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チームで長時間残業の習慣を改善した課長

[掲載媒体]INSIGHT NOW!
[日付]2012年6月21日


技術革新による機械化やコンピュータの導入は、生産性の向上や仕事の効率化をもたらしたが、それによって従業員の労働時間そのものが短縮されたという話はあまりきかない。統計によれば、日本人の労働時間はヨーロッパ諸国と比べると2~3割も長いという。

チームで長時間残業の習慣を改善した課長

株式会社アシスト
支社統括事業部 中日本支社 技術統括
高橋 志太(たかはし ゆきたか)

1999年新卒入社。当時の幕張オフィスでOracleのサポートを5年担当し、虎ノ門に異動後、Oracleフィールド技術を2年経験。2006年に名古屋へ転勤し、現在はJP1フィールド技術を担当。




以前は、残業せざるを得ないのは、会社に対する忠誠心が重視されるとか、上司より先に帰りにくいといった理由を挙げる人も少なくなかったが、最近では企業側が、タイムマネジメントを重要課題として認識し、限られた時間でアウトプットを最大化する「効率的な働き方」を模索しているようだ。

コンピュータ・ソフトウェア製品の販売サポートを行うアシストでは、仕事を費やした時間ではなく、結果(実績)で評価するという基本的な考え方が社員に浸透している。働き方は社員個々の自己管理に任されており、残業は日常的なことだ。

「1の仕事を17時までに仕上げる人もいれば、23時までかかって仕上げる人もいます。結果が1になればいいのですから。評価としては前者が良いのは当然ですが、私はセンスもない凡人なので、完全に後者、23時に帰る派で、家に帰ると次の日になっていることが普通という生活でした」

しかしそんな働き方を経て、その過程での試行錯誤や取り組みがあったからこそ今日の自分につながっている、とも高橋は思っている。そんな高橋は2010年に課長になった時、自分はさておいて、課のメンバーはどのように考えているのだろうと思ったのが始まりだったという。

「必要な残業はもちろんあります。毎日、夜遅くまで、ああじゃないこうじゃないと一緒に仕事をしてくれた仲間や先輩たちへの感謝も忘れたことはないです。ただ、思い出は綺麗な話になりがちですけど、本当はつらかったこともありました。そのため、メンバーたちはどうなんだろう、残業時間についてどう思っているのか、本当はどうしたいのだろうか。そう思って、ある日のチームミーティングで聞いてみたのです」。

案の定、大半の答えは「早く帰りたいのは帰りたいです。ただ、気づいたら、その時間になってしまって・・・」というものだった。また、「1日の終わりを定時で考えるということを、そもそもしていない」というのがほぼ全員だった。次に「ではどうしたらいいか」、と問いかけたところ、メンバーからの答えは「自分が何に時間がかかっているのか、棚卸ししてみたい」という答えがかえってきた。こうして棚卸しシート活動が始まった。

「この調査をする以前も、個人個人でTODO管理はしていましたが、そこにルールはありませんでした。頭の中で組み立てる人もいれば、付箋ソフト、紙に書きだす、Webスケジューラに一部だけ、などいろいろな人がいました。ちなみに私は頭の中で、という、残念なやり方でした。これではチーム内での共有も難しいのは明らかでした」

こうして高橋のチーム、メンバー9名の間で、今日行うこと、その時間割、そして実際にどうだったかを、メールを使って送付する「棚卸しシート活動」が始まったのである。それまで個人個人で行っていたToDo管理を電子メールを使うことで、チーム内でお互いの仕事を標準化/見える化したのだった。

「基本ルールは次のようになります。
  ・LibreOffice Calcで、今日行う仕事の時間割を棚卸シートと呼ぶ表に書きいれる。
  ・業務終了はMAXで19時までとして時間割を組む。
  ・上記のデータをコピペし、メールの本文にバリっと貼る。
  ・これを午前9時15分までにチーム全員に送る。
  ・実際にどうだったのか(実績)についても、翌日9時15分までに同様の手段で送付する。
こんなふうに毎朝、その日に取り組む仕事を、「何をするのか?」、「どのくらいの時間をかけるのか?」で洗い出し、時間割を作ってチーム内でメール共有し、また一日の終わりには「何をしたのか?」、「何分かかったのか?」という実績としてまとめ、これもまたメールで共有します。これが習慣化すれば、一人ひとりは仕事を一日単位のPDCAで回せるようになり、メンバー同士はお互いの仕事をフォローし合えるようにもなるのです」

この活動ルールを決めるにあたり、ワーク・ライフ・バランス関連のさまざまな本やWebの記事を参考にしたと高橋はいう。

「でも結局は、メンバーから『やりたい』という意識が沸きでるものでないと長続きしない気がしたので、あれもこれもやろう!と、欲張るのはやめました。一つ取り入れたのは、xx時に帰りますPOPを出すという活動です。これは他の方に「感じ悪い」と思われるんじゃないかと不安なところもありましたが、効果がありそうだったので、思い切って取り入れてみました。xxさんがいるから帰りづらい、という思いが、これでなくなると思いました。朝に宣言しますから、すっきりです。誰かが夜を当てにしてミーティングを入れようとしてても、このPOPが見えるので、その時間内で調整ができるか相談するという流れがこれでできました」

実際にやってみると、スケジュール管理以外にも利点があることがわかった。

「メール本文で送っているので、たとえ斜め読みでも、メンバーが今日何をしようとしているのかがわかります。そのため、助け合いだったり、タスク忘れの指摘だったり、いろいろな面でも良いことが起こりはじめました」。高橋自身はこれをスタートする時、自分の仕事が結果としてなぜ遅いのかを分析してやろう、というシンプルな目的をたてた。そのため、残業や休日を当てにしたスケジュールを立てる習慣をすっぱりやめたのだという。

「この取り組みは私を入れて9名で実施しています。メンバーにこれをやれ、というのではなく、自分も一緒に始めたことは良かったと思います。「これをやれ」というのでは、反発があったかもしれませんし、またわがチームの仕事は技術職ですが、ソフトウェアの導入、サポート、教育、販促まで幅広く担当しています。基本的に一つの案件を複数人で担当しますし、複数案件も並行で実施するわけです。ですからやってみて、改めてタスクの共有の大切さを実感しています」

▲上司の村上

高橋の上司である村上は、この取り組みについてこう語る。

「高橋さんからこの取り組みを聞いたのは、始めてから3ヶ月くらい経ってからでした。BIツールを私に見せながら『いろんな観点で見ていくと、面白いもので結構いろいろな気づきがでてきます』と楽しそうに話してくれたのが印象に残っています。メンバー一人ひとりが自分だけでなく周りの人の時間の使い方を意識するようになり、更にチームのまとまりも良くなったと思います」

このシステムを始めて、どのくらい時間管理スキルはレベルアップしたのだろうか。

「実績についてもメールするのがルールだと言いましたが、そのデータを集計し、BIツールで分析できるようにしました。ですからミーティングの場でそのデータを使ってメンバーと会話し、気づきを与えることができたのが、一つの効果だと思います。ここで初めてメンバーが欲していた過去業務の棚卸しが実現できたなと感じました。また、これを実施する前は月80時間以上残業する人数が常に2、3名はいましたが、今は0です。そして以前は20時にはチームのほぼ全員が残っていましたが、今は2、3人程度になりました」

ではこの2、3人はどうなのか(なぜ帰れないのか)、というところだが、これはなかなか難しい、と高橋は言う。

「結局、より短い時間で今までと同じアウトプットを出す、というのは本当に難しいことなのだと思います。この点はこれからも試行錯誤しながら継続して悩んでいきたいです」。

アシストの中日本支社では高橋のチーム以外に2つのチームがこの「棚卸しシート活動」を取り入れた。

「私たちの活動をみて取り入れてくれたのですが、うまくいったチームとそうでないチームがあったようです。たぶん、ですが、私のチームはみんなの意見で始まった活動だったというのが継続できたポイントなのかなと思います」

そして、最近になってこの活動が支社技術部全体の活動へと広がり、そのため高橋のチームが作ったルールで行っていた活動は一旦終了することになった。

「今後どのようなものになっていくか、今の段階ではまだわからないのですが、1年以上やってきて私なりに気づいた大事なことは、この活動はメンバーの自己管理力を促進させることであって、チェック、コントロールをすることが目的ではないということです。実行に際して、これをメンバーに周知徹底してやることが大切です。そこを間違えると逆効果になってしまうと思います」

企業における残業時間の問題は、どこの職場でも改良の余地がある。しかしそれは顧客サービスと社員の働きやすさ、という相反する課題をもたらしうる。だからこそ、管理されている、のではなく、自己管理を通して、会社にとっても自分にとっても最善の形を模索するのが誰もがハッピーになる道なのだ。

「仕事をしていて良かったと思うのは、お客様から感謝のお言葉をいただいた時、あと、後輩が楽しそうに仕事をしているのを見た時ですね。前向きに働いているつもりですが、それ以外は、仕事というのは楽しいものだというのは私にとっては違う気がします。」

だから自分の働き方をふりかえり、なんとか長時間残業の習慣を改善したいという思いが棚卸しシート活動につながったのだろう。

「キャリアについて考えると、特にこれからこうしたいという計画はないですね。以前はそれではまずいかなあと思ったこともありましたが、今は、そうは思いません。日々そこにあるものを頑張っていたら、気がついたらここにいた、というような仕事の仕方、生き方をしていきたいと思います。自分にはそれが性にあっている気がします」。未来のためではなく、日々そこにあるものを着実にこなしていく。そういう気持ちで、毎朝、高橋はその日行う仕事の棚卸しをしている。

「残業をへらして、できた時間はフィットネスジムに通っています。ぜんぜん痩せません。なので毎日行きたいです(笑)。なかなか難しいですけど」

高橋が痩せた時、それは高橋が早く帰ることができはじめた時、なのかもしれない。頑張れ高橋。

(文責: 株式会社アシスト 広報部 喜田 真弓)


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