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デスクトップOSもオープンソースへ

[掲載媒体]INSIGHT NOW!
[日付]2012年6月25日

問題が起きたときに誰が責任をとるのか、というのを言い訳に、オープンソース・ソフトウェアを使わない時代は終わった。


株式会社アシスト 代表取締役会長
ビル・トッテン

私が会長を務めるアシストは、従業者が使う社内デスクトップOSに、Ubuntu(ウブントゥ)という無償で提供されているOSを採用することに決めた。昨年7月にUbuntuデスクトップを全社導入するプロジェクトを立ち上げ、今年4月に中日本支社、6月上旬には西日本支社、6月末には東京本社の従業者がマイクロソフトのWindowsからUbuntuへ移行。全社950台への展開完了は7月末を予定しており、全社移行に1年余りかかったことになる。

オフィス・ソフトについては2007年2月にやはりオープンソースである「OpenOffice.org」を社内標準にしているので、今回のOS変更でオフィス・ソフトがUbuntuに搭載されているOpenOffice.orgの派生ソフト「LibreOffice」に変わっても、大きな問題は発生しない。

UbuntuとはLinuxディストリビューションの1つで無償で提供されているOSである。OSといえばWindowsかMacと思われるかもしれないが、UbuntuはDellのPCに搭載されるなどLinuxディストリビューションの中でも広く普及しているOSだ。

アシストが2007年2月にマイクロソフトのMS-Officeをやめ、オープンソースのオフィス・ソフトOpenOffice.orgを社内標準にしたのは、無料で、無条件で、中身が透明なソフトがあるのに、有料で、サポート期限やバージョンアップなどの条件付きの不透明なソフトを使い続けることはどう考えても無駄遣いだ、と思ったからだ。オフィス・ソフトには様々な機能がついているが、社内業務で日常的に使う機能は限られている。多機能のブランド品のオフィス・ソフトは、顧客支援等でどうしても必要な従業者だけが購入して使いこなせばいいのである。

こうして社内導入した経験をもとにアシストではOpenOffice.org支援サービスを開始すると、今度は顧客企業から「オープンソースのOSもサポートして欲しい」という要望が数多く寄せられるようになった。そのため昨年6月、Ubuntuのサポートおよび開発支援を行うCanonical社と提携し、国内総代理店としてLinuxOS「Ubuntu」のエンタープライズ向けサポート・サービスを開始した。社内PCをWindowsからUbuntuに移行する方針を決めたのもこのときだった。

アシストはもともと有償の商用ソフトの販売、サポートから始まった会社であり、商用ソフトの良さ、優秀さ、必要性については誰よりもわかっている。しかし技術革新やビジネスモデル、そして世の中のニーズは刻々と移り変わる。アシストが商売を始めた頃は、ソフトウェアを飛行機にのってアメリカまで取りに行っていた。インターネットでダウンロードして誰でも簡単に使えるようになるとは誰が想像しただろう。

Ubuntuは、オープンでかつフリーなソフトと言われており、オープン(公開)であるだけではなく、“フリー”、これは無料というより自由ということを意味している。インターネットからダウンロードして誰でも使うことができ、改良しても良いが、外部に提供する場合は、その部分も公開しないといけない、という程度の決まりはあっても使用における条件はほとんどないものが多い。ソースが公開されていて中身が透明であるということは、トロイの木馬のようなものが入っていないかどうかもわかる。

それだけではない。オープンソースによって製品サイクル、ビジネスサイクルが急激に短くなっており、資金や社内のリソースの少ない企業で急成長しているところはとくにオープンソースやWebを活用しているという事実だ。優秀な技術者がライセンスコストのかからないオープンソースを活用してサービスを作りあげていけるということは、これまでソフトウェアを提供していた側から、ソフトウェアの利用者、開発者へと主導権が移ったことを意味している。
オープンソースを利用しても、オープンソース・プロジェクトに貢献できないからと、使用をためらう人も多いだろう。しかしコストを下げる目的だけでなく、オープンな技術、その考え方を経営にとりいれていかない限り、このIT業界のなかで生き残っていくことは長い視点からみるときわめて難しくなると私はみている。IT業界はもちろん、通信業界や小売業など、どの業界に属していようとオープンソースの利点を使わない手はない。


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