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~ ITを駆使し、革新的なサービスを提供 ~
システム内製化で顧客投資成績重視の経営

対談×トップ・インタビュー:カブドットコム証券株式会社 阿部吉伸 様


証券市場において株価回復と個人投資家の増加を支えるネット証券。この分野で業績を伸ばしているのが三菱UFJフィナンシャル・グループのネット金融サービスの中核会社、カブドットコム証券です。同社は「システム内製化」を強みに「顧客投資成績重視」という経営理念の下、特色あるサービス展開と高い経営効率性を実現しています。同社常務執行役 阿部 吉伸 様に大塚辰男がお話を伺いました。

阿部 吉伸様 プロフィール

阿部 吉伸 様
カブドットコム証券 常務執行役 事務・システム本部副本部長 兼 システム部長

平成11年、カブドットコム証券の前身となる日本オンライン証券に入社。システム統括部長、執行役を務め、顧客の利便性向上と他社との差異化を図ることを念頭に新ビジネスの企画や開発設計に携わる。2012年より現職。


合併統合を経て


大塚(以下色文字):今年3月、証券口座数100万口座を達成されたとのこと、おめでとうございます。貴社の沿革をお聞かせいただけますか。

阿部様(以下略):当社はインターネットを使った証券取引を扱う会社です。株式売買委託手数料が自由化され、それ以前は手数料も固定で売買も対面で行われていたものがインターネットとPCの進歩という後押しもあり、個人投資家向けにより良い投資環境を提供することを目的に1999年にスタートしました。

──阿部様は創業時からのご参画ですね。

ネット証券の基盤を作るということで当社の前身である日本オンライン証券に1998年の立ち上げから参加しています。伊藤忠商事とマイクロソフトが出資した会社で、その後合併や再編などを経て2001年よりカブドットコム証券としてサービスを開始し、2005年に上場を果たしました。

──貴社のロゴは親しみやすく、特徴がありますね。

人の目を引くイメージにしたくて素人が手書きしたような味のある「へたうまフォント」風にアレンジしたロゴを採用しました。三和銀行(当時)系列の時代は緑色で、2007年12月に三菱東京UFJ銀行の子会社になったのを機にMUFGレッドになりました。

阿部様


システム内製による差別化


──インターネット証券取引でITはビジネスの基盤です。貴社はネット証券の最も重要なインフラ資源はシステムであるとして内製化にこだわりを持っていると伺っております。内製にこだわられた理由は何ですか。

ネット証券の黎明期には投資手法だけでなく使っている道具が違いすぎるということで、個人投資家はプロには勝てないという大前提がありました。当社は、それなら道具だけでもわかりやすく高度なものを提供しようというところからスタートしました。売買の判断材料となる投資情報をITではじき出し、統計や数字を基にイベントドリブンで損失を最小限に食い止めるようなシステムを考えたのです。ただ当時の市場にあった製品では満足いく投資システムをお客様に提供することは不可能と考えて内製化の道を選びました。技術進歩によって、すべてを自ら開発しなくても、最新ハードやミドルウェアの組み合わせで提供できると考えたからです。タイミング良くネット環境やPCの性能が向上し、プロが使うIT環境と遜色ないものが提供できるようになったのは本当に運が良かったと思います。

──時代の流れと技術進歩にうまく乗られたのですね。

ネット環境とPCの機能がこれほど伸びてくるとは思いませんでした。今でこそブラウザの自動更新は当たり前ですが、以前は次ページに移るのに4、5秒かかっていましたから。収益の源泉となるシステムを内製することで他社との差別化を図り、それ以外はパッケージを使うなど適材適所で判断してきました。常に新技術を知らなければなりませんが、チャレンジし続ける姿勢は今も変わりません。

──PCだけでなくスマートフォンやタブレットなど利用環境が多様化していますが、それらに対する戦略をお聞かせください。

もはや利用環境としてPCとスマホのどちらが良いかではなく、日中はスマホ、家ではPCを使うような使い分けが進んでいます。また、世代によってはスマホで完結するような時代になっています。人がIT機器に触れる時間は格段に増えており、その環境変化をいかにサービスに反映させていくかということが重要です。当社では『kabuステーション®』という発注機能や幅広い投資情報を網羅した高機能な高速トレーディングツールも提供しています。プロの機関投資家と同等レベルの機能を自宅で利用いただけるようになっていますが、これを使ってじっくりやる方でも手軽にスマホを使ったりと、1人の人が様々なチャネルを色々なタイミングで利用されています。現状を見ながら新技術に取り組みつつ、検証を行っているところです。

新発注基盤システムRAIDEN(TM)


──一昨年には発注基盤システムRAIDENTMを全面刷新され、従来システムの10倍のパフォーマンスと安定性を実現されていると伺っています。

大塚辰男



「RAIDENTM」の開発は勘定系、発注系、情報系に分かれていたサブシステムを統合した、過去にない取り組みでした。高速なCPUとネットワーク、広大なメモリ空間を活かして、業務ロジックを集約するということと、パフォーマンスの考え方を分離したのです。業務量の大半をメモリ空間におくことでメモリ上での業務ロジック構築に徹しました。アーキテクチャを選ぶ時は従来からのスタンダードに固執することはしない。かといって必ずハイテクの道を選んでいるわけでもない。多くの技術者が共感しやすいような、説明がしやすいアーキテクチャを選択しています。技術者は発注系/勘定系の担当者でもSQLなどを意識しながら業務ロジックを作るのはかなり厄介です。このパフォーマンスが悪いから変えないといけないとか、どこまでならそれが許されるか、明確なものがないのです。

ビジネスでは変化に強くないと生き残ることはできません。何が今自分たちのベストかを考えることを常に現場にも求めていく。得意なことと苦手なことをきちんと理解することは簡単なようで難しいですが、これからも実力に見合った体制を作っていきたいと思っています。

目の前にある多くの運用管理や運用改善の項目を少ない人員で合理化しなければならない中、いつもアシストが当社エンジニアの支えになってくれています。

情報開示とセキュリティ


──貴社は社員数100名ほどで大手総合証券会社並みの処理能力をもつシステムを運営され、またWebサイト上でシステム構成やセキュリティ対策の詳細説明、1秒保証の対象件数やサーバのリソース使用量などをすべて公開されています。これらのポリシーやご苦労などについてお聞かせください。

処理能力は格段に上がりましたが管理するサーバ数自体はほとんど変わっていません。最新技術を採用しているので処理能力が上がり管理面も合理化されてきているということだと思います。様々な取り組みをしていますが、すべてうまく実施できたわけではなく、失敗も多くしてきました。それでも投資環境を良くしたいという一心からこの仕事を続けています。ネットの世界は顔が見えないため、実績以外にも取り組んでいることの説明責任を果たすことは最優先と考えています。情報を出すことで当社の考え方が伝わりますし、改善の機会にもなるからです。また失敗や困難が到来すると必ずそれを乗り越えるために色々な得意分野を持つ技術者と様々な観点で議論し、採用する技術を決定します。

年金機構の漏えい事故以後、特にセキュリティ関係の仕事が増えており、業務端末とインターネットの分離、各拠点のネットワークのログの分析などにも取り組んでいます。またサイバー攻撃対応として当社もシーサート(CSIRT:Computer Security Incident Response Team)を作り様々な活動を行っています。

阿部様



──Oracleなど提供企業が多数ある中、アシストからご購入いただけている理由は何でしょうか。

アシストはユーザ企業の「困った部分」を解決してきた実績があると思います。また自社製品を持たないので、提案がベンダーの押し付けにならない。どのベンダーも「これを売っておけば安泰」という虎の子を欲しがるわけですが、逆にそこを敢えて遠ざけているのでしょうか。安直に1つのものに依存しないというのは理念がしっかりしているからだと思います。また私自身が使いたいツールをアシストに問い合わせた場合にも丹念に調査をしてくれます。こういった理念や姿勢がアシストを選択している理由です。

──最後に、アシストへのご意見、ご要望がありましたらお聞かせください。

従業員の離職率が低く、立派な企業だと思います。大塚社長になられてから、チームワークがより重要視されてきた感があります。リーダーとして牽引力の強かったビル・トッテンさんから、チームワーク重視の大塚社長となり、会社の形も変わってきて、より強みをもった仲間たちで分散して仕事を行い、1つの目標を達成する、そういうフェーズになってきたと思います。

「あまり儲けない」というキーワードを掲げられていながら、結構儲けられているようですが(笑)、その余力を使って顧客のためになるユーザ会の開催を引き続き期待します。また、ホームページに技術情報を展開していただいておりますが、今後はさらに固有企業の事例や検証結果などを匿名でもよいのでホワイトペーパーなどで提示いただき、悩める各社のヒントを挙げていただけることを希望します。

私はいつも、良いITか悪いITかを考えます。単純に人を切るだけのITは悪いIT。究極の合理化をしてしまって人が介在しないと、改善する場所が見つからないという弊害が起きます。良いITというのは、色々な新しいメリットが生まれ、人にとっても新しいスキルとして認められるものが併用される場合です。単純な量的効果だけではなく、質的効果を高め、そこから生まれる効果をユーザに提供し、自らは控えめに「あまり儲けない」。利益は出すが現場の勉強や情報収集、R&Dに積極的に費用を使い、その結果「あまり儲けない」。これがアシストの皆さんの目指すべき姿の1つではないかと思うのです。

──今後はさらにお客様のお役に立てるよう精進して参りたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

(対談日:2016年4月)

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