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Oracle OpenWorld 2018視察記

Oracle OpenWorld 2018視察記

Oracleの年次イベントOracle OpenWorld 2018が、米国サンフランシスコのモスコー二・センターで2018年10月22~25日に開催された。

晴天の空に広がる青とは対象的にOracle社のコーポレートカラーである赤で彩られた会場は、世界175ヵ国から集まったエンジニア約6万人で賑わいを見せ、日本からは約500名、アシストからも14名が参加した。

会期中にはOracle社の最新テクノロジーを紹介する2,000以上のセッションに加え、Javaや多言語の技術に関した開発者向けイベントである「Oracle Code One」も同時に開催され、パートナー企業による数百のデモやハンズオンが実施された。

会場の各所でOracle CloudやAutonomous Database(自律型データベース)に関したメッセージが見られ、Oracle社の進化や目指す姿を強く感じることができるイベントであった。

本稿では Larry Ellison氏の基調講演を中心にご紹介する。


執筆者紹介

佐々木 浩平

佐々木 浩平(Kohei Sasaki)

株式会社アシスト北海道

2013年にアシスト北海道の立ち上げメンバーとして入社。以来Oracle Database製品を担当し、24時間/365日のサポート対応に従事。


セキュリティを大幅に強化した「Oracle Gen2 Cloud」とは

Oracle社CTOのLarry Ellison氏による基調講演は例年日曜日の夕方に開催されるが、今回は10月22日(月)13時過ぎの「Monday Keynote」に移動。ランチブース前にできていた長蛇の列があっという間に講演会場になだれ込んだ。70歳を超えた今でも現役のエンジニアとして活躍するEllison氏への注目度の高さを実感した瞬間だった。

Ellison氏は登壇早々に「Oracle Generation 2 Cloud」(第二世代クラウド、以下 Gen2 Cloud)の説明をした。

Gen2 Cloudは従来のクラウド(Gen1 Cloud)をセキュリティ面の強化のために一から再構築したものであり、以下の2つが重要なポイントであると語った。

1.Impenetrable Barrier(侵入不可能な防壁)
2.Autonomous Robots(自律型ロボット)

Gen1 Cloudでは複数の顧客がクラウドを制御するためのコードを共有していたが、Gen2 Cloudでは顧客ごとに独立したネットワークとコンピュータを用意することで脅威を侵入させず拡散させない防壁になったことを説明した。

また、人工知能(AI:Artificial Intelligence)/機械学習(ML:Machine Learning)を利用した自律型ロボットの導入により、人手よりも迅速に侵入した脅威を見つけ撃退することを実現したと説明した。

Autonomous Databaseは、自己稼働(Self-Driving)、自己保護(Self-Securing)、自己修復(Self-Repairing)という3つの特徴を持ち、バックアップ・チューニング・パッチ適用はDBAが手を動かすこと無く運用可能であり、外部からの攻撃や悪意のあるユーザーからデータベースを保護し、計画停止を含むダウンタイムが削減可能であることを示した。

また、データウェアハウス向けの「Autonomous Data Warehouse(ADW)」とトランザクション処理と混合ワークロード向けの「Autonomous Transaction Processing(ATP)」を自律化した機能として紹介。DBAが長年かけチューニングした17,542本のSQL、1,852個の表、8,151個の索引が存在する環境をATPが自動チューニングすると、わずか1,733個の索引で同等の性能を得ることができると強調し、Autonomous Databaseの優位性を示した。

Gen2 Cloudは「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」より高速で価格面でも優位性があることも実際のベンチマークテスト結果をもとに報告された。

Oracle Cloud のデータセンターが東京と大阪に開設

Gen2 Cloudの基盤テクノロジーである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」は既にPublic Cloud環境で提供されており、2019年には顧客データセンターで利用可能な「Gen2 Cloud@Customer」の提供も予定されている。

また、日本向けの大きなニュースとして、Oracle Cloudのデータセンターが東京と大阪に開設されることが発表された。具体的な時期だが、東京は2019年5月、大阪は2019年までに開設予定とのこと。

デジタルアシスタントとの連携デモを披露

Ellison氏は10月24日(水)に2つ目のKeynote「Fusion Cloud Applications」で再び登壇。

Oracle社は最も多くのSaaSアプリケーションを提供し、これらのCloud Applicationsを導入することで複雑なプロセスを完全に自動化することができ信頼性も高い。より生産性を向上できるとコメントし、チャットボットやVoiceUIなどを用いたデモが実施された。

Ellison氏が実際にレストランで食事した際のレシートを Slackに送信すると、ERP Cloudで開発したチャットボットが日付・金額・人数などを読み取り「一人あたりの金額がいつもより高い」とEllison氏に注意を促す場面もあり、会場の笑いを誘った。

また、Amazon Echo(Alexa)に「Steve Mirandaに電話して」と呼びかけると「Mirandaはドイツに出張中です。電話しますか?メールにしますか?」と応答し、AIにより相手の状況に応じた柔軟な対応ができることを示した。

Oracleの最先端テクノロジーを支えるExadataがセッション会場に鎮座

会期中は世界中から駆けつけたエンジニアがセッション会場やデモ・ブースに溢れ、面識がなくてもエンジニア同士で製品や技術動向について自由に会話している光景があちこちで見られた。

また、会場内にはOracle CloudやAutonomous Databaseを支えるExadataが数多く展示されており、1台1億円ともいわれる憧れのマシンの横を歩くだけでワクワクした瞬間であった。

サンフランシスコの寒暖差は北海道民でも厳しい

今回Oracle OpenWorldへの初参加となる筆者だが、実はアメリカ本土へ足を踏み入れたのも初めて。サンフランシスコは昼夜の気温差が大きく、昼はTシャツとショートパンツで歩く人もいたが、夜はさすがに薄手のダウンジャケットを着込む人が多く見られた。寒暖差のせいか日中の空は日本で見るよりも青い印象が強く残った。

セッションの合間にはサンフランシスコの観光地であるフィッシャーマンズ・ワーフに市営のMuniバスで繰り出し、遠目に見えるゴールデン・ゲート・ブリッジやアルカトラズ島を楽しんだ。

4日目の夜はサンフランシスコ・ジャイアンツのホームスタジアムを貸し切りOracle Cloud Fest.18が開催された。BeckやPortugal.The Man、Bleachersによる演奏とアルコールが冷えた体を暖めてくれた。曲の終わりには見知らぬエンジニアとハイタッチをした。デモ・ブースで会話ができなかったことに後ろめたさを覚えていたが、最後の夜に世界中のOracleエンジニアと心が1つになったと感じることができ、初めてのOracle OpenWorldを終えた。

最後に

セッション会場は赤を基調とした数多くのメッセージで飾られていたが、特にEllison氏の基調講演タイトルにもある「Think Autonomous」については強いメッセージ性を感じた。長きにわたるOracle Database Journeyの中でDBAエンジニアが導入・設定・チューニング・パッチングをすることで環境基盤を運用してきたが、Autonomous Databaseがもたらす自動化によりこれらの作業に人手を介すことは無くなるからである。今回登壇した複数人のスピーカーが「DBAは今後アナリストとしての活躍を期待される」と発言していたが、アシストとしてだけではなく1サポート・エンジニアとしてどのようなサービスやスキルをお客様に提供できるかのJourneyも見出す必要があると感じた。


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