TOP>事例>製造業>住友電気工業におけるOpenOffice.org導入の取り組み

住友電気工業におけるOpenOffice.org導入の取り組み

住友電気工業株式会社

導入製品/サービス…
LibreOffice / Apache OpenOffice  


私は住友電気工業株式会社(以下、住友電工)に入社し、現在、情報子会社である住友電工情報システム株式会社(以下、住友電工情報システム)に在籍している。本日は両社の立場から事例を紹介したい。

住友電工情報システム株式会社
ビジネスソリューション開発部 部長 谷本 收様

背景


2008年5月12日、住友電工は“社内オフィスソフトにOpenOffice.orgを全社レベルで活用”というプレスリリースを出した。これは様々なニュース・サイトで取り上げられ、大きな反響があった。あるブログには15万人の社員がマイクロソフトを捨ててOpenOffice.orgへ移行とも書かれたが、本日はその実状をお話しする。

住友電工本体の従業員は約3,800名で、グループ全体で15万人、うち10万人は海外の工場スタッフである。したがって15万人ではなく、住友電工の情報システム部門が管理する端末約1万5千~2万台、またグループ全体ではオフィスソフトの利用者数5万人が利用可能になったというのが実際である。

住友電工では、本体の情報システム部門がシステム企画や要件定義を行い、住友電工情報システムが設計や運用を行う。OpenOffice.orgの導入についても両社が共同で推進した。短期間でOpenOffice.orgの導入を可能にしたのは、住友電工ではすでにLinuxをはじめとする各種OSS(オープンソース・ソフトウェア)を社内標準プラットホームとして活用していたことが大きい。

OSS導入の大きな転換として97年、システム開発をすべてWebで行うことを決断した。今では当たり前だが、当時はブラウザをクライアントとすることによるTCOの削減が主目的だった。 さらに重要だったのは、一般に利用されているインターネット技術の活用こそが、進歩が早く、安くて良いシステムを作ることにつながるということを確信した点にある。これはOSSも同様である。

住友電工はこの後もOSSを含め先進技術を積極的に採用し、99年にはJavaとLinux、2005年にPostgreSQL、2007年には仮想化技術としてXenを社内標準にした。OSSを使った開発には何の不自由も感じていない。それどころか、例えばシステムを別の仮想サーバに移行させる場合、ミドルウェアのライセンスや様々な制約に左右されずに実施できるという自由を享受している。自由な発想のもと、技術者の自己解決のリテラシーが大きく向上した。このような背景から、OpenOffice.orgの導入も抵抗なく行うことができたと言える。

OpenOffice.org導入の過程


住友電工がOpenOffice.orgを検討したのは今回が初めてではない。2003年頃にも検討したが、当時はバージョン1で時期尚早のため上手くいかなかった。それにもかかわらず今回採用した理由は、MS-Officeとの互換性向上とオープンドキュメント・フォーマット(ODF)にある。ODFは2006年にISO標準にもなっているが、重要な資産であるドキュメントが一企業のフォーマット(MS-Office)に支配されて果たして良いのか、という憂慮から生まれてきている。公共機関を中心にODF採用の動きもある。こうして当社は2007年夏から再度評価を開始した。

アシスト社のようにトップダウンであればOpenOffice.orgの導入決定は簡単だが、情報システム部が提案するには、稟議書を作成して通すという関門がある。そのためには投資採算性を明確にし、実施計画を説明しなければならない。まず必ず言われるのがMS-Officeとの互換性である。さらに教育などサポート体制も必要で、これらが整って初めて実現できる。

結論から言うと、導入は実際やってみると大したことはないが、全面切替は難しい。特に住友電工ではコスト削減を主な理由にして導入したのではない。グループ全体に例えば5年間でOpenOffice.orgに全面移行しろとは言えないからだ。オフィスソフトを変えることは、各グループや事業部門の業務に影響が及ぶため、現場がやりたいと言えば良いが、強制することはできない。となると一部分への適用となり、短期的なコストダウンは難しくなる。また問い合わせサポート整備や教育の実施などに1千万円程かかり、MS-Officeも併用するため、当社では短期的には大きなコスト削減にはならなかった。そこで、ODFへの対応と工場端末などMS-Officeが導入されていないPCでの活用を目的に加えて稟議書を通した。

導入は、住友電工グループ全体としてはOpenOffice.orgを推奨ソフトに指定し、体制を整備して啓蒙を行い、あとは部門判断に任せるという形をとった。新規導入PCには無条件で入れ、OpenOffice.orgを使いたければ何の障壁もないという状況にした。 一方で、住友電工情報システムを推進モデル会社と位置づけてこちらは積極的に活用を進めることとした。

推進体制と互換性問題



推進は、住友電工の情報システム部と住友電工情報システムの様々な部門を巻き込んで上図のような体制で行っている。MS-Officeとの互換性については、すべての機能を比較すればきりがないので通常社内で使う文書の表示がOKなら良いというレベルで開始した。OpenOffice.orgでは印刷が縦長になる、Excelマクロはそのままでは動かない、細かい操作方法が異なる、等々の問題があるが、処策としては初期設定の違いを吸収するためのテンプレートとそのインストーラを作り配布した。

さらにMS-Officeとの違いについては互換性論争にならないよう、割り切りと教育を行った。その手助けとなったのはOffice2007との比較である。社内はほとんどOffice2003であったので、OpenOffice.orgでは2007の文書が読めないと言われれば、2003でも読めない、操作性の違いを指摘されれば、2007はもっと違う等々、2007を引き合いに出して納得してもらうようにした。これは今しか使えない手段であり、OpenOffice.org推進に便利なのでお勧めである。

利用の推進には、情報サイトの運営とインストール支援を行っている。教育は集合研修と、アシスト社のeラーニングを使ったものと2通り提供し、ヘルプデスクは自社パッケージを活用したもので2万数千人のユーザがシングル・サインオンで利用可能である。

推進モデル会社となっている住友電工情報システムでは、2007年12月までに全員にインストールを終えた。まず、社員全員が利用せざるを得ない状況にするため、全員が毎月使用するMS-Excelの管理表をOpenOffice.orgのCalcに切り替えた。Calcを普及させれば、CalcとMS-Wordを一緒に使うのは使い勝手が悪いので、自然とOpenOffice.orgのWriterを使うようになるということも狙った。

まとめ


OpenOffice.orgはMS-Officeの代わりができるか、という質問には必ずできると答えている。機能は十分であり、特にOffice2007へ代わり目の今がチャンスだと言える。ただ、文句はいくらでもつけられる。特にトップが否定したらうまくいかないし、導入には強力な推進体制が必要である。またオフィスソフトを変えると短期的に生産性が落ちる。その点を押して中期的な展望で推進する根気が必要である。

ではそこまでしてなぜOpenOffice.orgを導入するのか。それは一言で言って文書のオープン化の推進であり、マイクロソフトのみに制限されない状況にするためである。あらゆる場合に自由にオフィスソフトを使えることは、長期的に必ずコストダウンにつながる。

OpenOffice.orgはまだ一般には知名度が低いが、今後周知がなされれば普及が促進し、企業での教育コストは抑えられる。また、日本市場の仕様がOpenOffice.orgのコミュニティに通るようになる。それは、OpenOffice.orgの機能向上とさらなる普及につながるはずだ。

会社名 住友電気工業株式会社

関連製品/サービス

LibreOffice / Apache OpenOffice

2007年の販売開始以来、ご愛顧いただいておりましたLibreOffice / Apache OpenOfficeの支援サービスの販売を2016年8月をもちまして販売を終了させていただきます。

  • オープンソースで開発されており自由に無償で使用可能
  • 業務利用に十分な機能を持つ統合オフィスソフト
  • 国際標準規格により裏付けされた高い信頼性

詳細へ

事例に関するお問い合わせ

資料請求/お問い合わせはこちら(専門の担当者が確認し、ご対応します。)

ご興味のある事例がございましたら、お気軽にお問い合わせください。より詳しい情報をお届けします。

ページの先頭へ戻る