運用データの可視化と活用で組織を越えた「ワンランク上」の改善へ
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JFEシステムズでは、以前より「ITサービスの品質向上」に取り組み、障害件数を減らすためのあらゆる策を講じてきました。しかし、基幹システムのログ収集や分析に多くの工数を要し、ジョブの全体像が把握しづらい状況もあり、一定数の障害が発生していました。そこで同社は、運用データの活用が予防保守の対策として有効と判断し、アシストの「千里眼SaaS」を採用。ジョブ運用の品質向上だけでなく、スピード感のある情報共有により部門間連携の強化も実現しました。 |
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導入のPOINT
1.JP1ジョブ実行状況の可視化・共有によりITサービスの品質向上を実現
2.分析レポートをスピーディーに共有することで組織の枠を越えた連携を強化
3.データ分析の専任担当でなくとも容易に稼働状況を把握できる環境を設置
課題
- 障害件数を減らすために運用ルールの改定や体制面などの対策を実施したが、一定数の障害は防ぎ切れていなかった
- 予防保守のための効果的な対策方法がなかなか見つからなかった
- 日々蓄積される運用データを品質向上の取り組みに活用できていなかった
対策
- 運用データの可視化が品質向上に最も有効な手段と判断し、アシストが開発・提供するSaaS型運用イベント分析プラットフォーム「千里眼SaaS」を採用
- ジョブの実行状況や障害発生時の原因分析のために自動生成されるレポートを活用し、関係部署との情報共有を推進
- レポート分析を基にシステム変更時のバッチ処理時間を予測するなど、業務影響への対処を事前検討
効果
- 全てのジョブ実行状況を可視化し、システムリソースとの相関チェックなど精度の高い分析ができるようになったことで、障害発生を未然に防ぐことが可能になった
- 障害調査の工数を大幅削減、組織間で情報共有しながら会社全体で品質改善に注力できるようになった
- レポートが瞬時に作成されることで、丸1日かかっていた報告のための準備が1時間に短縮された
システム概要
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全社を挙げた「ITサービスの品質向上」のために部門を越えた効果的なアプローチを模索
JFEスチールグループの情報子会社としてグループ全体のICT戦略を支えるとともに、グループ外のクライアント企業に対しても幅広いSIサービスを提供しているJFEシステムズ株式会社(以下、JFEシステムズ)。製造、流通、金融、食品など様々な業界に顧客を持ち、ERPをはじめとした基幹システムの構築で数多くの実績を積み重ねてきました。
平川洋氏 |
同社では長らく、情報システム部を中心に全社を挙げた「ITサービスの品質向上」に取り組んできました。具体的には、運用ルール・体制の見直しや徹底、基盤システムの障害を未然に防ぐための施策など、システムの安定稼働を軸にした取り組みだけでなく、その「システム運用の価値」を広くアピールして部門を越えた品質向上を目指していると、同社 情報システム部長 平川洋氏は言います。
平川氏
システムは安定稼働することが当たり前、とユーザー部門で認識されているからこそ、さらなる品質向上が我々のミッションだと考えています。ただ、その活動が経営層やオーナー部門、開発部門などになかなか伝わりづらいのも現実としてあります。運用部門の取り組みを報告するために定期的な会議を実施していますが、もっと説得力のある見やすいデータが必要だと常々考えていました。
JP1のジョブ実行状況を可視化するクラウドサービス「千里眼SaaS」を採用
大山明彦氏 |
同社では十数年前に業務システムへJP1を導入して以来、ほぼ全ての基幹システムのジョブをJP1で管理しています。システムの安定稼働のために、障害発生後の振り返りや再発防止策の強化など、運用メンバーの間で意識付けはされていたものの、予防保守のための対策が十分ではなかったため、一定数以上の障害を減らすことができませんでした。そこで、JP1のログを可視化し見やすいレポートの形にまとめることができれば、全社のシステムの稼働状況を素早く把握でき、障害の予兆をいち早く検知できるはずだと考えました。
しかし、同社 情報システム部 主任部員 大山明彦氏によれば、かつてはジョブの実行ログの収集や解析を手作業に頼っていたため、こうした取り組みにも自ずと制限があったと言います。
大山氏
ジョブの実行状況を監視するために、手作業でJP1のログを収集してExcelやAccessを使って集計し、さらにその結果をレポートにまとめるという作業を、ほぼ丸1日かけて行っていました。しかし、JP1のログデータは膨大な量なので、実行状況を可視化できるのはほんの一部の夜間バッチのジョブのみで、他の夜間バッチや日中に実行されるジョブの実行状況は細かく把握できていませんでした。
こうした課題を解決するために、同社はJP1のジョブ実行状況を効率的に可視化できるツールの導入を検討してきましたが、最終的に選択したのが、アシストが開発・提供している「千里眼SaaS」でした。千里眼SaaSは、JP1のログデータをAmazon Web Services(AWS)上に展開されたBIツール、Qlik Senseに自動的に取り込み、システム運用の状態を視覚的にわかりやすく分析するためのアシストのオリジナルソリューションです。
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千里眼SaaSを選んだ理由について、同社 情報システム部 古野敦子氏は次のように述べます。 |
「運用品質の向上」と「予防保守のための仕組み作り」を実現
千里眼SaaSは、ジョブの実行状況をあらゆる視点から確認できる18種類の標準テンプレート以外にも、独自のレポーティング画面を作成するためのカスタマイズレポートも用意されており、わずか1時間ほどの設定とレクチャーで千里眼SaaSが利用可能な状態になったと言います。
その結果、これまでは膨大な手間をかけた挙句、ほんの一部のジョブの状態しか把握できなかったのが、千里眼SaaSのレクチャーを終えた翌朝には、早くもレポート画面上で全てのジョブの実行状況を様々な切り口から分析できるようになりました。
大山氏
千里眼SaaSを採用したおかげで、障害発生時の原因特定や分析に要する作業時間を大幅に短縮できました。また、定常的にジョブ全体の実行状況を俯瞰してチェックできるようになり、「ジョブの処理時間が伸びている」「いつもと違う挙動をしている」などの気付きが得られるようになりました。まさに、PDCAサイクルの“Check”の取り組み強化の効果が出始めていると言えます。
千里眼SaaSにより、当初掲げていた「ITサービスの品質向上」の目的を達成したとともに、今後の予防保守のためのスタート地点の確保に成功しました。また、以前は全て手作業で丸1日かかっていたレポート作成作業が、わずか1時間ほどで終えられるようになりました。
千里眼SaaSのレポートの共有で組織間コラボレーションを促進
大山氏は、千里眼SaaSによって「組織を越えたコラボレーションの意識」がさらに高まることを期待しています。
大山氏
千里眼SaaSのレポートは、基本的には私たち運用チームのメンバーが使いやすい形になっているのですが、それを少し加工するだけでオーナー部門や開発部門、経営層などにも資料として見せられます。こうした利点を生かして、オーナー部門や開発部門との連携を深めて組織をまたいだ品質改善体制をより強化していくとともに、将来的には経営層に対して運用部門の取り組みをアピールするための材料にできればとも考えています。
また今後は、千里眼SaaSのBIツールとしての側面をさらに活用し、JP1のログ以外のデータも幅広く取り込み、PCやクラウドサービスの利用状況を可視化するような仕組みにもぜひチャレンジしたいとしています。
平川氏
こうした取り組みを推進していくためには、アシストの協力が不可欠です。今後はぜひ、JP1によるシステム運用管理の枠組み以外の分野でも、新しい技術やサービスの紹介や提案をいただければと考えています。
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本事例でご紹介したお客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | JFEシステムズ株式会社 |
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概要 | 1983年に川崎製鉄株式会社(現JFEスチール株式会社)の情報システム部門から独立し設立されたユーザー系情報システム会社です。情報システムの企画から設計、開発、保守、運用までトータルでご提供し、お客様の業務改革をサポートします。 |
本社 | 東京都港区芝浦1丁目2-3 シーバンスS館 |
設立 | 1983年9月1日 |
資本金 | 1,390,957千円 |
従業員数 | 1,514人(2017年3月31日現在) |
URL | https://www.jfe-systems.com/ |
取材日 | 2018年6月 |
関連製品/サービス
千里眼SaaS
千里眼SaaSは、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」が蓄積したログやイベントをSaaS型BIによって可視化、分析するサービスです。システム障害の予防や人的リソースの効率的な配置など、ITサービスマネジメントの高度化への取り組みと改善活動をサポートします。
- SaaS環境なので環境構築や設計等が不要
- SSL通信により暗号化されるのでデータ安全性を確保
- JP1とQlik Senseのプロフェッショナルによる安心サポート
JP1
JP1は、国内トップシェアを誇る統合システム運用管理ソフトウェアです。システムの自動化や稼働性能監視、資産管理等を統合的に行うことができます。JP1のことなら、実績豊富なアシストにご相談ください。
- システム全体の監視、ジョブ運用等の一元管理を実現
- システム規模に合った最適な投資で開始可能
- 様々なプラットフォームに対応
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