UFJ銀行はデータベース検索などを行う情報システムを、2002年1月の統合に向けて更新し、6月から本格稼働した。統合に向けた短期間での構築が必須であり、また、クライアント/サーバー環境の前システムからWebベースに移行することで、大幅なTCO削減を図った。そこで重要な役割を果たしたのが、アシストの提供するふたつのソフトウエア「WebFOCUS」と「LoadRunner」である。これらのソフトウエアをどのように活用し、システム更新を果たしたのか、UFJ銀行と、開発にあたったUFJ銀行系のシステム会社ユーフィットのキーパーソンに話をうかがった。
合併以前から検討されていたWeb化
2002年6月、UFJ銀行の情報活用システムが更新された。本部と全国の500店舗のシステムは、従来のクライアント/サーバー環境からWebベースに移行。データベース検索などに利用されるツールとしてはアシストの提供する「WebFOCUS」が採用された。まず、システムを更新した狙いについて、UFJ銀行システム企画部部長の村林聡氏は次のように説明する。
「今回のプロジェクトは、(三和銀行と東海銀行との)合併の話が出る以前、3年ほど前から旧三和銀行内で検討されていたものです。従来はクライアント/サーバー環境で、クライアント側にソフトウエアを入れて使っていました。プログラム変更が生じると、すべてのパソコンにダウンロードする必要があります。パソコンは旧三和銀行だけで5000台ありますから、かなりのコストです。Web化してアプリケーション・サーバーで集中管理すれば、TCOを大幅に削減することができると考えました」
例えば、営業店のパソコンにトラブルが生じた時、システムの担当者がすぐに駆けつけるという運用体制は取りにくい。Web化は避けて通れない道だった。こうした検討がなされている時に合併が決まる。パソコンの数も2倍近くになるので、いよいよクライアント/サーバーでは困難になってきた。
そして、そのシステム更新の切り札として選択されたのが、米Information Builders, Inc. (米インフォメーション・ビルダーズ)が開発、アシストが提供するWebFOCUSだった。WebFOCUSは、企業にとって必要不可欠な情報の共有化を、既存の環境を活かしながら低コストで実現する意思決定支援ツールである。
WebFOCUSを使うことで、エンドユーザーは、手近なWebブラウザから企業内のあらゆる定型・非定型データを自由に検索することができる。またブラウザからインタラクティブに行えるレポート作成、OLAP機能に加え、作成したレポートをFTPサーバー、電子メールなどに自動配信するプッシュ型の情報発信機能も搭載している。こうした豊富な機能を備えているだけでなく、今回の統合にあたりWeb化が急務であったため、開発生産性が重視された点や、大量データから多様な検索処理が可能な可用性、今後の拡張性という点が魅力だったようだ。 「誰がいつ、どのデータベースにアクセスしたか、その証跡を管理できる機能もWebFOCUS採用のポイントになりました」 と語るのは、同じくUFJ銀行システム企画部次長である丸山明氏。金融機関だけにセキュリティへの要求度は高く、この機能を手作りすれば時間もかかる。今回はWebFOCUSの採用により、設計から実装まで4カ月という短期開発が可能になった。また、WebFOCUSはすでに国内で130社、300ライセンス、海外で3000ライセンスが販売されている(2001年12月末現在)。こうした実績も評価されたようだ。
「攻めの営業」に情報システムを活用
次に、UFJ銀行の業務に、WebFOCUSがどのような形で活用されているのかを見てみたい。今回インテグレーションを担当したUFJ系のシステム関連会社ユーフィットの銀行システム本部情報システム第一部部長代理である益戸勇一氏は、マーケティングにおける活用がWebFOCUS導入の最大の目的だという。
「例えば、顧客企業の財務データから特定の条件に合った顧客を検索し、財務状況に合った商品を提案する。あるいは、創立50周年の企業を探す、成長業種の中から新規取引勧誘先を抽出するといった使い方もあります」
WebFOCUSで「攻めの営業」を展開する、ということだろう。前述した定型・非定型データを問わない自由自在な検索機能に加え、WebFOCUSのレポート作成機能などが最大限に活用されているようだ。この他にも、部店の顧客別収益やコスト把握といった経営管理、予算編成・実績評価、事務分析など様々な機能が活用されている。
またUFJ銀行とユーフィットでは、WebFOCUSが持つ開発生産性とその柔軟性をもとに開発された「事前実行機能」をシステムに組み込み、日常業務に運用しているという。あらかじめ設定した検索条件をWebFOCUSに登録することで、オフピークタイムに検索を実施、ユーザーが必要な時に結果を参照またはダウンロードできる、というものだ。
「営業店で朝一番に見なければならないデータは、貸出残高や住宅ローン残高などほぼ決まっています。予めその項目を登録しておくと、早朝5時半ごろにシステムが自動的にデータ処理を行い、行員はファイルを開けばすぐ見られる状態になっています。以前は必要な時にデータベースにアクセスしていたので混雑する時間帯もありましたが、それが解消できました」(益戸氏)。
開発にあたっては解決すべき問題もあったようだ。情報システム第一部の関瑞穂氏が説明する。
「Web化によってレスポンスが遅くなることを、営業店では心配していました。そこで、レスポンスのスピードを確保するため、一度使ったデータはクライアントにキャッシュする仕組みなどを工夫しました。クライアントとWebの守備範囲をどこで線引きするかは、かなり苦心した点です」
負荷テストで威力を発揮したLoadRunner
ところで、WebFOCUSの本格稼働前には、システムの負荷テストが行われている。そのためのシミュレータとして、アシストの提供する「LoadRunner※」が用いられた。 「すべてのパソコンからデータベースにアクセスして負荷状況を調べるのは、事実上不可能です。そこでこうしたツールによって、負荷の評価を行う必要がありました。その結果、構築したWebFOCUSのシステムには問題がないことがわかり、安心して稼働させることができました」
丸山氏の話を引き取って、益戸氏は今後考えられるTCOへのインパクトについて言及した。
システムを拡張する際にも、LoadRunnerは有効です。現状のサーバーならどこまで対応できるかを定量的に示せるので、安心のためだけに余分なサーバーを導入する必要がありません。最適な設備を選択する上で、LoadRunnerのようなツールは非常に役立ちます」
「IT投資環境の悪い時期ですが、だからこそTCO削減に資するような提案をしていきたい。グループ企業でひとつのテンプレートを共有するようなシステムであれば、開発コストもシェアすることができます。UFJグループの総合金融サービスを支えるこれらのシステムを考え、その形を示していきたいですね。また、アシスト社からはソフトウエアの提供だけでなく、設計や開発、システム構築後のユーザー教育やヘルプデスクでもご協力いただきました。信頼できる良きパートナーです」(益戸氏)。
WebFOCUSとLoadRunnerという標準的なツールを使いこなすことで、新しい情報活用システムを短期かつ円滑に構築したユーフィット。同社には、今後もUFJグループ企業の情報化について大きな期待がかけられている。
※LoadRunnerはMercury Interactive Corporationの登録商標です。
| ユーザ情報 |
パートナー情報 |
| (株)UFJ銀行 |
(株)ユーフィット |
本社:
名古屋市中区錦 3-21-24
東京本部:
東京都千代田区 大手町1-1-1 |
本社:
名古屋市中区栄 2-4-18
岡谷鋼機ビル2階
東京都中央区日本橋 1-7-17
日本橋御幸ビル10階 |
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設立:
1970年7月9日 |
資本金:
8435億円 |
資本金:
13億1000万円 |
事業概要:
持株会社UFJホールディングスのもと2002年1月15日、三和銀行・東海銀行が合併し「UFJ銀行」に、東洋信託銀行は社名変更し「UFJ信託銀行」として、新たなスタートを切った。 |
売上高:
971億円 (2002年3月期) |
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従業員数:
1888名 (2002年4月現在) |
事業概要:
2001年4月、前身のセントラルシステムズ株式会社の業務と三和銀行のシステム開発・運用部門が統合し誕生。UFJグループを支える新IT会社。 |
■導入製品
WebFOCUS, LoadRunner