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プレミアムインタビュー 「いいね!」と言われるITサービス 
       もっとユーザーに喜びや感動を

2018年09月25日

■プロフィール
1994年清水建設に入社。会計システムの開発を経て、情報インフラ基盤の企画・導入に従事。
PCからLAN、WAN、仮想化基盤、Oracle、DRサイトなど幅広く構築を行う。2017年より社内向けITサービス業務に携わる。登山と野菜作りで日焼けが気になる50歳。

清水建設株式会社 市橋様

日本を代表する大手ゼネコンの1社として、国内外で数多くの大型建築プロジェクトを手掛ける清水建設。
高層ビルディングから社会インフラ、寺社仏閣など伝統建築に至るまで、実に多様なジャンルの建設事業を展開するとともに、近年ではスマートシティや温室効果ガス排出削減プロジェクトなどサステナビリティ事業にも力を入れています。
そんな同社の情報システム部門では、常に先端技術にアンテナを張り、業界に先駆けて先進ICT技術を使った業務改善に努めてきたほか、近年ではICTを使った働き方改革にも力を入れています。こうした取り組みについて、同部のシステム運営グループを率いる市橋章宏氏に語って頂きました。



シミズを支える情シスで24年、常に先端技術にアンテナを張る

会社のIT方針や開発部門からのリクエストに応えるために、どのように部門間連携を行ってきましたか。

シミズの情報システム部では「ゼネラリストを育成する」という方針の下、定期的に人事ローテーションを実施しています。
インフラエンジニアが一定期間開発グループに異動したり、逆に開発エンジニアが運用の仕事を経験するような人事ローテーションを行っています。私も1994年に清水建設へ入社した当初はインフラ部門に配属され、その後希望して開発部門に異動となり、5年半ほど会計システムの開発に携わった後、またインフラの仕事に戻ってきました。
そのような背景もあり、インフラ部門と開発部門の関係は極めて良好です。開発部門からは気軽に「こんなインフラは用意できないの?」と相談してもらえますし、インフラ部門からも「こんなものがあったら便利じゃない?」と提案できますから、そうやって両部門が密接に連携することでユーザー部門に優れたI Tサービスを提供できていると感じています。

スピーディーにITサービスを提供できるようにIT部門が時代の流れに先んじてキャッチしてきたのですね。

先進技術という意味では、「この技術を使うとどんなサービスを実現できるだろうか」ということを常に考える文化が根付いていると思います。「建設現場」という特殊な環境ですから、全国に地理的に散らばっており、かつ一時的に設置する多数の建設現場をITで如何につないで管理するか、独自の工夫が必要です。
施策のひとつとして、社内のITリソースを中央でプールしておき、現場の要望に応じて随時切り出して提供するプライベートクラウドのような取り組みを2000年代初頭から始めました。建設現場を立ち上げる際に素早くI T 環境を構築したり、開発部門にI Tリソースを提供する上でも、この仕組みが極めて役立っています。


働き方改革の取り組みにおけるシステム運用の役割

ユーザーに快適なITサービスを提供できるようになれば、働き方改革にも貢献できますね。

現在、在宅勤務の制度を試行中ですが、当社ではデータの入ったPCを社外に持ち出すことは原則禁止しています。しかしそれでは社外で業務を遂行できないので、システム運営グループから新たな施策を提案しました。
ひとつは、ディスクを暗号化して、なおかつ、いつでもリモートロック・リモートワイプできる仕組みを備えた「高セキュリティPC」という持ち出し専用のセキュアなノートPCをシステム運用グループで提供することです。これに加え、iPadを使って社外から社内のPC環境にリモートデスクトップ接続できる環境を用意しました。
これらの提案が、情報システム部の承認を受け、全社展開を行うことになり、リモートワークや在宅勤務の取り組みを後押ししています。


ユーザーの喜びが第一 「これいいね!」と言われるような発想をもつこと

システムのユーザーとは普段、どのようなコミュニケーションをとっていますか。

ヘルプデスクやPCのキッティング、機器の貸し出しなど、システム運営グループはエンドユーザーと接する機会が多いので、ユーザーから要望を直接聞くことは多いです。ただし、ユーザーに言われてから対処するのではなく、言われる前に課題やニーズを先回りして把握し、自らプロアクティブに提案できるようになりたいです。少なくとも私は常にそう心掛けていますし、メンバーや後輩にもそうした姿を見せているつもりです。
インフラ運用の世界は開発より新しいネタに乏しいと思われがちですが、実際にはビジネスを大きく変える可能性を秘めたテクノロジーが生まれています。そうした技術に常にアンテナを張り、新しい発想で仕事に臨みたいと考えています。そうやって、ユーザーに提案したものが「いいね!」と言ってもらえると、この上ない喜びですね。


人材は「育てる」ものではなく「育つ」もの

メンバーにはどのように成長してほしいとお考えですか。

これからはゼネラリストを超えた「スーパーマン」を育て上げたいと考えています。インフラも分かって、開発もできて、かつユーザーとの折衝もできるという、全方位のスキルを持つエンジニアのことです。こういう人材がいれば、どんなプロジェクトでも「あいつさえいれば大丈夫だ!」となるはずです。
こうした人材を育成するためには、とにかく若手に色々なチャンスを与えてあげることだと思っています。当社の情報システム部門には優秀な若手もたくさんいるので、会社の将来を考えるようなプロジェクトなどを通して成長してほしいです。
人は「育てる」ものではなく「育つ」ものだと思っています。私の役目は、メンバーがそうやって自然と育つための環境を提供し、さりげなく方向付けをしてあげることです。

I T部門で活躍する「人」はどのように変わって行くのでしょうか。

組織の中で働いていると、どうしても「自分は評価されていないのでは?」と疑う瞬間があります。けれども、自分の働きぶりは必ず周囲は見てくれているということを知っていてほしいです。たとえ一時的に評価が下がっても、その状況を自らの手で打破していけば必ず道は開けます。
一方で、中堅・ベテランになってくると、状況の変化に柔軟に対応するより、過去の成功体験に基づいて状況を認識したり、ものを話したりするようになります。こうなると、逆に若いころの成功体験がその人のさらなる成長の妨げとなってしまいます。
成功体験を思い切って捨て去り、ゼロベースで考え直す。私もこうした心掛けを常に持つことで、自分自身を成長させて行きたいです。

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