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NO.46 日本貨物航空

日本貨物航空は、日本で唯一の国際貨物運送専門の航空会社である。同社は2005年の経営状況の変化により、2006年に運航管理、機体整備、貨物管理の3大基幹システムをゼロから構築する自立化プロジェクトを開始。約2年で運用に漕ぎ着けるという離れ業をやってのけた。自立化プロジェクト成功の背景には、IT戦略部が先頭に立ち、まずシステム全体像を描き、早い決断と実行力でプロジェクトを推進していったことが挙げられる。そこで自立化プロジェクト成功の要因など、その取り組みについて伺った。

Guest Speaker
日本貨物航空株式会社
IT戦略部担当 執行役員 苅谷 雅明 氏

IT戦略部 副部長 栗田 真充 氏

IT戦略部 システム開発チーム
シニアマネジャー 徳永 健二郎 氏


1. 映画で使う車やバンド公演機材、競走馬なども運ぶ


日本貨物航空の業務内容と歩みについて教えてください。

日本貨物航空(以下、NCA)は、日本で唯一の国際貨物運送専門の航空会社です。Boeing747-400F(通称、貨物専用ジャンボ機)8機で、週100便を運航し、アジア、アメリカ、ヨーロッパの8カ国、15都市と成田を定期就航便で結ぶ一方、チャーター便も運航しています。

取り扱う貨物は様々です。アメリカン・チェリーなどの生鮮食品から精密機械といった 一般貨物だけでなく、F1マシンやMotoGPバイク、競走馬、博物館や美術館で展示される歴史的記念物や美術品、珍しいものですと映画のプロモーション用機材、バンド公演機材といったものも運んでいます。

競走馬のような動物も運ばれるのですか。

動物、競争馬は特に気を使います。馬の入ったケージには藁を敷いて、馬が安心できる環境を作らなければなりません。馬の世話をする厩務(きゅうむ)員も同乗しますが、馬はとても神経質で後方に移動させると興奮してしまうこともあるので、決して後ろへ移動しないよう積載の時には配慮しています。

当然、馬を運ぶ時も他の荷物を一緒に運ばれますよね。何をどこに載せるのかを決めるのは大変ではないですか。

旅客の場合は予約数さえ押さえておけば残席数がわかりますが、貨物の場合はそうはいきません。大きさも形も異なりますし、馬のように積み方に制約があるものもあります。様々な貨物をどのくらい積載できるかを迅速に正確に判断するために、事前にシミュレーションを行っています。そのためのシステムも今回の自立化プロジェクトの中で作り変えました。

2. 3年間で、4つの基幹システムをゼロから構築することに


自立化プロジェクトについて教えてください。

NCAの主要株主は日本郵船株式会社と全日本空輸株式会社(以下、ANA)でした。これまでは、運航管理や整備業務をANAに全面委託していたため、ITシステムについてもほとんどをANAに委託していました。2005年にANAが持株を日本郵船に譲渡し、NCAは日本郵船の連結子会社となりました。それを機に、2008年を目標に、自営データ・センター構築に始まり、運航管理(i-Sky)、機体整備(i-Macs)、貨物管理(i-Cargo)として3大基幹システムの再構築に着手、ITの自立化を図ることになりました。自営データセンター開設まで1年、機体整備システムは1年半、運航管理と貨物管理システムは2年で本稼働に漕ぎ着けました。さらに2007年12月には管理会計を中心とした統合会計システム(i-Account)の構築に着手し、2009年7月にはNCAシステム全体の統合化を実現させました。

自立化というと聞えはいいものの、限られた期間と予算の中でまさしくゼロからのスタートでした。2年間という猶予は、複数の基幹システムをゼロから構築するには短か過ぎます。例えば、運航管理システムだけをとっても、運航ダイヤ作成や飛行計画作成(フライト・プラン)、フライト状況の監視、パイロットの乗務管理、陸上と機体間のデータ通信といったシステムで構成された大がかりなもので、それらシステム間で緊密なデータ連携をとる必要もあります。スクラッチ開発を行えば、極めて特殊な業務内容ゆえ40~50億円以上の投資が必要でしょうし、2年間の猶予では絶対に完成しなかったでしょう。

そこでIT自立化プロジェクトでは、全システムに世界で実績がある高規格のパッケージ・ソフトを採用し、それにNCA特有のプロセスを加えることで開発期間の短縮と投資額の圧縮を図り、早期の安定稼働の実現を狙いました。


3. 誰でも理解できる明確な方針を定め、
  それに従って製品選定からカスタマイズまで行う


工期短縮をすると使い勝手は犠牲になることが多いのですが、妥協した部分はありますか。

それほど妥協する必要はありませんでした。というのも、最初にシステム構築の骨組みとなるグランド・デザインをしっかりと描き、NCAの業務に合った使い方ができるようなカスタマイズを盛り込みながら各工程を進めていったからです。

またIT自立化プロジェクトでは各基幹システムを個別に構築するのではなく、基幹のシステム間をシームレスに連携させて最終的には全体統合を図ることを目的としていました。そのため基本となるグランド・デザインを描くと同時に、技術的な開発方針についても最初に明確に示しました。

グランド・デザインとは具体的にはどのようなことですか。また、プロジェクトを推進される上で心掛けられたことはどのようなことですか。

各システムの位置づけやシステム間のデータ関連についてを絵図として描き、実装への設計方針や運用方針など諸条件を明確に示すことを心がけました。 つまりは、目指すシステムのコンセプトをどのような方針/方策で実現させるかを示したものです。

そして、プロジェクトは次のことに留意して進めました。

プロジェクトは、IT 戦略部が主導で執り進められたのでしょうか。

はい。まずはどのようなシステムにするのかという全体像を明確にしました。通常の開発では、まずは現状の業務フローやユーザの意見を基に要件定義を行うのが常道でしょう。しかしその手法をとっているとそれだけで半年、1年とかかってしまいます。そこでIT戦略部が主導権を取って、まずシステム像の大枠を決めて進めていきました。従ってパッケージ・ソフトの選定や機材調達などすべてをIT戦略部が主導で決めていきました。

4. パッケージ・ソフトを探すにあたって注意した点


パッケージ・ソフトを探すにあたって、どのような点に注意されたのでしょうか。

日本企業の多くは日本の製品を使いたがりますが、航空業界は世界各国との競争です。また航空貨物には国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)などの国際組織が定めたルールや標準などが多数あり、日本製にこだわることなくこれらの標準や基準を満たす航空会社向けの良い製品であれば採用するつもりでした。

そのために、最初は世界中を駆けまわりました。著名なIT会社を訪問したり、またキャセイパシフィック航空やアシアナ航空、シンガポール航空などにも足を運び、パッケージ・ソフトの導入状況を視察しました。その結果、2006年夏に運航管理システムは米国のセイバー社製品を、機体整備システムは同じく米国のトラックス社製品を採用することに決めました。これらは世界の航空会社で豊富な導入実績を持っていました。その後の統合会計システムでは、SAP社のERPを導入することに決めました。

しかし、貨物の予約や運送手配、取扱状況、収入管理などを行う貨物管理システムだけは、適切なパッケージ・ソフトが見つかりませんでした。将来を見据えオープン系サーバで稼働する製品にこだわったことが大きく影響したのです。当時は大手航空会社のほとんどが貨物管理システムにはまだメインフレームを使っていました。

貨物管理システムの目処が立たないことには、IT自立化プロジェクトが冒頭から頓挫してしまいます。どうしようかと悩んでいた時にインドのIBSソフトウェア・サービス社(以下、IBS)が開発中の航空物流パッケージの第1号ユーザにならないかと売り込みに来日しました。製品の詳細説明を受け、そして同社の本社(インド)を視察訪問した上で2006年4月に採用を決定しました。

5. 第1号ユーザになることを決断した理由


第1号ユーザになったのには、何か特別な理由はあるのでしょうか。

第1号ユーザになることで、NCAの要望を取り入れた製品にしてもらえることを期待しました。NCA向きにカスタマイズされた使い勝手の良いシステムが安価に手に入ることになります。 IBSは4~5年かけて航空貨物システムのパッケージ化を進めてきたとのことで、導入実績は無いものの製品の枠組みはしっかりしていました。すでにカンタス航空や南アフリカ航空など数社の航空会社も注目していました。もし世界的に有名な大手航空会社が先に名乗りを上げていたならば、NCAは見向きもされなかったでしょう。そこで大英断でいち早く名乗りを上げました。

航空貨物という点からは、システムの安定性は非常に重要だと思います。その点はどのようにカバーされたのでしょうか。

パッケージ・ソフトの安定性は大変気になるところですが、基本的な機能については開発段階からテストを十分に繰り返せば大丈夫だろうと考えていました。もともと国際航空貨物輸送という業務自体においては各航空会社間で大きな違いはほとんどありません。ゆえに航空会社が異なっても基本的な業務内容が同じである以上、基本部分での差異は生じないだろうと判断しました。問題が発生するとしたらカスタマイズの部分であろうと。

そのため、開発作業のメインはNCA用のカスタマイズであり、相手会社との相互理解に齟齬が生ずることなく如何にコミュニケーションをスムーズに行っていくかが成功への鍵であろうと思いました。そこでIBSの会長に「日本法人を東京で立ち上げてほしい。そしてIBSの社員をNCAスタッフと同等の立場で派遣してほしい」と強く要請しました。

開発のピーク時にはIBSから40人ほどのインド人スタッフが来日して、プロジェクトを支えてくれました。メンバー全員に一体感が生まれていましたし、稼働後も安定稼働に向けてのフォローを十分に行ってくれました。

構築にあたっては、当然ながら将来の拡張性も視野に入れられていたと思います。パッケージ・ソフトだと拡張性は低いのではないですか。

必ずしも自前で作った方が拡張性が高いとは言い切れません。貨物の輸送というビジネスの根幹は、どんな時代に移っても変わらないと思います。必然的にシステムの根幹も変わらないことになります。求められる拡張性は言わば枝葉の部分になると思います。とすれば最初から細かい要望や拡張性にこだわることなく、まずはしっかりした製品を使って根幹のシステムを安定稼働させることだと思いました。そして新しい機能や要望については、順次アドオンで対応していけば十分だと考えています。

海外の大手航空会社では、旅客系の予約システムなど大規模なものでも、自社システムを持たずにASPサービスを活用している程です。そこで、パッケージ・ソフトを採用しても全体のインテグレーションを最適化していけば、全体的なコスト抑制ばかりではなく競争力そのものが強化されると考えました。

6. 目標の共通化と適材適所で、社員と外部スタッフをまとめる


IBSの貨物管理システムに限らず、セイバー社の運航管理、トラックス社の機体整備、SAP社の統合会計の各パッケージ・システムを導入するにあたって、作り込み部分はNCAで対応されたのですか。

2005年当時のIT部門は、社員とパートナー合わせて10人ほどでシステム運用がメインの仕事でした。従ってシステム開発の経験がないに等しいことから自分達だけで行うことなど、到底不可能でした。そこで外部から新たにIT経験者を募り、まずはちゃんとしたIT部門としての組織を作り出すことが先決でした。外部のIT企業に協力を求めて、プロジェクト体制を整えるより方法はなかったのです。ただ、どんな立場であれプロジェクトに参画しているメンバーは、同じところに机を並べて達成目的を共有し、NCAの社員と同じ意識を持って働いてもらうこと、つまり、同じ飛行機に乗ってもらうことが必要です。そのため、全員が一丸となれる環境作りに努めました。

それを表すエピソードの1つとして次のようなことがありました。あるときIBSのインド技術者とアシストのOracleの技術者が通訳のNCA社員を飛び越えて「カタコト」英語で直接やり取りをし始めました。インド人の英語はそれでなくとも聞き取りにくいのですがシステムで使う言葉はほとんどが英語だということもあり、助詞は日本語だったかもしれませんが国籍の違う技術者同士が通訳なしにうまく意思疎通していたのを覚えています。外部企業のスタッフ全員がプロジェクト・メンバーの一員として協力してくれたことの表れだと思います。

NCA 社員、協力企業社員、ベンダー派遣の外国人とバックグラウンドが全く違う人たちが開発にかかわりましたが、どうやってまとめていったのでしょうか。

プロジェクトが成功した理由は2つあると考えています。まず1つ目は目標の共通化と適材適所です。そして2つ目がプロジェクトを停滞させない早い決断です。

先程お話ししたとおり、社員、外部スタッフともに同じ部屋で机を並べて仕事をし、自立化プロジェクトの完遂という最終目標やコンセプトだけでなく、進捗状況などを共有するようにしました。そしてコンセプトや業務内容については、できるだけ具体的に説明し、疑問点などは当事者だけでなく関係するスタッフも入れて解決させていくように心がけました。そうすることで関係者間での心が通い、また理解が深められたと考えています。また、NCAとして決めるべき事柄は、時間をかけることなく責任を持って決断し、プロジェクトの進捗スピードを弱めませんでした。

会社側の意気込みや姿勢を感じ取ってくれたのでしょう。社員、外部スタッフとも、様々な難局を協力してうまく乗り切ってくれました。

適材適所とは、具体的にはどのようなことをされたのですか。

まずメンバーの得意分野や経験とスキルを整理/把握して、何を誰に任せるかを見極めました。そして直面する課題に対して適切なスタッフをダイナミックにアサインして解決にあたらせました。それでも足踏みしている時は、一緒になって善後策を練り方向性を示しました。人は全くの未経験の問題を誰の支えもなく、光が見えないままずっとやらされているとどんな優秀な人でもモチベーションは下がり、業務効率も落ちます。時間を置かずに目指す方向を具体的に示すことで、モチベーション維持に努めました。こうして、社内外を問わずスタッフ全員が持てる力を発揮しIT自立化プロジェクトに大きく貢献してくれました。もちろん、各ベンダーは、NCAを積極的に支えるべく良い人材を投入してくれました。

また、我々だけで解決できないような難題に直面したことも多々ありましたが、そんな時には相手ベンダーの役員レベルまで問題を持ち上げて交渉し、難局を切り抜けました。どのベンダーも役員レベルでの話となれば「ユーザを失敗させられない」という思いで問題解決に動いてくれました。

その一例を挙げると、貨物管理システムの本稼働時には、既存システムから完璧なデータ移行をしなければなりませんが、新旧システム間のコンセプトの違いや過去データの齟齬などがあって本当にハードルが高く、徹夜続きの作業が続きました。クリスマスや正月を前にしてIBSのスタッフは帰国したいところだったでしょうが、トップレベルでの交渉の結果、帰国を返上して頑張ってくれました。予定通りカットオーバーできたのも彼らのおかげだと感謝しています。

7. パッケージ・ソフトの導入を決断したもう1つの理由


自立化プロジェクトで一番大変だったことは何ですか。

大きな開発プロジェクトを複数同時並行的に進めることは、無謀な挑戦だったと言えます。特に運航業務/整備業務そのものをこれまでANAにお願いしていたことから、社内業務体制すらできていなかったこと、そして既存の貨物管理システムは大変複雑で大掛かりなシステムでしたから、これらすべてを短期間にスクラッチ開発するなど到底考えられませんでした。やはり、ここは実績のある高規格なパッケージ・ソフトをベースにしようと決断しました。ただ新貨物管理システム(i-Cargo)は稼働実績が全くないパッケージだったことから、世界最初のユーザになることへの不安はありました。

でも、今となっては笑い話ですが、最初に一番困ったのはパッケージ選定ではなく、データ・センターの広さをどのくらいにするかでした。大きすぎるとコストにムダがでるでしょうし小さすぎると将来の拡張に対応できません。まだ3つの基幹システムの姿が全く見えていない段階です。家の建築に例えれば、住人が誰でどのように住みたいか全く決まっていないのに、住人の数や要望を想定して注文住宅を新築するようなものでした。

しかし、データ・センターを開設させないと開発用サーバすら設置できず、次のステップに進めません。一日も早く適切な規模のデータ・センターをどうするか決める必要がありました。他の航空会社などを視察したりしましたが、結局は勘と度胸のエイヤーで決めざるを得ませんでした。すでに開設して5年経過しましたが、拡張性を保ちながらの整然とした無駄のない自営データ・センターで大小100台以上のサーバが順調に稼働しています。

パッケージ・ソフトを採用されたのは工期と費用の短縮とのことですが、それ以外にも何か狙いはありましたか。

システムの安定稼働は航空機の安全運航を支える生命線と言えます。パッケージ・ソフトをベースにすることで、その稼働実績から一定の安定稼働は担保されていると確信していましたし、機能面では先人の知恵が反映されています。もしフルスクラッチで開発したならば工期と費用は数十倍にもなったかもしれませんし、稼働当初の不具合発生は避けて通れなかったでしょう。ひょっとしたら飛行機を止める事態もあったかもしれません。本稼働=安定稼働が大命題でした。

またパッケージ・ソフトを利用すれば、機能改善や拡張はパッケージ・ベンダーが担ってくれます。そしてシステムの保守体制も契約次第で安定的に確保できるなどメリットは大きいです。

8. リリースまでの期間が1年短縮されるも、グランド・デザインに基づきしっかり対応


IT 戦略部主導で進めたということですが、使い勝手につながるユーザの要望はどう反映されたのでしょうか。

当初、自立化プロジェクトは3年で考えていました。2年で構築し、その後1年かけてテストを行いながら要望を組み入れていくつもりでした。しかし、2006年に燃料費が高騰し、経費削減を急ぐ必要に迫られました。ANAに支払うシステム利用料は高額でしたので、その削減のため1年前倒しで自立するという決定がなされたのです。そこでスケジュールを見直し、テスト作業と並行してユーザの要望を実装していくことにしました。

ユーザ部門の代表者にはミーティングに参加してもらうとともに、実際に操作してもらって感想を聞き改善を加えていきました。2年で開発とテスト、そしてユーザ部門の意見の反映と大変でしたが、プロジェクトを計画通りに進めることができて良かったです。

3年の予定が2年に短縮されて、スケジュールがさらにタイトになりましたが、それでもスケジュール通りに開発できた理由はどこにありますか。

とにかく無駄に時間をかけないこと、決めるべきことはできる限りその場で即決する。当然ですがその決断に必要な情報は少し先を読んで収集に努めました。

即決の例えとして、IBS本社の営業担当者が来日しプレゼンをしている最中に、その横でIBS本社(インド)を訪問する日取りを決め、IBS本社では社長との面談の中で契約の日取りを決めました。

普通ならば、一旦持ち帰って何度か会議を開き、いろんな視点で評価/検討を重ねに重ねた上で契約するかどうかとなるのが常道でしょうが、それでは結構な時間を費やすことになります。あっという間に数カ月~半年が過ぎてしまいITの自立化に赤信号が点ってしまいます。

普通ならこのような決断はオーナー社長しかできないでしょうが、その権限を与えてくれた経営陣には感謝しています。自立化プロジェクトが成功したのは、IT戦略部だけでなく、経営陣含めNCAの全社的なバックアップのお陰だと考えています。

SIerを使った方が、細かい調整に時間を取られず、工期を短縮できるという考え方もありますが、直接ベンダーとやり取りされた理由は何でしょうか。

SIerは製品や技術の知識はありますがNCAの業務については詳しくありません。業務に詳しくない会社/人が短期間で最適なシステム化提案や構築ができるとは思いません。しかも今回はゼロからの基幹システム構築ですから、極めて困難と言えるでしょう。であれば、業務に精通しているNCA社員が直接ベンダーとやりとりする方が効果的だと考えました。

9. 自立化プロジェクトが成功して社外からは本当に動いたのかと驚かれた


自立化プロジェクトの効果はいかがでしたか。

経営陣の要請通り、約2年で航空会社として必要な基幹システムを構築することができました。多くの人から「本当に動いたの?」と驚かれました。短期間であれだけのシステムをよく作り上げられたものだと、今さらながら自分たちでも感心するほどですので、驚かれるのも当然でしょうね。社内でもIT戦略部はよくやったと評価してくれています。
パッケージ・ソフトを使って短期間に基幹システムを構築したという噂は、国外の航空会社にも広まり、カンタス航空、ハワイアン航空、クウェート航空など世界の航空会社15社が視察にやって来ました。

自立化プロジェクトでは、業務改善や経費削減にも成功しました。業務の効率化は勿論ですが、基幹システムやデータ・センター構築などへのIT投資額の抑制が果たせましたし、年間のIT関連経費も38%削減することができました。

また、これまでのIT戦略部は、ヘルプデスクに代表される窓口や業務データの整合性監視などに奔走し時間を割かれていました。しかし、今回のIT自立化により基幹システム全体が統合化され自動運用監視の機能も完成したことから、これからはIT戦略部本来の役割に専念できるようになりました。操作性の改善や新機能の開発など、さらなる高度利用にIT部門のパワーを注いでいきたいです。

10. NCAにとってのアシストとは


アシストは自立化プロジェクトにどのように貢献できましたか。

アシストはNCAが必要としているシステムのパーツを適切な技術支援とともに提供してくれました。基本となるデータベースにはOracleを、システム間のデータ連携にはDataSpider Servistaを採用しています。

DataSpider Servistaは、当初、機体整備システムとボーイング社の「部品購買管理システム」の連携に限定利用していましたが、今では基幹システム全体の統合化においてシステム間のデータ連携で活用しています。最下流に位置する統合会計システム(i-Account)では、週次ベースでトレード/便別、契約別など様々な切り口で営業収支分析ができるようになっています。

また、システム運用監視面ではJP1を導入しています。さらに最近ではパイロットの操縦訓練や集合研修にeラーニング・ソフトのInternet Navigwareを導入し、国内外で活用しています。これまで利用していたASPサービス利用料や集合研修のための交通費/宿泊費の大幅な削減に繋がっています。

このように、4つの基幹システムすべてにパッケージ・ソフトを積極的に利用したのと同様に、ミドルウェアや各種ツールも徹底して、パッケージを採用しました。

こうしたツールは、アシスト以外からも購入できたと思いますが、なぜアシストから購入されたのですか。

アシストとは親会社の日本郵船も長い付き合いがあり、「こんなツールはないか」と相談すると色々な情報や提案をしてくれます。また、何と言ってもOracleやJP1をはじめとする技術支援力には定評がありましたから、アシストを選択するというのはむしろ自然の流れでした。

アシストは、我がことのように親身になってバックアップしてくれます。スムーズなデータ連携の達成やインフラ基盤の構築ができたのも、アシストのサポートがあってのことだと思っています。

NCAから見たアシストとはどのような会社でしょうか。

一言で言うなら、製品を売って終わりではなく、その後も誠実に責任をもって対応する会社であり、また有益な情報を提供し続けてくれる頼れる存在です。特に勉強会やアシストフォーラム、他社事例の紹介など情報提供はとても参考になっています。取引額に応じて対応が変わる会社は少なくありませんが、アシストはいつも同じスタンスで誠実に対応してもらえるのでありがたいです。

また、アシストは担当者が変わってもきちんと引き継がれるという印象があります。ベンダーによっては担当者がよく変わりますし、その都度一から話をする必要があります。これもアシストは顧客第一主義で一貫した責任体制をとっていることの表れでしょう。

11. 今後の展望とアシストへの期待


今後の展望について教えてください。

システムを使うのは最終的にユーザ部門ですので、そのためにはIT部門であっても常にユーザ部門の目線を忘れずに、さらなるシステム拡張/改善に取り組む強い組織体にしていきたいと考えています。

またITのプロとしての目利き力を培って良い製品を選択したり、良いソリューションを提案/実現できる集団となっていくよう努力していくつもりです。

今後のアシストへの期待を教えてください。

これまでのように、アシストが扱っていない製品を含め情報提供を続けてもらいたいですね。成田にいるとIT情報に触れる機会がなかなかありませんが、勉強会などでフォローしてもらえると助かります。

今回起用した国外のITベンダーのように、より業務に近づいて専門的な知識を深めていってもらえると理想的です。そうすればメイド・イン・ジャパンも、さらに強くなるのではないかと思います。期待しています。




取材日時:2011年7月
日本貨物航空のWebサイト

現在、日本貨物航空様でご利用いただいている製品、サービス
  ・リレーションナルDB / Oracle
  ・統合運用管理ツール / JP1
  ・データ連携ツール / DataSpider Servista
  ・eラーニング / Internet Navigware
  ・操作マニュアル作成ツール / Dojo
  ・デスクトップ仮想化ツール / Citrix XenDesktop
  ・BIツール /Cognos PowerPlay
  ・各種プロダクト技術支援サポート


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