シス・コンピューティング株式会社は、西部ガス株式会社の子会社「西部ガス情報システム株式会社」の運用部門が独立し、2000年に設立されました。運用サービスの提供を主業務とする同社は、従来の運用業務をまわす、こなすという姿勢から、付加価値のあるITサービスを提供するという姿勢へ、運用部門の変革に取り組みました。
運用部門のミッション
企業の情報システムは、特定ベンダーに依存していたメインフレーム時代から複数ベンダー体制の分散/Webシステム時代へ、そして今や基幹システムが「統合Webシステム」で構築される時代になりました。仮想化やグリーンITによりサーバ統合が促進され、ガバナンス強化に対応するための運用管理ルールや手順の標準化も不可欠となりました。このような中、システムの運用担当者は、指示されたことを行うだけで自分たちが「管理」を担っているという実感が持てないまま、改善意欲の低下から負のスパイラルに陥っていました。この状況を打破するためには、監視だけではなく、問題や課題を主体的に見越し、問題提起や改善提案を行う新時代の運用担当者が必要だと考えました。
性能管理プロジェクトへの取り組み
シス・コンピューティング株式会社では、2007年から運用改善プロジェクトを推進し、運用業務の棚卸と運用ポリシーの策定を行っています。理想的な運用担当者を定義し、運用管理規程やマニュアルを再整備し、ITILを取り入れて業務プロセスを再構築していきました。2010年2月には、ISO/IEC20000の認証を取得し、ITサービス・マネジメント体制を確立しました。「これにより、次の目標が明確になった」とシス・コンピューティング株式会社 運用事業部長 秋山泰志氏(2010年7月より、西部ガス情報システム株式会社に異動)は言います。
ITガバナンスのフレームワークCOBITによれば、レベル1は1人のスーパーマンに運用を頼っている状態です。同社では、標準化が完了し、手順が整備され、それに基づく運用が実施されているレベル3の状態まで押し上げました。次のレベル4の定義は、サービス・レベルと実績値とを比較するプロセスとツールが用意され、標準化された最新の統計情報が利用できるとともに、問題の警告が可能な状態です。このためには社員、仕組み、ツールの3つの歯車を有機的に回す必要があります。レベル4を目指し、社員教育を行い、属人化しない仕組みを作り、それを省力化するためにツールを導入するプロジェクトに取り組みました。
ツールの役割
性能管理ツールとしてJP1を導入し、監視、測定、分析/評価を実現しました。エージェントが閾値の監視を行い、問題があれば運用担当者に通知することで、日々の監視が強化され、障害予兆の早期発見が可能となります。また、運用担当者の意識を高めるために能動的な発想が必要なBIツール、QlikViewを活用し、各エージェントからマネージャへ夜間バッチで取り込まれCSVファイルで蓄積されている性能データを基に性能分析、ボトルネックの特定などを実施します。またJP1/PAMを利用して、キャパシティ分析も行っています。
目指したことと成果
プロジェクトを通して、運用担当者4名にシステム開発の経験をさせることも1つの目的でした。開発部門の立場を理解させるために、納期、スケジュールを意識させる環境を作りました。また、達成感を感じられるように要件定義書として「サービス・レベル・カタログ」、「概要設計書」、「本番リリース・チェック表」等の形に残る「成果」も残しました。さらに、プロジェクト・メンバーを後の「性能管理者」として育成することも大きな狙いでした。
性能管理プロジェクトの一番の成果はメンバーの成長です。与えられた業務をこなすだけでなく、「データを基に色々なことを考えながら、予知を行える流れができた。仕組み、ツールも必要だが、社員のモチベーション向上が何よりも大切。その意味でこのプロジェクトは成功だった」と秋山氏は語ります。
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