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NO.50 日立インスファーマ

日立インスファーマは、医薬品に関連する事業に関わる情報システムのコンサルティング、開発、運用、保守を主な業務としている会社だ。2006年に日立製作所(以下、日立)と武田薬品工業(以下、武田)の共同出資により設立され、2008年4月からは日立100%出資会社となる。従業員数170名と規模は大きくないが、医薬品業界向けに特化していることを強みとし、業績は堅調である。医薬品業界向けのシステムの特徴、社員のモチベーションを高く保つための秘訣、育成や採用に対する方針とユーザに信頼されるための考え方、さらに、日立と武田という文化の違う会社が一緒になったメリットなどについてお話を伺った。

Guest Speaker
株式会社日立インスファーマ
システム本部 東京システム部 部長
植村 保夫 氏
システム本部 東京システム部
西川 大輔 氏
システム本部 東京システム部
岩崎 あすか 氏


1. 日立インスファーマでは若手に大きな仕事を任せる


まず、日立インスファーマの特徴を教えてください。

若い人が多いということでしょうか。いま手元に正確な数字がありませんが、社員の平均年齢は実感として30歳を切るぐらいでしょう。そのため、若い人にも大きな仕事を任せています。

具体的にはどのような仕事を任せているのですか。

ある大手製薬メーカーの営業支援システムのリプレースで、QlikViewを導入しました(図1)。2010年のことです。


開発規模は億円単位。開発メンバーは、協力会社を含めてピーク時には15名いました。そのプロジェクト・リーダーを当時入社3年目だった若手に任せました。

それはどういうシステムなのですか。

製薬メーカーの営業状況を評価するためには、様々な種類のレポート画面が必要とされます。以前は、それらの画面をJavaで作成していましたので、レポートの種類が増える度に時間との戦いで対応していました。また様々な種類のレポートに対応するためには、実消化データ(医薬品卸が病院に納入した実績)や計画データ、市場データ(市場全体の大きさやその中での特定の医薬品のシェアやランキングなど)やMR(Medical Representative、医薬情報担当者)の活動データなど、大量のデータ(図2)を事前にバッチ処理しておく必要がありました。


顧客の大手製薬メーカーでは、データ量として数億件のレコードがあり、バッチ処理には大変な時間とリソースが必要でした。バッチ処理を完全になくすのは無理でも、なんとか効率化できないかと検討したところ、QlikViewが良いのではないかという結論になりました。

QlikViewを選択された理由は何だったのでしょうか。

我々の要件は主に以下の4つでした。

  ・グラフィカルなUI(ユーザ・インタフェース)作成機能を有する
  ・安価なハードで実現できる
  ・数億件レベルのデータを高速に処理できる
  ・Javaとの親和性(他システムから画面作成ツールとして呼び出しやすい)

これらを満たすものとして、各種DWH(データ・ウェアハウス)アプライアンス・サーバとBIツールの組み合わせを検討しました。結果として、アプライアンス・サーバには魅力的な製品もありましたが、組み合わせられるBIツールに適切なものがありませんでした。

一方で通常のサーバで稼働するBIツールを検討したところ、画面作成ツールとしての使い方や大量データに対するパフォーマンス、生産性、デザインセンスなどの点でQlikViewが優れていることがわかりました。ただ、実際に利用してみると、他のシステムから呼び出すには作り込みが必要であるなど、Javaとの親和性が低かったのですが、画面作成ツールとしてのポテンシャルを優先し、採用することにしました。

画面作成ツールとして利用するというのはどういうことでしょうか。

製薬メーカーで営業を担当するのはMRです。彼らはBIツールを使ってデータを分析するのが仕事ではありません。計画と実績が見られればそれでいいわけです。今回のリプレースでは、以前帳票で見せていたものをグラフ化したいと思いました。それで、一部の利用者のためのBIツールとして使うのではなく、開発者がすばやく情報を提供するための開発ツールとして使うことを考えたのです。

グラフ化することでメリットはありましたか。

MRの営業状況は、実績を計画で割った遂行率という指標で評価されます。グラフ化する以前は遂行率を中心に評価していましたが、例えば市場全体が大きくなっていたとしたらどうでしょうか。遂行率が100%でも機会損失しているかもしれません。あるいは市場全体が縮小していたら、遂行率が計画通りでなくても健闘していると言えるかもしれません。市場全体の動きと遂行率を組み合わせてビジュアルに見せることによって、このようなことが一目でわかるようになりました(図3)。


2. 若手の育成方法と信頼されるエンジニア


規模が大きいだけでなく重要な仕事を若手に任せているということがわかりました。このような若手をどうやって育成されているのでしょうか。

研修制度は充実していますし、予算も多く取っています。しかし、それよりも有効なのは、OJTだと思っています。先輩と一緒に客先に行かせて、仕事のやり方を見せることが一番の勉強になります。例えば、先輩が顧客の立場に立って逆提案している様子を見せることで、若手は多くのことを学びます。そのためには先輩が“できるSE”である必要があります。

できるSEの要件とはどのようなものでしょうか。

顧客に言われたままになっているのではなく、本当の目的をしつこく聞くことでしょう。それができてはじめて顧客にとって良い提案ができるようになります。

例を挙げましょう。ある営業支援システムで、「指定した風邪薬だけを除いて集計をして欲しい」という要望がありました。 平凡なSEだと、お客様に言われるまま、プログラム上にそのまま条件をコーディングしてしまいます。

ちょっと気の利いたSEであれば、今後もそういうニーズがあるだろうと、プログラムに直接書かずに、取り除く製品を登録できるように工夫します。私が思う“できるSE”はさらに上を行きます。

「風邪薬を除いて集計をする目的は何か」を聞きます。するとお客様から、「季節性がある製品を除きたいからだ」という答えが返ってきました。「では水虫薬はどうなのか」と質問を重ねると、「それもあり得る」とお客様が答えます。
そうなると集計から除外したい製品を登録できるようにするよりも、季節性を表す項目をデータベースに追加するほうが良いという提案ができます。一時的にデータのコンバージョンなどの手間はかかるかもしれませんが、このほうが長い目で見れば無駄なコストを使わない、お客様のための提案になっています。


OJT以外で育成で工夫していることはありますか。

技術面ではOracleなど基礎技術の勉強会を現場で実施しています。また、医薬品業界は慣習なども含め業務知識が深く広いので、業務用語集を皆で共同で作っています。外部研修やセミナーに関しても工夫しています。参加してから3ヵ月以内に、実際に業務のどういうところで活用したかを発表させています。

それは、どういう狙いで行っているのですか。

セミナー等に参加する前に目的意識を持ってもらうためです。これには2つのメリットがあります。

1つ目は、業務に直接関係のないセミナーに興味本位で参加したいと言わなくなることです。無駄な研修コストを省き、有用な研修に時間もお金も集中することができます。2つ目は、セミナーへの参加意識が高まるということです。業務に直接役立つような持ち帰りが必要となるので、真剣さが違ってきます。

なぜこのようなことを思いつかれたのでしょうか。

あるプロジェクト・マネジメントのセミナーに参加しましたが、そこにはPMP(Project Management Professional)の資格を持つ人が多数参加していました。彼らの発言は常に正論でPMBOK(Project Management Body of Knowledge)を熟知していると感心しました。しかし、今まで多くのプロジェクトで出会ったプロジェクト・マネージャーはほとんどそういった知識を活用していませんでした。つまり多くの人が知識はあっても実践できていないと感じました。

これを機に知識を実践する必要性を強く感じ、そのためには、単にセミナーに行かせるだけではなく、行かせた後のフォローが不可欠だと思いました。そこでどういうフォローの仕方がいいかを考えたのが、この方法でした。

IT系企業でしかも医薬品業界に特化しているということで、どちらも専門知識が深くなります。中途採用では苦労されると思うのですが、方針としてはいかがでしょうか。

医薬品業界向けのシステムを作っていた人が応募してくれば一番いいのですが、それはやはり少ない。IT技術か医薬業界知識かどちらか一方を選ばなければならない場合だと、IT関係の技術がわかる人を優先しています。

しかし、ただ単にITに詳しいから採用するということではありません。真面目でお客様のために一生懸命仕事をするという人を採用しています。このような人であれば業界や業務のことも真剣に勉強するので身につくのが早いのです。このような考えで採用した人たちは、実際に活躍してくれています。


3. 製薬メーカーの営業支援システムの特徴


製薬メーカーのシステムならではの特徴を教えてください。

私(植村氏)は、営業支援システムを長く担当してきたので、それを中心にお話ししましょう。

先ほど製薬メーカーで(病院向けに)営業を担当するのはMRだと言いましたが、医薬情報担当者という日本語訳からもわかるように、厳密な意味ではMRは営業担当ではありません。あくまで医師に医薬の情報を伝える人なのです。

製薬メーカーでは病院に直接医薬を販売することはできません。必ず卸を通じて販売します。実消化データや市場データは、直接知り得ないため調査会社から購入しています。どのMRがどれだけ売上に貢献しているかは大量のデータをつき合わせて初めてわかります。データの購入にもシステムの構築にも多額の資金が必要となります。

ところが、MRが直接販売をしていないため、MRの努力が成果に結びついているかどうかが実ははっきりしないのです。売上との因果関係が実感としてわいてこない、つまりシステムの費用対効果は必ず問われますが、それを証明するのがなかなか難しい。定量的評価ができませんから。しかしながらシステム自体が必要なのは間違いないというジレンマを抱えています。

そのジレンマは解消できそうですか。

このジレンマの解消は難しいでしょう。その代わり、必ずユーザの立場に立った踏み込んだ提案をするようにしています。先ほどの例にありましたように、先を見越した保守性の高い、つまり機能追加コストを抑制するような提案を常に心がけるようにしています。

そのあたりが御社の強みにもつながっているように感じます。

そうですね。分野が限定されているので業務知識が深く、お客様と対等に話ができるという自負はあります。

4. 日立と一緒になったのは成功だった


先ほど日立の話が出ました。武田と日立では同じ製造業でも、武田はプロセス系、日立はどちらかといえばアセンブリ系が主と、かなり文化が違うと思います。文化の違いはお感じになりましたか。

武田時代に私が所属していた部署では懇親会などをあまりしませんでした。日立はその点懇親会なども多く、人間関係を重視するところがあります。正直に言うと最初は少し面倒くさいなと感じていましたが、今では、部員のモチベーションアップにもなるので、そのような取り組みも大事だと思っています。

植村様は武田のシステム部門に所属されていたそうですが、転籍でモチベーションの下がった方もおられたのではないかと思います。そのあたりはいかがでしたか。

会社設立当初は、正直そのような人もいました。ただ、多くの人は、社内のコスト・センターだったのが、今度はプロフィット・センターになるということで張り切っていたように感じます。少なくとも私はそうでした。

コスト・センターからプロフィット・センターに変わるにあたって苦労はありましたか。

コスト・センターでは、売上や損益という考えがなかったので、これらの管理方法がよくわかりませんでした。システムを作っていたので概念はもちろんわかるのですが、実践のためのノウハウがなかったのです。幸い日立がプロジェクト損益管理に強かったので、多くのことを学べました。また、顧客対応や、品質向上のための標準化、社内ルールの作り方なども日立から学びました。

共同出資による会社設立について総括してください。

武田はシステム部門を外に出すことで業務に特化でき、日立は武田を通じて医薬品業界進出への足がかりができました。我々はプロフィット・センターになることで、やりがいができ、たくさんのことを学べました。多くの関係者が、Win-Winの会社設立だと思っていますし、私も成功だと思います。

5. 業界標準をリーズナブルな価格で提供していきたい


外販にも力を入れておられると思います。戦略はいかがでしょうか。

外販を始めたことで他の製薬メーカーの話を聞く機会が増えました。それによると、どの会社も同じようなシステムを作っています。であれば、業界標準的なシステムは必ず作れるはずです。

幸い武田で培ってきたハイレベルなシステム・ノウハウがありますので、それを他社にリーズナブルな価格で提案していきたいと思っています。

実は、現在構想しているシステムがあり、それは他社のシステム関係者からも欲しいと言われました。当社のリソースさえ整ってくれば、すぐに提供できるでしょう。

また、製薬メーカーでは研究所向けのシステムは、研究所が独自に導入しているケースが多いのではないかと思います。これは研究所の業務が極めて専門性が高いことに起因していると感じています。しかし、研究所の方々はシステムのユーザとしてのノウハウとスキルは非常に高いのですが、導入や契約に関しては手が回らないといった傾向があると思います。そもそも、発注や受入テストは研究所本来の業務ではありません。また。仕様をまとめたり決めたりすることもそうです。こういったことから、そのあたりをお手伝いするプロフェッショナル・サービスのニーズが研究所向けにはあると考えています。

我々には医薬業界の専門知識があります。多くの製薬メーカーが同じような悩みを抱えているとすれば、プロフェッショナル・サービスのやり方も共通化して、外販していけるのではないかと考えています。

6. アシストの営業は顧客志向が強い


アシストとのお付き合いはいつからでしょう。

武田にいた頃から付き合いがあります。武田のシステムがメインフレーム中心で運用されていた頃は、たくさんのアシスト製品を導入していました。当時のシステム部長が「うちは、まるでアシストの博物館みたいだ」と言っていたほどです。

それが、オープン系に移行していくタイミングで一時付き合いが薄くなった時期がありました。DBのOracleも他社からの導入でした。

オープン系でシステムの運用を続けていくうちに、ユーザ・ニーズの変化やそれに伴うシステム変更等で、様々な課題や問題も発生するようになりました。Oracle関連の開発と運用を担っていたベンダーでは解決に時間がかかるようなケースも増えてきました。そんな中、当時のアシストの営業が「是非、うちの技術者に支援させて欲しい」というので、それならばと技術支援を依頼してみました。すると、「次々と」とまでは言いませんが、それまでの課題や問題が着実に解決に向かって進んでいきました。そういうことが積み重なり、現在ではOracleの導入とサポートはアシストに任せています。

そういった経緯もあり、最近ではOracle Exadata Database Machine(オラクル社のDBアプライアンス製品)もアシストから購入しました。やはり、当社のお客様のシステムについてよく知っていてくれるというのが大きいですね。

そのように長い付き合いのアシストですが、悪いところはどのようなところでしょうか。

率直に言わせてもらえるなら、SE単価が高いです。単価が下がれば、もっと密接に仕事ができるのですが・・・。

逆にアシストの良いところは何でしょう。

まず優秀なSEが多いところでしょうか。また、営業は非常に顧客志向が強く、社内で摩擦を起こしてでも動いてくれるというイメージを持っています。

例えば、最初に紹介したQlikViewのシステムの負荷テストで性能が出ないことがありました。アプリ側の課題もあり、負荷テスト製品(HP Loadrunner software)だけの問題ではないこともあって、一旦、後日仕切り直そうという雰囲気になりました。技術的に冷静に考えれば、仕切り直すのがベストの判断だったのかもしれません。しかし、私としては一刻を争う話です。そのあたりの気持ちがうまく伝わっていなかったのかもしれません。その時は腹が立ったので、そこに居たアシストのSEに対し、強く言ってしまいました。気まずい空気になりかけたところを、その場にいた営業が色々と調整してくれた結果、その日は深夜まで一緒に対応してくれ、そのうえ翌日には新たな応援まで出してくれました。

柔軟に対応してくれるということでは他にもエピソードがあります。製薬メーカーの営業支援システムにトラブルが発生した場合、極めて早急な対応が必要とされます。以前OAS(Oracle Application Server)で、システムを一度シャットダウンすると再起動ができないというトラブルがありました。この時も夜中にもかかわらず、営業が責任を持って、SEと一緒に駆けつけて対応してくれました。

こういう急なケースでは対応いただけない会社もありますので、非常に助かっています。また、技術者の支援作業やトラブル対応に営業が頻繁に同席する会社は、他にもたくさんあります。しかし、アシストのように、技術者だけでは応えにくい部分を営業がカバーして、SEと顧客との橋渡しをする。このような、営業本来の役割を一生懸命果たそうとする会社は珍しいのではないかと思います。

今後SIerとして、他社と競合になる場面もあるかと思います。アシストを採用し続けていただくためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

他社であまり実績のない新しい技術、あるいは既存技術の新しい組み合わせの提案をしてもらえれば採用する可能性は高いと思っています。

最後に、今後アシストに期待することは何でしょうか。

他業界へ進出するという意味ではなく、医薬品業界にさらに良いサービスをするという意味で、他業界の事例などを持ってきてもらえるといいと思っています。アシストは多くの業界に顧客がいるので、その点大いに期待しています。



取材日時:2012年1月
日立インスファーマのWebサイト

現在、日立インスファーマ様でご利用いただいている製品、サービス
  ・リレーションナルDB / Oracle
  ・Webレポーティング・ツール / WebFOCUS
  ・高速インメモリBIツール / QlikView
  ・負荷テスト・ツール / HP Loadrunner software
  ・サービスデスク支援ツール / HP Service Manager software
  ・アプリケーション仮想化ツール / Citrix XenApp
  ・デスクトップ仮想化ツール / Citrix XenDesktop
  ・Webシングル・サインオンとアクセス制御 / RSA Access Manager
  ・データベース・アプライアンス / Oracle Exadata Database Machine

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