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ビッグデータの誤謬

[掲載媒体]INSIGHT NOW!
[日付]2012年12月14日

ビッグデータ、大量データが戦略を決める、と言われているがユーザは過剰な期待を抱くべきではない。明確な目的がなければ、膨大なデータに振り回されることにもなりかねない。


株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン

いまIT関連で注目されている用語に「ビッグデータ」がある。企業はビジネスにおいてデータや情報を活用するために様々なITを利用しているが、ITにおける「ビッグデータ」とは、巨大なデータ、ということでありよく引き合いにだされるのはFacebookなどのソーシャル・ネットワークである。

ビッグデータの特徴はそのボリュームだけでなく扱うデータの種類が多いことだ。数字や文字だけでなく、文章、音声、動画などの非構造化データも含まれ、この取り扱うデータの多さが、従来のデータとビックデータを区別するものかもしれない。そしてすでにビッグデータを活用しているのが、GoogleやAmazon、FacebookなどのWebサービス事業者で、顧客の属性を捉えて、広告やリコメンデーションなどを打ち出している。

しかしいくら大量のデータがあってもそれだけでは価値はない。企業に必要なのは、そのデータをもとによりよい意思決定をし、企業競争力を強めるのに役に立つ「情報」である。データと情報は同じではないことを心に留めておく必要があるだろう。

またビッグデータを集めても、それに比例して情報量が増えるのではない。たとえばソーシャル・ネットワークにはいくつもの冗長している部分がある。ツイートやシェアされたものは、データ量として増えても、情報としてその価値が2倍になるわけではないからだ。重複が多いほど、それが人々の興味を引くものであったという情報分析を行い、それを即座にビジネスに結びつけるという使い方は危険である。人の興味や嗜好は冷めやすく移ろいやすいことを考えると、ツイートを頼りに商売をすることはあまりにもリスクが大きいからだ(ちなみにツイッターの“Twit”という単語は、バカとかまぬけ、という意味だ)。

IT業界に40年以上たずさわっていて思うのは、特にカタカナやアルファベットを使ったマーケティング用語には注意をしたほうがいいということだ。英語を母国語とする私がわからないような曖昧なものもある。まずは日本語で再考し、日本語で意味のあるものなら検討の余地がある。クラウドコンピューティングもその一つで、かつてデータセンターやリモートコンピューティングサービスと呼ばれたものと、基本的にどこが違うのだろう。

ビッグデータに話をもどすと、その大量データのなかから情報を抽出する場合、その情報は「有益」なものか、または「有益なものに関連」している必要がある。何が有益かの判断を行うのは人間である。大量にデータが増えれば、比例的にとは言わないまでも、それがもたらす情報量も増えてくるだろう。ただし、ビッグデータを集めてデータ量だけ増やしても、「価値のある」情報を見つける確率が増えるとは限らない。むしろ減るのではないだろうか。

ITは生産性向上のためのツールの一つに過ぎない。企業がITに投資するのは、確実に投資コストを上回る利益が得られるとわかっているからではなく、そうなるだろうと信じているからである。お客様がわが社からソフトウェア製品やそれに付随するサービスを購入して下さるのも、必ず価格を上回る価値が得られるとわかっているからではなく、弊社が言うことを信用して下さるからである。

ビッグデータの活用でビジネスが革命的に変わると期待することは危険である。物やサービスを購入する人々はほとんどが、売る側の宣伝を信じてそれを購入する。IT産業やメディアが情報技術について誇大広告をすればするほど、お客様も商品やサービスに過剰な期待を抱き、結果として提供側はその過剰な期待を満たせない可能性が高くなる。過剰な売り込みや誇大広告は、実体のないバブルを作り出し、そのバブルはいかなるバブルもそうであるように、必ず崩壊する運命にある。


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