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クライアント仮想化とワークスタイル変革との関係性 Vol.2

クライアント仮想化とワークスタイルの変革との関係性 Vol.2

斎藤 正雄

15年前のクライアント仮想化の草創期から一貫してこの分野に関わり続けてきたクライアント仮想化の第一人者。現在はエバンジェリスト、コンサルタントとして主に活動。年間20件近いセミナー講演も行っている。

週中はフィットネスクラブ通い、週末は愛車のBMWでドライブが趣味のアクティブな50代。

クライアント仮想化とワークスタイル変革との関係性


ワークスタイル変革への取り組みがなぜ今必要不可欠なのか、ご理解いただけたところで、本資料の主題でもあります「クライアント仮想化とワークスタイル変革の関係性」について考えてみましょう。

前述しましたように、ワークスタイル改革とは、①ロケーションやデバイスの制限なく業務に参加出来る環境を利用することにより、②働き方そのものを変化させることで、③その結果として、生産性の向上、組織のフラット化、雇用・就労形態の多様化、コミュニケーションの円滑化、ワークライフバランスの適正化、新しいビジネス機会の創出などの様々な効果を求めていく考え方を指します。

クライアント仮想化は、これまでクライアント・デバイス上に存在していた企業IT資産(データ、アプリケーション、実行環境など)を全てサーバ基盤内に収容(インフラ化)し、ユーザはこれを遠隔操作するという仕組み(シンクライアント・システム)を基本としています。クライアント仮想化を導入することで、ユーザは物理的な制約から解放され、あらゆるデバイス、あらゆるロケーションから業務環境にアクセスできるようになります。また、クライアント・デバイス側のOS と既存のWindowレガシーシステムの依存度を気にしなくてよくなるので、今後も次々と登場するであろう新しいデバイスの採用もしやすくなるメリットがあります。また、デバイス側にIT資産を持たせなくすることで、情報漏えいやウィルス感染等のセキュリティリスクを軽減し、セキュリティ対策の根本解決としての副次効果もあります。

このようにクライアント仮想化は、ワークスタイル変革を実現するキーファクター、①に相当する技術です。

ワークスタイル変革の効果をイメージしましょう


ここまでの内容で、日本におけるワークスタイル変革の重要性についてはご理解いただけたかと思います。この章では、具体的なワークスタイル変革のイメージを共有することにしましょう。

前述したとおり、「ワークスタイル変革」による「ワーク・ライフ・バランスの実現」により改善される可能性のある課題としては、以下のようなものがあると考えます。

  • 少子化対策
  • 女性の就業率の増加促進
  • 高齢者の能力有効活用
  • 労働効率の向上 etc.

ここでは、まず「在宅勤務」を部分的にでも取り入れることのメリットとして、いくつかの例をご紹介します。

産休/育休期間の短縮


出産を控えた女性は通常、産休と育児休暇等により、1年~1年半もの間、出勤出来ない状況に置かれます。本人にとって休職期間は積み上げてきたキャリアの中断を意味し、また「仕事か?出産か?」という選択を迫られることも多く、出産を機に退職の選択をする女性も少なくありません。また仮に女性が出産後の職場復帰を予定している場合であっても、彼女たちの休職期間は、企業側にとって貴重な人材の損失期間であることに変わりはなく、彼女たちが蓄積してきた経験値の損失は否めません。また、いざ職場復帰しても、育児との両立を考えると、なかなか以前のように働くことは難しいため、結果として産休後の復職自体をも困難にする状況を生み出しています。

このような「出産/育児と就労との両立が困難な社会構造」を解決する手段の1つに、在宅勤務による出産前後や育児中の就労スタイルの採用が挙げられます。たとえば、出産前後の女性に在宅勤務を許可することで、産休/育休期間を短縮出来る可能性が高まります。 企業側にとっては貴重な人材の損失を小さくできるという明確なメリットが得られますし、本人にとってもキャリアの中断を限りなく小さく出来、失職の心配も減り、また出産や子育てにも前向きに臨むことができます。在宅勤務のような柔軟な就労スタイルを部分的にでも取り入れる企業が増えていけば、女性の就労率の向上、育児や出産が原因による離職の抑止、ひいては少子化の加速を抑制する効果も期待できるのではないかと考えます。また、このような出産/育児にまつわる就労問題は、決して女性特有のものではありません。最近では、イクメンという言葉に代表されるように、育児に積極的な男性も増えつつあり、出産/育児期間における在宅勤務の採用は、男性の育児参加をますます推進する効果も期待されます。

産休/育休期間の短縮

介護問題の解決


出勤が困難になる状況として、他に介護問題があります。介護目的での休職は、産休・育休と違い、先が見えない状況になることも多く、より深刻な問題とも言えます。また最近では、介護のために離職を選択せざるを得ない状況も増えてきており、本人にとっても企業にとっても極めて深刻な問題です。在宅勤務の導入は、このような状況を改善する方策として期待されます。家族の介護問題を抱えていても、社内にいる時と同様の仕事を行うことが可能な業務環境を整備/提供できれば、従業員の能力の有効活用や介護を理由にした離職等を抑止する効果が見込めます。

介護問題の解決

出勤困難者の労働力の活用


産休/育休/介護以外にも、在宅勤務環境の整備が労働力向上に寄与できそうなシーンはいくつか考えられます。例えば高齢者や障害者など、毎日の通勤が困難な状況にある人材であっても、その優秀な労働力を最大限活用することができるようになります。これは普段は通常勤務をしている社員が不慮の事故等で通勤が一時的に困難になった場合にも有効です。在宅勤務を一時的にでも導入することで、業務の停滞を最小限に抑える効果が見込めます。

出勤困難者の労働力の活用

このように多くの期待効果が見込める在宅勤務制度ですが、導入にあたっては、IT面やセキュリティ面の懸念以上に、業務管理に関する人事/労務の問題や業績評価方法の見直し等の整備が足かせになるケースが多いのが実情です。そんな中、注目されているのが「サテライト・オフィス」構想です。

サテライト・オフィスによる柔軟な勤務体系


前述のように、在宅勤務環境を整えるには、ITの仕組み以外にも業務管理や評価制度など、いくつかの課題をクリアしなければなりません。しかし、サテライト・オフィス構想から始めた場合、このような懸念が一挙に解決します。サテライト・オフィスとは「通勤による混雑が激しい都市部を避けて、自社の本拠で行う業務と同等の仕事をできるように情報通信設備を整えた勤務者の自宅により近い場所に立地したオフィスのこと(Wikipediaより)」を言います。つまり、在宅勤務同様に従業員は遠隔地から業務遂行を行いますが、あくまでサテライト・オフィスは企業が認めたオフィスの一拠点であるため、この方法であれば、オフィスに出勤した時刻を記録することも、また管理者を配置することも不可能ではないため、在宅勤務の導入に比べれば、人事/労務面の見直し等をする部分を小さくすることができるため、導入の敷居はかなり低くできる可能性が高くなります。一方、その導入効果は在宅勤務環境に近い効果が得られると期待できます。

サテライト・オフィスによる柔軟な勤務体系

このような日常的な変化以外にも、柔軟な働き方の導入は突発的な緊急事態発生時にも有効です。

災害発生・パンデミック時のBCP対策


在宅勤務環境を導入することで企業が最も受け入れやすいであろう効果の1つがBCP(Business Continuity Plan;事業継続計画)対策ではないでしょうか。特に我が国は阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめとして、近年でも度重なる大災害を経験してきています。また近い将来、首都圏直下型大地震や南海トラフ大地震等が発生する可能性があることも以前より指摘されているため、企業にとっては、何らかの形でDR(Disaster Recovery)対策やBCP対策を取ることは不可欠となっています。また、ここまでの大災害でなくとも、異常気象による竜巻やゲリラ豪雨の発生など、通勤困難な状態はいつでも起こりえます。そんな時に、 在宅勤務環境やBYOD(Bring your own Device)環境が整備されていれば、業務遂行上、大変有効です。東日本大震災の発生当時、多くの電話回線は不通となりましたが、インターネット回線が生きていたことで、安否確認などに随分と役立ちました。このように出勤困難時でも、インターネットさえ通じていれば、自宅やその他のロケーションから、通常に近い業務が行うことが可能となります。遠隔地からの業務システムへのセキュアなリモートアクセス環境を整えていること、また、会社が配布しているデバイス以外(例えば、緊急手配したレンタルPCや自宅のタブレット端末等 )からでも業務が行える環境が整えられていること等は、クライアント環境のBCP対策として高い効果を発揮します。実際にこのような準備をしていた企業とそうでなかった企業とでは、災害発生後の業務再開に数週間の差が出たという事例も報告されています。

災害発生・パンデミック時のBCP対策

ここまでは働く人や交通手段の観点から、物理的に通勤が困難になった場合に補助する仕組みとしての柔軟な働き方について、ワークスタイル変革によるイメージを紹介してきました。ここからは、業務で利用するクライアント・デバイスに着目し、業務に合ったデバイスの採用がいかに業務効率に繋がるかをご紹介します。

タブレット端末等の新しいデバイスの活用による業務効率の向上


これまでメインフレーム+ダム端末で集中的に行なっていた業務処理を、サーバやPCを使って分散処理をすることで業務効率化を図った1990年代以降、PCは企業ITの重要なインフラとなりました。PCはダム端末のような単なる入出力装置ではなく、それ自体で情報を受信し、蓄積し、分析し、編集し、発信することを自由に行うことができるデバイスとして、業務効率に大きく寄与してきたことは紛れもない事実です。しかしながら、PCがもたらしたのはプラスの効果だけではありません。デバイスがパワフルになるにつれ、企業IT資産は拡散を続け、結果として膨大な重複データと制御困難なセキュリティ・リスクを生み出し、さらに管理コストはデバイスの多様化に伴って倍加し続けるといった、多くのマイナス効果をも同時に生み出してきました。一方で、ブロードバンドが加速度的に発展・浸透しつつある現在、今までのように企業IT資産を分散管理する意味が急速に薄れつつあります。むしろ、管理コストの削減や企業としてのIT統制を考えると、今後は分散ではなく集中していく方向性に向かうべきだと言えます。IT資産をデータセンター側に一括管理し、ネットワークを利用したテレワーク環境(クライアント仮想化環境+VPN)を整備することで、IT資産の分散により生み出された前述のようなマイナス効果を根本的に解決することができます。

クライアント仮想化技術は、クライアントデバイスと業務環境の分離を意味します。デバイスと業務環境が物理的に切り離すことで、今までにも増して、より柔軟な業務遂行が可能になります。例えば、企業ITで用いられるデバイスを全社員・全職種で共通のものにする必然性がなくなります。これまでは業務内容に関係なく、何でもできる、いわば汎用的なPCが全社員に配布されていましたが、各人の業務には不要な機能やアプリケーションも多く搭載されていたかと思います。しかし今後は、より個々人の業務に最適化されたデバイスを選択しやすくなります。例えば営業職に特化したデバイスがあれば、営業は何も迷うことなく、それだけを使って業務を最も効率良く実施することができるかもしれません。

これまで企業業務アプリケーションといえばWindows OSの依存度が高かったといえますが、最近ではiPadをはじめWindows OS以外の新OSを搭載したタブレット端末等の新しいデバイスも登場してきており、これまでとは違ったデバイス自体をうまく活用した事例も多くの業種・職種から報告されてきています。個々の業務に最適化されたデバイスを採用することは、新しいビジネススタイルの創出にも大きく貢献していくことでしょう。クライアント仮想化技術により、既存の企業IT資産の束縛から解放されたパーソナル・デバイスの発展はタブレット型などに留まるはずはなく、より革新的なデバイスが登場してくるのは確実であると考えます。既にGoogle Glassに代表されるウェアラブル端末も実用段階に入っており、これらがビジネス・シーンに活用され、更なる業務効率向上に貢献する日もそれほど遠くはないはずです。クライアント環境が仮想化されているならば、これらのデバイスをも企業ITの端末として活用出来る可能性を提供します。


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