NO.36 エクサ
株式会社エクサ(以下、エクサ)は、1987年(昭和62年)、日本鋼管株式会社(現JFEスチール株式会社)より分離独立以来、日本の基幹産業の激しい変遷をユーザと共に乗り越えてきた。ユーザ企業の情報システム部門を前身として半世紀近くにわたり、製鉄システムの開発から運用まですべての工程を経験。そこで培われたユーザ系IT企業としての深い業務知見を事業基盤に、日本アイ・ビー・エムとの資本提携により、開発ニーズへの適応力や世界の最新技術を取り込む力が加わった。ユーザ系企業のノウハウとグローバル企業の力。2つの強みを併せ持つことがエクサの特長である。巨大な生産機構を事故なく安全に確実に運用することを当たり前の品質として要求される製鉄の現場で鍛え上げられた技術力。さらなる品質向上と満足度向上に対する組織的な取り組み。そして、「尖った得意分野を有する特長あるITサービス企業」という目標を掲げ、現在のエクサが最も注力するソリューション・ビジネスへの新たな展望などについてお話を伺った。 |
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Guest Speaker
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もくじ
1. 2つの強みを併せ持つエクサ
エクサの企業概要、事業的な特長を教えてください。
私たちエクサの企業としてのルーツは、旧・日本鋼管株式会社(以下、NKK)の情報システム部門です。そして事業的なルーツは、製鉄工程を制御する生産システムにあります。
製鉄業は、日本のあらゆる産業を支える巨大な基幹産業の1つです。24時間365日絶え間なく安全で確実に生産が継続されなければならない、そんな性質を持っています。
私たちはIBMホストの初期ユーザの1社として半世紀近くにわたり、大規模な製鉄システムの開発から運用に至るすべての工程を経験してきました。その中でユーザ系IT企業としての業務知見と、高度なサービス・レベルを要求されるノンストップ・システムを総合的に管理できるマネジメント力を身に付けました。 |
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2. 厳しい製鉄の現場を支えるIT企業としての役割
大規模な生産機構を持ち、高い品質を厳しく要求される製鉄の現場で、IT企業としてのエクサが担う役割として最も重要なことは何でしょうか。
製鉄業は、大規模な生産機構を持つと同時に、生産に関わるほぼすべての工程がコンピュータ・システムによって制御されています。生産計画を立てるまでが人間の仕事であり、計画値や制御値がシステムに投入されてからはコンピュータと生産機構(高炉や圧延機)の仕事となり、人間の介在できる余地が極めて少ないという特性があります。
その製鉄の現場をITの力で支えることがエクサの役割ですが、その中でも最も重要となるのが、「システムを止めない」ということです。
私たちは1970年(昭和45年)から製鉄の現場で24時間365日の連続操業を担う生産管理システムを開発、運用してきました。
溶鉱炉の内部では鉄鉱石とコークスを高温で化学反応させ、精製された溶鉄(溶解した鉄)は、一定の高温度を維持し溶鉱炉から精出され次の圧延工程へ連携されます。
例えば、順番に部品を組み付けていくような製造ラインの場合、もし何か支障があれば、途中で止めることもできると思います。しかし、鉄の製造ラインは、溶鉱炉で溶鉄の精製を始めてから、製品になるまでは、一気呵成に進めなければなりません。「あ、間違えました」と簡単に高炉の火を落とすこともできません。システム障害だからといって、1,500度の溶鉄が高炉から取り出されようとしている工程に「待ってくれ」と言えるはずもありません。
こうしたことから製鉄の現場では、製品(鉄鋼)の品質を担保するための高温度管理や工程管理を極めて厳密に行う必要があります。制御機能や生産管理システムのミスが品質低下、場合によっては大きな事故をも招きかねず、結果的に分単位で数億円の損を出すことにもなりかねません。
システムを止めないために重要なことは何でしょうか。
こうした生産工程を計画通り安全かつ正確に制御・管理するために必要な要素は、(1)生産計画から生産管理に至る事業に精通したノウハウ(業務知見)、(2)あらゆる問題点を適切に解決できるソリューション(問題解決力)、そして、(3)問題を迅速に解決するための徹底したチームワーク(組織力)の3つだと考えています。
その中でもとりわけ、(3)問題を迅速に解決するための徹底したチームワークは、エクサが長年、製鉄の現場で培った経験から最も重視している要素です。
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最近よく耳にする機会の増えた24時間365日止められないことを意味するノンストップ・システムですが、中には、サーバ・メンテナンスなどで数時間程度サーバを停止することが許される場合も含めて、そのように言っているケースも見受けられます。しかし、鉄のノンストップ・システムは、物理面から一刻も止めることができない、文字通りミッション・クリティカルなノンストップ・システムです。 |
3. エクサの組織作り
エクサで最も重視される「チームワーク」は、どのような取り組みによって形成されているのでしょうか。
エクサには創業以来培った、チームで助け合って仕事を進めている、チームとしてお客様を支えているという「チームワークのDNA」もあります。しかし、いくらチームワークを重視しているといっても、その前提として社員一人ひとりが働き方と働き甲斐に満足していなければ、十分なチームワークを発揮することはできませんし、ひいてはお客様にご満足いただくこともできません。
徹底したチームワークを発揮するためには、社員一人ひとりの満足度向上が欠かせないということでしょうか。
そのとおりです。実はエクサでは、2000年代に入ってから、「選択と集中」と「事業構造とプロセスの改革」を柱に戦略施策を進めてきました。しかし、2003年度から2006年度の社員意識調査によるこうした変革に対する社員の好意度は30%にとどまりました。 |
図2.ITマップのイメージ図 |
- (1) 社員意識調査
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定期的に外部の調査会社を利用して「社員意識調査」を継続しています。この取り組みの狙いは、経営陣が実施した改革施策に対する浸透と定着度合いを「社員の声」として収集することです。その結果は、組織活性化策のあり方を見直すための重要な指標にもなります。
- (2) タウンミーティング
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次に、約1,000名の社員と社長が直接対話をする「タウンミーティング」を年間で70回ほど開催しています。社員に対し、経営陣の改革施策への取り組み姿勢や考え方を直接説明する他、直接意見交換を行うことで、社員一人ひとりから「生きた現場の情報」を得ることができます。「アンケート結果による情報」と併せて、定性情報と定量情報の両面からエクサの現在の姿を把握することが目的です。
この取り組みで、アンケート調査だけでは分からない苦労や悩みなども聞くことができました。元々お互いを「さん」付けで呼ぶ文化ともあいまって、ボードメンバーと社員の距離がとても近くなったと感じています。
- (3) 改革施策の取り組み進捗状況の開示
- そして、これらの取り組みの進捗状況を四半期ごとに社内のイントラネットを通じ、全社員に公開しています。タウンミーティングで討議された内容に対しても全社員一人ひとりに対して社長からのフォローアップ・メッセージを発信しています。
外部の調査会社を利用して「社員満足度」を調査する等は、比較的珍しい取り組みだと感じますが、その本当の狙いとは何でしょうか。
社員満足度調査を外部に委託するのは、単純に集計作業が大変だからという点もあります。また、より迅速で確実に網羅した情報を収集するためにも、外部の調査機関を利用することが合理的だと考えたからです。
それよりも、これらの取り組みの本当の狙いとは、社員一人ひとりが満足できる環境作りについて、社員と経営層が膝を突き合わせて考えることであり、社員同士がお互いを気にかけていることを実感することにあります。私たちは、こうした取り組みから生まれるエクサの社風を「あったかいIT」と表現しています。会社として「ちゃんと見ているよ」ということを経営層から社員へ、先輩から後輩へと示していく。こうした積み重ねがあってこそ、全員が一丸となれる徹底したチームワークを発揮できる。私たちはそのように考えています。
エクサがここまで組織作りやコミュニケーションに拘る理由とは何でしょうか。
戦略は実行されて初めて意味があります。いくら合理的な戦略を作っても実行できる組織能力と社員力がなければ、絵に描いた餅に過ぎません。組織能力とは社員力の集合です。つまり、「お客様の求めること」を把握するのも、それに対するイノベーションを作り上げるのも、お客様に直接接している社員です。
お客様が抱える課題に最適なソリューションを提供するために、社員一人ひとりが持つ技術力を問題解決に集約する「チームワーク」。
集約した技術力を効果的にマネジメントすることで、お客様のビジネス上で発生したクリティカルな要求に対しても柔軟に対応する「マネジメント力」。
お客様が抱える問題を解決することを大前提とした「相手の立場で考えた技術力」。
これらすべての基盤となるのが、自分の仕事に誇りを持ち、目標達成に向かっていく社員の存在であり、そのような「がんばる社員」が尊重され、自由に発言できる職場環境です。ですから、私たちは社員一人ひとりの力が最大限に発揮される仕組みや環境作りに取り組み、社員が主体性を持って、お客様の満足を追求するためにも、コミュニケーションに拘るのです。
私たちは、「お客様に対して労働力だけを提供するのではなく、人による付加価値を提供している」。そのような意識から、社員一人ひとりの自主性と創造性が発揮でき、お互いの個性を尊重できる、働き甲斐のある職場環境作りに努めています。
エクサの創業時の理念は、「社員一人ひとりがお客様に認められ、信頼される企業になること」というものです。そのコアの部分は、今も変わることなく、コーポレート・メッセージである「信頼という底力。」に込められています。私たちの取り組みは、最終的にはすべてこの「信頼という底力。」に繋がっています。
4. 「ムダ取りの文化」から生まれた取り組み
ここからは、2003年から2007年にかけて取り組まれた基幹業務解析システムのオープン化について、お聞きします。まず、その背景をお聞かせください。
製造業ではごく一般的なこととして、事業のどこかにムダは無いか、生産のどこかにムリは無いか、管理のどこかにムラは無いかといった「ムダ取りの文化」とでも言う行動原理が常に働いています。プロセスや作業効率を現場で点検し、それらを改善することを常に意識している訳です。
現場で明らかになった課題は、担当部門単位で検討し対策を講じる協議を重ねます。いわゆる「フィジビリティ・スタディ」を進める訳です。もちろん、情報システム部門も例外ではありません。エクサでは、長年こうした「フィジビリティ・スタディ」の場を経てお客様の様々な課題を解決する提案を積み重ねてきました。
そして、当時の課題で頭を悩ませていたものが、ホストの負荷軽減でした。生産管理システムとEUC(エンドユーザ・コンピューティング)環境で、必要な処理能力の資源競合が顕在化しつつあることなどが、検討の結果、明らかとなりました。
その中で、見直しのターゲットとなったのが「FOCUS」(レポーティング・ツール)です。1985年の導入から20年以上が経過し、実装プログラム本数が数万本に及ぶ巨大なシステムとなっていました。原価管理や工程管理といった、まさに生産管理の基幹部分に関係するシステムで、利用部門は30に及び、ユーザ数も多く、ホスト上でのCPU使用率も高い状態でした。
そこで、JFEスチールのシステム室から、現行のホストFOCUSをWebFOCUS
に置き換えることでホスト・システムとオープン・システムで負荷分散を図る改善案が発案されました。このJFEスチールの発案を受け、私たちエクサが具体策を策定しました。このように、情報システム部門としての改善提案として、ホストFOCUSのWebFOCUS
化を提案したというのが、今回の取り組みの背景です。
図1. メインフレームベースのEUC環境 |
図2. 資源競合の現状 |
5. ホストFOCUSのWebFOCUS化に際しての苦労
妥協を許されない厳しい環境下での取り組み。実際のプロジェクトではどのようなご苦労があったのでしょうか。
まず、今回のプロジェクトの発端は、新規の機能追加というような、エンドユーザからの要望や要求に基づいた案件ではないということがあります。つまり、エンドユーザからすると「何も変えて欲しくない」訳です。情報システム部門からお客様であるエンドユーザに「オープン化による情報システム環境の効率化」を提案した格好となるため、(1)利用資産の継承、(2)操作性の継承、(3)移行後の検証対応など、「現行環境を保証することを前提とした課題解決が必要だった」という点に最も苦労しました。
- 課題 1 利用資産の継承
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今回のような大規模なリプレースに際しては、データ移行が1つの課題となります。現行のデータ資産の中には、品質解析や工場の操業度分析、生産量のトレース分析など、事業を進める上で必要不可欠な重要なデータ群が含まれています。それらを活用するために新たにデータベースを構築し、データの利用環境そのものを移行させるとなると、データ構造やリポジトリの構成が変化してしまうことになります。データ分析業務に影響が及ぶことにもなりかねません。
であれば、「ホストのデータ資産をそのままオープン環境で利用可能にしてしまおう」という発想で、データはホストのファイル・システムのまま持つことにしました。エクサでは、データを高速に圧縮することのできるホスト上の製品(DCP:Data Compression Package)を20年以上前に開発していました。これをベースとしたソフトウェアを開発することで、この技術的課題をクリアすることができました。
この時に開発したソフトウェアは、オープン側の入力要求からホストに配置された圧縮データを取得し、高速に解凍処理とコード変換を実行、その結果をオープン側に返すものであり、その後、DIDA(ディーダ)と命名され、当社を代表するデータ・マイグレーション製品へと発展しました。
- 課題 2 操作性の継承
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新たにオープン化するということは、ブラウザで表示される画面は、基本的にはエミュレータ画面(3270)とは異なります。インターフェースが変われば、当然、新たに操作習得のための時間が必要になります。しかし、エクサの都合で、お客様に余計な工数を取っていただく訳にはいきません。そこで、操作キー割当てや、画面の表示形式そのものもホストとオープンで全く同じにする必要がありました。
この課題に対しては、コンバータ・ソフトを作成することで解決を図りました。ホストの画面定義や、操作キー割当ての情報を読み込むことで、自動的にブラウザ上にエミュレータと同じ画面を表示させるというものです。正直“やり過ぎ感”も否めませんが、ファンクション・キーもホストと同じように操作できるようにしました。
- 課題 3 移行後の検証対応
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お客様のプログラムやデータに対し大幅な移行作業を実施したわけですから、当然ながら移行結果を保証しなければなりません。
この課題に関しては、どうしてもお客様に動作検証作業に協力していただく必要があったため、技術的な部分よりも、むしろ人間系のところで苦労しました。そこで、まず利用頻度の高いパワー・ユーザで、かつ協力的なお客様から優先的に検証作業をお願いして実績を作り、そこから次の検証をお願いする担当者へと検証の輪を広げていくような進め方をしました。
図3. データ配置の考え方 |
図4. 操作性の継承 |
今回、ホストとオープン・システムを連携する部分や、コンバータ・ソフトについては新たに開発された訳ですが、その狙いはどういったところにあったのでしょうか。
工期の短縮が一番の狙いです。今回のような開発に取り組む背景には、普通に工数を積み上げていくような商売は成り立たなくなってきているということがあります。数万本のプログラムを数年かけて書き換えても、お客様の役には立ちません。
実際今回のプロジェクトでは、工期の短縮面でかなりの効果がありました。移行に際して、プログラムの使用実績から同類のプログラムを集約し、移行対象本数を数万本から3万本弱に削減したこともあり、実行計画が承認されてから移行実施に要した期間は、線表上で4か月間、実質的な工数としては約3か月でオープン環境に完全移行することができました。
6. 今回のプロジェクトにおけるアシストの役割
今回のプロジェクトで、アシストはどのような役割を果たしたのでしょうか。
今回のプロジェクトでは、zlinux(zOS上のLinux)にWebFOCUS
を導入したのですが、このプラットフォームが特殊だったのか、実に様々な問題に遭遇しました。
まず、事前検証を行った2005年のバージョンと移行作業に着手した2006年のバージョンで、互換性のない部分が見つかりました。さらに、ホスト上でのFOCUSプログラムの処理結果とzlinux上でのWebFOCUS
プログラムの処理結果が異なる場合もありました。
これらの問題を1つひとつ解決するために、当初はアシストのサポート・センターとやり取りを行っていましたが、なかなか思ったように進みませんでした。エクサからアシスト、そしてメーカーという情報伝達の流れの中で、どうしても電話やメールでのやり取りだけでは、意思疎通がうまくいかないところが出てきます。
そこで、アシストの営業に「このままでは、とてもスケジュール通りに進まない。なんとかして欲しい」と率直に訴えたところ、現場で一緒に作業をしてくれる技術者とメーカーと直接やり取りをしてくれる担当マネージャを急遽手配してくれました。
やはり、こういった問題解決には問題が起きている現場の空気を共有し、一人ひとりが持てる能力を発揮するのはもちろん、チームワークを最大限に発揮することが最も効果的です。そういった意味で、今回のプロジェクトでは、アシストはチームの一員として私たちの立場に立って取り組んでくれました。現場での作業を通じてユーザのニーズを把握し、それを責任を持ってメーカーに伝えてくれた役割は大きかったですね。
7. パートナーとしてのアシストに期待すること
パートナーとしてのアシストに期待することは何でしょうか。
これまでエクサは、製鉄業(製造業)のお客様を中心に、現場の要望やニーズに直接応えるITソリューションを提供することで存在価値を出してきました。
製鉄所では、システムに関する開発工程や試験工程に対しても本業の生産工程同様「合理化」や「効率化」を強く求められます。ホストの画面を自動的にHTML 化するコンバータ・ソフトや、プログラム工程を自動化するツール、テスト工程を省力化するためのテスト・ツールなどは、そうしたお客様からのご要望にお応えする過程で生まれてきたものばかりです。
エクサには、よそからソフトウェアを調達してくるよりも自分たちで作り込んでしまった方が早くて、安くて、手っ取り早いとする文化もあり、後から見た時に、お客様の予算の枠を超えて(機能実装等を)行ってしまっている場合があります。お客様から見れば開発コストを軽減することができたという点では、エクサの価値を感じていただけるのかもしれません。
しかしその一方で、エクサから見れば、そうして開発したソフトウェアには、その時の優秀な人間や、天才的な人間が作ったものも存在し、メンテナンス面や、プロダクト化を含む別システムへの転用などにおいては、開発者に依存した属人化や、そのプロジェクトだけで利用されると言ったプロジェクト依存が生じやすいという課題もあります。
目の前の要望やニーズに対し真正面から取り組むことはとても重要なことであることに変わりはありません。ただそれだけではなく、そこからさらに一歩踏み込んで、これまでに長い期間エクサが蓄積してきたサービス・ビジネスという資産を“かたち”にしたソリューションの事業化を強める必要があると考えています。
このような事業化を前提とした周辺状況も踏まえ、エクサがアシストと協業していくことは、非常に勉強になるところが多いと感じています。IT 技術は常に進化し、新しいものに移っていきます。それにともなってお客様のニーズも変化しますが、アシストのニーズを見る目には、確かなものがあると感じています。そういったものを学びたいと考えています。
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正直なところ、私たちが提供する技術力が果たして世の中のニーズにどれほど訴求力があるのか、製品力や技術力だけでビジネスは成立するのか、まさに五里霧中の状態でした。私たちの作ったものにお客様のご意見を反映させたい。お客様の求めるところをフィードバックして欲しい。それを伝えてくれる存在がアシストだと思っています。 |
8. エクサの今後の抱負
エクサの今後の抱負をお聞かせください。
エクサでは、「信頼という底力。」をキーワードに「ステークホルダーとの信頼関係を築き上げること」を重視した組織作りを心がけてきました。
このステークホルダーの輪には、お客様を始めとして、パートナー企業、株主、社員、ひいては社会への貢献、自然環境との調和にいたるまでを含み、これを素地としたエクサの経営戦略には「成長力の確保」「収益力の向上」「組織力・人間力の強化」の3つの柱があります。私たちは、「成長力」や「収益力」の基礎にあたる部分が「組織力・人間力」であると考えています。
競争の激しいIT業界において、今後もお客様に当社を選んでいただくためには、他社にはないエクサ独自のオンリー・ワンのノウハウを持つ必要があります。そのために、「尖った得意分野を有する特長あるITサービス企業」という目標を掲げて、社員一人ひとりの技術力向上に取り組んできました。
エクサの最も重要なリソースは、「技術」とそれを担う「人財」です。企業は、社員一人ひとりが能力を発揮し成果を上げることで成長します。一方、社員も自ら学び、社外でも通用するプロフェッショナルを目指すことで成長していきます。
これまでも、社員のキャリア・アップについては、当社独自のプロフェッショナル・スペシャリスト制度を導入し、人材育成と教育研修制度の充実を図ってきました。この制度は、エクサの社員がスキルアップしていく際の羅針盤となるもので、ITスキル標準(ITSS)を参考にし、多様化するお客様のニーズや急激な技術進歩に対応するために、エンジニアに求められる役割や専門性を体系化したものです。
今後の抱負としましては、こうした人間力を高める取り組みと併せて、今まで以上に組織力を高める取り組みを行っていきたいと考えています。そうすることが、エクサらしさや、エクサの強み、ひいては「あったかいIT」の体現に結びつくと考えています。
事業面では、我々の強みの1つである「徹底した問題解決力」、そして「長年エクサが蓄積してきた資産を〝かたち〟にするソリューション化」に組織を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
私たちは、製鉄業という日本の基幹産業に長年携わってきた経験から、足下の取り組みの中にこそ将来の成長の芽が隠されていると考えています。
そういった意味では、エクサにはまだまだ改善の余地や、やり切れていない部分としての「伸びしろ」が多分にあると感じています。そうした「伸びしろ」を埋められるよう今まで以上に研鑽を重ね、さらに新しい伸びしろを大きくしていきたい、そのように考えています。
取材日時:2009年10月
エクサのWebサイト
現在、エクサ様でご利用いただいている製品、サービス
・Webレポーティング・ツール/WebFOCUS
・統合システム開発ツール/PowerBuilder
・リレーショナルDB/Oracle
・統合運用管理ツール/JP1
・各種プロダクト技術支援サポート