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NO.18 日本精工

ベアリング製造で日本トップ、世界で3位のシェアを持ち、NSKのブランドで知られる日本精工。商品としてのベアリングの魅力、そしてグローバル企業ならではのIT活用の課題について、経営企画本部のお二人に詳しく聞いた。

Guest Speaker
日本精工株式会社
執行役 経営企画本部 副本部長
御木 高直 氏

経営企画本部 IT企画部 部長
藤井 伸浩 氏


1. 日本精工の業態


日本精工の業態について教えてください。

日本精工は、ベアリングで国内最大手の会社です。2006年度の売上は、連結で7,172億円、従業員23,413人。日本でのシェアは35%でトップ・シェアを誇ります。

ベアリングは、ネジ、歯車と並ぶ製造業の基本部品なので、需要は世界中にあります。日本精工の海外生産拠点はヨーロッパ、北米、南米、アジア、オーストラリア合わせて13カ国56拠点、販売拠点は25カ国124拠点、技術拠点が9カ国12拠点であり、グローバルな製造業と言えます。

ベアリングは、外輪、内輪、転動体(ボール)、保持器からなるシンプルな構造です。しかし、その歴史、物性、用途、いずれをとっても魅力的な物体です。

ベアリングには、ボールベアリングの他、テーパーベアリングなど様々な種類があるが、ここでは、一般に最も馴染みの深いボールベアリングを例にした。

2. 実は魅力的な物体~歴史、物性、用途から見た「ベアリング」の魅力


「ベアリングが、歴史、物性、用途、いずれをとっても魅力的な部品である」とは具体的にはどういうことでしょうか。

ベアリングの歴史の魅力は次の2点です。

 1. ベアリングの原理は、古代エジプト時代(あるいはバビロニア時代)に遡る。
 2. ベアリングの最初の設計図はレオナルド・ダ・ヴィンチが書いた。

ベアリングの物性による魅力は次の3点です。

 1. ベアリングのボールは地球上で最も丸い物体である。
 2. ベアリングは構造がシンプルであるがゆえに、高度な製造技術が必要である。
 3. ベアリングはめったに壊れない部品である。

ベアリングの用途による魅力は次の4点です。

 1. ベアリングは、物が回るところには必ず存在する。
 2. ベアリングは産業の米である。
 3. ベアリングがダメだと、歯が痛くなる。
 4. ベアリング技術が向上すると、石油消費量が減る。

3. ベアリング 歴史の魅力~
  「古代エジプトに始まり、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計した原理不変の道具」


では順々にお聞きします。「1. ベアリングの原理は、古代エジプト時代(あるいはバビロニア時代)に遡る」とは。

べアリングの仕組みの原理を使ったもので最も古いものは、エジプトのピラミッド建設に使われた「ころ」です。

ピラミッドに使う石が地面にべったりくっついていたら摩擦が大きく動かせません。そこでエジプト人は、石の下に丸太を置くことを思いつきました。こうすれば、地面と触れ合う面積が小さくなるので、摩擦力も小さくなります。しかも丸太は丸いのでころころ転がります。

この知恵のおかげでエジプト人は「ころ」の上に大きな石を載せてたくさん運べるようになり、そのおかげでピラミッドができました。

「2. ベアリングの最初の設計図はレオナルド・ダ・ヴィンチが書いた」とは。

現存する最古のベアリングの設計図は、15世紀にレオナルド・ダ・ヴィンチによって書かれたものです。ダ・ヴィンチは、エジプトの「ころ」の仕組みをぐるっと一回転させて円の形にすれば、少ない摩擦で回転ができると考えました。これが今のベアリングの原理です。

ベアリングの原理は、古代エジプト時代、ピラミッドの石を運んだ原理と基本的には変わっていません。

4. ベアリングの物性の魅力


「1. ベアリングのボールが地球上で最も丸い物体である」とは。

いかに完全な球を作るか。これがベアリング製造の肝です。凸凹が全くない完全球体であれば、理論上は、周囲と一点でしか接しません。一点でしか接しないので摩擦は最小になります。丸ければ丸いほど良いベアリングです。
しかしながら、この世の中には完全な球体は存在しません。どこかしら必ず凹凸があります。

例えば、パチンコ玉。形状はベアリングによく似ています。しかし、パチンコ玉を地球大に拡大した場合、表面の凸部分は富士山ほどの高さになります。丸さが足りない。

一方、ベアリングのボールは、凸部分は鎌倉の大仏程度しか誤差が許されない。ほぼ真球と言っていい。ベアリング球は、今地球上にある物体の中で最も丸い物体の一つです。

藤井様にお聞きします。「2. ベアリングは構造がシンプルであるがゆえに、高度な製造技術が必要である」とおっしゃいましたが、もう少し具体的に説明していただけませんか。

例えば、家電製品やパソコン。これらは、製品をばらせば構造がわかるので真似されやすい。一方、ベアリングは、極めて単純な構造です。家電製品よりずっと簡単に真似できるでしょう。

では、同じものを同じ精度で大量に作れるかというと、製品を見ただけではその方法は絶対にわからない。企業秘密は製品だけにではなく、ベアリングを作るための生産技術にもあります。製品を見ても作り方がわからないので真似されにくい。だから特に高品質が求められる用途のベアリングについては、後発の国にはまだまだ追いつかれない、と思っています。

「3. ベアリングはめったに壊れない部品である」とは。

車検の時に、べアリングを交換したという話はほとんど聞いたことはありません。たいていの場合、バッテリーなどの電装部品などのほうが先にダメになります。機械の基礎をなす部品ですから、寿命に関しては他の部品よりもオーバースペック気味に作る必要があります。

5. ベアリングの用途の魅力


「1. ベアリングは、物が回るところには必ず存在する」とは。

地球上にどれぐらいの数のベアリングが存在しているか。おそらく何千億個という数になるはずです。回転することで摩擦を少なくしてスムーズな動きにすることが役目ですから、物が回るところには必ず存在しています。

自動車、電車、自転車、家の中にあるテレビ、掃除機、エアコンなどの家電製品、コピー機やパソコン、そして人工衛星に至るまであらゆる機械に組み込まれています。

小さいものだと小型モーターに使われる外径2ミリ(ボールの直径0.3ミリ)のものから、大きいものだと発電所のタービンに使われる直径7メートルのものまで大きさも幅広くあります。

「2. ベアリングは産業の米である」とは。

洗濯機からロケットまで、ありとあらゆるものを動かすベアリングは、鉄鋼や半導体とも並び「産業の米」と呼ばれています。

「3. ベアリングがダメだと、歯が痛くなる」とは。

虫歯を削る時に使うウィ~ンと回る歯医者さんの研磨ドリルを思い出してください。この研磨ドリルで使われるベアリングは、1分間に40万回転の超高速で回ります。

それだけ高速で正確に回ると限りなく振動が少なくなります。これでなるべく歯の痛みを感じる神経を無駄に刺激することなく、痛みを大幅に軽減します。

逆によく回らないと振動して歯が痛くなるというわけです。

「4. ベアリング技術が向上すると、石油消費量が減る」とは。

ベアリングがくるくるとよく回ることにより、地球規模でのエネルギーの無駄遣いをなくすことができます。

例えば車に使うガソリンです。もし自動車にベアリングがなかったとしたら、日本では年間60万キロリットル、ドラム缶で富士山の720倍のガソリンが無駄に使われるという計算になります。

6. ベアリング製造における情報システムの役割とは


ここまでは、歴史、物性、用途、それぞれからベアリングの魅力についてお聞きしました。続いてベアリング製造における情報システムの役割について伺います。

前述した通り、ベアリング製造には高度な技術が必要となります。製造に際し、高度なソフトウェア技術を活用していますが、製造に関わる情報技術はあまりに専門的です。

ここでは、「グローバルな製造業として世界192箇所に拠点を持つNSKが、いかにして世界各地の情報を東京本社に集約しているか。いかにして世界192箇所を統制しているか」という基準からお話しします。

NSKの情報活用の特徴については、以下のような視点から述べることができます。

 ・世界各地に工場を建てる場合、予期せぬインフラ不足に苦しむ。
 ・NSKが、海外の会社のM&Aを行った場合は、品番の統合を行う。
 ・NSKは、年に一度、世界中の情報システム関係者を集めて会議を行う。
 ・グローバル企業であるNSKにとっての情報システムは、地球規模の大きな体の隅々まで張り巡らせた
  「神経」である。
 ・大事なのは、中央集中ではない。標準化である。
 ・標準化は重要だが、国ごとに違っていて良いこともある。
 ・世界規模の「見える化」をいつか実現したい。
 ・意思決定の際、「製品軸」、「地域軸」、「機能軸」の3つの軸のどれを優先させるかが悩ましい。
 ・外部環境の変化に耐えられるデータベースを構築する必要がある。

7. 海外での工場建設の苦労


それでは順に伺います。「世界各地に工場を建てる場合、予期せぬインフラ不足に苦しむ」とはどういうことですか。

製造業ですので工場を作らなければなりません。工場は広い土地と水利が必要ですから、大都会ではなく郊外に作ることが多く、電気ガスなどのインフラから引くことになります。ネットワークも「回線が細い」というレベルではなく、回線そのものがない。頼んで引いてもらう他はない。

8. M&A後に真っ先に行うのは品番統合


「NSKが、海外の会社のM&Aを行った場合は、品番の統合を行う」とは。

日本精工は工場の合併などM&Aを世界各地で頻繁に行っています。M&Aがあった際に真っ先に行わなければならないこと、それは品番の統合です。

製造の現場を知らない方の中には、「品番の統合など簡単」と思われる方もおられるかもしれない。しかしここに手をつけるのは、非常に勇気と努力を要します。

品番の統合とは、今までその工場で使ってきたものを、「今日からその名前は使えません。この名前にしてください」と言うことです。製品にこめられたその会社の文化を否定することにもなります。

ですから通常は合併しても、合併した側はされた側を気遣ってなるべくそこには手を付けたがりません。でもあえてそれをやらなければならない。なぜなら世界中で同じものは同じ品番にしないとデータベースの全体最適化ができないからです。

9. 各国のマネージャが一堂に会して討議


御木様に伺います。「NSKは、年に一度、世界中の情報システム関係者を集めて会議を行う」とは。

NSKでは92年から「WISE会議」と呼ばれる国際会議を実施しています。WISEはWorldwide Information System Exchangeの略で、日本、北米、南米、ヨーロッパ、アジア各国のITマネージャが年一回、一堂に会し、三日間討議をするものです。会議の内容は、前年度の施策の成果、およびその年の方針とIT施策の発表です。

ここでは細目に渡るまですべて英語で行われます。朝から晩まで英語づけで正直つらい部分もありますが、このWISE会議の実施には非常に大きな意義があります。

必ず年一回、ITマネージャが集まることで、情報システムの施策に血を通わせることができる。施策や方針を掛け声だけで終わらせず、担当者一人一人の腹に落とすことができます。

昔は東京本社からの一方通行で終始する、正直言ってセレモニー的な会議でした。でも最近は違います。会議中は実質的な議論や質問が活発に飛び交っている。昔と比べ各拠点の実力が上がってきたことを感じます。

このWISE会議の一番大きな目的は、実は会議の内容そのものではなく、世界各地の担当者が集まってコミュニケーションを取ることです。お互いの顔を見ながらリアルに話せば国を超えて心が通い合います。「その後のノミュニケーション」も、大変重要なのです(笑)。

10. 情報システムは身体に張り巡らせる神経


「グローバル企業であるNSKにとっての情報システムは、地球規模の大きな体の隅々まで張り巡らせた『神経』である」とは。

「本部が知りたいことが、リアルタイムでわかる」状態であることです。これは例えですが、社長室に大きな世界地図があるとします。昨日までの売上報告や在庫が未達とか、何かトラブルがあるとそこだけ赤く点滅している。『南米地域は黄色信号になっている。これは早急に手を打たないとならない。担当者に連絡しよう』。こういった状況を目指しています。

人体において神経は体中に張り巡らされています。神経が麻痺すれば、「痛い」「かゆい」「熱い」など各部位の情報が伝わらない。NSKにとっての情報システムも、常に隅々まで張り巡らせていて、かつ麻痺してはならないのです。

11. 商習慣は標準化できない


「標準化は重要だが、国ごとに違っていて良いこともある」とは。

何もかも標準化すればいいというものではなく、標準化しなくても構わないものもあります。商習慣などがそうです。

例えば、イタリアでは製品を搬送するたびに政府発行の番号入りの書類を添付しなければなりません。書類印刷時にプリンターが詰まってある番号が欠けたとしたら、その詰まったくしゃくしゃの紙を添付する。ラテン系の国なのにずいぶん厳しいと思いますが、万事鷹揚な国民性だからこそ、そこまで徹底しないとみんな守ってくれない。

このように、その国ならではの決めごとがいろいろあります。それは現地それぞれのやり方に従ってもらえばいい。

12. NSKの「見える化」とは


「世界規模の『見える化』をいつか実現したい」とは。

NSKでは「見える化」という言葉がまだなかった時から、「VISIBILITY」という言葉を使い、WISE会議でよく議論をしていました。一個の大きな箱にどーんと世界中のデータを入れる。ただ入れるだけでなくデータの基準を揃え、定義を揃える。一瞬にして誰でもが一元的にわかる仕組み。これが私たちにとっての「見える化」です。

先日、あるグローバルな自動車製造会社の方がNSKのシステムを見て、「よくこんなことできますね」と感心されていました。世界規模の「見える化」は今どんどん進んでいます。

13. 3つの軸、どれを優先させるか


「意思決定の際、『製品軸』、『地域軸』、『機能軸』の3つの軸のどれを優先させるかが悩ましい」とは。

「製品軸」とは、各国の同じ製品事業部ごとの命令系統。「地域軸」とは、国、あるいは地域ごとの命令系統。「機能軸」とは経理、業務、生産など業務別の命令系統のことです。

かつては、「地域地域できちんとまとまればいいじゃないか」というだけの話でした。でもグローバル化が進めば進むほど、この3つの軸のどれを優先するか、どうまとめていくかが難しくなってきた。実際にはこの3つが複雑に入り組んでいるからです。

例えば、あるシステムを導入する時に、生産部隊は認めていないが、事業部本部はOKだという場合がある。どの軸を優先するのか試行錯誤を経た結果、現在では、「製造業であるからには製品軸を優先させよう」という方向にきています。製品事業部本位で損益を出し、地域本部や機能本部はそれをサポートしていく形をとっています。

14. 変化に耐えうるデータベースの構築が目標


御木様にお尋ねします。「外部環境の変化に耐えられるデータベースを構築する必要がある」とは。

今は変化の時代です。世界も、市場もどんどん変わる。それにつれて会社の考えも、方針も、組織も変わっていきます。事業部単位で行っていたことが、ある日事業部そのものがなくなったりするわけです。

そこで私たちができることは、何が変わっても、どんな状況になっても大丈夫な、変化に動じないデータベースを作ること。整理整頓してすぐに取り出せて、基準が揃っているデータです。それさえあればあとはどんな切り口からでも分析できます。

データベースの統一化をさらに徹底していくことが今後の課題です。

15. アシストの活用法について


NSKではアシスト製品をどう活用していますか。

アシストさんとのお付き合いは、25年前、メインフレーム用FOCUS(レポーティング・ツール)を購入したことから始まりました。自分で好きな情報を見られるようにするために、ユーザ部門からシステム部門に依頼して導入したものです。以来、「エンドユーザ・コンピューティング」をFOCUSを中心に進めてきました。

現在は、情報システムを会社の神経として機能させるための重要な位置づけとして、FOCUSのWeb版であるWebFOCUSを全世界標準の情報活用ツールとして採用しています。すでに、日本を含むアジア圏、北米の一部では稼働しており、今後、欧州、米国、アジアすべてに展開していきます。WebFOCUSに、NSKの「見える化」の重要な役割を担わせようと考えています。

アシストへの今後の期待をお聞かせください。

NSKのIT部門はスローガンとして「安全、安定、安心」を挙げています。

「安全」は保護されていること、安定は問題を起こさないこと。その結果、みんな安心する。アシストさんにはこの3つの「安」というところに切り込んで、それを補完するようなシステムやパッケージを提案してもらいたいと思います。アシストさんとはもう25年ものお付き合いです。これからも期待していますので、どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、読者にメッセージがあればお願いできますか。

ベアリング製造会社である日本精工は、皆様の目には地味な会社に映ると思います。しかし、実は意外に、安定性と楽しさを兼ね備えた会社です。

第一に「安定性」。

他の製造業、例えば、デジタル・テレビ、オーディオなどの家電製造などは製品の入れ替わりが激しく戦国時代を迎えています。それに比べベアリングという製品は100年前からある部品です。

第二に「楽しさ」。

日本精工は、ヨーロッパ22カ国をはじめ、海外に192箇所の拠点を持っています。海外駐在を経験したいと思われる方には、日本精工は穴場的企業です。日本精工では、社員は希望すれば海外に駐在できます。私達も海外駐在を経験していますし、これまで20数カ国への出張経験があります。

お子様やご親戚で、就職を間近に控えた方がいらっしゃれば、日本精工を候補に加えていただければ幸いです。




取材日時:2007年10月
日本精工株式会社のWebサイト

現在、日本精工様でご利用いただいている製品、サービス
  ・リレーショナルDB
  ・Webレポーティング・ツール
  ・統合運用管理ツール
  ・帳票ソリューション
  ・操作マニュアル作成ツール
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