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「Postgres Vision 2016」参加レポート

「Postgres Vision 2016」参加レポート


海外のデータベース事情として、2016年10月11日~13日に米国サンフランシスコで開催されたEnterpriseDB社主催の初国際イベント「Postgres Vision 2016 」の様子をレポートします。

会場のイノベーションハンガー

会場のイノベーションハンガー

宮殿のような建築物が象徴的なイノベーションハンガー(iHangar)が今回のイベント会場で、総合司会を担ったKathleen Kennedy氏は、1899年に創刊された米国マサチューセッツ工科大学(MIT)所有のテクノロジー誌「MIT Technology Review」の代表を務めており、本誌が「人類がテクノロジーを最大限に活かすための最新情報を広く伝える」をミッションとしていることを考えると、EDB Postgresへの注目の高さが伺えます。

ビジネス系パネルディスカッションが数多く展開


午前中は基調講演、午後は「ビジネス」「コミュニティ」「開発者とDBA」「エコシステム」の4つのトラックに分かれ、パネルディスカッション形式を中心に話が展開されました。筆者がこれまで参加してきたヨーロッパでのPostgres系イベントは、PostgreSQL開発コミュニティのコアメンバー、開発者による新機能や周辺モジュールの紹介など技術セッションがメインという印象がありますが、今回、ビジネスに特化したトラックで「Open Source Standard(オープンソーススタンダード)」や「Faster, better and more agile : Why Smart Companies Choose Open Source(さらに高速に、さらに優れた、さらに敏速に:スマートな企業がオープンソースを選ぶ理由)」といったタイトルでクラウドサービスを提供する企業やユーザ企業による話が展開されたことは、エンタープライズ向けシステムにおいてEDB PostgresやPostgreSQL採用の勢いを感じました。

初日の基調講演ではEnterpriseDB社CEOであるEd Boyajian氏が登壇し、新しいサービスやビジネスモデルを通じて価値を生み出し、競争上の優位性を確立するデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)に触れ、ビジネス環境の変化や成長スピードに合わせて柔軟に対応するには適材適所でオープンソースソフトウェアを活用すべきだと述べました。EDB PostgresやPostgreSQLの強みとして、以下の3つを挙げていました。

  1.クラウド環境での柔軟な利用
  2.商用データベースやNoSQLとのシームレスな連携
  3.アプリ開発に必要な新しいデータ型(JSON)や多様な開発言語への対応

日本においても、物理サーバ構成を中心とした既存システムを計画的な投資の下でいかに維持していくかという「守りのIT」から、ビジネスの変化に応じて新しいサービスを迅速に提供する「攻めのIT」へと状況が変わりつつあり、サーバ仮想化やクラウド、IoTとオープンソースソフトウェアをうまく組み合わせた事例が増えていることからも米国と同じレベルでオープンソースソフトウェアの活用が進んでいるように感じます。

EnterpriseDB社CEO Ed Boyajian氏

EnterpriseDB社CEO Ed Boyajian氏

クラウドや金融系システムでのEDB Postgreの採用


Ed Boyajian氏の基調講演の中でInfor社 COOの登壇がありました。同社がグローバルに展開する業務パッケージアプリケーションをクラウド対応させる際にオープンソースソフトウェアでスタック化し、そのデータベースにEDB Postgresを採用しています。これにより、TCOの削減だけでなく、ビジネスニーズにあわせた柔軟な開発環境と拡張性の高いアプリケーションをユーザに提供できていると強調していました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

また、パネルデイスカッションではマスターカード社のVice Presidentの登壇がありました。同社はEDB Postgresを社内標準データベースとして利用しており、「ミッションクリティカル性の高いワークロードにもEDB Postgresは充分対応できており、EnterpriseDB社の24時間365日のサポートレベルにも満足している」と評価していました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

今回、パネリストの一人として、アジアから中国市場でトップシェアを持つパブリッククラウドサービス「Alibaba Cloud」のプロダクトマネージャの参加がありました。Alibaba CloudはIaaSに加えてデータベースやストレージなどのPaaSも提供しており、データベースは商用DBMS、PostgreSQLの他にEDB Postgresをラインナップに入れています。オンプレミスでOracle Databaseを利用するユーザがAlibaba Cloudにデータベースを移行する際、EDB Postgresが持つOracle Database互換を最大限活用することで移行にかかるコスト、工数の抑制を実現しています。

最適なデータベース選定のアドバイスビジネス


印象に残ったセッションの1つに「Leveraging Open Source to Take Back Control from Oracle(Oracleから自分たちに支配権を戻すためにOSSを活用しよう)」というテーマでのPALISADE COMPLIANCE社 CEOの登壇がありました。

同社はOracle Databaseのライセンス違反などコンプライアンスに関するアドバイスサービスを提供しており、CEOは16年間オラクル社で契約関連のVice Presidentを務めた方です。起業した当初は、「Oracle Databaseの新規ライセンスをいかに顧客に購入してもらうか」を目的としていましたが、顧客から「Oracle Databaseのライセンス費用を多く支払いすぎていて今後もそれが続くのは困る。自分たちでソフトウェアの契約や費用をコントロールしたい」という切実な声を多く受け、長期的かつ戦略的にOracle Databaseのライセンスを契約するためのアドバイスサービスの提供に軸足を移しました。その一環として、顧客が最適なプロダクトを選択・活用できるように、選択肢にOracle Databaseだけではなく、OSSデータベースを加えた提案を行っています。

Oracle Database EEを利用するユーザが多い米国では、データベースにかかる費用が日本以上に課題となるケースが多いことから、PALISADE COMPLIANCE社が提供するようなサービスのニーズがあるのではと思います。しかし、日本でもシステム規模や用途に応じてEDB PostgresやPostgreSQLを採用候補として検討する企業が増えているため、弊社が持つOracle Database、EDB Postgres両方のノウハウをこれまで以上に活かして、お客様がシステムに最適なプロダクトを選択できるようご支援する必要性を強く意識しました。

終わりに


Postgres Visionでは、世界各地で活躍しているPostgreSQL開発コミュニティの主要メンバーの参加はもちろんですが、RedHatやIBM、Google、Amazonなどオープンソースとイノベーションの主力企業がスポンサーとなってイベントを盛り上げていたのが印象的でした。また、学生の参加も多く、パネルディスカッションで積極的に質問をする姿に今後のビジネスを担う世代の関心の高さを感じました。

スポンサー企業

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来年1月、ユーザ待望のパラレル・クエリの実装やパーティショニングが強化されたEDB Postgres 9.6がリリースされる予定となっており、来年のPostgres Vision 2017で新しい採用事例が公開されることを楽しみに待ちたいと思います。

執筆者紹介

高瀬洋子

高瀬 洋子(Youko Takase)

株式会社アシスト データベース技術本部 技術開発部

アシスト入社後、Oracle Databaseのサポート業務を経て、2009年よりPostgreSQL、EDB Postgresのサービス立ち上げに参画。「PostgreSQLなら高瀬に聞こう」と社内外から言ってもらえる存在となることを目標に日々活動。2014年4月よりイギリスに拠点を移し、EDB Postgresの啓蒙活動と顧客対応の後方支援を担当。

高瀬の紹介記事はこちら

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