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情報誌『アシスト』

2010 Summer 2010/06/01
コラム 【「プチ社内研修」のススメ】 (全2回 - 後編)

前編に続き「『プチ社内研修』のススメ」という題で、具体的な実施方法と「仕事のやり方研修」の一部をお伝えします。


「プチ社内研修」のススメ (後編)

鈴木 康宏 様
株式会社日本公文教育研究会
IT戦略室 室長
鈴木 康宏

前回、部署内で情報処理試験の勉強会を行ったところ全員が合格したと書いたが、その実施方法について触れておきたい。

手順は簡単で、まず情報処理試験の過去問から3問をピックアップ。それをA4紙1枚に印刷し配布。解答時間は3分間、難問が入る時でも4分くらいで解答させる。少し時間が短いが、極力短い時間で解答する練習を行うことで本番時に時間的余裕ができる。これはどんな試験勉強も同じで、スピードを上げて解く練習をすることが重要だ。問題の選択の際、前に一度解いた問題を時々出すのが記憶の定着に効果的である。

解答後、解説に入るのだが、いきなり始めるのではなく、簡単な問題の場合は「Aさん、問1はどれだと思う」と聞くようにする。当てられるかもしれないという緊張感の中で問題を解く方が記憶に残るからである。複雑な問題の時には、「アだと思う人、イだと思う人」というように全員に手を挙げさせる。挙手させると勉強会に参加している実感が湧くので、これまた効果的である。

解答を明示した後は、いよいよ解説だ。まず各設問に関する関連事項や背景を色々と説明する。ここはちょっとコツがいるのだが、例えばIT用語が解答の選択肢の場合は正解の説明をするだけでなく、その他の選択肢についてもすべて解説するのが秘訣だ。この解説を3問15分程度で終わらせる。以上、合計わずか18分でプチ勉強会は終了。ちょっと一服するような時間で勉強会が終わるという感じだ。これを週2回、1年ほど行った。「継続は力なり」。個人で学習するのはなかなか難しいが、このように皆で勉強すれば意外に継続できるものである。この勉強会によって共通の話題ができ、さらに仕事を進める上で必要な知識も習得できるなど副次的な効果も大きかった。IT系の部署は個人の自己啓発に頼るのではなく、是非部署で情報処理試験に向けたミニ勉強会を実施して、チーム全体の力をつけていくと良いと思う。


「仕事のやり方研修」その後

前回、「着地点」を明確にした仕事のやり方について解説をしたが、今回はその後実施した「仕事のやり方研修」の中からPDCAを意識した仕事のやり方について、一般的なPDCAと少し違う部分を解説したい。

PDCAはP(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)というサイクルを回すという基本的フレームワークであるが、本当にサイクルが回っているのかという点は一度振り返ってみるべきである。仕事の基本としてこのPDCAがよく出てくるが、結局Plan→Doで終わってしまって、Checkもままならないうちに、ああ、やっぱりダメだったと、当初立てた目標と違う目標を設定してしまっていないだろうか。それは「改善」ではなく「逃避」である。

昔やっていたQC活動に話は遡るが、その際に必ずやっていたことが、最初の改善案では当初期待された効果が出なかったため、2次改善案を作るという作業だ。これは半年ごとの発表の際に、2回目の改善プロセスで大幅に改善し目標を実現させないと周囲を「おおっ!」と驚かせる発表にならないという姑息な理由だったとは思うが、今考えるとそれでいいのである。PDCAの考え方でよく間違ってしまうのは、Pを「目標設定」と思い違いしているケースだ。Pはあくまで対策を行うための行動プランである。目標は大前提として揺るがない。Pを目標と捉えてしまうと、計画通りにいかない場合、その目標を引き下げるという行動に出てしまう。PDCAはあくまで目標を実現するまで回し続けるものである。目標を達成した暁に初めて目標を引き上げるものであって、達成してもいないのに目標を変更してはダメなのである。




このことを理解させるため、PDCAの説明をする時に私が使っているのが上図である。PDCAはあくまで第一の目標を達成するまでサイクルを回し続け、目標を達成して初めて次のステージに上昇させるという形だ。通常のPDCAの絵が平面なのに対して立体的に上昇していくイメージを示している。こうした話を「仕事のやり方研修」で行っている。

日本全体が今は元気がないが、成果主義や目標管理の影響で自分の成果さえ出せば良いという流れの中、組織力が低下していることが主原因ではないかと思う。日本は「和」の国、一昔前に戻れとは言わないが、今こそチーム全体で改善活動を続けていくことが必要なのではないかと思う。


プロフィール
株式会社日本公文教育研究会
IT戦略室 室長
鈴木 康宏
1988年(株)三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。営業職経験後、各種システム開発、システム統合などを経験。2001年東海銀行との合併準備のため(株)UFITに出向。2003年(株)日本公文教育研究会に転職。IT戦略室システム開発チームリーダー、次長経験後、2009年現職の室長に就任。研修のエッセンスをブログ「簡単!仕事術」で公開中。
(http://easy-workstyle.com/)