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Oracle OpenWorld 2015視察記

Oracle OpenWorld 2015視察記


例年Oracle OpenWorldの開催期間中はOracle社のコーポレートカラーである赤がサンフランシスコの街中を埋め尽くすが、2015年はOracle Cloudのグレーのポスターも多く見受けられた。同様に「Software in Silicon」をはじめとした各セッションで発表される新サービスや新機能のほとんどがOracle Cloud向けでありクラウド化を加速させるためのものであった。本稿では、世界最大規模のITイベントOracle OpenWorld 2015に参加した筆者が所感を記載する。

執筆者紹介

坂 輝彦

坂 輝彦(Teruhiko Saka)プロフィール

株式会社アシスト サービス事業部 サポートセンター

2005年株式会社アシスト入社。Oracle Database、Enterprise Manager、WebLogic Serverといったアシスト取扱Oracle製品全般のサポート対応を10年以上担当。近年では「OracleDatabaseトラブル調査テクニック」の監修、講師を担当。


10/25(初日)


筆者のOracle OpenWorld最初のセッションは、受付会場であるMoscone Westで行われたジェネラルセッションであった。CEOのSafra Catz氏、SVPのDan Miller氏が登壇し、クラウドビジネスの現状を語った。2013年は20%以上の企業が「クラウドは使わない」と言っていたが現在は53%以上がクラウドを利用しFortune 100に至っては75%以上、とクラウドは既にビジネスシーンに欠かせない存在に成長しているとのこと。さらにOracle Cloudはソフトウェア、ハードウェアを含むエコシステムであること、Saas、PaaS、IaaSすべてを扱っているのはMicrosoftとOracleだけであることを強調した。

続いてSVPのShawn Price氏のセッションでは、今後65歳以上の人口は25年間増加し続け経済全体が人手不足に陥るとの予測を基に、人材確保、人件費削減の両面でシステム管理者の統合が必要となり、その手段としてクラウドを位置付けていると語った。

初日の締めとなるキーノートではOracle社取締役会経営執行役会長 兼 CTO Larry Ellison氏が登場するとあって、会場であるMoscone North, Hall Dは16900㎡(東京ドームのグラウンドより少し広い)だが開始1時間前でも既に長蛇の列であった。


キーノートは2部構成であり、前半はIntelのCEO であるBrian Krzanich氏が登壇し、OracleのデータセンターのS/W、H/Wの能力を最大限に引き出すための共同プロジェクト「Project APOLLO」を発表した。同プロジェクトではIntelとOracleが共同でOracle Cloudの最適化に取り組んでおり、最大で10倍のパフォーマンス向上の見込みがあるとのこと。Oracle Cloudのパフォーマンスに対する懸念を払拭しCloudへの転換を推進する狙いのようである。また、このプロジェクトの効果はExadataにも及び、IBM Power 7とEMCのストレージからExadataに移行することでアプリが最大15倍高速化、管理コストが40%減となるとした。これまでデータセンター分野を牽引してきたIBMに対して、OracleやIntelが立ち向かう姿勢を強調するセッションであった。

キーノート後半ではEllison氏が登壇し、Oracle Cloudの戦略、セキュリティへの取り組み、新機能について語った。Oracle Cloudの開発は「Cloud」の呼び名が定着していない10年前から始まり、アプリケーションをCloud対応するためにFusion Middlewareが生まれたとのこと。このFusion MiddlewareでSaaSを扱ったことでプラットフォームに必要なこと、インフラストラクチャに必要なことが把握でき、今日のSaaS、PaaS、IaaSのビジネス展開につながっている、と経験を語った。

また、アプリケーション分野でかつて競合であったSAPはクラウドを扱っていないためSalesforce.comが競合であると何度も強調した。同様にインフラでの競合はIBMではなくAmazonであるとのこと。

続いてセキュリティ機能に関しては、セキュリティ機能をON/OFFを設定できるようにしたのは誤りだったとし、セキュリティはできるだけソフトウェアからハードウェアのレイヤーに落とし込むことでOSやVMをセキュアにしたいと語った。具体的な内容は10/27のキーノートで紹介するとしてここでは概要説明に留まった。

Cloudの新機能としてはOracle SCM CloudのようなBI、モバイル系のSaaSからビッグデータ用のBig Data Discovery Cloud Serviceなど多数のラインナップを紹介した。

10/26(2日目)


2日目朝はCEOの Mark Hurd氏が経営観点からのCloud戦略を語った。

2015年までの経済市場動向としては、売上は1%減、利益は5%増、つまり経費を4%削減した形となっており、OracleやDell、Teradata等のトップ企業の売上総額は105億ドルの減となっている。今後はMillenials(1980年前後~1990年代中頃生まれの世代、つまりは労働力を指すよう)が減少し、ますますのコスト削減が課題になり、Cloudの需要はますます拡大すると予測を示した。

さらに2025年の予測として「Best of Breed」(スイートではなく分野ごとに最適なベンダーを選択する方式)が主流になり、本番環境のアプリケーションの80%はCloud、テスト、開発環境はすべてがCloudになるとした。また、アプリケーションスイートのマーケットは2社が支配し、その1つはOracleであると語った。

続いてのジェネラルセッションでは、データベース製品の開発総責任者であるEVPのAndrew Mendelsohn氏が、Oracle Databaseの新機能やDatabase Cloudの新サービス紹介した。前半は主に、Exadata Cloud ServiceやPluggable Database、Database In-Memoryについて述べられた。Pluggable Databaseの新機能「Application Container」では複数のアプリケーションで共用するPL/SQLや表などのメタデータはCDBではなくROOTに持たせることでCDB間での共用を可能にする。この機能は、多数のフランチャイズを持ち、それぞれにPDBを設けているような場合に最適とのこと。また、PDBを動的にコピーする「Hot Clone」、コピーしたPDBに対して元のPDBの更新を適用する「Hot Refresh」、それらを組み合わせることでアプリケーション不停止でPDBを移行する「Hot Relocate」の機能が追加された。Database In-Memoryには、Active Data Guardのスタンバイ環境でのDatabase In-Memoryによる分析を可能にしたこと、temparatureに基づいて自動でヒートマップの追加、削除を行う「Automated In-Memory Data Population」を紹介した。

後半では、2014年のOpenWorldでLarry Ellisonが語った、SPARC M7による「Software in Silicon」について語った。従来データベース等のソフトウェア側で実行していた処理をプロセッサに搭載することで様々な恩恵を受けられる。「Software in Silicon」には大きく分けて、SQLを搭載することでDBを高速化する「SQL in Silicon」、解凍アルゴリズムを搭載することでメモリ利用効率を上げる「Capacity in Silicon」、メモリ上のデータ保護を行う「Security in Silicon」の3つの要素がある。いずれも、既存アプリケーションの改修無しに恩恵を受けられることが利点であり、Cloudへの移行の懸念点であるパフォーマンス、セキュリティを意識したものであった。


10/27(3日目)


3日目朝のキーノートでは、Oracle CorporationのPresidentであるThomas Kurian氏と、当日(10/27)に開幕を迎えるGolden State WarriorsのTim Roye氏、Rick Welts氏との対談形式でWarriorsの変革について語られた(Warriorsはオラクルアリーナを本拠地とし昨年40年ぶりにチャンピオンとなった)。Welts氏は「勝利の文化はオーナーを含めたトップから発信していくものである」と熱く語った。


その後Thomas Kurian氏は、Oracle CloudのIaaS、PaaS、SaaSの全レイヤーにわたって多くの新発表を行った。StorageではCloud NASやArchival Storageなど4種類を追加、ComputeではDedicated Computeを追加したとのこと。さらに、OSを含まないIaaS単体の提供を開始し、Dockerにも対応しているためJenkinsやHudsonを用いることで要望に応じた環境作成が可能となると説明。実際にセッション中のデモにて、Chefを使ってApache、PHP、Linuxの環境作成してみせた。


また、別のセッションではOracle Enterprise Managerの総責任者Prakash Ramamurthy氏が、ログ分析、リソース管理、スケジューリングといったIT管理操作を統合するソリューションとしてOracle Management Cloud Serviceを発表。Oracle Management Cloud Serviceは大きく、Performance Monitoring、Log Analytics、IT Analyticsの3つから成る。Performance Monitoringでは、ユーザオペレーションからコードまで複数の層にまたがったパフォーマンス分析を行うUIを提供。Log Analyticsでは、特定のキーワードによるログ解析に機械学習を加えることで分析を自動化。IT Analyticsでは、CPU、メモリ、ストレージ使用量、IOPS等を複数環境にまたがってグラフ化するUIを提供する。

セッション中のデモでは、ユーザーの増加に伴いレスポンスの低下が見られる状況で、MonitoringとLog Analyticsを組み合わせ、すぐに問題を解決する様子を披露した。


午後のキーノートでは再びLarry Elison氏が登場しセキュリティをメインテーマとして講演。既存のセキュリティ機能はパフォーマンスに少なからず影響があり、且つ設定をOFFにできることを課題とし、それらを解決するためにソフトウェア会社でありながらシリコンレベルでセキュリティ機能を搭載したSPARC M7を開発したと語った。近年世間をにぎわせたVenomもHeartBleedも防止可能でありパフォーマンス影響はほとんど無いとのこと。また、Cloud環境では暗号化したデータをサービスプロバイダーが復号化できることが問題視されているが、Oracleの場合KeyVaultによって保護されているためOracle社側でも復号はできない、とOracle Cloudのセキュリティの堅牢性を強調した。

10/28(4日目)


4日目のキーノートは、John Fowler氏をはじめとしたハードウェア部門担当者がEngineered Systemを語った。

AmazonのようにPublic Cloudのみを扱っている場合、Private Cloudとのアーキテクチャ、スキルが異なることによる弊害があり、Pubic Cloud,Private Cloud両方を使っているOracleの優位性を説いた。さらにCloud戦略を強化するアプライアンスとして「Oracle Private Cloud Machine for PaaS & IaaS」について語った。同アプライアンスはPublicのOracle Cloudと100%の互換性を持つオンプレミスのCloudプラットフォームである。


さらに、SPARC M7についてはそのパフォーマンスにも言及した。Software in Siliconによるチップに対するオーバーヘッドは1%以下であり、暗号の復号化時の処理速度はIBM Power8の4.5倍でありながら、アンセキュア時と比べてもオーバーヘッドは2.8%しかない。また、Query Accelerator、Memory Acceleratorが搭載されており、Apache Sparkの処理時間は38秒から6秒に短縮できたとのこと。

10/29(5日目)


Engineered System等の事前検証やPoCを行うOracle Solution Centerを視察した。Oracle Solution Centerは世界で13ヵ所にあり、視察したSanta Claraセンターはその中でも最大規模である。ここはかつてのSun社のオフィスだがおよそオフィスとは思えない大学キャンパスのような造りであり、敷地内にはジムも完備されていた。中庭ではちょうど昼休み時間のため社員がビーチバレーに勤しんでいた。


センターとして世界で計1,000以上のラックを有しており、ここでユーザ向けのコンフィグレーションを行ってそのまま出荷することも可能とのこと。見学できるスペースだけでもExadataやExalogic、SuperClusterが約100台並んでいる姿は壮観であった。


最後に


2015年のOracle OpenWorldは昨年と同様にOracle Cloudが中心であったが、発表される新機能、新サービスのほとんどがCloud化を後押しするためのものであった。その中でも一際強調されていた「Software in Silicon」はユーザがCloudに対して抱くセキュリティとパフォーマンスへの不安を払拭するものとなるだろう。日本ではまだ走り始めたばかりのOracle Cloudだが、このOpenWorldで発表されたRAC in CloudやIaaS等のサービスが提供されればさらに加速する。システム統合やCloud化が進むことでDBA、システム管理者に求められる要素も変化していく。アシストの今後のデータベースビジネスへの取り組み方を問われるOpenWorldとなった。

参考:会場でのインタビュー動画
youtube) https://www.youtube.com/watch?v=2tq4tYYcxvI
facebook) https://www.facebook.com/OracleJP/?fref=ts

※OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。


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