TOP>企業情報>コラム>技術情報>クライアント仮想化とワークスタイル変革との関係性 Vol.1

クライアント仮想化とワークスタイル変革との関係性 Vol.1

クライアント仮想化とワークスタイルの変革との関係性 Vol.1

斎藤 正雄

15年前のクライアント仮想化の草創期から一貫してこの分野に関わり続けてきたクライアント仮想化の第一人者。現在はエバンジェリスト、コンサルタントとして主に活動。年間20件近いセミナー講演も行っている。

週中はフィットネスクラブ通い、週末は愛車のBMWでドライブが趣味のアクティブな50代。

ワークスタイル変革の考え方は10年前から始まっていた


以前にも増して、最近「ワークスタイル変革」という言葉をよく耳にします。しかし、昨今のワークスタイル変革に対する喧伝のされ方は、「タブレット端末を活用した新しい働き方を!」「コラボレーションの強化により生産性の追求を!」「ワーク・ライフ・バランスの導入でプライベートの充実を!」等と少し浮ついた印象すら覚える触れ込みが多いように感じます。しかしながら、その一方で、今こそワークスタイル変革について真剣に考えるべき時期だと考えます。これは、極めて重要な社会問題を背景にしており、特に日本においての有用性・必然性について、充分に理解した上で議論を進める必要があると考えるからです。

そもそも「ワークスタイル変革」とは、①ロケーションやデバイスの制限なく、自由に業務に参加出来る環境を利用することにより、②働き方そのものを変化させることで、③その結果として、生産性の向上、組織のフラット化、雇用・就労形態の多様化、コミュニケーションの円滑化、ワークライフバランスの適正化、新しいビジネス機会の創出などの様々な効果を求めていく考え方です。

この考え方自体は、「テレワーク」と言う言葉で10年程前から政府によって掲げられた、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方とほぼ同じといえます。元々、テレワーク人口を増やそうと政府が働きかけ始めた頃は、テレワークを含むユビキタスネットワークの実現が、CO2削減、省エネルギー等のグリーンITに有効だとして注目をされていました。環境面への配慮から始まったテレワークへの取り組みは、ブロードバンド・ネットワークの急速な発達やスマートフォンなどの新しいデバイスの登場などに後押しされ、少しずつ世の中に浸透してきました。その結果、国土交通省が実施する「テレワーク人口実態調査」によると、我が国のテレワーカー人口比率(就業者人口に占めるテレワーカーの割合)は、平成24年時点で21.3%(約1,400万人)、うち、在宅型テレワーカー人口比率は14.2%(約930万人)と推計されています。

政府はこれをさらに推し進めるべく、2013年6月14日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」の中で次のような目標を掲げています。

  • 2020年にはテレワーク導入企業を2012年度比の3倍にする。
  • 週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にする。


果たして、なぜ今これほどに「ワークスタイル変革」「テレワークへの移行」の必要性が様々なところで叫ばれているのでしょうか。我々は、あえてその必要性を「切迫した」ものとして皆さんに捉えていただくべく、下記にデータから見る考察結果をご紹介します。

労働力人口の減少と低い女性の就業率、日本の課題解決に待ったなし


日本が直面する課題の1つに、少子高齢化による労働力人口の減少があります。まずは、他国と比べての実情について、もう少し具体的なイメージを持っていただけるよう、日本の総人口と労働力人口の推移に着目して見てみたいと思います。

世界の人口の推移

図1
注:人口の単位は、「世界」「アジア」が億人、「北米」「欧州」が千万人、「日本」が百万人
【出典】 世界の統計 2004(総務省統計局)
【原出典】
United Nations,Demographic Yearbook 1996,1997,1998,1999
United Nations,Population and Vital Statistics Report 2002
United Nations,World Population Prospects,The 2000 Revision,Volume I :
Comprehensive Tables

図1は世界の人口の推移を示したものです。増え続ける世界総人口に対して、日本の総人口は2005年を境に減少期に入っており、2050年には1億人前後までの減少が予想されています。

日本の労働力人口の推移

図2
【注】( )内は構成割合。
【出典】 1990(平成2)年、1997(平成9)年は総務庁「労働力調査」
2000(平成12)年以降は労働省職業安定局推計(1997(平成9)年6月)
「『65 歳現役社会』の政策ビジョン-構築のためのシナリオと課題-」(労働省発表)

図2は日本の労働力人口の推移です。この図でもわかるように、人口減少に伴い労働力人口も2006年を境に減少期に入っており、労働力そのものの減衰が大きな懸念となってきています。さらに少子高齢化も進んでいくことが予想されています。総人口の減少はそのまま消費の縮小も意味します。これらの予想値が示しているのは、日本経済が縮小期に入る可能性が非常に高いということです。

このような状況に歯止めをかけ、好循環に転換して経済成長に繋げるための方策としては「労働力の中身を濃くする」ということになるわけですが、そのために様々な計画が進められようとしています。前述の「世界最先端IT国家創造宣言」がまさにそれを表していますが、その中において、「ワークスタイル変革」による「ワーク・ライフ・バランスの実現」により改善される可能性のある課題は、以下のようなものだと思います。

  • 少子化対策
  • 女性の就業率の増加促進
  • 高齢者の能力有効活用
  • 労働効率の向上 etc.

「少子化対策をITで考えるのか?」と笑われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろんITの工夫だけでどうにかなることではありませんが、ワークスタイル変革によって、「子育てがしやすい社会の構築」に貢献できれば、ITの力によって、日本の少子化問題は改善に向かう可能性はあると考えます。また、少子化対策に限らず、女性パワーの活用は大きな労働力アップの要素であり、女性の就業率を上げることができれば、多くの課題を解決できる可能性がありえます。そこで、まずは日本における女性の就業率の状況を見てみたいと思います。

女性(15~64歳)の就業率の推移

図3
出典:女性(15~64歳)の就業率の上昇(総務省データより)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/tsushin/pdf/no08.pdf

図3は、日本における女性の就業率の推移です。これによると、日本における女性の就労率は上昇傾向にあり、2013年4月には62.5%と過去最高の数値を示しています。この傾向自体は歓迎すべきものですが、果たして他国と比べた際には、日本はどのような状況にあるのでしょうか。

OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率

図4
出典:OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

図4は内閣府男女共同参画局サイトに発表されているもので、25~54歳の女性の就業率を他のOECD諸国と比較したものになります。これによると、日本の女性の就労率はOECD(経済協力開発機構)参加30ヵ国中22位と、非常に低い順位であることが分かります。特に注目すべきは、年齢別の労働力率推移(図5)です。

女性の年齢階級別労働力率(国際比較)

図5
出典:女性の年齢階級別労働力率(国際比較)
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

図4に示したように全体の順位では日本は22位です。しかし、年齢別で見てみると、20~24歳では世界トップのスウェーデンを上回っており、また25~29歳においても未だドイツや米国より上位でTOP10以内なのですが、30歳を過ぎると一気に下位に落ち込んでいます。これは、日本が出産/育児と就労との両立が困難な社会構造を持っているという事を如実に現わしている一例だと思います。

やや余談に近いですが、日本における男女の人口比率は、2013年時点で95:100 と男性が下回っており、またこの数値は史上最低の数値を記録しつつ、更に下降していく傾向にあります。つまり、ワークスタイル変革により女性がより働きやすい社会を構築することは、特に日本において極めて重要なことであることが、この男女比率から見てもご理解いただけるのではないでしょうか。「女性が働きやすい環境づくり=出産/育児と就労との両立がしやすい環境づくり」は、少子化問題の解決にも寄与できる重要な施策と考えます。


斎藤が執筆したその他のコラム


アシストのクライアント仮想化ツールへのお問い合わせはこちら

資料請求/お問い合わせはこちら(専門の担当者が確認し、ご対応します。)

お客様の状況に合わせて詳しい情報をお届けできます。お気軽にご相談ください。


Facebookで情報をお届けしています

Facebookでは、アシストの「今」を週3回のペースでお届けしています。「めげない、逃げない、あまり儲けない」を合言葉に日々頑張っておりますので、応援よろしくお願いします。



ページの先頭へ戻る