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ビル・トッテン関連情報

コラム(Our World)

題名:No.832 脱石油社会にむけて
From : ビル・トッテン
Subject : 脱石油社会にむけて
Number : OW832
Date : 2008年08月14日
2年前、アシストで社内農業プロジェクトを発足した。これは、石油によって支えられているこの社会がその減耗によって、徐々にか、または急激に、大きな変化に直面する事態に備えてできることはないかと考えた結果だった。
(ビル・トッテン)

脱石油社会にむけて

石油文明は変革期にさしかかっている。原油高騰は中国やインドといった国の需給が急増したからではないし、OPECが増産を拒否したからでもない。巨大油田発見のピークが来たのが1960年代半ば、米国に石油ピークがきたのが1970年、1980年代半ばには世界の石油の需要と供給のカーブが交差し、今では石油が発見される量は生産量のおよそ5分の1くらいにしかならないことが原因だ。

日本のエネルギー、食料の自給率はあきれるほど低い。その上、現代農業は石油を大量に使用している。家庭菜園に親しむ環境を作り、少しでも多くの人が作物を作るようになれば、小さな一歩でも集まれば大きくなると私は思い始めたが、強制できるものではないため、実際熱心に活動しているのは一部の社員に限られている。しかしそれをきっかけに市民農園に申し込んだり、マンションに住む者はプランターで野菜作りを始めた社員をみるのは実に嬉しい。

ピークオイルの兆候を示す事象が見え初めても、それを無視、または否定する人は少なくない。その理由の一つは主流メディアが報道をしないことだ。たとえば世界の石油生産量は2004年以降増えていない。これを知れば石油価格が今後も下がることはないというシンプルな事実に気づくだろう。原因は経済学というよりも、地質学的なものなのである。

だからこそ私は、ピークオイル以降の社会を見据えたプログラムを少しずつでも自分の会社の中で始めたいという思いを新たにしている。石油が1バレル100ドルを超えた今、現実を見ないふりをするのはやめ、未来を正面から見据えて建設的な提案をしていきたい。そんなわけで、社内では家庭菜園に次いで、日曜大工や洋裁といった少し前の日本社会では、お金を払ってサービスを購入せずに家庭内でまかなわれていた活動をいかに取り戻すか、ということを現在考えている。

その一つとして社内に作りたいと思っているのはアマチュア無線クラブだ。たとえば大震災が起きた時など、電話や携帯電話、電子メールなどの通信手段が使えなくなった時のために、またはエネルギー資源高騰によって電子的なコミュニケーションの方法がとりにくくなった時に備えてだ。コンピュータのソフトを販売しているのにそれを前提から覆すような未来を想定して、などと嘲笑されてもかまわない。電気を大量に使用する高度な技術の使用を可能にしているのは、豊富なエネルギー資源であるという大前提を私は無視することはできない。そしてその経済モデルは、大量消費の終わったあとには必ずや厳しい時代を迎えるに違いない。

石油の次にくる時代がどのような形になるかまだわからない。しかしその時代を生きるために、家庭菜園や日曜大工、洋裁やアマチュア無線など、少し前の世代の人が普通にしていたこと、しかし近年になってすっかり忘れられてしまったマイナーな趣味の世界には、参考にすべきヒントがたくさんある。石油ピークアウトのあとは、ますますそれが見直されるようになるだろう。

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著作:株式会社 アシスト  代表取締役 ビル・トッテン
発行/翻訳/編集:株式会社 アシスト


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