本ツアーに出させていただいているというだけで、生涯現役でいきたいというのは、あくまでも希望です。「ガン治療の中、がんばりたい。がんばれることに感謝して、夢を持ち続けている」というお話を本日はさせていただきます。
■強い思いを持つ
僕は、小学校5、6年頃からキャディをさせてもらっていましたが、中卒の給料が4千円弱だった頃、プロゴルファーは3万円という話を聞いて、僕もプロゴルファーになって稼ぎたい、という強い思いだけで中学を卒業してキャディになりました。身体は小さいし、気も弱いから意思表示もできない、でもキャディをしていたらゴルフの勉強になるからとクラブを借りてゴルフをして、それでも当時のキャディは日雇いの身ですから、進学したり就職していく友人と比べて自分を惨めに思っていました。そこでゴルフ場の従業員にしていただいて、洗濯場で働くようになりました。タオルを洗濯して乾くまで練習場で打たせてもらったり、休みの時はコースを回らせてもらったり、そのうちに養成制度ができたので、思い切ってマスター室に頼んで入れて欲しいとお願いしました。なかなか返事がこなくて、2、3ヵ月たってまたお願いして、4、5ヵ月してようやくオーケーをいただき、本格的にプロを目指せるようになりました。当時は月例会があって、プロの中に入れてもらってコースを回り、5ヵ月間平均で80を切れたらプロになれたのです。クラブも持っていませんから、ゴルフ場のメンバーの方にクラブを借りて20歳でようやくプロになれました。当時のクラブメンバーには可愛がっていただき、本当にお世話になりました。
■出会いを大切に
プロになって、茨木カントリー出身の大先生とコースを回る機会に恵まれました。質問をしたいけどできなくて、ようやく17番のティーショットが終わって、思い切って「自分のゴルフはどうですか」と伺うと、大先生が「それでいい」と言ってくださった。僕はその言葉にものすごく安心し、嬉しかったですね。このままやればいいんだ、と思いました。そして一生懸命やらせてもらって、その2年後、プロになって5年目で初めて優勝できました。その時も先生が来てくださっていて、「おめでとう」と言ってもらえました。その優勝が本当に自信につながりました。その時僕は、人との出会いというか運というか、そういうものを強く感じました。
■努力し、後は任せる
ゴルフをする方は、どうか心から楽しんで欲しいと思います。1日かけてお金を使ってストレス溜めてはもったいない。打ったボールは、行きたい方向へ飛びます。緻密な計算をして、クラブを選んで、スイングを考えて打ったら、あとは割り切る。あきらめる。思い切った失敗をしてください。「チョロするかな」とか考えすぎると失敗しやすい。いくら叩いても楽しめばいいのだし、くやしかったら帰りにまた練習をすればいい。そして一緒に回る人がよかったら「ナイス」と声をかけ、調子が悪ければ、そっとしておいてあげる。ナイスといわれたら、「ありがとう」と言う。それがゴルフです。なるべくノータッチでやったほうが技術面でプラスになります。そのまま、というのが大切で、池に入ったりOBしたらペナルティをとられる、と思うのではなく、救済を受けている、助けてもらっていると思ってプレーをしてください。100叩いても次からがんばる、ミスショットしたらそこからまた一生懸命いく。チャレンジする気持ちで、新たな勉強という気持ちを忘れずにゴルフをしてください。
■“おかげさま”を忘れずに
僕はプロになって、色々な方と出会い、様々な体験をさせていただいて幸せだと思っています。スポンサー、ファン、報道関係者、多くの人によってチャンピオンは生まれます。特にコースは試合の1年くらい前から改造したり、グリーンキーパーは整備のために夜中でも飛んでいく。そう思うと、ただ勝てばよいのでなくどうして勝てたのかという感謝の思いを忘れてはいけません。パターを投げたり、グリーンを叩いたりなどもってのほかです。ラフも叩いたらいけない。ゴルフ場を日々整備している人のことを思えばそんなことはできません。
最後に、僕は健康が一番大事だと思っています。いくつになっても、元気で「歩ける」「笑える」「美味しいといって食べられる」。こんな素晴らしいことはないと思いませんか。健康はお金では買えません。精神的にも、「気を楽に、無理せず、ストレスを溜め込まない」。要は、自分の心の持ち方次第です。人生、健康であれば、転んでもいつかは起き上がれるのですから。