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Oracle OpenWorld 2017視察記

Oracle OpenWorld 2017視察記

世界最大規模のITイベントOracle OpenWorld 2017が10月1日~5日で開催された。

例年通りOracle OpenWorldの開催期間中の会場付近はOracle社のコーポレートカラーである赤で埋め尽くされ、全世界から約6万人が参加し、アシストからも筆者を含めた技術6名、営業3名の計9名で参加した。

今年のテーマは『Your Tomorrow, Today』で、CloudからAI、チャットボットに至るまで最新のテクノロジーを取り揃えてきたOracle社の『未来に対するイノベーションを行うのは今日から』というメッセージがKeyNoteやセッションなど随所で伝わってきた。

本稿では、世界最大規模のITイベントOracle OpenWorld 2017に参加した筆者の所感を紹介する。

執筆者紹介

濱津 雄二

濱津 雄二(Yuji Hamatsu)

株式会社アシスト サービス事業部サポートセンター

2003年株式会社アシスト入社。
Oracle Database、PostgreSQL、EnterpriseDBといったアシスト取り扱いデータベース製品全般のサポート対応を10年以上担当。


初日(10/1)


筆者のOracle OpenWorld最初のセッションは、OPN Central、パートナー向けKeyNoteからスタートした。

OracleのCEOであるMark Hurd氏が登壇し、既に84%のEnterpriseユーザが何らかの形でCloudを利用しており「いつCloudに乗り換えるのかは時間の問題だ」と語った。

印象的だったのは「再びビジネスが変革する時期にある」という発言だった。「他のCloud Provider事業者やサービスモデルが様々に乱立し、データセンターのみに言及してもネットワークやサーバー選定、バックアップのソリューションなど、複雑な内容に対応しなければならない。しかし、一つ言えるのはOracle Cloudを選択するべきということだけだ。全てをOracle Cloudでまかなうことができる」と自信を持って語った。

続くDave Donatelli氏のセッションでは、Oracle Cloudが提供するソリューションを六つの旅に例え、Daas、SaaS、Paas、IaaSの分野を全て押さえたものであり、アプリケーション分野でもBlockchainやAIを取り揃えていることを伝え、成熟段階にあることを感じさせた。

Oracle Open Worldの様子


初日の締めとなるSunday Welcome KeynoteではOracle社CTOであるLarry Ellison氏が登場することもあり、開始の1時間以上前に並んだが既に長蛇の列であった。

KeyNoteは2部構成であり、前半はIntel社のSenior Vice PresidentであるDouglas Fisher氏が登壇した。「世の中で重要なものといえば昔は石油だったが、現在はデータであり、石油とは違って有限ではなく無限にそして日々増加していく」と述べた。

また、Intel社が2017年に発表したIntel Parsistent Memory(電源を切ってもデータが失われない不揮発性メモリ)とOracle Database 18cでIn-Memory機能を組み合わせの環境を、DRAMのみの環境と比較して非常に高いパフォーマンスを発揮することを伝えた。

Oracle Exadata Database Machine(以下、Exadata)やOracle Database Appliance(以下、ODA)にはIntel社製のXeonプロセッサを搭載しており、ワークロードを最適化するために両社が協力して開発を行っていることをアピールした。

そしてKeyNote後半ではLarry Ellison氏が登壇し『世界初となる100%自動化された自律型データベース』を大々的に発表した。

Larry Ellison氏登壇の様子


Oracle Autonomous Database Cloudは、パッチ適用やプロビジョニング、アップグレード、バックアップ、チューニングなど、これまでDBAが行ってきた作業を機械学習などにより開発し、自動化することが特徴となっている。飛行機も、(認めたくはないが)Larry氏自身が操縦するより機械に操縦を任せた方がより安全であり、人手を排除することによりヒューマンエラーが減る優位性を強調した。

自動化することで、データベースプロフェッショナルの仕事を奪ってしまうのではないかという懸念があるかと思うが、逆にそれらの仕事は増えるだろうと同氏は説明し、ルーチン的な作業を排除し、ディザスタリカバリなどのDBデザインやデータ分析、データに対するポリシー設定、そしてセキュリティ対策のスキルを高め、イノベーションに時間を充てるべきだと語った。

セッション後半ではデータベースのワークロードを自律的に分析し、CPU割り当て数を自動的に増やす自動チューニングを行うことで、Amazon Web Service(以下、AWS)と、AWS上で稼働するOracle DatabaseおよびRedshiftを比較して、後者の方が圧倒的なパフォーマンスの差を示すことをデモで表した。さらにOracle Cloudでは、自動的にパッチ適用は行いつつもダウンタイムは伴わず 99.995%(年間のダウンタイムは30分のみ)の可用性を担保する。一方、AWSではパッチ適用時のダウンタイムなど制限事項が多く、Oracle Cloudこそが本当の意味でエラスティックなサービスを提供していることを強調した。そしてDWH用途では、AWSと同等以上のパフォーマンスを有しながら、AWSの半額で提供することを契約書に明記するとし、パフォーマンスと価格の両面において顧客がAWSを使うメリットは無いと言いきった。

筆者はサポート業務で日々お客様からのお問い合わせ対応を行っているが、サポートの立場としては自動化の裏で何がどのような仕組みが実装されているのかが気になった。これまでの自動SQLチューニングの機能はパラメータ設定により一部自動化することはできたものの、基本的にはアドバイザから提案されたものをDBAが『承認』する必要があった。急なパフォーマンスダウンを避けるために、ヒント句の付与や統計情報の固定化を検討されるお客様に対し、サポートの立場から何がお客様にとって最適な選択になるのか、まずはどのようなケースでどういったチューニングをいつ行うものなのか正確に把握する必要があると感じた。

10/2(2日目)


2日目は、朝のKeyNoteでCEOである Mark Hurd氏が経営の観点からCloud戦略を語った。

経済成長はIT投資にも大きく影響するが、過去5年間の世界GDP成長率は約2%であり、中国を除くと1%程度の伸びにとどまっている。しかしその中でOracle社は前年同期比7%増と好調に成長を続けており、これは競合他社から顧客が移っているためだと語った。

多くの企業のCEOは、短い任期で売り上げを上げることを目標に経費削減やキャッシュフローの改善、リスク管理を重要視する傾向にあるが、IT予算の中でイノベーションのための費用が削られるケースがあると指摘。Oracle Cloudを利用することで、経費削減やAIなどの最新テクノロジーを用いた開発に加え、前日のLarry Ellison氏が発表した自律型データベースの利用のより、セキュリティのリスクも回避できるとアピールした。

また、2015年、2016年のOpenWorldより同氏の基調講演で語ってきた2025年のCloudビジネスの予測について振り返った。

  • アプリケーションの80%はCloud上で稼働する
  • SaaS市場は、2社のアプリケーションスイート・プロバイダで80%を占める
  • 新しいアプリケーションの開発・テストは100%クラウド上で行われるようになる
  • ほぼすべての企業データはクラウドに格納されるようになる
  • エンタープライズクラウドは最も安全なIT環境になっている
  • 80%のIT予算はクラウドに使われる
  • 企業が所有するデータセンターの80%はなくなる
  • CIOはIT予算の80%をイノベーションのために使うようになる


実際に外部のデータを元にアプリケーションの14%が既にCloud上で稼働し、アプリケーションの開発・テストは2016年45%だったのが今年は52%となっているが、一方でデータセンターの数は前年比15.3%減といった推移を見せていることから、Mark Hurd氏の予測が客観的な数字からも裏付けされており、エンタープライズの分野でもクラウド化が進んでいることを強調した。


そして2日目はOracle Database 18c(以下、18c)に関するセッションも複数開催された。

筆者はパッチ提供やメジャーバージョンアップに関する『New Oracle Database Release Model』のセッションと、18cの新機能を紹介した『What's New in Oracle Database 18c』のセッションに参加した。

18c新機能のセッションは比較的狭いホールでの開催だったが、他セッションと異なり大勢の立ち見となっていた。Cloud色が強いOracle OpenWorldだがデータベースのコア部分はやはり世界中の技術者が気になるところだろう。セッションで発表された概要を以下にまとめる。
※いずれもOpenWorldでの発表時点の情報であり、今後変更になる可能性がある旨は注意

  • 新リリース(メジャーバージョン)の提供方式
  • 従来の9i、10g、11g、12cのナンバリングからリリース年度が冠される
      ‐ 2018年は18c、2019年は19(c)、東京オリンピックの年は20(c)
  • 新機能、パフォーマンス改善、不具合修正が含まれる
  • バージョンアップ時のダウンタイムは短い時間だが発生する
  • BUG修正のためのパッチは8年間提供される
  • 新しいパッチの提供方式
  • 12.2のリリースより従来のPSU/個別パッチから方式変更
  • Release Updates(RU)
      ・1月、4月、7月、10月の4半期に一度提供される
      ・致命的な不具合の修正、セキュリティ修正が含まれる
      ・適用時のダウンタイム無し(RAC Rolling/DataGuard/GG利用時に限る)
      ・稀に“クラウド関連 ”の重要な機能が追加される場合がある
      ・累積パッチとなり 18.4.0のRUには18.3.0以前の修正も含まれる
  • Release Update Revisions(RUR)
      ・不定期だが頻繁に提供される(Agile Delivery)
      ・RUの有効期間を最大半年(6ヵ月)延長する
      ・RUに対するセキュリティおよびレグレッションの修正が含まれる
      ・適用時のダウンタイム無し(RAC Rolling/DataGuard/GG利用時に限る)
  • 従来の個別パッチはこれまで通り提供される
  • WindowsのパッチはRU/RURではなく従来通りBundleパッチの形式で提供される

  • ライフタイムサポートポリシー
  • 年次リリースは次のリリースが出荷されて2年間パッチ提供を保証
  • 18cと19cは、12.2.0.2や12.2.0.3のPSRのように、Database 12.2 ライフタイムサポートの傘下になる予定
  • 3年から5年毎に“Long Term”のリリースを出荷する
    このリリースは5年間のPremierサポートと3年間のExtendedを提供する

  • 18c新機能
  • パフォーマンス関連
      ・低レイテンシメモリートランザクション
      ・不揮発性メモリでのDBキャッシュのサポート
      ・In-Memoryカラムストアの改善
  • マルチテナント関連
      ・PDB単位のスイッチオーバーの実装
      ・PDB単位のトランスポータブルバックアップ
      ・Snapshot Carousel
      ・短時間のアップグレード
  • 可用性関連
      ・ゼロインパクトGrid Infrastructureパッチ適用
      ・Sharded RAC(NODE毎にバッファに乗せるPartitionを分散)
      ・Sharding機能の拡張(ユーザ定義のSharding、Cross Shardクエリサポート)
  • セキュリティ関連
      ・Active Directoryとの統合
      ・PDB毎のKey Storage
      ・パスワード無しユーザの作成(非デフォルト)
  • DWHおよびBig Data関連
      ・In-Memoryでの外部表サポート
      ・Merge Partitionのオンライン実行
      ・NOLOGGINGオペレーションのStandbyへの伝播
      ・Polymorphic table functionsサポート
  • アプリケーション開発関連
      ・ANSI 2016への対応強化(XML/JSON)
      ・OJVMのローリングパッチ適用
      ・セッションベースでの一時表の作成
  • インストールの容易化
      ・Goldイメージの配布
      ・RPMでのインストール
  • その他
      ・Database Instance管理のREST API提供
      ・本番利用可能なOracle Database 18c XEの無償提供
       (ストレージ12GB、SGA 2GBの制限あり)

10/3(3日目)


3日目のKeyNoteでは、再びLarry Ellison氏が登壇し、セキュリティをメインテーマとして講演を展開した。初日のKeyNoteでは自律型データベースクラウド「Oracle Autonomous Database Cloud」を発表したが、3日目は「A More Secure Cloud」をテーマに、「Oracle Management and Security Cloud」の拡張について語った。

脆弱性は攻撃を受ける前に修正されるべきだという考えの下、自律型データベースと同様にセキュリティの分野でも機械学習によって自動化を進めたもので、それを自律型データベースと組み合わせることで、リアルタイムに攻撃を検知し、防御できるというのだ。

対象はDatabase関連のログだけではなく、OSのログやApacheのアクセスログなどシステム内の全てのログを正規化し、オペレーションの監視・管理・分析を行う。機械学習により、異常時と正常時のパターンの違いを認識できるようになるため、異常性を認識した場合はリアルタイムに修復まで行うと語った。そしてこの機能はオンプレミスのAIXでもWindowsでも、Oracle Management and Security Cloudと組み合わせることで利用可能であると発表した。

日本でのPublic Cloudの利用はセキュリティの心配もあり本番環境での採用はまだまだ少ないが、この機能が実装され、本当に人の手を介さずに外部の脅威から守れるものであれば、日本でのクラウド採用も前進していくことだろうと感じた。

続いて、Dave Donatelli氏のセッションでは、初日のOPN向けセッションでも説明があったがOracle Cloudへの6パターンの利用/移行を示した。


Oracle社によると、日本国内では 1.のオンプレミスを最適化した上でCloudへ移行する方法、または 2.の顧客の自社内のデータセンターでExadataをベースとするハードウェアも含めたCloud環境を提供するCloud at Customerでの利用が主流であるとのことだ。

Oracle Cloudは、オンプレミスと同じソフトウェアをそのままクラウド上でサービスとして提供しており、クラウドを利用するにあたって互換性に悩まされたり、利用中のアプリケーションを変更したりする必要はない。また、知識やノウハウなどオンプレミスの資産をそのままクラウドに継承できるのが最大の特長であり、互換性は「相互」に保たれているため、クラウドをやめてオンプレミスに戻ることも容易だ。

現時点でクラウドへの移行を考えていない場合も 、1.のJourneyのようにまずは複数システムで乱立するデータベースがあればExadata上に統合した上で将来Public Cloudへの移行に備えるか、またはCloud at Customerで早々に自動チューニングおよびセキュリティも万全になる自律型Databaseを利用するという選択肢も魅力に感じた。

次に筆者はアシストのお客様でもある三菱電機様のセッションに担当営業と共に参加した。同社が開発したe-F@ctoryソリューションは工場の「見える化」を支援するためのシステムで、生産現場だけではなく他の部署や上位システムと連携して、データの分析を行うことができる。グローバルの企業や大企業では、一箇所のデータセンターにシステムが集約されているわけではなく、各地の拠点に存在するが、この連携にOracle Cloudが一役買っている。そして顧客の要件に応じてCloud at CustomerかPublic Cloudかを選択することができるそうだ。


クラウド上にデータを置くことのリスクについてどのように考えているか質問させてもらったところ、Oracle Cloudが提供する機能やメリットを享受しないことの方が会社にとってマイナスであるとの考えから、クラウド連携に踏み切ったとのことだった。

午後からはJapan SessionとしてExecutive Vice PresidentであるAndy Mendelsohnのセッションに参加した。

Larry Ellison氏が発表したものから技術的に一歩踏み込んだ内容で、自律型データベースで99.995%の稼働率を保つために、RACのRolling UpgradeやDataGuardのLogical Standby機能を内部で採用して実装していること、またユーザーエラーの対応にはオンライン再配置やFlashbackの機能を用途によって使い分けているといった具体的な話を聞くことができた。

Autonomous Database Cloudにおいて、メモリ領域に関するORA-4031などヒューマンエラーではないエラーに関しても、機械学習により抑止できるようになるのかという質問がセッション参加者から挙がったが、現時点においての自律型データベースの計画では自動チューニングや自動パッチ適用、自動スケーリング、インスタンスダウンといった障害時の自動修復が対象になっており、現時点では対象外となっているとのことだった。

10/4(4日目)


4日目のKeyNoteは、再びCEOのMark Hurd氏が登壇し、NetSuite社のCTOであるEvan Goldbergとの対談も行われた。

NetSuite社はクラウドERPベンダーとして活躍していたが、昨年よりOracle社と経営を共にしている会社だ。全世界に顧客を持つOracle社と統合したことで、同社ではグローバル化や多くの国でのローカライズ、新たな人事管理アプリケーションの投入を後押しし、顧客はより多くの恩恵が得られるようになったという。Oracle社としても最も成功しているクラウドERPを提供することができ、完璧な関係だとしてさらなる投資を進めると語った。

実質的に最終日となる4日は各社のブースやOracle Shop、日本オラクル主催のサマリーセッションとカクテルパーティ、そしてGIANTSのホームスタジアムを貸し切って開催されたCloud Fesに参加した。Ellie GouldingやThe Chainsmokersと非常に豪華な顔ぶれで世界中のOracle技術者と共にサンフランシスコの最後の夜を楽しんだ。

最後に


初日のKeyNoteでのAutonomous Database Cloud発表から始まったOracle OpenWorld 2017は、話題性のある自律型データベースだけでなく、BlockchainやAIなど最新のテクノロジーをユーザーへ安価に提供するなど、クラウドビジネスの加速を実感させ、この勢いに乗らなければいずれ淘汰されるのではないかと危機感を覚える程であった。

一人のデータベース技術者としてどのようなスキルを身に着けていく必要があるか、そしてアシストの今後のデータベースビジネスへの取り組み方を問われる、まさに『Your Tomorrow, Today』を考えさせられるOracle OpenWorldとなった。

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