本稿は2004年3月にアシストが主催した「情報活用フォーラム2004」において株式会社東レシステムセンターネットワーク事業部 丹羽英隆様よりご講演いただいた内容をまとめたものです。
当社は東レの情報システム部門から分離独立した会社であり、東レおよび東レグループのシステム化推進を使命として様々な分野のシステム化を手がけております。これまで東レグループ内で培った幅広いノウハウを武器にソリューションを展開しています。本日は東レグループ内A社にてWebFOCUSを用いて開発いたしました工場情報系システムについてお話しします。
主力事業支える生産管理システム
今回開発したシステムは東レグループ内A社の主力事業の工場生産管理システムに付属する情報系システムであります。まず簡単に、旧生産管理システムについてお話しします。この生産管理システムが扱う生産品は複雑な加工素材であるため、極めて高度な生産管理が求められてきており、そのため処理ロジックもかなり複雑なものでした。その上、旧生産管理システムは30年ほどかけて成長させてきた歴史のあるシステムで、ブラックボックス化、属人化が進み、レガシーシステムとなっておりました。また、バッチ処理主体のシステムであり、タイムリーな情報提供ができないことも大きな問題でありました。このように、一見したところ旧式で無駄な例外処理だらけのシステムに見えたのですが、業務分析と並行して機能解析を行った結果、極めて巧妙に仕組まれた、必要不可欠な機能を満載した高度な生産管理システムであり、まさに製造メーカーの武器、競争力の源泉ともいえる製造業の価値そのものにあたる大切なシステムであることが判明しました。
この重要なシステムを、柔軟で、タイムリーでオープンな情報提供ができるシステムに生まれ変わらせるために、このプロジェクトが立ち上がりました。
プロジェクトを進めるにあたり次の方針が出されました。(1)データ構造を明確化しモデルを確定する。(2)ホストからオープン系に移行。(3)生産管理と工場情報系を分離する。(4)生産管理はパッケージを拡張し構築する。(5)工場情報系は柔軟ですばやく情報配信する。そして、(6)経営への情報提供を迅速化する。以上の方針を満たす情報系ツールとして、タイムリーに情報が取り出せてデータ活用の柔軟性が高く、手軽で簡単であり、保守性の良いアシスト社のWebFOCUSを採用いたしました(生産管理システム本体は、某大手ベンダーのパッケージをカスタマイズし導入)。
WebFOCUSによる情報系新システム構築
WebFOCUS採用の最大のポイントは、ブラウザを用いて誰でも必要な時に必要なデータをタイムリーに入手でき、それを加工することによる素早い情報配信が実現可能な点です。
しかし、帳票文化に慣れ親しんだユーザに、いきなりブラウザを使って情報を自分で取り出し、加工して即時情報配信するという業務の進め方は極めてギャップが大きいため、段階的に新システムにユーザを慣らしていく方法をとることとしました。初年度は生産管理担当者が帳票を打ち出し配信するという運用から始め、2年目には情報の電子化と蓄積による業務の効率化を実現し、過去データの利用促進とペーパレスの促進を進める。そして3年目以降で初めて本来の目的の一つである高度情報活用(情報の再活用、帳票集計値の再活用、集めて加工したデータを元に次のアクションを行う)へつなげていく計画です。
新システムの構築は平成14年6月に始まり、5ヵ月かけてデータ分析を行い、きちんとしたデータ設計を実施しました。そして、設計書を充実させ、本当に必要な情報を確認し、帳票数を削減することに約半年かけました。その後WebFOCUSを使って約3ヵ月で50帳票を作成しました。
本社組織から大きな反響
旧生産管理システムでは全てバッチ処理にてデータが処理されていました。バッチ処理には日次、月次、スポットの3種類があります。時々刻々データが入力された後、まずは1日の終わりに日次バッチで集計処理が走り、集計結果が日次累積ファイルに書き込まれ、さらに、同時に出力される日報の紙帳票をシステム担当者が配布していました。月次は、日次累積ファイルに蓄積されたデータを元に月末日に月次処理バッチで月報にまとめられ、帳票に出力されていました。スポット処理は利用者がシステム管理者にジョブ依頼をし、結果が出たという連絡がくると、帳票をシステム部門まで取りに行くという運用を行っておりました。新システムでは、生産管理システム本体と情報系システムの2つに分かれています。生産管理システムにて入力されたデータは、日次バッチで集計処理が行われ、その結果を累積データとしてDBに格納します。その格納されたデータをWebFOCUSで検索加工することで、日報、月報、スポット報を席にいながらにして見ることができます。
ここで、完全リアルタイムとしなかったのは、バッチにてデータ整合性を確保するための処理を行っていることと、高度に正規化された生産管理データをそのままWebFOCUSにて検索加工することが予想外に大変だということが判明したためです。
新システムでは生産管理サーバとOracle DB、そしてこのデータを元にWebFOCUSで情報の加工・表示を行います。工場内120台のクライアントから等しくアクセスでき、また社内イントラネットでどこからでもアクセスができ、本社との情報共有が可能となりました。このシステムをテスト試用で公開したところ「こんなデータを見たかった」と経営層や生産統轄から大きな反響がありました。さらに紙の削減、容易な情報の取り出し、迅速な情報発信と当初から大きな効果がありました。
課題となったセキュリティ
このシステムは経営層から現場まで幅広く使うシステムであるため、セキュリティグループとして細かいアクセス制御が必要でした。利用者権限によるコンテンツ保護はWebFOCUS標準の機能では実現ができなかったため、当社で「セキュリティパッケージ」と呼ぶ専用のセキュリティ機能ツールを開発しました。このセキュリティパッケージはユーザ単位で権限を付与し、権限によって画面単位で制御し、権限に応じた動的メニューを生成します。ファイアウォール機能も備えたこのツールはWebFOCUSに完全に特化した設計になっており、WebFOCUSを完全に保護する唯一の製品であると自負しています。WebFOCUSアプリのコードを一切変更せずに保護することができ、しかもシンプルでコンパクト、少ない消費資源で運用が簡単です。
システム構成としてはWebFOCUSの前段にセキュリティパッケージを組み込みますので、WebFOCUSモジュールに全く手を加えずに済みます。物理的にはWebFOCUSレポーティングサーバと同一筐体に組み込むことができるので、追加のハードウェアも不要です。
動作概要についてご説明します。まず、ユーザ認証(ログイン)が行われると、メニューを権限に合わせて動的に生成します。そのメニューの項目をクリックすることで発生するクライアントからのリクエストを、ファイアウォール機能でチェックし、権限のあるユーザリクエストのみ通します。この権限設定については、ロールの概念を用いており、非常に柔軟な権限設定が可能になっております。
WebFOCUSのさらなる活用を考えた場合、インターネットに直接つないでデータ公開することが容易に思いつきますが、現実的にはそのような使い方を躊躇される方がほとんどかと思います。このセキュリティパッケージを使えばWebFOCUSをインターネット上の情報公開ツールとして活用することも可能になります。ということは、企業内、関連会社間でのインターネット経由での情報交換にも活用できます。東レシステムセンターではこのセキュリティパッケージを「WebFOCUS認証システム」という名称のもと、2004年7月より外販を開始いたしました。
情報系システムの有効活用のためにWebFOCUSを活用し、セキュリティパッケージの適用によるセキュアな情報公開を行うことは企業の情報活用において高いIT投資効果をもたらすものと確信します。また当社はこの「セキュアコンポ for WebFOCUS」の外販に加え、WebFOCUSによる開発プロジェクトで培ったノウハウを用いてWebFOCUSアプリケーションの開発支援も行っております。