菱化システムが直面した2万にも及ぶジョブ移行。
「JP1+アシスト」でSAPジョブ管理システムの
再構築/安全移行を実現!
株式会社菱化システム(新社名:三菱ケミカルシステム株式会社)
- 導入製品/サービス…
- JP1
菱化システムが直面した、2万にも及ぶ大量ジョブ移行。
「JP1+アシスト」でSAPジョブ管理システムの再構築/安全移行を成功させた秘訣とは。
短期間で、グループ各社のSAP要件に見合った新ジョブ管理システムの構築と、既存ジョブを含む2万もの大規模移行を成功させた株式会社菱化システム。JP1を用いた大規模なジョブ移行を確実に実施するために優先した事項、アシストが提供したJP1支援サービスについて、詳しく伺った。
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短期間で、グループ各社のSAP要件に見合った新ジョブ管理システムの構築と、既存ジョブを含む2万もの大規模移行を成功させた株式会社菱化システム。JP1を用いた大規模なジョブ移行を確実に実施するために優先した事項、アシストが提供したJP1支援サービスについて、詳しく伺った。 |
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菱化システムの役割と取り組みの背景
化学品・機能商品・ヘルスケアに関する多種多様な企業、350社以上で構成される三菱ケミカルホールディングス・グループ。そのグループとしての総合力を高めるためのITガバナンスを推進するのが菱化システムの役割である。「グループ内で共通化できるところは共通化しよう」という方針の下、ERP事業本部では会計/物流システムの共通化をSAPの導入・運用により支えている。
現在、グループでのSAP導入社数は約50に上るが、最初に導入したのは三菱油化(現在の三菱化学)であった。きっかけは、海外と国内の製造ラインを繋ぐ必要が出たことによる。そこで、海外の総合化学業界において実績のあったERPパッケージ、SAPを採用した。1993年のことである。SAPの国内ユーザとしてはかなり初期のユーザとなる。メインフレーム環境下でのシステム運用に比べ、オープン環境では確実な運用の実現が難しくなった。その問題解決の一環として、菱化システムでは早くからジョブ管理ツールを導入し、確実な自動運行を目指してきたのだ。
菱化システムが直面した「二つの難題」
しかし、SAP導入当初に採用したジョブ管理ツールでは立ち行かなくなる事態が起きてしまった。2007年に発表された三菱樹脂の事業統合計画により、新たにSAPを導入する企業が増え、その結果、菱化システムで管理すべきジョブの総数が急増することが判明したのだ。その数、既に稼働中のジョブと合わせて、およそ1万5千(※)。当時使用していたジョブ管理ツールが扱えるジョブ数には上限があり、今回想定されるジョブの規模では使用に耐えなかった。
(※):最終的には2万ジョブを稼働させることになった。
ここで菱化システムは2つの難題に直面する。
(1) 短期間で、要件に見合ったジョブ管理ツールを探し出し、新ジョブ管理システムを構築すること
(2) 新ジョブ管理システム構築後、既存システムからの大規模なジョブ移行を安全に行うこと
菱化システムは、新たなジョブ管理ツールとしてJP1を、新ジョブ管理システムの構築および既存ジョブの安全移行にアシストの技術支援を採用した。
なぜ菱化システムは、JP1+アシストを採用したのか?
ジョブ管理ツールは、各社の製品を比較検討する中で、SAPの外販ビジネスでもよく耳にし、大規模環境での国内実績が多いJP1を採用した。しかし、今回は単純に新しいジョブ管理ツールを採用するだけでは、うまくいかないことは明らかだった。
というのも、これまで使用していたツールとJP1とでは製品仕様が異なるからだ。これら仕様面での差異を押さえた上で業務要件を満たした新ジョブ管理システムを構築すること。さらに、既存システムからの大規模なジョブ移行を期限内に確実に行うこと。これらを両立させるのは、菱化システムのリソースのみでは難しいと考えた。
久保氏 「単純なシステムの刷新であれば、導入するプロダクト・ベンダーから妥当な解決策の提案を受けることで、概ねの問題は解決できるわけです。しかし、今回のようなケースでは、そのような単純な問題ではないことは明らかでした。アシストは提案時から、ジョブ移行の具体的なイメージを持たせてくれたので、安心でした。」
そこで、アシストに一連の技術支援を包括的に依頼し、プロジェクトはスタートした(図1)。
図1 プロジェクト概要 |
「安全第一」終始ブレのない方針を徹底
今回のSAPジョブ管理システムの切り替え&ジョブ移行プロジェクトの主体となったERP事業本部は総勢250名。その内、実に50名が本プロジェクトに関わっている。菱化システムの場合、SAP導入各社の業務を熟知する担当者によってSAPが運用されている。新ジョブ管理システムへの移行は大きなインパクトをもたらすイベントだったが、菱化システムは、これだけの規模の難題プロジェクトを、遅滞なく、遂行することに成功したのだ。
成功の一因は、プロジェクト全体を取りまとめた久保氏の首尾一貫した信念、「安全第一」といっても過言ではない。ツールを刷新する場合、あれもこれもと新しいことを試したくなるものだが、今回は「既存ジョブを極力そのまま移行すること」を最優先とし、「あるべきジョブ運用を考えるのは次フェーズ以降」とした。その結果、プロジェクトは順調に進み、ジョブ管理システムが新しいものに変わったことを関係者以外は気がつかないほどだった。久保氏は、「安全第一」にこだわった理由を次のように語る。「システム運用というのはお客様には見えにくい部分です。既存ジョブの移行とは、今当たり前に動いているジョブを移行することに他なりません。つまり、システム側の理由でジョブ移行がうまくいかずにお客様にご迷惑をおかけすることは、どんなことがあっても避けなければならないと考えました。」
また、具体的な成功要因として次の二つを挙げている。一つは「実作業に移る前に、移行計画がきちんと練られていたこと」、そして「アシストとの役割分担が最後まで崩れなかったこと」だ。
移行が無事に成功した要因に迫る
1.「実作業に移る前の移行計画がきちんと練られていた」とは
まず、移行ジョブ数が大量のため、全体スケジュールを大きく『フェーズ1』と『フェーズ2』に分解し、段階的な移行計画を立てた。(図2参照)
図2 スケジュール |
具体的な進め方としては、まずフェーズ1でジョブの作りが最も複雑と思われるもの(移行が最も困難だと思われるもの)をいくつか選び、それらをサンプルジョブとして仕様の差異を刷り合わせ、移行パターンを洗い出し、2007年5月末から本番切り替えを開始した。
次に、フェーズ2で、フェーズ1の結果を踏まえた残りのジョブの移行設計を行い、移行準備が整ったものから順次移行作業に着手し、9月末にはすべての移行が完了した。
久保氏 「スケジュール遵守を最優先に進捗管理を徹底しました。各担当者に割り当てられた課題の検討期限を守れない場合はプロジェクト側の方針に従うというルールを、関係者が意識して動いてくれたため、滞りなくプロジェクトを進めることができました。」
今では「図3」のスペックで2万処理もの大量のジョブを稼働させる。
図3 JP1マネージャのサーバスペック |
2.「最後まで崩れなかったアシストとの役割分担」とは
今回菱化システムが担当したのは、主に関係者間の調整やジョブ定義の最終チェック、業務テストの部分である。アシストはJP1を熟知するベンダーとして従来のツールとのフィット&ギャップをした上での運用設計、移行作業およびスキルトランスファー型の教育部分を担当した。
菱化システムは、本プロジェクト期間に留まらず、継続してグループ内外のSAPシステムの運用を担当するため、将来的には自分たちでJP1を使いこなせるようになりたいと考えていた。その点が、アシストが常々考える「運用業務の主体はお客様であり、アシストはツールを使いこなすことによる運用業務の効率化を支援する」というスタンスと合致し、お互いの良さを引き出し合うプロジェクト体制に繋がった。(図4)
図4 プロジェクト体制と役割分担 |
アシストの支援内容について両氏は次のように語る。
久保氏 「作業を振り返ってみても、あれほどの規模のジョブ移行が何の問題もなくスムーズに終えられたのは、紛れもなくアシストが全面的に我々を支援し、万全な計画を共に練ってくれたからだと考えています。」
佐々木氏 「移行支援時だけでなく、問い合わせ時のレスポンスや内容の的確さも評価しています。一般的な製品の問い合わせへの回答はもちろん、移行時の技術担当とサポートセンターとの情報共有により、菱化システムの環境を把握した上での回答が得られ、助かっています。」
今回の取り組みを通じ、菱化システムが得たもの
今回のプロジェクトは、今までできていたことをまずは漏れなく移行することを最優先に「期限遵守・安全第一」で取り組んだ。SAPで扱うジョブ数が既存のジョブ管理ツールの上限を超えてしまったことがプロジェクト発足のきっかけではあったが、ジョブ管理ツールをJP1に見直し、新ジョブ管理システムを構築したことの副次的な効果は大きい。
第一に、短期間ながらJP1を深く知る機会が得られたことで、運用業務の標準化を推進する土台が整備された。以前は担当者が各々ツールの使い方を覚え、運用を行っていたが、今回は担当者全員が一からJP1を学ぶことができたのだ。
第二に、今回ジョブ管理システムを見直したおかげで、IT全般統制が求める「開発と運用の分離」環境を、このタイミングで用意することができた。
佐々木氏 「これまでジョブ管理システムは本番環境しかなかったのですが、今回テスト環境(品証機)を新たに構築することができました。今後はテスト環境で動作確認が取れたものだけを、各チームの移送担当者が責任をもって本番環境に移送するという業務フローを徹底していきたいと考えています。」
また、本番環境への新規ジョブの登録・変更ログを蓄積し、変更管理のチェック体制を強化する取り組みも始まっている。
今後の取り組みと抱負
現在、菱化システムでは「あるべきジョブ運用」を見据えた更なる運用改善を検討している。一例として、「ジョブ数と性能分岐点の関係に関する検討」が挙げられる。ジョブ数が増えると、自ずと求められるサーバ・スペックも高くなる。そのため、どれくらいのジョブ数が性能分岐点になるのかをITインフラ事業部と協力しながら監視し、これまで各担当者が自由にジョブ作成していたものを、ある程度はコントロールしたいと考えている。また、効率の悪い作りのジョブを監視できるような仕組みも併せて検討している。
さらに、SAPシステムに留まらないテーマとしては、ITインフラ事業部を中心に、システム監視の強化をしたいと考えている。現在データセンターに設置しているサーバだけでも1,500台以上の規模になり、それらのサービス品質を維持するためには、障害発生数自体を減らすことが不可欠になる。そのため、システムが「止まった/止まっていない」という単純な監視だけではなく、スローダウン(パフォーマンスが落ち始めていること)の監視といったいわゆる、「予兆監視」についても力を入れて行く予定だ。
図5 アシスト提供ドキュメント例 |
※本事例は取材時の内容に基づくものです。製品内容は、予告なく変更される場合があります。
※株式会社菱化システムは、2017年4月1日をもって三菱ケミカルシステム株式会社となりました。
本事例で採用された製品情報
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その他、JP1に関するお見積依頼や技術的なご相談に関しましては、 こちらよりお問い合わせ ください。
本事例でご紹介したお客様情報
会社名 | 株式会社菱化システム(新社名:三菱ケミカルシステム株式会社) |
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本社 | 東京都墨田区押上1-1-2 |
設立 | 1970年4月1日 |
資本金 | 3億円 |
社員数 | 648名(2017年4月) |
URL | https://www.mitsubishichem-sys.co.jp/ |
事業概要 | 総合化学産業の最大手である三菱ケミカルホールディングス・グループに属するユーザ系IT企業として、システム企画/設計/開発/運用/オペレーションまで包括的なITサービスを提供する。特にSAPシステムは、グループ内はもちろん、外販にも力を入れている。 |
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