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プレゼンのコツ ~プレゼンテーションは『知恵のプレゼント』
ソリューション研究会 情報交流会

ソリューション研究会 情報交流会


関西電力株式会社 経営改革・IT本部 IT戦略グループ マネジャー 上田晃穂氏

1997年、関西電力株式会社に入社。2006年、関連会社の関電システムソリューションズ株式会社に出向。2008年、本体に戻り、経営改革・IT本部 情報技術グループへ配属、2011年より現職。技術士(情報工学部門、経営工学部門、総合技術監理部門)、システムアナリスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャ、情報セキュリティスペシャリスト、システムアーキテクト他の資格を持つ。アシストのソリューション研究会分科会に2006年度より参加。4年連続で全国最優秀賞を受賞。2008年よりソリューション研究会の幹事として、会の企画、運営に尽力いただく。また、西日本の新入社員を対象とした「短期分科会」の講師を務め、次世代を担う後輩達の育成を行っている。


ビジネスにおいては、商談を含め社内外のあらゆる場面で、プレゼンテーション力が求められます。アシスト ソリューション研究会では、若手の育成を目的とした西日本の短期分科会の講師を務め、また分科会で4年連続全国最優秀賞を受賞された関西電力株式会社 経営改革・IT本部 IT戦略グループ マネジャーの上田晃穂氏を講師にお迎えし、去る10月24日、「情報交流会」を開催しました。聴き手に思いを伝える際に、その思いをどのように組み立て、いかに伝えるのが効果的なのでしょうか。聴き手の「なぜ?」に答えるようにコンテンツを組み立て、伝え方を工夫するだけで、プレゼンテーションは格段に良くなると上田氏は語ります。

コミュニケーションの主役は「受け手」


「プレゼンテーション」とは「知恵のプレゼント」です。例えば皆さんは「プレゼント」を贈る際、「誰に」「どんな思いで」「何を」「どのように」贈りますか? その時、あなたは相手にどのような行動を望みますか?今回は効果的なプレゼンテーション(以下、プレゼン)の組み立て方について説明します。

プレゼンは「A・B・C・D・E」の順で考えよう


効果的なプレゼンをする際に、真っ先に考えることは「コミュニケーションの主役は誰か」ということ。「伝え手」からのメッセージは、「受け手」の枠組み(前提知識、思い込み、価値観、期待、その時考えていたこと)で理解されます。このため伝え手が「伝える」ことと、受け手に「伝わる」ことは異なります。常に「受け手」が主役であるということを念頭に置き、受け手に「伝わること」にフォーカスします。では早速プレゼンの「A-B-C-D-E」について個々に見ていきましょう。

A:Audience(聴衆:ターゲット)


まずはプレゼンの相手となる「聴衆像」を想定し、プレゼンの「目的」を設定します。聴衆に何を理解してもらい、どんな状態になってもらって、どんな行動をとって欲しいかを設定します。

B:Belief(思い:メッセージ)


プレゼンの最終目的は、相手に「納得」してもらい、「行動」してもらうことです。ただ単に「言う」だけでは伝わりません。「伝え手」が言った内容に対し、「受け手」が聴き⇒理解し⇒賛同し⇒納得し⇒行動してもらわなければならないのです。

そのためには、受け手が納得し、行動につながる「思い(メッセージ)」を明確にします。その際伝え手の「思い」が聴衆の「目的」に合致しているか、「聴衆像」に合わせて伝えているか、伝え手の「主張」が前面に立ち過ぎたり、独りよがりになっていないか注意が必要です。

次に受け手の「なぜ?」「で?」に応える「思い」を用意します。

受け手の「なぜ?」「で?」に応える「思い(メッセージ)」を用意する1


さらに、受け手の「なぜ?」「で?」に応えるため、2つの「情」=「情報」+「感情」を用い、「脳」+「心」に届けて2つの「わかる」状態を作ります。情報と感情の2種類の矢を放ち、論理的に受け手が理解し、また感情的に共感しなければ、受け手は行動しません。

受け手の「なぜ?」「で?」に応える「思い(メッセージ)」を用意する2


伝え手の思いの伝達のポイントは「か・わ・い」くです。「か:簡潔に」「わ:わかりやすく」「い:印象深く」伝えることが重要です。

伝え手の思い(メッセージ)は、か・わ・い・く伝えよう!


ここで「要約力」をつけるのにお勧めの方法をご紹介しましょう。私が考える究極の要約とは新聞記事の「見出し」です。見出しを隠して、自分でその記事の要約を書く訓練をお勧めします。見出しには、その記事内容が凝縮されているからです。そして「論理的」なプレゼンにするには、論理の3点セット、すなわち「事実、根拠、主張」の3点を揃えなければなりません。この3つの一連の流れが大事で、どれが欠けてもいけません。この「論理の3点セット」で説明し、説得力を持たせます。そして事実を正確に把握し、事実と意見、推測、伝聞の違いを明確にします。具体例とともに例え話を効果的に使いながら、伝えたいことを絞り、わかりやすく簡潔に表現します。

人が意思決定や行動をする際には、6つの心理、すなわち「希少性」「社会的証明」「一貫性」「返報性」「好意」「権威」が働きます。プレゼンの際には、これらの心理を踏まえて戦略的に攻めると良いでしょう。また受け手のタイプ別説得法なども把握しておくと、商談等で効果的です。例えば、自分の意見に凝り固まった人の場合、時間をかけて接触回数を増やす、リーダーシップのある人は複数人で説得し、その人のプライドをくすぐるような説得の仕方をする。また知識や経験の豊富な人の場合、論理的な説明は難しいため、質問形で相手に答えを見つけてもらう方法をとる、などです。

C:Contents(伝達内容:コンテンツ)


ここでのポイントは構成力です。「わかりやすく」伝えるには、様々な情報を「分けて」「関係」を明確にします。情報を整理し「構造化」し、NL法(ナンバリング・ラベリング)で伝えます。

構造化


基本構成にはSDS法、PREP法、DESC法の3種類があります。

  • SDS法:ストーリー重視。プレゼン時間が比較的ある場合
  • PREP法:結論重視。人に何かを教える、プレゼン時間がない場合
  • DESC法:企画、提案、課題解決型のプレゼンの場合

コンテンツ作成では図解力も必要です。「図解」することで、情報が整理され、抜け、漏れ、矛盾を発見しやすくなり、発想、アイデアが広がりやすくなるからです。「図解」を使えば、1)自分の考えが整理でき、2)相手にも伝わりやすくなります。ただし、いきなりパワーポイントを立ち上げて、図を描き始めてはいけません。まず何が言いたいのか(=メッセージ)を明確化した後に、キーワードを抽出して構造化し、図解をしていきます。図解のパターンとしては以下のものがあります。

図解パターン


D:Delivery(伝達方法:デリバリー)


第一印象が大事とよく言われます。メラビアンの法則によれば、相手に与える印象は、外見=55%、態度+話し方=38%、話の内容=7%です。またズーニンの法則によると、コミュニケーションは最初の4分間で決まるといいます。いかに第一印象が大事かということですね。第一印象を良くするには「せめてニッコリ、あしふくくせ」を心がけましょう。

第一印象


また話す力を養う必要があります。例えば、発声は、すみずみまで届ける意識で、なおかつ適切なスピードで話します。文章は短く端的に話し、語尾ははっきりと、「抑揚」と「間」と「繰り返し」を心がけ、ユーモアも交えて語ります。また聴衆に参画意識を持たせることも効果的です。聴き手が聴きやすいスピードは約300文字/分です。一度、ご自分のスピーチを測っておくことをお勧めします。

よく「プレゼンであがらなくなる方法はありますか?」と質問を受けるのですが、あがらなくする方法は「ありません!」。ただ、あがりを「抑える」方法ならあります。心の対策として、前向きな言葉、肯定的な言葉で自己暗示にかけたり、落ち着いているように振る舞ったり、あとは聴衆もすべての話をきっちり聞いているわけではないと開き直ったりするのも1つの方法です。また腹式呼吸をしたり、手のひらのツボを押すのも効果があります。あとは意識的に動作や話す速度をゆっくりにするのもお勧めです。そして最も重要なのは、事前の十分な準備とリハーサルです。

E:Ending(終わり方:エンディング)


プレゼンの最後は、聴いて良かったというお得感を出すことが大切です。また貴重な時間を割いて聴いていただいたお礼を述べ、聴き手の「行動」を促すメッセージを伝えます。

エンディング


結局のところ、プレゼンが上手くなるコツとしては、「A-B-C-D-E」の順に考えて組み立てを行った上で、何度も経験を積んでいくことが大切となります。最後に皆さんにお伝えしたい論語をご紹介します。

「学びて思わざれば則ち罔し(くらし) 
思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」:論語

つまり「学んだことを自分の考えに落とさない限り、身につくことはない。自分で考えるだけで人から学ぼうとしなければ考えが凝り固まってしまい危険である」ということです。本日のお話が皆さんのプレゼンに何かしらのお役に立てば幸甚です。

ソリューション研究会とは

株式会社アシストでは、お客様主体のユーザ会である「ソリューション研究会」を運営しています。ソリューション研究会は、アシストの提供するソフトウェアおよび各種サービスをご利用いただいているお客様相互の交流を育む場として、日頃お客様が抱えておられる課題や疑問をお客様同士で討議し、意見交換を行っていただくことを目的に活動しています。ソリューション研究会は、定例会・情報交流会・分科会の3つの活動で成り立っています。

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