NO.26 ダイヤオフィスシステム
オフィス移転やネットワーク設備など、オフィスのあらゆるニーズに対応する商社ダイヤオフィスシステムの皆様に、営業力強化の取り組みについて詳しく伺った。 |
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Guest Speaker
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もくじ
- 1. ダイヤオフィスシステムの事業 「総務の困った!」を解決する会社
- 2. オフィス移転のコツ
- 3. オフィス・レイアウトに、社内の職位を反映させるとコスト高になる
- 4. フリーアドレスも一長一短
- 5. オフィス移転ではITインフラ設計が重要
- 6. コピー機は、乗り換えられやすい商材
- 7. 総務部門への営業、ルート営業が必須
- 8. コピー機から入って、オフィス移転を受注する
- 9. ルート営業と案件営業を連携・連動させるためのコンセプト
- 10. ウェブハローの導入と以前の営業支援システム
- 11. 海外製SFAと案件追求型SFAは候補から外した
- 12. 製品選定の要件
- 13. アシストの組織力を評価
- 14. ウェブハローを導入して何が変わったか
- 15. 今後の期待
1. ダイヤオフィスシステムの事業 総務の困った!」を解決する会社
ダイヤオフィスシステムの事業内容についてお聞かせください。
ダイヤオフィスシステムは「オフィスの困った」「総務部門の困った」「情報システムの困った」をワンストップで解決する総合商社です。取扱商品は、コピー機の販売やメンテナンス、備品サプライから、文書管理、入退室セキュリティ、IT基盤構築、オフィス移転、それに伴うオフィスの設計・施工まで、多岐にわたります。コピー機は、昭和49年の設立当初からの取り扱いで、現在はネットワーク設計などのIT系を得意としています。 |
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2. オフィス移転のコツ
この事例の読者にとっても「オフィス移転」は一大イベントだと思いますが、「オフィス移転」について知っておいた方が良い知識があれば、お聞かせください。
「オフィス移転を成功させるために知っておいた方が良い知識」としては、例えば、次の三つが上げられます。
1.オフィス・レイアウトに、社内の職位を反映させるとコスト高になる。
2.フリーアドレスも一長一短である。
3.オフィス移転ではITインフラ設計が重要。
3. オフィス・レイアウトに、社内の職位を反映させるとコスト高になる
順番にお伺いします。オフィス移転に関して知っておいた方が良い知識その1「オフィス・レイアウトに、社内の職位を反映させるとコスト高になる」とは具体的には。
日本企業の机配置の形としては、課ごとに机を群集させて「島」を作り、その島の端の部分に管理職の席があるという「島型対向レイアウト」が一般的です。管理職になると、「部下よりも一回り大きい机に座れる」「椅子に肘掛けがつく」などの特典が得られます。
しかし、オフィス家具を役職で区別するのは一長一短です。管理職のモチベーションを向上させる効果はありますが、一方でオフィス維持管理の費用がかさみます。
島型レイアウトでオフィス維持管理の費用がかさむのはなぜですか。
例えば島型レイアウトでは、社員が課から課へ異動するたびに、着席位置も「島」から「島」へ移動しなければなりません。そのたびに、電話、電気、LANなど電設まわりの付け替えも発生します。
また、仮に課長が三人に増えた場合、肘掛けつきの椅子や幅広の机を新たに三つ買う必要が生じますし、新課長がそれまで使っていた椅子や机はどこかにしまわなければなりません。
最近はどの会社でも、昔に比べて組織変更が頻繁に生じています。ということは、職位を備品の形状や机配置で表現する島型レイアウトは、維持コスト面において不適切であると考えます。
では、どんなレイアウトが良いのでしょうか。
ユニバーサル・レイアウトが良いと考えます。ダイヤオフィスシステムでは、お客様には原則としてユニバーサル・レイアウトの採用を提案しています※2。
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ユニバーサル・レイアウトというのは、机の配置や椅子の形状に、権限関係を反映させないレイアウトです。机や椅子の形状は、管理職も一般社員も同じです。課ごとに「島」を作るのではなく、業務効率の向上を基準に机や備品を均等に配置します。 |
4. フリーアドレスも一長一短
「フリーアドレスも一長一短」とは。
フリーアドレスにすると、無線LANや社員人数分の携帯電話端末など、従来のオフィス・レイアウトでは発生しない初期コストがそれなりにかかります。また、ISOやISMS、内部統制などを社内に浸透させようとする場合には「書類の保管手順、保管場所」を厳格に定義、管理することが求められますが、社員があちこち出歩けるフリーアドレスでは、書類保管のルールを定めてそれを徹底させることは、通常のオフィス・レイアウトに比べて難しくなります。 |
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5. オフィス移転ではITインフラ設計が重要
オフィス移転に関して知っておいた方が良い知識その3「オフィス移転ではITインフラ設計が重要」とは、具体的には。
オフィス移転で重要なのは、レイアウトやデザイン等目に見える華やかな部分ではなく、むしろLAN、WANなどITインフラ設計の部分であると考えます。
この場合のネットワーク設計とは、アプリケーション層のことではなく、スイッチ、ルーターといった機器を含んだVLANの設計やセグメント分け等と、オフィス床下のLAN(WAN)の物理的な実配線によるネットワーク設計を指します。
床下ケーブルの設計は難しいことなのですか。素人考えでは「机の配置が決まったら、それに合わせてケーブルを這わせて終わり」のような気がします。
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机の配置が引越後もずっと変わらないのであれば、おっしゃる通り、机に合わせてケーブルを這わせて終わりです。 |
6. コピー機は、乗り換えられやすい商材
続いて、ダイヤオフィスシステムの営業面の特徴についてお聞かせください。
ダイヤオフィスシステムの営業先は、主に総務部門です。総務部門とお取引が始まる初商材はコピー機が多いのですが、コピー機の営業はなかなかの激戦です。
商材としてのコピー機は、第一に高額である、第二にチャージ料などの継続的な売上も期待できる、第三に操作方法も各社ほぼ同じなので乗り換えが容易、という特徴があります。「高価であるがゆえに競争相手が多く乗り換えも簡単なので、営業合戦が熾烈になる」商品がコピー機です。
コピー機の営業は、人間的でドロドロした世界です。コピー機と不動産仲介は、総務部門から敬遠される営業の双璧とも言われています。
このように熾烈な営業合戦においては、「攻めと守り」の両面の意味においてルート営業が有効になります。
7. 総務部門への営業には、ルート営業が必須
「熾烈な営業合戦において、攻めと守りの両面でルート営業が有効になる」とは、具体的には。
コピー機は3~5年のリース契約で納入することが多いので、乗り換えのタイミングを逃さないように各社の営業担当が総務部門に通います。これは営業の「攻め」の側面です。
一方、コピー機を納入した側の営業は、せっかく入れた商品が他社に乗り換えられないよう、普段から総務部門に頻繁に顔を出し、人間関係のパイプを太くして総務の人と「良好な関係を作る」必要があります。これは営業の「守り」の側面です。
総務部門と「良好な関係を作る」にはどうすれば良いのですか。
総務の人に好かれるには、相手にとって「役に立つ存在」「好ましい存在」になることが重要です。 |
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時々総務の人から「最近よく耳にする○○って、何なの?」と質問が来る場合があります。特にIT系は変化が激しく略語が氾濫するため、総務の人たちも新しく耳にする言葉が多く、自社の情報システムには直接聞けないようなことも、ダイヤオフィスシステムの営業担当者に気軽に相談されることもあります。そこで回答を調べて的確な答えをお返しすれば、相手にとって「役立つ存在」になれます。
8. コピー機から入って、オフィス移転を受注する
このように総務部門への営業には、頻繁に訪問を繰り返し「役立つ存在」であることをアピールする「ルート営業」が必須になります。このルート営業を繰り返すなかで、総務部門が管轄する業務で最も大きな案件である「オフィス移転」を受注できれば理想の展開です。
このオフィス移転という案件を確実に獲得するには、まず「もうすぐオフィス移転がある」という情報を逃さずキャッチしたり、移転の話が出たら声をかけてもらえるような関係を築いていなければなりません。そのためにも、恒常的・継続的な日頃のお付き合いが重要になります。
我々は「コピー機から入って、オフィス移転を受注する」と表現しますが、これは「ルート営業の積み重ねのなかで、大規模案件を獲得する」という営業体制を象徴しています。
2007年にアシストからウェブハローを導入したのは、「ルート営業と案件営業の連携・連動」を目指してのことです。現在は社員154名全員で活用しています。なお、ウェブハローにはカスタマイズは加えず、パッケージの設定変更のみで活用しています。
9. ルート営業と案件営業を連携・連動させるためのコンセプト
「ルート営業と案件営業の連携・連動」は、どうすれば実現できるとお考えですか。
「スケジュール」「活動報告」「案件管理」の三要素を「案件」あるいは「顧客」で紐付けできれば、「ルート営業と案件営業の連携・連動」が可能になると考えます。詳しくは次の通りです。
1.営業マンがお客様先に行く。
→「スケジューラ」への入力
2.お客様先に行った。案件を発見した。あるいは案件が進展した。
→「案件進捗(案件営業管理)」への入力
3.お客様先に行った。しかし案件の発見・進捗は発生しなかった。
→「活動報告(ルート営業管理)」への入力
上記の入力で蓄積されたデータを「顧客名」で串刺し検索すれば「顧客関係管理(CRM)」が実現します。一方、「案件」で串刺し検索した場合は「案件管理(SFA)」が実現します。
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10. ウェブハローの導入と以前の営業支援システム
ダイヤオフィスシステムでは、ウェブハロー導入以前は「ルート営業と案件営業の連携・連動」をどのように行っていたのですか。
1974年の会社創立から2001年までは、紙で営業日報を書いていました。しかし紙の集積では、検索が不可能です。顧客とお付き合いが長くなればなるほど管理が大変になり、顧客関係管理も案件管理もできていませんでした。
2001年からは、グループウェア(Lotus Notes、以下Notes)を導入しました。しかしNotesでは、「スケジュール管理」と「活動報告(日報)」は別々の機能であり、互いの関連付けはできませんでした。
また日報のデータ量が増えるにつれて、動作が重くなることも問題でした。特にネットワーク回線の細い支店から利用しようとした場合、重すぎて実行不可能な状態でした。
2007年にNotesの保守契約が切れるということで、この機会にSFA&CRMの製品選定を根本から見直すことに決めました。
11. 海外製SFAと案件追求型SFAは候補から外した
SFAの製品選定にあたり、何を基準にされましたか。
まず「海外製SFAは候補から外す」という基準を設けました※4。海外のSFAは「案件追求型」なので、総務部門とじっくり付き合うような「ルート営業」の管理はできないだろうと判断したからです。同様の理由に基づき、日本製の有名なSFAであっても「案件追求型」の製品は候補から外しました。
最終的に、日本製のSFA 6製品が比較検討の対象として残りました※4。
※4
Notesの継続利用も候補に残しました。
12. 製品選定の要件
その6製品をどのようにして比較検討されたのですか。
6製品の比較検討のプロセスは以下の通りです。
1.社内でSFAプロジェクトを発足させる。
2.プロジェクトチーム内で要件を定義。
3.定義した要件は一覧表にまとめて候補6社に渡す。
4.6社すべてにプレゼンテーションをしてもらう。
5.それを経営企画室および現場営業マネージャが「採点」する。
SFAプロジェクトのリーダーは、菅原様が担当されたとのことですが。
プロジェクトリーダーは、システム担当者ではなく、営業経験の長い菅原が担当しました。SFAは、第一線の営業が製品選択から詳細設計まで担当すべきであるという方針から、過去に大型案件を多数担当し、ダイヤオフィスシステムの営業を熟知していた菅原が抜擢されたのです。
候補6社に渡した要件(説明を希望するポイント)は表1の通りです。
プレゼンテーション終了後に採点を集計したところ、アシストのウェブハローともう一社が最終候補として残りました。プロジェクトチーム内で再び協議した結果、ウェブハローを採用することに決めました。
■ 案件営業型とルート営業型が共存できるか | |
現状 | 案件を立てて、その案件に対する活動報告を残すタイプと、案件ではないが活動報告を残すタイプがある。 |
補足 | 案件営業型の他にルート型、御用聞き型の営業スタイルもあり、両方のタイプが同じ顧客に対して発生する。 |
■ 顧客の会社名が変わったり、当社の営業担当が変わった場合の処理(手間)は | |
現状 | 文書単位で修正するものが多く、かなり手間がかかる。 |
補足 | 弊社内での組織改編や担当変更が多く、修正の手間が多いと採用は難しい。 |
■ データベースは何年分通しで見られるか | |
現状 | 徐々に重くなってくるので、1年分をアーカイブして別DBとして保存。 |
補足 | Notesでは、案件情報、活動報告を年単位でアーカイブしており、継続案件以外は数年分を通して見ることができない。 |
■ 予実の数値管理はどこまでできるのか | |
現状 | 「売上見込金額」「粗利見込金額」「負担金」等の項目はあるが、「予算」という概念はなく対比ができない。 |
補足 | 新しいSFAでは「売上見込金額」「粗利見込金額」「負担金」等、これに加え「他部署への振替」項目と「予算との対比」を追加したい。 |
■ スケジュールとSFAの相関関係は | |
現状 | 現行ではNotesのアドオン・アプリケーションを使っているが、リンクしていないので、日報へ「次回訪問予定」を入れてもスケジュールには反映しない。 |
補足 | 一体化していることが望ましい。 |
■ 携帯からのスケジュール確認は可能か | |
現状 | 外出先からのスケジュール確認はできない。 |
補足 | 社員へ支給している携帯のモデルは、au。 |
■ スケジューラーで、会議室予約や備品の管理は可能か | |
現状 | 会議室予約や備品の管理が可能。 |
補足 | 今回のSFAでも必須。 |
■ 基幹システムとの連携は可能か | |
現状 | 連携不可。顧客情報も別々に入力している。 |
補足 | 顧客情報や実績は基幹システムと共有したい(基幹システムから取り込みたい)。 |
■ ワークフロー機能は持っているか。もしくは後から追加できるか | |
現状 | 現機能にはない。 |
補足 | 今回は、SFAのグループウェア機能に取り込めるワークフローを希望。各種申請や交通費精算、出張旅費精算など一般的な書式のみ使用。 |
■ SFAの中で、顧客に提出した「提案書」とリンクを張れるか | |
現状 | 別DBに「提出資料」があるが、あまり利用されていない。 |
補足 | ファイルサーバ内の顧客別フォルダ内のファイルとリンクさせたい。リンクしていることが日報の中で明確に判るようにしたい。 |
■ データベースの内容を任意にCSV等の汎用的な形式で書き出し可能か | |
現状 | 書き出し可能。 |
補足 | 新しいSFAでも必須。 |
■ ポータル画面はあるか | |
現状 | 現機能にはない。 |
補足 | 上司コメントやスケジュール、ワークフローの申請承認依頼の有無を、SFAの1つの画面で確認したい。 |
■ 概算金額はいくらか | |
補足 | SFA、ワークフロー、基幹連携等、できるだけ項目別に分解して提示してほしい。 |
13. アシストの組織力を評価
ウェブハローは、最終候補に残った製品と比べて何が良かったのですか。
アシストはもう一社に比べて、会社の体制が相対的に優れていました。それがウェブハローを最終的に選んだ理由です。
アシストは、販売体制、サポート体制において営業担当者やSEが独立して活動しているのではなく、互いが有機的に組織化されている印象がありました。またソフトウェア商社という業態にも、会社としての「引き出しの多さ」を感じました。
SFAは購入して終わりの商品ではなく、むしろ導入してから社内に浸透させ、真に使いこなすまでに時間がかかる商品だと考えています。総合的なサポート体制がある会社と付き合うべきだと考えました。
「アシストのサポート体制(引き出しの多さ)」を実感できた例はありますか。
「顧客マスタの二重化」の問題は、アシストの提案により解決しました。
かつてのシステムでは、顧客マスタをNotesと基幹システムで二重管理していました。顧客マスタが複数存在するとメンテナンスにも時間がかかり、入力ミスや変更忘れといった理由で顧客名の整合性が取れなくなるため、「顧客名」で串刺し検索できなくなります。これは「使えるSFA&CRM」を構築する上で致命的なことです。
アシストに相談したところ、「DataSpider
というツールを使うと、基幹システムとSFAの顧客マスタを夜間バッチで同期を取れる」と提案があり、問題の解決に至りました。この仕組みはアシスト自身も使っていると知り、安心できました。
14. ウェブハローを導入して何が変わったか
ウェブハローを導入したことで、ダイヤオフィスシステムの営業は何が変わりましたか。
常にアンテナを立てて、お客様とコミュニケーションできるようになってきたと思います。
システムを入れ替えるということは、旧システムでできていたことは当然新システムでもできなければならないし、できていなかったことも実現しなくてはならない。ウェブハローはこの要求を満たしてくれました。現場の営業も、ストレスなく使ってくれています。今後10年は持ちこたえることのできる「営業活動の基盤」が確立したと考えます。
15. 今後の期待
アシストへの今後の期待をお聞かせください。
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ダイヤオフィスシステムは、今後も「総務の困った」をワンストップで解決する商社としてさらに進歩し続けたいと思います。 |
取材日時:2008年7月
ダイヤオフィスシステムWebサイト
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