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木の専門家は情報活用のエキスパート
~木材も情報も、ICTで利活用~

対談×トップ・インタビュー:住友林業情報システム株式会社 三好敏之 様


木造住宅のハウスメーカーでありグローバルに活躍する木材建材商社でもある住友林業は国内に46,000ヘクタール以上の山林を有する「木」の専門家です。その住友林業グループにICTサービスを提供する住友林業情報システム株式会社は、ICTと業務理解に基づきグループ企業の事業活動とプロセス改善に貢献しています。同社代表取締役社長 三好敏之様をお訪ねし、RPAの活用や働き方改革の取り組みなどについて、大塚辰男がお話を伺いました。

三好 敏之 様 プロフィール

住友林業情報システム株式会社 代表取締役社長

1981年住友林業株式会社入社。財務部、管理部、そして海外駐在の後、営業管理部、経理部、経営企画部を経て2012年にスミリンビジネスサービス株式会社 代表取締役社長、2014年に住友林業情報システム株式会社代表取締役社長に就任、現在に至る。


「木」を軸にした事業展開


大塚(以下色文字):貴社の概要をお教えください。

三好様(以下略):当社は再生可能で人と地球にやさしい自然素材である「木」を活かし、山林経営から木材・建材の流通、木造注文住宅まで「住生活」に関するあらゆる分野のサービスをトータルに提供する住友林業グループのICT戦略企業として1991年に設立されました。

1988年に住友林業のシステム開発をサポートするためグループ会社スミリンエンタープライズ内に新設された「システム事業部」を前身として、当初は社員数19名でスタートしました。現在、協力会社のメンバーも含めると約300名で住友林業グループの事業活動をICTの側面から支えています。

当社は進化を続けるICTに追随する一方、時流に流されない確かな視点で住友林業グループと最先端技術を結びつける架け橋として住友林業の情報システム部門と連携しつつ、システムの企画から設計、開発、システムインフラおよびセキュリティの提供、運用サポートなど、ICTに関わる全てを担っています。

──三好様のご経歴をお聞かせいただけますか。

住友林業に入社し、本社の財務部を皮切りに管理系部門で仕事をしてきました。1988年、管理部時代にスミリンエンタープライズと兼務になり、その時に始めた新規事業の一つが当社の前身であるシステム事業部です。現在当社で一番古い社員の採用活動にも携わりました。その後、兼務が外れて管理部に戻り、1996年からはニュージーランド、そこからインドネシアに異動して合計で4年ほど海外で勤務しました。

──住友林業は国内だけでなく海外にも森林を所有されているのですか。

海外では森林の土地を簡単には所有できません。そこで伐採権を買い取り、植林から伐採までの森林経営を中心に事業展開しています。ナチュラルフォレスト(天然林)からの伐採も禁じられていますので植林により大切に育てられた木を伐採した後、再び木を植えて豊かな森林に戻すのが住友林業のビジネスモデルです。国内のヒノキは伐採まで70年~100年かかりますが、ニュージーランドのラジアータパインは成長が早くて25年から26年、インドネシアのファルカタという早生樹はもっと早く10年程度で伐採可能となります。

──早いといっても10年もかかるのですね。

自然環境を守るために森林保全はとても大切です。その意味でも我々は長期にわたり社会に貢献していると思っています。新しい素材の登場で昔のように木材が主流の時代は終わりましたが、日本で一番の森林会社であるという自負と共に、木という素材に付加価値を加え、新たな用途を見つけるなどしてチャレンジを続けています。100年かかるヒノキの無垢材は確かに美しいのですが、集成材も強度では負けていません。

システム関連で言えば、インドネシアから戻って所属した営業管理部から、住友林業が初めてERPを導入するということでユーザー側リーダーとしてプロジェクトに参画しました。

経理部で連結経営に携わった後、住友林業ホームエンジニアリングという全国16のグループ会社が合併してできたばかりの住宅施工会社に配属になり、各地でばらばらに行われていた勘定系の業務処理を共通のシステム導入により標準化しました。

三好様


2012年にはスミリンビジネスサービスという人材派遣会社の代表取締役として労働者派遣法の改正にも対応しました。1,000人近く所属していた派遣社員を契約社員に切り替えるなどで徐々に減らしていき、またシェアードサービスとして受託していた住友林業人事部の仕事以外にもアウトソーサーとして新たなサービス提供に取り組んだ後、2014年に住友林業情報システムに着任しました。

ロボットで生産性向上


──三好様のご経歴を通して住友林業本体からグループ会社の事業内容がかなり理解できました。貴社はRPAの運用と社外へのサービス提供も行われていますが、それについてお聞かせいただけますか。

当社に来て感じたのは、システム開発を通じて業務をコントロールできる能力があればシステムを提供しながらアウトソーサーとしてもやっていけるはずだということです。

それを具体化するためにICTビジネスサービス部という組織を設けましたが、そのタイミングで当社の成田シニアマネージャーが見つけてきたソリューションが「BizRobo!」でした。ロボットによる業務自動化ツールです。例えばメガバンクなどで大量の銀行業務を大規模ロボットに置き換えるといったことが話題になっていますが、我々が「BizRobo!」を使って試みたことは、そういうことではなくて派遣社員に任せていたような仕事をロボットを使って処理する、ロボットによって簡単なアウトソーシングができるようになるというものでした。1人の事務担当者が1日かかっている仕事を10分でできるようになったらそれでよしとしようという発想で、2015年4月に「BizRobo!」を導入しました。

──3年も前にRPAに着手されていたのですね。

当時は英語版のみで日本語化もまだでしたし、RPAという言葉も使われていませんでした。業務全体をロボット化する場合はコンサルティング会社による業務分析が必要ですし、大手ベンダーと組んだり、スケジュールを管理するだけでも大変です。でも一部の作業を切り取ってロボット化するのであればそれほど難しくありません。とりあえず使ってみようということで社内用に60ロボットを作ってみました。作ったのは当社のSEではなく一般の派遣で来ている社員です。ユーザーフレンドリーな仕組みなので業務と作り方さえわかれば簡単に作れます。こうして社内での運用をスタートし、1年で160時間/月の作業を自動化して派遣社員1人分相当の業務が削減できました。

──エンドユーザーが勝手にロボットを作ったりロボットが出した結果をもとにシステムが管理していないものを作ったりというようなことが起きませんか。

我々のRPAはそれを止めさせるためのものでもあるのです。ロボットを管理するためのロボット、上司ロボットと呼んでいますが、上司ロボットが使わなくなったロボットの管理も含めて、何が作られて稼働しているのかを全て管理しています。また、現状の業務サイクルの部分最適から着手すれば、対象業務に詳しくない情報システム部門の担当者であっても業務内容を聞き取るだけで作ることができます。

2016年からはグループ会社にもこのロボットをクラウドサービスとして提供開始しました。情報システム部門が作るもう一つのメリットはセキュリティです。例えば会計システムにログインしてデータを取り出すロボットを作った場合、ロボットを動かす人は誰なのかなどのセキュリティ上の問題が生じます。また、組織変更や担当者の異動が発生した場合に業務が属人化してしまっていた時の対応を考えるとエンドユーザーだけではかなり面倒なことになるのではないでしょうか。

──「働き方改革」に取り組む企業が増えていますが、RPAは有効なツールとして活躍しそうですね。

大塚辰男


おっしゃるとおりです。当社でもオフィス面積や優秀な人財確保の問題などからICTを使っていかに働き方改革を進めていくかを検討中です。現在300席ある固定席をフリーアドレス200席にしてスペースを有効活用しようと考えているのですが、そのためにはテレワークを可能にするインフラ構築や勤務制度の見直しも急務でしょう。また、RPAを活用してルーチン業務を自動化し、生産性を向上させる必要もあります。

今、社内各部で「BizRobo!」を勉強させています。そもそも働き方改革の目的は単に残業を減らすことなどではなく、あくまでも生産性を向上させることにあります。先進諸国の中で日本のホワイトカラーの生産性がなぜ最下位なのかということを考えないといけないと思います。

──将来的にRPAをAIにつなげるような構想はお持ちですか。

将棋やチェスのような狭義のAIは別として、例えば言葉そのものを人間のように認知できる汎用的なAIはかなり難しいのではないでしょうか。確率と統計と数学的論理を使った0と1の世界ですから、できることは限られます。新たなブレイクスルーの可能性は否定できませんが、感情や人間が書いた文章の文脈を正確に読み取れないことにはシンギュラリティは来ないと思います。結局はビッグデータの検索エンジンと解析の延長になるのではないかと。こういうとチャレンジ精神に欠けていると言われてしまいそうですが、我々のような仕事をしているとビッグデータだ、AIだなどと安易にブームに飛びつきがちです。冷静に見る必要があると思います。

医療関係ではAIのレントゲン画像解析による診断サポートといった専用的な使い方に大きな可能性を感じますが、それぞれの場面で日常的に変化する我々の業務の中では、効果的な使い方も限られてくると思います。そもそも巨大なビッグデータが後ろになければAIを使おうにも限界があります。どのような過去データが入っているのかについても重要なポイントになってきます。

──RPAに関しては一過性のブームでは終わらない気がします。

使い続けられることは間違いありません。どこまで広がるのかはセキュリティがからんできますので、そのハードルを解決するソリューションが出てきたらもっと積極的に使っていこうと思っています。

QlikViewによる効率化


──注文住宅事業における顧客対応を高度化するために、データ活用基盤を刷新され、住友林業様に「QlikView」を導入いただきました。その効果はいかがですか。

住友林業の住宅系基幹システムでは様々なデータを保管しています。その中でも特に建築資材情報は10億件以上の件数になっています。このような大量データの中から必要なデータの抽出をする場合、以前は数日もの期間を要していました。しかし、「QlikView」を使用することによりデータ抽出にかかる時間は大幅に短縮されました。

住宅引き渡し後にお客様から頂いた入居後アンケート情報と建築資材情報から、引き渡し後の建築資材状況の確認などにもタイムリーに利用できるようになりました。建築資材情報からのデータ抽出で3日かかっていたのが1分程度でできるようになったのです。また、以前は一度の処理で抽出できる件数が限られていたため複数回に分けて処理を行い、対象データの分割や抽出したデータの統合作業が必要でしたが、「QlikView」ではそれらの作業も不要になりました。

──最後にアシストへのご意見・ご要望がございましたらお聞かせください。

営業の方にはお世話になっていて、適切なタイミングでフォローをいただいています。サポートもスピーディに対応いただいて助かっています。当社でも住友林業グループのニーズに基づき様々な取り組みをしておりますのでそういった方面でも引き続き情報を頂ければと思います。

──貴重なお話をどうもありがとうございました。

(対談日:2018年1月)


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