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アプリケーションリリースサイクルを短縮化し、市場に素早く価値を届けるための最後の鍵とは

アプリケーションリリースサイクルを短縮化し、市場に素早く価値を届けるための最後の鍵とは:Delphix講演報告

2017年5月22日に東京・品川で開催された日経コンピュータ主催のセミナー「超高速開発&エンタープライズアジャイル」に、弊社 データベース技術本部 ビジネス推進部 部長 岸和田隆が登壇し、「素早く価値を届けるために ~Delphixによるテストデータ・マネジメント~」と題した講演を行いました。

本講演では、弊社が2016年5月に提供を開始したデータ仮想化ソフトウェア製品「Delphix 」が企業にもたらす価値やその機能、導入事例などの紹介が行われました。その内容をダイジェストでご紹介します。

アプリケーションリリースサイクル短縮の鍵「テストデータ・マネジメント」

多くの企業が今、「高速開発」や「アジャイル開発」に注目する背景について、岸和田は次のように説明します。

「市場変化が日々激しさを増す中、企業がビジネスを着実に成長させていくためには、製品やサービスを競合他社に先駆けて市場に投入していく必要があります。そのためには“Time to Market”、すなわち製品やサービスの市場投入までの時間をいかに短くできるかが鍵です。これをITの観点から見ると、製品やサービスを担うアプリケーションのリリースサイクルをいかに短縮できるかが最大の課題です」

アプリケーションリリースサイクルの短縮には、具体的にどのような方法が考えられるのでしょうか。現実のアプリケーション開発プロジェクトの内実を調査したさまざまな調査結果から導き出された解の1つが、「テストデータ・マネジメント」による手戻り作業の削減です。


アプリケーションリリースサイクル短縮の鍵「テストデータ・マネジメント」

「プロジェクトが遅延する最大の原因は、前工程以前に作り込まれた不具合の除去に掛かるコスト、つまり手戻り作業です。その発生を抑制するために、レビューの強化や新たな開発・テスト手法の導入など、さまざまな手法が取り入れられていますが、アシストではデータベース関連の製品・サービスを長らく手掛けてきた経験を生かして、テストデータ・マネジメントによる解決方法を提案しています」(岸和田)

テストデータ・マネジメントとは、開発・テストにおいて必要となるテストデータを、必要なタイミングで必要なチームがすぐ利用できる環境を提供する取り組みを指します。では、リリースサイクル短縮のために求められるテストデータ・マネジメントとは、一体どのようなものなのでしょうか。

単体テストなどのフェーズでは、テスト用に生成したテストデータを用いて開発・テストを行うことがほとんどですが、この方法には手間と時間を抑えてテストデータを用意できるというメリットがある半面、テスト用データは人手で作成したいわゆるダミーデータのため量も質も本番データとは似て非なるものであり、本番システムで想定されるあらゆる種類や性質のデータをカバーするのは極めて困難です。そのため、テストを終えたプログラムをいざ本番システムのデータで動かしてみると、テストデータに含まれていなかったデータの種類や量に起因するトラブルに見舞われることが少なくありません。

こうした予期せぬトラブルを回避するためには、開発・テストを本番システムと同じデータを用いて行うのがベストです。しかし本番システムとまったく同じデータを複製し、それを開発・テスト環境で使えるようにするには、様々なハードルを超えなくてはなりません。

本番データの複製を作成するには、開発・テスト担当者だけではなく本番システムの管理者やデータベース管理者、ストレージ管理担当者など様々な関係者に作業を依頼/申請し、数日から数週間かけてようやくデータのコピーが使えるようになります。その過程では、データのコピーを置くためのストレージ領域を確保する必要もありますし、個人情報などが含まれる場合は別途データのマスキング作業も必要です。

このように、テストデータの準備に時間や、テストデータの品質、セキュリティ管理、データ保持にかかるコストなどを加味すると、手軽に本番データを開発・テストで使うことができないのが実状です。

「Delphix」の活用で、本番データベースを開発・テスト環境で手軽に利用

こうした課題を解決するためにアシストが提案するのが、「Delphix」を使ったテストデータ・マネジメントです。

「ソフトウェアのデリバリプロセスを短縮するために、ソースコード管理やテスト管理、リリース管理などの自動化が進んできましたが、唯一手付かずで残されてきたのがテストデータ・マネジメントの領域です。Delphixはこの部分のボトルネックを解消することで、リリースサイクルの大幅な短縮を実現します」(岸和田)

Delphixは、本番システムのデータを取り込み、その内容を任意の時点のスナップショットとして自在に切り出し、仮想的なデータベース環境を外部に提供する「データベース仮想化ソリューション」として開発されたソフトウェア製品です。

これまで、開発・テストのために本番データ複製環境を作成するには、データベースファイルのコピー作業にかかる手間と時間、そしてデータを保管するためのディスク領域を確保する必要がありました。しかしDelphixでは、開発・テスト環境に本番データを提供する際、データのコピー技術は使いません。その代わりに、スナップショット技術を使います。

まず本番システムのデータベースの複製をDelphix内に作成し、その後、定期的な増分・差分バックアップでデータ内容の同期を行います。その上で、自身で管理する複製データベースの時系列の内容から任意の時点のスナップショットを切り出し、利用者に提供します。

データの実体を開発・テスト環境ごとにコピーするのではなく、あくまでもスナップショットを提示するだけなので、データコピーにかかる時間や手間は一切必要なく、わずか数分で本番データベースとまったく同じ内容のデータが利用できるようになります。しかも任意の時点の内容を参照したり、任意の時点の内容にデータを瞬時に巻き戻すことも可能です。複数の開発・テスト環境に対して複数のスナップショットをテストデータとして同時提供している場合でも、それぞれのテストデータは独立して更新・巻き戻しが可能です。

テストデータを保管するためのストレージ領域も、大幅に削減できます。データ本体のコピーではなくスナップショットを保持するだけですから、必要なストレージ容量ははるかに少なく済みます。


Delphixによる本番セグメントと開発セグメントの分離

金融機関などでのDelphix構成例
本番環境とテスト環境のネットワークセグメントに、それぞれDelphixを設置。本番側のDelphixでデータをマスキングし、それをテスト環境のDelphixに送り、そのデータをテストで利用する。

セキュリティを担保するためのデータマスキング処理も、スナップショットを切り出す際に同時に実行できるため、別途マスキング処理を行うサーバを立てる場合と比べるとはるかに容易かつ低コストで、本番データを開発・テスト環境に対してセキュアに提供できるようになります。

「Delphixの機能を活用することで、これまで本番データの利用が困難だった開発・テスト環境でも、手軽に本番データが使えるようになり、テストデータに起因するさまざまな不具合を早期につぶせるようになります。これにより手戻り作業を減らし、アプリケーションのリリースサイクル短縮を実現するとともに、アプリケーション品質の向上によって本番リリース後のトラブル抑制効果も期待できます」(岸和田)

実際にDelphixでリリースサイクルの大幅な短縮を実現した事例

本講演では、実際にDelphixを使ってアプリケーションのリリースサイクル高速化を実現した企業の事例も紹介されました。オンラインチケット売買サービスを手掛ける米StubHub社は、ビジネスに占める全トラフィックと売上げの約半分をモバイルに依存していました。そのため、モバイルアプリを頻繁にアップデートし、斬新なサービスを投入し続けることは、同社のビジネスを成長させる上では不可欠な取り組みでした。しかし実際には、アプリのリリーススケジュールは常に予定より遅れており、リリースサイクル短縮のために何らかの手を打つ必要性に迫られていました。

同社では約120人の開発者がアプリ開発に携わっていますが、もともと開発・テストで使えるデータベースは5セットしかなく、たびたび環境の奪い合いが起こっていました。また、本番データベース上の顧客クレジットカード情報にマスキング処理を施した上で開発・テスト環境にリリースする必要があり、加えてシステムテストでは4つのアプリケーションの時間を揃えてテストする必要があったため、テストデータの準備に多くの時間を要していました。その結果、十分なテストを行うことができずに不具合が多発し、リリース遅延やリリース後の品質問題などに悩まされてきました。

その解決策としてStubHub社が導入したのがDelphixです。Delphixを使って本番データベースの仮想データベースを200セット用意して開発・テストチームに提供したことで、各チームは他のチームの都合を気にすることなく、複数のチームが並行して本番データを使った開発・テストを行えるようになりました。また、データのマスキングに要する時間も大幅に短縮されたため、常に最新のデータを使ってテストできるようになりました。その結果、開発・テストの手戻り作業が激減し、それまで月次で行っていたシステムリリースを日次で実行できるまでにリリースサイクルが短縮されました。


実際にDelphixでリリースサイクルの大幅な短縮を実現した事例

Delphixは、アプリケーションの開発・テスト用途以外にも、さまざまな目的で利用されています。本番データベースの任意時点の複製を瞬時に生成できるという特徴を生かし、例えば監査やコンプライアンス対応のためのアーカイブシステムとして、システムマイグレーションの際のデータ移行ツールとして、あるいは任意のある時点の業務データを使った分析・レポーティングの仕組みとして、世界中で約370社の企業によって導入・活用されています。

今後は日本においても、さまざまな業種・業態の企業でDelphixの導入が進むだろうと考えられます。

「本日ご紹介したように、Delphixはテストデータにまつわる“時間”“品質”“セキュリティ”“コスト”の問題をすべて解決し、安全・確実・迅速なテストデータ・マネジメントを実現します。企業が自社の製品・サービスの価値を顧客により素早く届けるための強力な武器として、ぜひ活用されることをお勧めします」


【ご参加のお客様からのコメント】 ※抜粋してご紹介しています。

・テストデータの準備は案件の都度苦労しているので、とても興味深かった。
・開発用のテストデータ準備作業の効率化や、簡易バックアップに使えそう。
・大規模プロジェクトで使えそう。
・本番環境の障害調査に使えそう。
・BI等での活用事例があることがわかってよかった。
・具体的に技術的な例をあげて説明されていてわかりやすかった。
・IoTやビッグデータ分析基盤環境でのデータマネジメントツールとして活用できそう。
・AWSなどのクラウドに対応しているのか知りたい。
・アジャイルではないが、開発期間の短縮と品質向上に役立つと思う。

講演冒頭で岸和田が「Delphix」をご存知かを会場のみなさんに伺ったところ、挙手されたのは2名だけでしたが、40分の講演のあと記入いただいたアンケートでは57名の方が「Delphixを使ってみたい」と回答されました。「Delphix」やこのような分野のソリューションはまだ市場ではあまり知られていませんが、今後様々な業種や使い方での採用が進んでいくものと期待しています。



本講演の日経誌記事をダウンロードいただけます。

本講演の記事が日経コンピュータ 2017年7月6日号と日経SYSTEMS 2017年7月号に掲載されました。この記事を以下よりダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。


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