜなら複数システムを1つにするため、統合サーバはハイスペックなサーバ・リソースを要求される傾向にあります。また仮想化により、物理サーバを統合したことで物理的なハードウェア・リソースが逼迫するという問題もあります。例えば、古いシステムを最新のサーバで統合することでCPUの処理能力が大幅に向上しCPUリソースには余裕ができても、今度はディスクI/OやネットワークI/O等がボトルネックとなる可能性もあるからです。

アシストではこれを、サブシステム群をサーバ仮想化により統合したケースで検証しました。個々の稼働率はそれほど高くはないが管理担当者の要望等で独立した8台の物理サーバ上で稼働させているサブシステム群を、サーバ仮想化により2台の物理サーバに統合します(図4)。その際、外部ストレージは使用せず、サーバのローカル・ディスク上で仮想化した結果、I/O処理が少ない場合にはさして問題となりませんが、I/O処理が多く発生する場合にはパフォーマンスの大幅な劣化が確認されました(図5)




またサーバ仮想化のメリットの1つである物理的なサーバに障害が発生した場合でも他のサーバでゲストOSを稼働させ、システムの停止を最小限に抑えるという機能を実現するには、外部ストレージ上にゲストOSを配置することが必要です。

以上のことから、パフォーマンスやシステムとしての可用性、拡張性が求められるシステムをサーバ仮想化により統合する場合には、外部ストレージが必要となり、それには高いI/O性能、ストレージ自体の信頼性、拡張性が要求されます。必然的にSANもしくはNAS構成となり、何れにしても高価なストレージが必要となります。

さらに、仮想化ソフトウェアの価格ですが、VMware ESX Serverのように高機能な商用仮想化ソフトウェアを採用した場合、構成によってはサーバを追加した方が低価格で収まるケースがあります。

次に、運用管理コストの問題です。サーバ仮想化により物理サーバの台数は削減され、その監視や部品交換、メンテナンス等の運用管理コストは削減できます。しかし、管理対象となる仮想サーバの数は変わりません。言い換えれば、管理対象となるシステムの数は変わらないのです。またこれらに加えて仮想化環境自体の管理も必要となるため、サーバ仮想化によるサーバ統合だけではシステムの運用管理コスト削減効果はそれほど期待できません。運用管理コストの削減策を別途検討する必要があります。


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以上のように、サーバ仮想化を導入すればコスト削減できるといった安易な考えでは削減どころかコスト増になる可能性もあるので注意が必要です。サーバ仮想化を導入する際は、対象となるシステムが仮想化に向いているか否かの判断が重要であり、その上で設計、構築から運用管理に至るまでの綿密な計画が必要になります。そして運用管理コストの削減策を併せて検討、実施することにより、さらなるコスト削減の効果も期待できるのです。


■「サーバ仮想化」の今後

これまではVMwareが先行してきましたが、現在はXenをはじめ、Hyper-V、Oracle VM等、仮想化ソフトウェアも多様化しています。またこれまで課題とされてきた仮想化環境の信頼性や可用性の向上といった点も徐々に解決されてきています。今後CPUのマルチコア化やブレード・サーバの普及が進むことでスケールアップとスケールアウトがさらに進展し、データ・センターでの導入も進んでいくと見込まれます。必然的にVMware、Xen、Hyper-V、Oracle VMといった複数の仮想化環境が混在するケースも増えてくることが予想され、これらを統合管理するための基盤が求められてきます。VMwareやCitrix Systems、Microsoft等の仮想化ソフトウェア・ベンダーだけでなく、Hewlett-PackardやIBMといったハードウェア・ベンダーもそのような動きを見せており、仮想化管理ツールを提供するベンダー間の争いが激化していくと、今後はこれらベンダー動向を注視し、複数の仮想化環境を効率良く管理する仮想化管理ツールを検討していく必要があります。

アシストでも先に述べたOracle VMのHigh Availability機能検証やOracle VM上でのRAC構築、仮想化環境管理ツールの検討等を実施し、随時結果報告を行う予定です。


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以上のように、課題はいくつかあるものの、サーバ仮想化がコスト削減に有効な手段の1つであることは間違いありません。景気後退の中、ユーザ企業はITコストの削減を真剣に検討する必要に迫られています。そんな中、誤ったサーバ統合を行わないためにも、引き続きこの技術動向を注視する必要があると言えます。



仮想化ソリューション「Oracle VM」に関するお問い合わせ
株式会社アシスト データベース事業部
TEL   03-5276-5861
E-Mail oracle_sal@ashisuto.co.jp


本稿に関するお問い合わせ
株式会社アシスト ソフトウェア・リサーチ・センター
E-Mail srcneo@ashisuto.co.jp
ソフトウェア・リサーチ・センターはアシストの組織を横断するメンバーから構成され、アシストの特徴を活かした中立的な立場でのソフトウェア製品の調査や市場動向調査を行っています。




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