TOP>企業情報>コラム>お客様の声>NO.17 穴吹工務店

NO.17 穴吹工務店

穴吹工務店は、全国マンション供給数第三位の大手だが、都会での知名度は高くない。なぜなら穴吹工務店は地方重視の会社だからである。穴吹工務店情報システム部十鳥正一氏(写真中央)と、穴吹システムズ井坂正浩氏(写真右)、植松章氏(写真左)に、同社の業態と情報活用の工夫について詳しく聞いた。

Guest Speaker
株式会社穴吹工務店
情報システム部 次長
十鳥 正一 氏

株式会社穴吹システムズ
ソリューション事業部 部長代理
井坂 正浩 氏

ソリューション事業部
システム開発第2グループ
マネージャー 植松 章 氏


1. 穴吹工務店の概要


穴吹工務店の概要を教えてください。

穴吹工務店は、地方都市でのマンション開発に強みを持つ建設会社(ゼネコン)です。九州から北海道まで全国各地で自社ブランドであるサーパスマンションを開発、販売しています。本拠地は香川県高松市。2006年度の年商は、単体で1,414億円。2006年のマンション発売戸数は、大京、三井不動産レジデンシャルに次いで、全国第三位です

通常、マンションは、デベロッパーと建設会社が協同して作ります。デベロッパーが、用地選定、企画、販売を行い、建設会社が実際の施工を行うという分担となります。一方、穴吹工務店は、用地選定、企画、設計、施工、販売、管理、アフター・サービスまですべての工程を単独で行います。このようにデベロッパーとゼネコンを兼ねた業態は異色だと思います。

(株)不動産経済研究所の発表に拠る

2. 特色その1 マンション開発を得意とする


穴吹工務店の業態の特色をさらに詳しくお聞かせください。

穴吹工務店の特色は、「マンション開発を得意とする」、「地方を重視する点が普通のマンション販売会社と違う」、「だからお客様にとって安心して住めるマンションを提供できる」という3つの視点から説明できると考えます。

順々にお聞きします。視点その1 「マンション開発を得意とする」とは。

穴吹工務店は年商1,414億円のゼネコンです。この規模のゼネコンは、道路づくり、橋づくりなどの土木工事から、ビルや施設の建設までオール・ラウンドで仕事をこなすのが一般的です。しかし穴吹工務店は、創業者の強い思いにより、マンション開発に強みを持つ建設会社となりました。

2006年度売上1,414億円の内訳は、分譲マンション事業86.3%(1,221億円)、請負事業その他が13.6%(193億円)です。実に、8割以上の売上をマンション分譲から得ています。

3. 特色その2 地方を重視する点が普通のマンション販売会社と違う


視点その2 「地方を重視する点が普通のマンション販売会社と違う」とは具体的にはどういうことですか。

マンションというと「都会的な住空間」というイメージがあります。東京や大阪など大都市では、大手デベロッパーが、華やかな仕様の高級マンションを、市街地に建てて分譲しています。

一方、穴吹工務店は、人口3万~50万ぐらいの地方小都市、中規模都市が主なエリアです。

この「地方重視の姿勢」について、様々な視点からさらに詳しく述べてみます。


1. 「普通の生活者のためのマンション」
穴吹工務店の主なお客様は、地方都市の30代半ばの、普通の収入を得ている、普通の生活者です。サーパスマンションは、普通の生活者が安心して暮らせる、よい意味での「普通のマンション」です。

2. 「地方でなら実需に合った無理のない企画ができる」
地方都市は、大都市に比べ、市場の変動が少なく、購入者のニーズが読みやすい場所です。市場の変動が少ないということは、「過去のデータが現在も使える。データに基づく市場調査が有効になる」ことを意味します。市場の実情を把握し、実需に合った無理のない企画が立てられます。

3. 「工事は現地の工務店に発注」
穴吹工務店はゼネコンですから、実際の工事は協力会社に発注します。地方都市でのマンション建設は、原則として、地元の工務店に工事を発注します。

4. 「社員も地方に密着させる」
穴吹工務店では、社員を地方に転勤させる時も、原則として単身赴任を認めません。社員は、家族同伴で現地に住み、生きた生活情報を収集します。その土地特有の生活ニーズを生活者視点から把握できます。

4. サーパスマンションが紹介成約4割である、その理由


視点その3 「だからお客様にとって安心して住めるマンションを提供できる」とは。

サーパスマンションの成約経路は、4割が「すでに入居しているお客様からの紹介」です。また、前述したとおり、穴吹工務店は、用地選定、企画、設計、施工、販売、管理、アフター・サービスまですべての工程を一貫して行います。これをATD(アナブキ・トータル・デベロップメント)システムと呼んでいます。

このATDシステムの、お客様にとってのメリットは何か。お客様側の言葉で表現すれば、「穴吹工務店なら、何かトラブルがあっても逃げない(逃げられない)」となります。だから、お客様も安心してご紹介いただけるのではないでしょうか。穴吹工務店は、紹介成約4割という数字を誇りに思っています。

しばらく前に、マンション耐震強度偽装の問題が世を騒がせました。マンション販売会社、施工会社、設計者が、互いに責任をなすりつけ合い、お客様から逃げようとしていました。しかし、穴吹工務店のサーパスマンションでは、そのようなことは起きません

「サーパスマンションは、すべて規定の耐震強度をクリアしています」。

5. ATDを支えるデータベースの 理想像とは


穴吹工務店のマンションづくりにおける、情報システムの役割をお聞かせください。

マンションの企画、設計、施工、管理を一貫して行うATDシステム。我々はATDを使って、2006年度全国で4,689戸のマンションを建てました。ATDをスムーズに実現し、その進捗を高松本社で的確に把握するためには、データベースの充実が重要です。

穴吹工務店における、マンションづくりに必要なデータベースの概要は以下のようになります。

1. 「マスターの基本は、マンション物件そのもの」
穴吹工務店のマンション・データベースのマスターは、マンションそれ自体をキーとする、物件起点のデータベースです。マスターを構成する主な情報は、名称、所在地、土地の情報(広さ、容積率、価格)、住戸情報(どういうタイプの住戸が何戸あるか)などです。ある都市にマンションAを建てることが決定した場合、データベースのマスターにマンションAが追加されます。

2. 「進捗や段階に応じて、マスターに必要な情報が加わる」
マンションAの開発計画が進むにつれ、マンション・データベースに情報が次々と追加されます。施工段階においては工事原価の情報が、営業段階においては見込み客情報が、分譲後は入居者情報、管理情報、トラブル情報などが追加されます。また、将来のマンション企画に役立てるための「入居者のナマの声情報」も追加されます。

3. 「同じデータでも用途、呼び名が変わることがある」
あるお客様の情報は、営業段階では「見込み客情報」として販売管理データベースに登録され、主に営業部が活用します。しかし、ご成約いただいた後は、そのお客様の情報は、「入居者情報」となり、主にアフター・サービス部門が活用することになります。販売管理データベースと、アフター・サービス・データベースの間で、お客様情報をスムーズに受け渡しできなければなりません。

4. 「年間6,000戸を着実に施工するための統合データベース」
サーパスマンションの年間着工数は約6,000戸です。年間6,000戸のマンション建設を滞りなく終えるためには、施工作業に、無理、無駄、しわ寄せなどが生じぬよう、年間を通じて、バランス良く仕事が流れる必要があります。全国6,000戸分の仕事の流れを、高松本社で全体把握するには統合データベースが重要です。

以上が、マンションづくりに必要なデータベースの理想像ですが、かつては理想像からかなりかけ離れていました。各部門ごとに、データベースやExcel、Accessが乱立し、データ定義も部門ごとにバラバラで、全体整合性を欠いていました。

6. 「マンションの着工予定日」が部門ごとに違っていた


「データ定義も部門ごとにバラバラで、全体整合性を欠いていました」とは具体的には。

具体例として「マンションの着工予定日」の項目を使って説明します。かつては現場部門、安全管理部門、財務部門が、「マンションの着工予定日」というデータベース項目に別々の日付を記入していました。

まず現場部門にとって、着工予定日とは「工事開始予定日」のことです。工事開始予定日とは、人が現場に入って作業を開始する、その初日のことです。普通の感覚では、この日を着工予定日とするのが自然です。

しかし、安全管理部門にとっては、着工予定日とは、「重機搬入日」を指します。重機とはパワーショベルなど機械類、道具類を指します。安全管理部門の感覚では「人が作業を始めていなくても、道具が入っていれば、事故が発生する可能性はある。したがって重機搬入日を着工予定日とするべき」となります

さらに財務部門にとっての「着工予定日」は、「着工決裁予定日」。つまり、「工事を始めて良いかという伺い書類に対し、工事を始めて良いと決裁する(ハンコを押す)予定日」のことです。この解釈は利益計算を行う管理会計の視点に基づいています。ある工事において、着工決裁予定日から完工予定日までを工事予定期間と見なします。その期間中に生じた費用を工事原価と見なし、その工事原価を基に、その工事の利益率を算出するわけです。このため財務部門にとっては、着工予定日は、着工決裁予定日のことです。

このように、「着工予定日」という一見、単純な言葉一つでも、部門ごとに定義が違いました。穴吹工務店のデータベースのマスターを統合するにあたり、この「部門ごとの言葉の定義の違いをどう克服するか」が大きな課題となりました。これについてはアシストから購入したOracleを用い、解決を図りました。

労働災害に関する法律に基づいて考える場合でも、重機搬入日を着工予定日とするのが妥当です。

7. 「社内各部門のデータベースを一元化するためのデータベース」とは


具体的には、どのようにして解決を図ったのですか。

各部門間のデータ定義の違いを解消するために、各部門に乱立しているデータベースに統一定義したマスターを提供するためのデータベースとして、「社内各部門のデータベースを一元化するためのデータベース」を構築しました。

各部門にある数十のデータベース「それ自体」を一つに統合することはしませんでした。そうではなく、それら数十のデータベースを「仮想的に」一つにまとめるようなデータベースを追加することにしました。今あるものはそのまま使い続ければ良い。ただし、検索や抽出などを正しく効率的に行えるよう、すべてのデータベースに共通のキーを与えられるようにしようと考えたのです。

このデータベースができたことにより、「ATDシステムという一貫開発のコンセプトに沿った情報の流れを実現する」という理想像に、大きく前進しました。

8. アシストへの評価


穴吹工務店では、Oracle以外にもアシスト製品を利用していますか。

アシストからはOracle(データベース)以外にも、Performance Insight(データベースのパフォーマンス管理ツール)、JP1(統合運用管理ツール)、WebFOCUS(Webレポーティング・ツール)を導入しています。

アシストへの評価をお聞かせください。

アシストについては、技術力、アフター・サービス力、提案力を評価しています。

第一に技術力。アシストはOracleについて知識が深い。メモリー管理などの中でも難易度の高い質問をしても、ほぼ即答で返事が返ってくる。頼りになります。

第二にアフター・サービス力。Oracleについての深い知識を基に、使いこなしに役立つ的確なアドバイスをしてくれます。Oracleの新機能を利用するかどうか相談した時にも「この新機能はまだ使わない方がいい」という的確な情報を教えてくれる。Oracleの味方ではなく、穴吹工務店の味方をしてくれます。

最後に提案力。2007年に、アシストから、Performance InsightというOracleのパフォーマンス管理ツールの提案がありました。データベース監視はOracleの導入当初から課題項目として挙がっていましたが、多額の追加投資が必要なため足踏みをしていました。アシストの提案は、追加費用を5年間のトータル・コストの視点から見たもので、追加投資に対するインパクトの非常に小さいものでした。コストを抑え、かつ保守サービス・レベルを向上できるユーザ側の立場に立った良い提案でした。

個人的には、重厚長大なシステム会社よりも、アシストのような身軽な会社の方がつき合いやすく感じます。重厚長大な会社は表面的には安心感があります。しかしそのような会社では、社内で管理コストが膨大に発生しています。その管理コストは、どこかで価格に転嫁されてくるでしょう。

大きなシステム会社から買おうと、アシストから買おうと、どこから買ってもOracleはOracle。製品自体は同じです。同じ製品を買うのなら、身軽で、知識が深く、かつ営業マンの目が輝いている会社から買う方が良いように思います。

9. 今後の期待


今後のアシストへの期待をお聞かせください。

今回、アシストの支援を通じ、穴吹工務店のデータベース統合は大きく前進しました。ご支援有り難うございました。アシストには、今後も、今の軽快さ、深い知識、技術力、提案力、ユーザ・サイドに立った価値観を通じて、穴吹工務店の情報活用の進化および深化をご支援いただくことを希望します。アシストは独自の価値観を持った会社だと思います。特にビル・トッテン社長には、個人的に興味を持っています。おもしろい人ですね。

これからも応援します。良い関係を続けていきましょう。




取材日時:2007年9月
穴吹工務店のWebサイト

現在、穴吹工務店様でご利用いただいている製品、サービス
  ・リレーショナルDB
  ・Webレポーティング・ツール
  ・パフォーマンス管理ツール
  ・統合運用管理ツール
  ・帳票開発支援ソフトウェア
  ・各種保守サポート


Facebookで情報をお届けしています

Facebookでは、アシストの「今」を週3回のペースでお届けしています。「めげない、逃げない、あまり儲けない」を合言葉に日々頑張っておりますので、応援よろしくお願いします。



ページの先頭へ戻る