TOP>企業情報>コラム>社員紹介>アマチュア無線プロジェクト・リーダー

アマチュア無線プロジェクト・リーダー

[掲載媒体]INSIGHT NOW!
[日付]2010年10月15日


2010年10月末、アシストは市ヶ谷本社にアマチュア無線の社団局を開設する。アシストの本業は企業向けコンピュータ・ソフトの販売および技術支援。まさにハイテクの分野であるが、アマチュア無線はどちらかといえばローテク。モバイル通信機器全盛のこのハイテクの時代に、なぜIT企業がアマチュア無線を始めるのか。アシストのアマチュア無線プロジェクトのリーダー、今田一男がその理由を語る。

アマチュア無線プロジェクト・リーダー

株式会社アシスト
システム基盤ソフトウェア事業部 企画部
今田 一男

1982年、アシストに入社。米国製会計パッケージ・ソフトウェアの日本語化と導入サポートに係わり、その後、システム管理ソフトウェア等各種パッケージのサポートと販売に携わる。東京、大阪、名古屋での勤務を経て、2009年より本社市ヶ谷勤務。小学生の時にアマチュア無線の存在を知り、電波に興味を持つ。アマチュア無線歴は昨年からの1年半、現在第1級アマチュア無線技士。




アシストに入社してから、社長、ビル・トッテンの考え方には、社員向けに出されるレターや著書、顧客向けの講演内容など常に目を向けてきたが、数年前から、視点が環境や社会に向けられるようになったと今田は感じていた。2006年に農業を社員に勧め始めたのも、石油文明がすでに変革期にあり、今から脱石油の時代に向けた生き方、企業経営をしていかなければならないという焦りのようなトップからのメッセージの1つであったと思う、と言う。

トッテンが経営者としていかに社員を大切にしているか、という点では、リストラはしないという以外に、もう1つのエピソードを思い出す。

平成15年、ある民間研究者が関東地方に大地震が来るという予測をした際に、トッテンはその研究者の出版した本や報告書を調べた上で、発生時期と予測した一週間、自社で行うセミナーなどをキャンセルし、また社員にも出社を禁じたのである。

平成7年、未曾有の阪神・淡路大地震(震度7直下型)では数名の社員の自宅が全壊したのを見ているトッテンは、この予測を受けて災害時の役割や編成表の作成およびその周知をさせ、緊急連絡網の準備、緊急避難場所の確認、非常備品の確保、転倒や落下等危険箇所の見回り等々を徹底させ、ヘルメットを全社員分購入した。

実際にはその予測日の前後、東京では千葉県沖を震源とする震度4程度の地震が起きたにすぎなかった(その後、北海道で大地震が起きた)。トッテンの「最悪の事態を想定して対策を立てる」というやり方には社内でも賛否両論が起きたが、しかしトッテンの思いは十分社員に伝わったと思う、と今田は言う。

始まりはピークオイル


トッテンが社員に農業を勧めるようになってから2年経った2008年、トッテンから社員に向けて緊急対策案というメールが送られた。ここでは農業だけでなく、洋裁や和裁、日曜大工など、これまでお金を払って人にやってもらっていたことを自分の腕でできるように、といった細かいことが書かれていた。

そして、豊富で安い石油がなくなる石油減耗時代(ピークオイル)になれば、大量にエネルギーを使うコンピュータの安定稼働は保証されなくなるため、例えば大震災が起きる、またはエネルギー資源枯渇等で電子的コミュニケーションがとりにくくなった時などに備え、社内にアマチュア無線クラブを作りたい、という一文があったのだ。

※アマチュア無線:
国際法・国内法ともにアマチュア無線は「個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」と定義され、通信技術への興味や、同好の仲間との対話を楽しむために、事業ではなく趣味として行う無線通信である。アマチュア無線家は世界で唯一のコールサインを持ち、海外との無線通信も盛んである。

ビジネスでは使えないアマチュア無線


今田にこのアマチュア無線プロジェクトの話が来たのは2009年の夏も終わり頃だった。直属の事業部長から、社内でアマチュア無線の有資格者は誰かと聞かれたため、たまたまその年の2月に3級の資格を取得したことを告げた。社内には社員800人のうち8人の有資格者がいることがわかった。その中でなぜ自分に白羽の矢が立ったのかわからないと今田は言う。

プロジェクトに関してトッテンに呼ばれ、言われたことは、今後のエネルギーの問題などを鑑みて、アマチュア無線がアシストを守る手段になるか(ビジネスになるか、また社員を守るために役に立つか)を調べてほしい、ということだった。

「電波法で規定されているため、アマチュア無線はビジネスでは使えない」。そうトッテンに報告すると一言、「法律はいずれ変えられる」。確かにその通りで、「状況が変われば(エネルギーによって他の媒体の利用が難しくなれば)、企業のアマチュア無線もありかもしれない」と今田も思ったという。また調べてみると確かに先の阪神・淡路大震災でアマチュア無線が災害救助や人々の安否確認などに役立った例が多くあったのである。最近の海外での大地震、大規模水害でもアマチュア無線は活躍している。

草の根無線プロジェクト


こうして今田をプロジェクト・リーダーとして今年7月、アマチュア無線『草の根無線』プロジェクトがアシスト社内で立ち上がった。

そしてこの10月に市ヶ谷オフィス内にアマチュア無線社団局を設置し、活動を開始することとなった。アマチュア無線を使うためには国家資格がなければならず、当初の有資格メンバー5名に加え、常務の大村恵子も8月に国家試験を受けて4級の免許をとった。

この小さなステップが、将来のエネルギー危機にどう役に立つかはわからないが、トッテンがよく口にする「千里の道も一歩から」の言葉通り、アシストの社内で、アマチュア無線の社団局が活動を開始する。活動の主旨は、災害などで通信インフラが不能に陥った事態に備え、まずは実際に無線機器を使用し体験できる場所を社内に設け、社員自らが機器を使えるようになることを支援する、というものだ。災害が起きた時などは社員の安否確認、または自治体などとの協力体制もとっていき、現在は市ヶ谷だけだが、同じプロジェクトを大阪や名古屋オフィスにも広げていく計画だという。

自分ができること


先進国において人間の活動を支えているのは石油その他の天然資源だ。それはどれも有限であり、情報化時代と言われる今日、情報を管理、処理し、伝達するには物理的な媒体とエネルギーが不可欠なのだ。世界を飛び回る投機マネーも、実はコンピュータを通して数字だけが行き来している。グローバル・ネットワークという通信リンクやサーバは、物理的なインフラとエネルギーがなければ維持できない。

今の日本では、第三世界のように、電力供給が不安定になる状況は想像もつかない。しかしハイテクは高エネルギー消費と同義である。巨大サーバも、便利なインターネットも、いつか「そんな夢のような時代があった」となり、再びローテクに戻ることがないとは誰も断言できない。

先頃、アメリカのIntel社はドイツ企業の無線事業を買収したが、これでIntel製プロセッサと無線機能を組み合わせた低電力のプラットフォームの提供が可能になるという。将来的なコンピュータと無線技術の融合の可能性は大きい。これらが例えアシストの本業とは一線を画していたとしても、無線機が扱えれば、災害時など他の無線局と通信が可能となり、災害状況の伝達や安否確認など活躍の機会は多いだろう。

また、アマチュア無線は仕事を離れた社外との人脈ネットワーク作りにも繋がる。無線機を扱える人が増えれば増えるほど、そのネットワークの効果は増すはず。まだ始めたばかりの取り組みではあるが、本活動を通してアマチュア無線のネットワークが広がることを期待したいと今田は言う。

技術革命の反面、エネルギーや環境問題までを考慮して複数の未来像を想定し、対策をとることは、個人、そして企業のサバイバルに影響を及ぼすことは必至だ。それを見据えたアシストのアマチュア無線プロジェクトだと言えるかもしれない。

(文責: 株式会社アシスト 広報部 喜田 真弓)


Facebookで情報をお届けしています

Facebookでは、アシストの「今」を週3回のペースでお届けしています。「めげない、逃げない、あまり儲けない」を合言葉に日々頑張っておりますので、応援よろしくお願いします。



ページの先頭へ戻る