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ビジネスチャンスは、変革し続ける組織から生まれる
~新しい価値を作り続ける丸井の挑戦~

対談×トップ・インタビュー:株式会社丸井グループ 瀧元 俊和 様


1931年の創業以来、時代やお客様の変化に合わせて、小売りと金融が一体となった独自のビジネスモデルを進化させ続けてきた丸井グループ。家具の月賦販売から事業をスタートし、赤いカード・ファッションの丸井から、エポスカードのクレジットカード会社、さらに従来の百貨店型から賃貸借型ビジネスモデルへと、過去の成功にとらわれることなく常に進化し続けています。


瀧元 俊和 様 プロフィール

株式会社丸井グループ 常務執行役員

1982年丸井グループ入社。月賦の集金、売場、新規事業、企画、システムと様々な仕事に携わり2015年より常務執行役員、小売セグメント責任者、CIO、2018年より丸井グループのITインフラを担う株式会社エムアンドシーシステム代表取締役社長を兼務。


DNAに埋め込まれた「常に革新する力」


大塚(以下色文字):月賦百貨店から、現在はファッションに特化した専門店だけではなく「ショッピングセンター」へとビジネス展開されています。苦戦する老舗百貨店がある中で御社は柔軟にビジネスモデルを変革し、進化し続けてこられました。

瀧元様(以下略):若者が減る、消費が伸びない、といった中でアパレル系は専門企業が切磋琢磨しています。専業ではない丸井が同じ土俵で戦うのは厳しく、またテナント型に切り替えてもアパレルのテナントさんをそのまま入れていては何も変わりません。消費が減少することは予測していたので、仕入れて売るのではなくそれまで得意でなかった、しかしニーズの高いサービスや飲食を導入しました。例えば溝口マルイ(マルイファミリー溝口店)はアパレルやカバン売り場だった2階をフードコートに変えて、行列のできる人気ショップを集め、テーブルオーダーできるような仕組みも取り入れました。10階のレストラン街はそのままですので飲食の割合が増え、これまで6~7割アパレルだったのが今では3割くらいになっています。



── 大きくビジネスモデルを変えることに抵抗はなかったのでしょうか。

当社は一般上場企業ですが創業家が社長といういわばオーナー企業※1です。青井が2005年に社長に就任してから15年、任期のあるサラリーマン社長と違い長いスパンで経営を考えることができますし、社長がリーダーシップを発揮して「変革を」と言えば社員一丸となってそれをやっていこう、という気持ちにさせるカリスマ性もあります。当社のこれまでの変遷を振り返ると「常に革新する力」がDNAに埋め込まれていると言えるかもしれません。

※1
丸井の創業者、青井忠治氏は家具の月賦販売から事業をスタート。1960年、現名誉会長の青井忠雄氏が日本初のクレジットカードを発行。2005年、3代目社長に青井浩氏が就任。

日本初のクレジットカード

日本初のクレジットカード

経営の中枢に入り込み、ビジネスを支えるIT


── 現在はエムアンドシーシステムの社長も務められ、高品質なシステム運用で小売事業とカード事業、そしてITが三位一体となった事業運営をシステム面からバックアップされていますね。

社長になって2年です。グループのCIOとして小売りも併せてみています。2005年にエポスカード事業の前身の立ち上げに携わったのですが、Oracle Databaseで構築したシステムは、当初うまく稼働せずトラブルが続き、アシストに多大なご協力をいただきました。トラブルは数ヵ月で収束し、軌道にのったところで今度は貸金業法改正で利益が減少し、リーマンショックと重なり赤字の危機を迎えたこともありましたが、その後はカード事業が順調に伸びています。エポスカードは後発でしたが、今では日本のクレジットカードの中で利益率No.1です。クレジット取扱高は1兆円になるのに9年かかりましたが、2兆円には4年、3兆円になるのは2年で達成しそうです。この急速な成長を支えたのはまさしくシステムで、当社独自のカードシステムは日本で一番、世界の中でも最も進んでいると自負しています。いち早くオープン化したことがその後の開発のしやすさにつながり、機能拡張の柔軟性とスピード感を実現しています。ITは当社の強みである小売りと金融のシナジーを最大化させるもので、経営の中枢にも入り込んでいます。エムアンドシーシステムは、以前は受け身の姿勢が強かったのですが、ITの新しい仕組みを知っているのは我々なのですから、これからはもっとシステムの側から革新的な提案をしていきたいと思っています。

── グループ間異動が御社の変革のための施策の一つだと伺っています。瀧元様も入社されてからカード事業や情報システムなど異動を経験されていますね。

入社して最初は月賦の売掛金を滞納しているお客様をバイクで訪問し集金するという業務からスタートしました。その後、売場、新規事業、企画、カード事業、賃貸事業、システムと転職したくらいの異動を7回経験しました。一方で定年まで同じ職場というスタッフもいます。「グループ間職種変更異動」は人を循環させることで個人の成長と組織の活性化を促そうということで7~8年前に始まった施策です。異動は本人の「手上げ」が基本で、年2回自己申告するようになっています。基本的に意識の高い人が希望するのでモチベーションは高いですし、「自分が社会に出て何をしたいのか分からないが、丸井グループなら働きながら様々な職種に触れられ、経験を積んで成長できる」と、この人事制度に魅力を感じて入社を希望する学生も多いのです。アニメ事業部※2もありますし、若い社員に聞くと、これからはシステムが分からないといけないから給料をもらって勉強ができるエムアンドシーシステムに行きたい、という人も多いのです。

※2
2016年にスタートした新しい事業部。アニメイベントの企画・開催およびオリジナルグッズの企画・開発・販売を行っている。

アニメ事業部


── 先ほど、後発のエポスカードが今では利益率No.1と伺いましたが、どのような差別化がなされたのでしょうか。

一番の違いは年会費という発想がないことで、お客様のご利用金額を元にゴールドカードも年会費無料でお持ちいただけることです。つまりたくさん利用していただけるお客様が一番のお客様という考え方で、これは小売りの発想です。エポスカードは他のカード会社のように発行の際に年収や持ち家といったことは参考にしますがそれでお断りすることはなく、きちんとお支払いいただければカードを発行するというのが月賦百貨店時代からのDNAです。※3今はCIC(個人信用情報機関)で信用情報が提供されていますから、そこで問題がなければフリーターの方でもカードを発行します。当社が考える金融は富裕層を対象にしたサービスではなく、収入や世代を問わず全ての人が必要なときに必要なサービスを受けることができるというものです。若者や学生でもクレジットで購入してきちんとお支払いいただける方が大半です。高価な家具を月賦でご購入いただくという業態で当社はスタートしています。収入が少ないお客様もご利用と返済を積み重ねて信用を創出していただく、これが丸井の本質的な価値であると思っています。

※3
エポスカードはカード利用経験のない大学生や未成年を含め、18~30歳代の若者や女性のお客様が会員構成の中心。ファーストカード率は約3割だという。

エポスカード


データサイエンティストの育成で次なる革新を


── デジタルトランスフォーメーションが加速しています。御社の取り組みはいかがですか。

売場になかった商品をネットで注文して自宅に配送といった取り組みはどこでもやっていますが、デジタルを使ってそれ以上の価値を生み出すという点では、小売りの現場はまだまだ試行錯誤しているところです。当社のカード事業では現在700万人のお客様の購買行動やカード利用に関するビッグデータが蓄積されています。これを利活用することでお客様への最適なアプローチを行い、また独自の与信ノウハウの精度を高めているところです。カード会員700万人のうち約200万人強がゴールド会員、つまりロイヤルカスタマーというカード会社は他にないと思います。それも若い方に様々なところでアクティブにエポスカードを使っていただいており、それが成長の原動力となっています。データの利活用はビジネスの今後に大きく影響するので、データサイエンティストの育成も大切だと考え勉強に行かせています。また既存の決済・金融機能をデジタル化することで、顧客データのAIによる活用やリコメンドも強化していく計画です。

── 御社の「ゴールド会員」の考え方は、お客様にファンになっていただきビジネスを広げていこうという弊社の経営方針と共通のものを感じます。また、弊社にも3~4人データサイエンティストと呼べる社員がおりますが、お客様により良いご提案ができるよう2023年には40人まで増やしたいと技術者の教育に励んでいるところです。ぜひ御社のデータ利活用のお手伝いもさせていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。


(対談日:2020年2月)

  • 掲載内容は取材当時のものです。

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