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NO.14 アップルワールド

海外ホテルの予約に特化し、ニッチの中でトップとなった旅行会社、アップルワールド。そのユニークなビジネスモデルに、WebサイトやIT活用がどう関わっているかを聞いた。

Guest Speaker
株式会社アップルワールド
取締役企画販売部長
武原 等氏

取締役システム部長
雙木好美氏

メディア企画制作部部長
小島 智氏


1. 海外ホテルの予約に特化した旅行会社


アップルワールドの業態についてお聞かせください。

アップルワールドは、業態としては、「旅行会社」で、旅行業として登録されています。ただし「海外ホテルの予約」に特化しています。大手旅行会社のように、パックツアーの企画はしていませんし、航空券の予約もほとんど扱っていません。「ホテルの予約」を中心に提供しています。

主力サービスは、「海外ホテル検索予約」サービスです。図1のようなものです。

図1 アップルワールドのトップページ

大まかには、楽天トラベルや一休など国内ホテル予約サイトの、海外ホテル版とお考えいただいて結構です。世界各国のホテルの空室状況をリアルタイムで調べ、予約することができます。

2. 世界各国のホテルの空室状況を、リアルタイムで調べ、予約ができる?


一生活者として、驚きを感じています。世界各国のホテルの空き室状況を、「リアルタイム」で調べ、予約ができるんですか。

さらに詳しく説明いたします。世界各国とは、文字通り世界のすべての国と解釈いただいて結構です。アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアはもちろんのこと、南洋のパラオ諸島や、南米トリニダード・トバゴ、キューバのホテルもインターネット予約が可能です。カバーしていないのは、南極、北極、北朝鮮ぐらいなものです。

各国の主要都市だけでなく、地方都市のホテル予約も可能です。例えば、スペインであれば、マドリッドやバルセロナのような首都、大都市のみならず、アルコス・デ・ラ・フロンテーラやアビラなどの地方の小都市のホテルも、予約が可能です(図2)。

図2 スペイン・アビラ検索結果
スペイン、アビラ、8/1から一泊、一人部屋で検索したところ、4件にヒット。検索時間4秒。

3. リアルタイム空室検索の実際


「世界のホテルの空室状況を、“リアルタイム”で調べられる」との説明でした。遠く離れた外国のホテルの状況が、“リアルタイム”で分かるのですか。

はい、リアルタイムで分かります。リアルタイムとは約30秒以内と解釈してください。

例えば、フランス、パリのホテルの空き室状況を、Webで照会したとします。「○月○日に、パリ市内で空いているホテルを知りたい。宿泊費は、○円から○円ぐらいまで」という条件検索を行ったとして、パリ市内の契約ホテル500軒の空室状況をリアルタイムで照会し、30秒以内に、検索結果をWebに表示します。使い勝手は、国内ホテルの空室状況の検索と、ほぼ同じです。

4. ハイシーズンやイベントの際に威力を発揮


本当に、“リアルタイム”の、つまり“その時の”、空室データが分かるのですか。それとも、各国の空室データをバッチ処理か何かで、毎日、日本のサーバに取り込んでいるのですか。その場合、分かるのは「昨日までの空室状況」ですか。

本当に、リアルタイムの、検索した“その時の”空室状況が分かります。空室状況を調べるときは、各国のサーバに直接アクセスします。スペインの空室状況を調べる時は、スペインのサーバを見にいきます。バッチ処理などで、日本のサーバに空室データを取り込んでいるわけではありません。

このリアルタイム空室照会は、海外旅行の盛期、ハイシーズンの時に威力を発揮します。例えば、パリやミラノでファッションショーが開かれる時期には、現地のホテルも大変に混み合います。そういう時に、インターネットで一気に、ホテルを探し、予約までできれば便利です。

逆に、インターネットなしでホテルを確保するのは、非常に大変です。各ホテルに片っ端から電話しなければなりませんから。

ドイツでサッカーのワールドカップが開催された時は、「決勝戦の当日のベルリンで空いているホテルは無いか」という検索ニーズが生まれました。ホテルは当然、混雑している。しかし、何が何でも宿を確保したい。空室状況は、日一日、刻一刻と変わる…。こういう場合にも、インターネットによる空き部屋探しが威力を発揮します。

アップルワールドでは、「空室状況が分かる」だけでなく、予約もできるのですか。

はい、できます。日本語で予約でき、日本円(クレジットカード、ネットバンク、リアルバンクなど)で決済ができます。

5. 海外ホテル予約システムは自社開発


ここまでご説明いただいた、リアルタイム・海外ホテル予約システムは、どうやって開発したのですか。

すべて自社開発です。外注は、原則として、使いません。外注するよりも、自社開発の方が、良いシステムが作れると考えました。アップルワールドのシステムは、アップルワールドの特殊なビジネスモデルを理解していないと作れませんから。

世界中のホテルをリアルタイムで予約できるシステム。それを自社開発したとは驚きです。どんな技術を使っているのですか。

申し訳ありませんが、企業秘密なので、お伝えできません。さわりだけ申しますと、弊社の情報システムを支えているものは、個別のコンピュータ技術というよりは、むしろシステム設計の「発想」といえます。

6. アップルワールドにとってのITの意義


アップルワールドにとってのITの意義は何になりますか。

アップルワールドにとってITとは、第一に「商品販売のインフラとしてのIT」であり、第二に「顧客満足を維持しつつ、コストを削減するための道具としてのIT」であり、第三に「業態を180度転換させるための起爆剤としてのIT」です。

第一の意義、「商品提供のインフラとしてのIT」について。アップルワールドは、「海外ホテルの空室を仕入れて、国内で販売する」という業態です。「海外ホテル空室を扱う専門商社」とも表現できます。そんなアップルワールドにとってのIT(Webサイト)は、「海外ホテルの空室」という商品を、国内の個人旅行者に販売するための「店舗」、法人ユーザに提供するための「チャネル」となります。

第二の意義、「顧客満足を維持しつつ、コストを削減するための道具としてのIT」について。2005年までは、旅行会社向けに、世界各国のホテルの部屋の料金表を、分厚い冊子にして配っていました。しかし、2006年からは、冊子の配布は中止し、ホテルの料金はWebで調べてもらうことにしました。お客様にとっては、インターネットでの検索の方が、即時性の点で便利です。一方、アップルワールドにとっては、大きなコスト削減になります。

Web中心のビジネススタイルへの移行は、お客様とアップルワールドの双方に、メリットをもたらしたと考えます。

第三の意義、「業態を180度転換させるための起爆剤としてのIT」について。1991年の創立当初、アップルワールドは、大手旅行会社に、海外ホテルの空き部屋の枠を販売する、卸売り専門のB2B商社でした。個人向けの「小売り」は一切行っていませんでした。それが今や個人向けインターネット販売(小売り)の方が会社の顔となりました。91年当時は、100%電話による販売でした。しかし今は海外ホテル予約の98%がインターネット経由です。旅行会社向けの卸売りも、徐々にインターネット活用の度合いが増しています。

この10年でアップルワールドの業態は大きく変わりました。社員数は、往時に比べ、少なくなりました。しかし、売上(ホテル予約取扱数)は、今の方が上です。社員一人当たりの売上は、200%を上回る伸びを見せています。

この生産性向上はITに負うところが大きい。アップルワールドが、今のポジションを取れているのは、ITのフル活用に拠ると言って、過言ではないでしょう。

アップルワールドでは、大手旅行会社や各種ポータルサイト(約400サイト)向けに、海外ホテル枠を一括で仕入れて、提供する、「商社」のようなビジネスも行っています。

7. 最もつらかった経験。ホテル予約システムがトラブルで停止


取締役企画販売部長の武原様に伺います。
アップルワールドのこれまでの情報システム拡充の歴史をふりかえるとき、いちばん大変だったことは何ですか。

2004年に、ホテル予約処理システム、つまり、弊社にとっての基幹システムを、PC-LANベースの「APPLE」システムから、Webベースの「VOYAGER」システムへ全面更新しました。その「VOYAGER」が、稼働開始から2週間ぐらいの間、まともに稼働しませんでした。旅行会社向けの卸業務も、個人のお客様向けの予約代行業務も、どちらもストップです。

数年前、大手銀行が合併した時に、システムが動かず、連日、新聞で報道されたことがあります。あの時、その銀行の窓口担当やシステム担当の社員は、針のムシロに座る思いだったそうです。当時は、それを他人事として聞いていました。しかし、自分が経験して分かりました。本当に針のムシロです。

それまでアップルワールドは、電話でのお問い合わせに誠実に答えることが自慢の会社でした。電話が鳴ったら、ありがとうの気持ちを込めて3回鳴るまでに受話器を取る。それがアップルワールドのモットーでした。

ところがシステムトラブル。お問い合わせの電話がジャンジャン鳴ります。あまりに問い合わせが多く、10コールのうち3コールしか電話が取れない。残り7コールは5分待って、10分待って、繋がらないので、お客様に無言で電話を切られる。

お客様が電話の向こうで何を思っているのか。想像して恐怖を感じました。足下から土台が崩れていく気がしました。お客様からクレームがあった時には、いくら若年で未経験であろうとも、自分が全権代表ですという顔と気持ちでお客様対応に臨まなければなりません、一対一で、誠心誠意、対応すれば何とかなります。気持ちは通じ、先も見えます。

でもシステムトラブルは、先が見えない。お客様にどれくらい迷惑をかけているのかも、明確につかみづらい。この苦しく申し訳ない状況が終わるのは、明日なのか、一週間後なのか、10日後なのかも見えなかった。もしや、このままトラブルが解決せずに、どこかのタイミングで、社員の誰かが『もう耐えられません』と絶叫し、内部崩壊して、すべてが終わるのではないか。私は、気が遠くなりそうでした。

その後システムは、何とか2週間で復旧しました。あの2週間は、私の25年の会社員生活の中で最も苦しい経験でした。今、思い出しても、息が詰まります。

8. システム・トラブルが解決した後、お客様に、どう対処したか。


システム復旧後、顧客には、どのように対処しましたか。

主なお客様には、誠心誠意、頭を下げて回りました。1万件のお客様すべてを回ることはできないので、直接足を運べないところにはFAXでお詫び状を送りました。このシステム・トラブルが大きな取引停止につながらなかったことは、不幸中の幸いでした。

2004年4月16日のシステムの大トラブル。その後、システム部の責任を問いつめましたか。例えば、以後は、システムの内部制作をやめて、外注に切り替えるという措置を取ったりしましたか。

いえ、そのような責任追及はしていません。システム・トラブル後も、雙木さんをはじめとするシステム部員に、私は全幅の信頼を置いています。今後もシステムは内部制作。一蓮托生です。

外の世界に「青い鳥」がいるとは考えません。職業柄、すごいITシステムを持つ大手通販会社の役員の方とお酒を飲むこともあります。そして分かることは、彼らも結局、自社のシステムにいらだちを感じていること。どの会社でも期待と現実にはギャップがあります。そのギャップを、他人事ではなく、我が事として捉え、埋めていくことができる人財。それは雙木さんを始めとするアップルワールドの社員をおいて他にはいないと考えています。

9. コンテンツに自信があるからこそ選択したWebサイト運営へのCMS活用


ところで、アップルワールドでは、現在アシストの製品をどう活用していますか。

アシストとは、Oracle の購入を通じて、付き合いが始まりました。最近は、Webコンテンツ管理システム、NOREN を導入しました。アシスト製品の活用範囲は、年々ひろがっています。

Webコンテンツ管理システム(CMS)を導入した理由は何ですか。

分散サイト向けコンテンツの、XMLによる一元管理。これを簡単かつ低負荷で行いたいと考え、CMSの導入を決めました。

今やアップルワールドのWebサイトに掲載しているコンテンツは、大使館や観光案内所などの、公共(半公共)の機関、あるいはMSNやExciteなど各種ポータルサイトでも「二次利用」されるようになりました。この場合、提携先のサイト・スタイルに合わせ、カスタマイズを行わねばなりません。手作業で行っていては、作業負荷が増えるばかりです。

こういう場合はXMLを使うのが得策です。一つのコンテンツを一度作れば、それが提携先サイトに配信され、手間は大幅に減ります。

しかしXMLの活用には、ある程度のIT知識を要します。アップルワールドの現場社員には、正直、難しい。そこで、CMSを導入し、高度なIT知識なしにXMLが活用できる環境を作ろうと考えたのです。

10. 現場はCMSに何を求めるか


数あるCMS製品群の中から、NORENを選んだのはなぜですか。

企画制作担当の責任者である小島さんが強く推したからです。価格的には、NORENがいちばん高価でした。しかし、現場がNORENを推すなら、それが良いだろうと。自分の好みの道具を使って、いい仕事をしてもらう方が、会社としても、プラスだろうと考えました。

では、メディア企画制作部の小島様にお聞きします。なぜNORENを推したのですか。

いろいろな製品を見比べました。その中で、私をいちばん本業に集中させてくれそうに思えたのがNORENでした。

私は、メディア企画制作部に所属しています。パンフレット、Webサイトなど「制作物全般」はすべて私の仕事です。特にWebサイトは、個人のお客様に直接接する「会社の顔」ですから、構成、レイアウト、文章などすべてに細心の注意を払わねばなりません。

今回、CMSを導入することになり、各社から提案を受けました。ある製品の営業の方は、『この製品はとても自由度が高いので、どんなサイトでも自由自在に作れますよ』とご説明くださいました。何でもできる自由度の高さを追求したその製品。素晴らしいと思います。でも、自由度が高い製品を使いこなすには、サイト構造その他を、すべて自分で“自由に”いちから考えないといけません。

私のメイン業務はコンテンツの制作およびサイトの運営です。仕事の重要度は、「コンテンツ作り」が一番で、「サイト構造の設計」は二番です。したがって、サイト構造を、「いちから自由に考える」あまり、コンテンツ作りに割ける時間が少なくなるのは、良くないことです。自由度の高いCMSは、コンテンツ志向の現場には、少々、荷が重すぎました。

一方、NORENは、「自由度は、ほどほどだけど、すごく使いやすい」という製品でした。技術に詳しくない人でも、ある程度の知識があればWebサイトが作れます。Windowsが使える人、エクスプローラなどでファイル操作ができる人なら、使いこなせます。絶対これが良いと思い、雙木さんに強く推薦しました。

11. 今後のアシストへの期待


それでは、最後に今後のアシストへの期待をお聞かせください。

10年後のアップルワールドはどうなっているのかとふと考えることがあります。我々はこれまで10年の間に、「電話の会社」から「Webの会社」に変わりました。次の10年では何の会社に変わるのか。確たる答えは出ていません。しかし10年後もITを主軸にしていることは、間違いなかろうと思います。

ということは、アシストの皆さんに情報活用のノウハウなどで、支援を仰ぐ機会はさらに多くなりそうです。今後とも、高い技術力と手厚いサポートで、倍旧の支援をお願いいたします。




取材日時: 2007年6月

現在、アップルワールドシステム様でご利用いただいている製品、サービス
  ・リレーショナルDB:Oracle
  ・コンテンツ・マネジメント・システム(導入支援サービス含む):NOREN
  ・各種保守サポート

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