株式会社東レシステムセンター(以下、東レシステムセンター)は1985年設立。繊維、プラスチック・ケミカルなどの基盤事業に加え、情報・通信機材事業などグローバルに展開する東レ株式会社(以下、東レ)の情報システム部門から分離独立し、東レおよび連結子会社だけでも200社以上ある東レグループ全体のシステム化推進を担っている。今回、東レシステムセンターが構築したのは、メガネ、家庭用浄水器「トレビーノ」などを販売する東レアイリーブ株式会社(以下、東レアイリーブ)の照会システム(マネジメントシステム)である
東レアイリーブのマネジメントシステムとその課題
2002年、東レアイリーブでは国産のERPパッケージを基盤とした第3次基幹システム構築の検討を開始し、東レシステムセンターでは同社 基幹システム事業部SII課 課長代理の長井 朋恵氏をはじめ構築担当者が同年6月から照会機能を含む第3次基幹システム全体の要件定義を開始した。
前身となる第2次基幹システムは6年ほど前に構築を完了した。このシステムのデータ照会部分は当時のシステム担当者が独自に開発し、売上や在庫数といった個々の参照ニーズに応じある程度柔軟な帳票出力を実現していた。しかし、手作業でデータ更新を行うため運用面で大きな負担がかかり、増え続けるデータ件数に対し照会スピードが遅いという課題を抱え、また同時に利用者からは照会機能の適用範囲を拡大してほしいというニーズも高まっていた。しかしERPパッケージに付随する照会機能を調査したところ、第3次基幹システムにおける大きな改訂項目であった照会機能の適用範囲拡大について、自由にデータを参照・出力したいというニーズには柔軟に対応できないことが判明した。東レアイリーブでは売上データが年間で80万件ほど発生する。第2次での課題もふまえ第3次の照会機能では売上のほか、仕入、物量、財務関係のデータも統合し簡単な操作で検索が可能なWebベースのシステム構築を予定していた。そこで「基幹システムと照会機能は切り離して考えることにした。」(長井氏)
東レアイリーブのマネジメントシステムに求められた機能
同年11月には本格的に照会ツールの選定に入る。第3次基幹システムの照会機能として特に必要とされたのは、1)誰でも直感的に使えること、2)オンデマンドで帳票を作成できること、3)多彩な出力形式を備えていること、4)レスポンスの向上の4点であった。照会システムは営業だけでなく経営層から業務担当にいたる東レアイリーブの全社員が利用する。特に営業担当者にはボタン1つで結果が出るような容易な操作性が望ましい。データ分析ができるツールの採用も検討したが、「操作や手順が何段階にも及ぶものは利用
者にとって負担となる。今回は容易な帳票作成ができることにターゲットを絞り、分析は次のステップとして見送ることにした」(長井氏)。
また、これまである程度柔軟な帳票出力が実現されていたため機能低下は許されず、縦軸に売上(数量、金額、粗利)、横軸に予算、実績を並べるといったように1レコードが多段で複雑な帳票作成ニーズの割合も高かった。パラメータ設定により細かいニーズに対応できるツールもあったが、取引企業や扱う品種が多岐にわたり、個々のニーズに合わせ管理者が設定を行うには負担が大きく、固有の出力ニーズが多数発生することが予測された。作成したい帳票ごとにツールが異なれば、操作性も異なりユーザを混乱させる原因となるため、ツールの選定には、適用範囲が広く、操作が簡単で万人が使え、個別のニーズに応じた帳票を自分たちで自由に出力できることが最優先課題となった。
WebFOCUSの導入が決定
帳票作成ツールの検討を重ねた東レシステムセンターが採用を決めたのは、アシストが提供する「WebFOCUS」であった。WebFOCUSの適用範囲は幅広く、ユーザが必要な帳票をオンデマンドで出力することはもちろんだが、特に長井氏が「これは使える」と感じたのは、HTML、CSV、Excel、PDFという多彩な出力形態を持ち、これが簡単なプログラム命令で自在に切替出力できる点である。PDFデータや紙への印刷ニーズが非常に高く、自分で加工までを行いたいパワーユーザからはExcel形式でのデータ提供が望まれていたからだ。また、WebFOCUSではOracleをはじめ様々なデータを読み込める点も大きな魅力だった。
開発は長井氏のほか3名が担当し、当時東レシステムセンター入社3年目の技術者がメインでプログラミングを行った。アシストが提供するWebFOCUS教育コースを受講したが、難しい帳票要件などのプログラミングについてはアシストのフィールドサポートによるソースレベルでのサポートや、サポートセンターの電話・E-Mailによる支援、サンプルプログラムの提供などにより、プロジェクトの生産性を向上させた。マネジメントシステムの構築は、WebFOCUSで実現可能な範囲でプロトタイプを作成し、常に利用者の合意を得ながら進め、作成した帳票数はトータルで121にものぼった。
全社員に活用されるマネジメントシステムに
マネジメントシステムも含めた第3次基幹システムのカットオーバー目前となった2003年9月、東レアイリーブの社員に対し教育を開始した。ここで直面したのは複数ユーザが同時に接続した場合、マネジメントシステムのレスポンスが極端に低下するという大きな問題だった。これに対してデータベースサーバとWebFOCUSサーバを分割するなどの手立てを講じ、またアシストのフィールドサポートはソースコードを解析し、レスポンス悪化に影響を与えているロジックの見直しを提案した。この結果、想定最大同時接続ユーザ数20でも5~15秒での帳票出力を実現した。こうして、システムは無事10月にカットオーバーを迎えた。
それから1年半経過した現在、製品や目的に応じた帳票を自由自在に作成でき非常に便利であると好評だ。例えばサングラスなら15ヵ月以上、浄水器は5ヵ月以上というように長期在庫の期間定義が異なるが、変数を指定することで自由に在庫年齢表を出力できる。
「レスポンスの問題もなくなり、誰でも直感的に帳票作成が可能で、“これなら使える”と利用者に喜んでもらえていることが非常にうれしい」と長井氏は語る。また、従来は翌々日に把握していた売上情報や、月次でなければわからなかった財務情報も一部を除き翌日には参照できるようになった。
さらに、日ごろからなじみのあるブラウザベースの簡単操作でマニュアルを不要にしたり、出力に時間がかかる帳票は色により識別したり、量販店とのやり取りのように速報性の高いものは基幹システムから直接データを読み、それ以外はデータマートから読み込むなど、きめ細かい数々の工夫をこらし操作性を大幅に向上させている。これは、長井氏が3年ほど東レアイリーブの業務にかかわり業務内容をよく把握していたことや、要件定義の段階で各担当に綿密なヒアリングを行い効果のありそうなものは極力機能として盛り込んだことが大きい。こうして東レアイリーブのマネジメントシステムは全社員に活用されるシステムとなった。
今後の展開
2003年10月のカットオーバー以降、東レアイリーブの要請ですでにいくつか帳票を追加作成し、各店舗の顧客検索システムなどへの展開も開始した。東レシステムセンターでは、WebFOCUSを活用したこのマネジメントシステムをベースとして、東レ本体および関連会社の類似案件への展開なども視野に入れている。
| ユーザ情報 |
パートナー情報 |
| 東レアイリーブ(株) |
(株)東レシステムセンター |
設立: 1972年10月5日 |
設立: 1985年9月24日資本金: |
資本金: 1億2000万円 |
資本金: 2億円(東レ株式会社100%出資) |
本社: 東京都新宿区四谷4丁目7番地(新宿ヒロセビル) |
本社: 千葉県浦安市美浜1-8-1東レ第2本社ビル3階 |
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URL: http://www.toray-system.co.jp/ |