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自治体のOpenOffice.org採用に大反響!
導入しやすく、効果も大きい!
IT予算削減に向けて、継続する支出抑制の妙案として各方面から注目が集まる

会津若松市役所

導入製品/サービス…
LibreOffice / Apache OpenOffice  


会津若松市役所
総務部情報政策課 本島 靖 様

会津若松市役所
総務部情報政策課 目黒 純 様


利便性と引き換えに、知らず知らずのうちに拡大していったIT関連経費に困惑する企業や自治体が増えつつあるという。会津若松市役所様も同様な状況に直面し、IT経費の削減に踏み切られた。継続する支出をいかに抑えるか。この命題を抱えて取り組んだ手法は、OpenOffice.orgの採用だった。その詳細をお伺いしてみると…。

会津若松市役所 様

職員数約1,080名。2008年5月に庁内情報システムのオープン化および経費削減の取り組みの1つとして、オープンソースの無償オフィスソフトOpenOffice.org採用のニュースを発表。2008年秋以降に順次入れ替えとなる約850台のパソコンには、Microsoft Officeを搭載せず、全面的にOpenOffice.orgに切り替えるため、アシストのOpenOffice.org入門(eラーニング版)を導入、職員への操作研修を開始している。

OpenOffice.org採用目的

  ・オフィスソフト導入コストの抑制
  ・文書の長期保存とその利用
  ・市民の利便性向上、負担軽減
  ・地元IT企業の参入機会の増加

導入効果

   5年で1,500万円のコスト削減

※取材日:2008年12月


■OpenOffice.org採用■
自治体、企業から多数の問い合わせを受ける


2008年5月の「OpenOffice.org を全庁に導入」の発表後、反響はいかがでしたか。

【本島】 自治体、企業からの問い合わせが多数ありました。自治体の中には、熱心な議員の方が直接視察にいらしたところもありました。

【目黒】 県庁からも問い合わせがありました。都道府県レベルがOpenOffice.orgを導入すると効果や影響は大きいですね。必然的にその都道府県下の市町村などの自治体も導入し易くなりますので。

■ITの現状と課題■
予算が削減されると、既存システムの維持管理費は大きな負担になってくる


会津若松市役所では、どのような経緯でOpenOffice.orgを導入されたのでしょうか。

【本島】 当時、情報化のコスト増が課題になっていました。汎用機で動かしていた基幹システムをオープン系のクライアント/サーバやWebへ移行するなどでコスト圧縮を図っていたものの、業務システムの規模や対象の拡大に伴い、総額としてのIT投資は膨らんでいました。そこでその課題への対応策として、無償で使えるオープンソースの採用が選択肢の1つとなったのです。

自治体のIT予算は、縮小傾向にあるのですね。

【本島】 ITに限らず、経済状況により税収と国の交付金が減れば予算は減ります。決められた枠内でなるべく借金をしない前提で予算を組んでいますので、予算が前年度比10%減になれば、IT投資も10%減が求められます。こうなると一番厳しいのは、一度システム化した業務システムの維持管理です。継続して一定の支出がかかるからです。この支出をいかに抑えるかを真剣に考える必要があります。

オフィスソフトをコスト削減対象としようと考えられたのはなぜでしょう。

【本島】 一番取りかかりやすかったからです。まず効果が見えるし、使う規模が大きい。全職員が使いますから入れ替えには職員の協力が欠かせず、それが課題にもなりますが、一度取り組めば効果は明白です。
行政のオフィスソフトに求められる機能はそれほど高くありません。確かに一部ではマクロを使って高度なシステムを作っていますが、全体の10%未満でしょう。それ以外は、一般的な文書作成と集計ができれば業務は成立します。Microsoft Officeは2~3年毎に必ず一定の投資が必須になります。そのコストを抑制できるのは非常に大きいと思いました。

OpenOffice.org に替えようと思われた理由をお教えください。

【本島】 そのことについては、2つ理由があります。1つは、ODF※1という、国際標準規格の形式でファイル作成が可能なこと。PCへのファイル保存が増えている中、ファイル形式をどう統一するかが課題になりますが、これまで統一されてこなかった。そこにODFが登場してファイル形式の標準化が具体的になり、政府調達の基本方針にも「オープンな標準」に基づくことが条件に盛り込まれました。もう1 つはコスト抑制です。OpenOffice.orgはこの2つを完全に満たすため非常に有効な選択肢だと思いました。

※1 ODF(Open Document Format)
OpenOffice.org が採用しているファイル形式。国際標準規格(ISO26300)に準拠している。総務省は2007年3月「情報システムに係る政府調達の基本方針」を発表している。「・・・・・合理的な理由がある場合を除き、特定の具体的な商標名等を用いた要求要件を定めないこととする。具体的には、原則として、独自の機能、独自のデータ フォーマットおよび独自の方式を使用せず、国際規格、日本工業規格等のオープンな標準に基づく要求要件の記載を優先する」

そこでOpenOffice.orgを調査し始めましたが、実は本格的に全庁で導入することになったきっかけは、Microsoft Office2007のリリースでした。2008年にはPCのリプレースが予定されていたため、導入されるオフィスソフトは必然的にOffice2007になります。

Microsoft Officeの導入費用が一番安く抑えられるのはPCにプレインストールされた状態で導入することですが、PCと一体なのでPCの導入時期がずれるとMicrosoft Officeのバージョンもずれ、バージョン間の非互換がついてまわります。これまでも非互換による不具合はありましたが、Office 2007ではOOXML(Office Open XML)ファイル形式への移行という大変革が行われ、またUI (ユーザ・インタフェース)も従来と大きく変わったため、2007を使用させるには職員への教育も含めると相当の負担になります。バージョンが統一できない間は、2007ユーザには旧ファイル形式でやり取りするよう徹底してもらわないといけないし、それを守らせるのは難しいと考えました。

■コスト削減の考え方■
移行にかかる人件費、維持管理費を試算し、5年で1,500万円のコスト削減になると判断


コスト削減効果を5年で1,500万円と試算されていますが、具体的には…。

【本島】 OpenOffice.orgに移行すると単年度の評価で導入コストが余計にかかるという見方もありますが、5年間その環境を維持すればコストは逆転します。移行にかかる人件費を入れても、維持管理費も含めた5年間のコストで見ると、OpenOffice.orgの方に勝算が出てきます。

自治体の人件費に対する考え方や実際のコストについて、お話しいただけますか。

【本島】 外部委託で人件費がいくら発生、というような場合にしか予算には入れませんが、実務的には、そこに人を充てることで他の業務に影響が出るので、事業計画を立てる時には職員が何時間、というように、工数を出し費用に換算します。自治体毎に差はありますが1人時3,000円~3,500円でコスト換算をします。

人件費を含めてもOpenOffice.orgの方がコスト削減になるのですね。

【目黒】 仕事の効率性の話にまでなるとなんとも言えませんが、少なくとも会津若松市では、教育担当の職員の人件費を加えても、5年間でOpenOffice.orgの方にコスト・メリットが出ます。

【本島】 事業計画をどういう視点で作るか、ということだと思います。もちろん短期的にコスト・メリットが出せればいいですが、長期的な取り組みとして見た時、5年なら5年でどういうコスト・メリットが出るかという部分も事業計画に入れるべきです。使用年数が伸びればコスト・メリットが増えていく形になるので説得がしやすいと思います。
1,500万円というのはオフィスソフトの購入費用から単純に算定した金額ですが、OpenOffice.orgの場合、教育も職員が行う前提で費用換算をしても、1,500万円は超えません。これは元々、パソコン研修や庁内パソコンへの一斉作業などを、年に数回見込んでいた点も大きかったと思います。実際に残業代などの実質負担が出なければ人的コストは通常業務の中で吸収できます。

■課題への対応■
業務内容を分析する一方、明確な活用方法を提示して、業務の混乱を避ける


外部とのファイル交換はどのようにして行っているのですか。

【本島】 実際、外部とのやり取りが全体のどれくらいかというと、それほど多くないのです。ほとんどが庁内で作られ、庁内で流通する文書です。外部とのやり取りでMicrosoft Officeを利用する必要があるのは、全体の2割未満ではないでしょうか。外部への通知文書はPDFで済むのでOpenOffice.orgで問題はありません。OpenOffice.orgにはPDF変換機能もありますしね。

また外部とやり取りする時に、ExcelやWordが必要な場合は、OpenOffice.orgの機能を使ってExcelやWordファイルに変換し、Microsoftが無償提供しているViewerで事前確認してから送るようにしています。先方の了承が得られる場合には、啓蒙の意味も含め、OpenOffice.orgで作ったものはODFで送るように勧めています。ODFの解説もつけ、こういう性格のファイルでOpenOffice.orgという無償のソフトを使って開けます、という説明つきです。また、ODF推奨ロゴ※2を入れたりして、市の取り組みを外部にも知らせています。

※3 ODF推奨ロゴ

【目黒】 イベントなどの申し込み用紙をWebに掲載する場合、基本はPDFの他にMicrosoft OfficeファイルとODFを掲載し、あくまでも相手に選んでもらえるように選択肢を複数用意しています。最近の試みでは「あいづエコチャレンジ」という申し込みでPDFとODFのみを掲載しました。掲載に際しては「ODFについて」というリンクをはりました。

会津若松市ではOpenOffice.orgの導入を検討する他の自治体への参考事例として道筋をつけていきたいという思いから、Webに導入経過も掲載しています。ゆくゆくはODFをメールに添付しても問題ない状況になればと思っています。

県からのファイルにはどう対応されていますか。また、クレームなどはありませんでしたか。

【本島】 特にクレームはありませんが、マクロがOpenOffice.orgで動かなかったということがありました。そういう場合にはMicrosoft Officeを使ってもらっています。最終的な目標値はMicrosoft Officeを使う必要のあるPCが全体の約15%程度の割合になることを想定していますが、現状では併用されており、OpenOffice.orgだけというPCは全体の4分の1です。つまり4分の3はMicrosoft Officeが使えるので、今は問題がないのかもしれません。併用率が下がった時にどういう状況になるか、もう少し時間をかけて見る必要がありますね。

マクロへの対応は取られましたか。

【本島】 もともとマクロの使用には積極的ではありませんでした。作った人にしかわからないブラックボックスの業務が増えてしまうので。やるならちゃんとしたシステムでやりましょうと。でも予算もないため、絶対だめとはしていません。マクロは使える人にとってはおもしろいものだと思います。実際に使ってみて、こんなすごいものを作る人がいるんだ、とびっくりしたこともあります。

一部の職員はマクロを自主的にOpenOffice.orgへ移行してくれていますが、そもそも問題はそのマクロを後任の人が継続するのが難しいことです。マクロの互換性や移行以前に、事業継続という観点で考えるとそちらのほうが問題かと思います。

既存のMicrosoft Office ファイルへの対処方法をお聞かせください。

【本島】 財政課や企画調整課など全庁的な部門を積極的に支援して雛形ファイルをODFにしました。財政課はOpenOffice.org導入は経費削減の取り組みでもあるので積極的に協力してくれています。企画調整課も全職員に配る様式などで後押ししてくれています。タイミングが良かったのは2008年9月に定例議会があり、企画調整課が答弁資料(議会での質問に対する説明資料)を作る時期にあたったことです。それをいきなりOpenOffice.orgで作りました。縦書きで文字数も決まっていたためハードルが高かったのですが、見た目はWordで作った旧文書と全く同じでなくても良いと妥協をしてもらいました。それどころか、「実務には十分」というところを見てもらえました。ここでの効果は大きかったと思います。

【目黒】 この答弁資料の作成が少しでも遅れていたら、使えない、とレッテルを貼られていたと思います。短い期間しかありませんでしたが必死にやりました。

【本島】 実質準備期間は2週間もなく、企画調整課が積極的にODF対応をしてくれました。ただ実際やってみたら、書式のずれ等の問題が発生し、問い合わせが何件かきた段階で目黒が改良し、再配布し、短期間でフォローして何とか乗り切りました。

これまでの決めごとを柔軟に変える、という発想に立つと何でも吸収できるんです。これはオフィスソフトに限らず、業務システムでも同じです。規定のルールがこうだからシステムはこうあるべきだ、という発想をするとコストに跳ね返ります。IT投資削減を図るためには、システムが効率良く動くよう仕事のやり方を合わせる発想に立たないとコストは落ちません。考え方を変えないとIT投資は増加する一方です。

ちなみに、2008年10月、11月に庁内の各課が他の課に送った文書に添付したオフィスソフトのファイルの形式をカウントしたところ、10月は3分の1がODFでした。11月はWordの文書ファイルのODF化が進み半々になりました。職員への浸透が進んだせいか、最近は問い合わせも少なくなってきました。

■職員への対応■
事前に方針を周知徹底させることで意識づけを図り、現場の不安や不満を解消


導入に際して苦情はありませんでしたか。

【本島】 市がどういう方針でこの取り組みを行うかを事前に周知することが大事だと思います。情報政策課の単なる思い付きという位置付けでは、「職員に負担を強いるとは何ごとか」と苦情が出るのは当然です。全庁でこういう思いでやっていくのだという方針を全職員にどれくらい意識してもらえるかが重要です。意識してもらえれば、大変だとは言われても苦情は出ません。

職員の方々への対応は、管理職と現場担当者とでは変えたのでしょうか。

【本島】 何かを事業化する場合、管理職への説明と現場への説明がぶれていると整合性がなくなるので、基本は同じにします。その上で、管理職へは一定の成果が見られることや、実施することでどういうメリットが出るのかを訴求します。費用削減でもいいし、保存ファイルの標準化でもいい。要するに組織のメリットという点を挙げていきます。

現場へは、それは取り組みとしてやむを得ない、必要なんだという認識をしてもらうことが大切です。あとは、苦労があるかもしれないが、我々がフォローする点を明確にすることです。勝手に頑張れ、ではなく、一緒にやっていこうという姿勢をはっきり伝えます。提供する支援やその内容を周知徹底しての(共に汗をかく)取り組みなら、多少の苦労は多めにみてもらえます。

周知徹底が重要ということですね。

【本島】 OpenOffice.org導入前に事業計画をイントラ※3に告知し、なるべく負担をかけない状態で進めたいので意見をくださいと、書き込みを求めました。不安や疑問がありましたが、そもそも経費削減という取り組みは避けられず、ODFは標準となる等々、様々な情報を公開してコンセンサスの形成をしました。これを事前に行ったことはかなり重要で大きかったと思います。

※3 イントラ画面


本日はお忙しい中、色々なお話を聞かせていただき、有難うございました。

関連リンク

会社名 会津若松市役所

関連製品/サービス

LibreOffice / Apache OpenOffice

2007年の販売開始以来、ご愛顧いただいておりましたLibreOffice / Apache OpenOfficeの支援サービスの販売を2016年8月をもちまして販売を終了させていただきます。

  • オープンソースで開発されており自由に無償で使用可能
  • 業務利用に十分な機能を持つ統合オフィスソフト
  • 国際標準規格により裏付けされた高い信頼性

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