プレミアムインタビュー ユーザー部門との対話を通して新しいことに気づき、そして学ぶ
2019年05月08日
■プロフィール |
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2011年に住商情報システム(SCS)とCSKが合併し、SI企業として国内屈指の規模を誇るSCSK。
社員数はグループ全体で約1万2,000人、国内外に数多くの拠点やグループ会社を構え、事業内容もシステム開発からコンサルティング、BPO、ITマネジメントと多岐にわたります。
プラットフォームソリューション事業部門は、ハードウェア・ソフトウェア製品の販売を行っています。ジョブ管理、RBA / RPAといった各種自動化ソリューションを担うチームを率いる小谷氏に、マネージャーとしてミドルウェア製品の実装・販売・サポートの業務を遂行する上で心掛けていることや、SCSKがIT業界に先駆けて進める働き方改革の取り組みについてお話を伺いました。
大規模基幹システム運用の経験からさまざまなことを学ぶ
はじめてJP1に出会った当時のことをお聞かせください。
2000年に基幹システムをメインフレームからオープン系プラットフォーム+SAPへと移行する非常に大掛かりなプロジェクトに参画し、そこでオープン系のジョブ管理製品として初めてJP1と出会いました。
アシストさんとのお付き合いもそのときから始まっています。このプロジェクトが無事完了した後、そこで培った「パッケージを使った運用管理」のノウハウを横展開して、ほかのお客様に提供するようになりました。
大規模プロジェクトのご経験の中でもっともご苦労されたことをお聞かせください。
当時は、ダウンサイジングが始まったばかりで、「何故、ジョブ管理製品が必要なのか」を理解してもらうことが大きな課題でした。大規模プロジェクトにおいて、JP1をどのように使ってもらうか、標準化ルールを策定し、多くの関係者への説明や教育を実施しました。
また、どのように運用へ連携するかについて、関係者との調整がとても大変でした。製品の販売を始めて間もない頃でしたので、マニュアルを読んで製品機能を覚え、使い方の勉強をしながら、まだ自分たちでも充分理解できないまま、ユーザーに納得してもらうという具合です。
そのような苦労を乗り越えることができたのも、アシストさんとの強力な関係があってこそだと思っています。
プロジェクトのご経験の中で、その後の仕事に最も影響を与えた出来事はどんなことでしたか?
多くの関係者の中で、誰がキーパーソンかを見極めることができるようになったと思います。
ユーザー部門も多岐にわたっていましたし、社内プロジェクトメンバー、メーカー、コンサルティング会社など、あらゆる方々がプロジェクトに携わっていましたので、事前に誰を調整しておけば、物事が進みやすいかを考えることができるようになりました。
この点については、明確な正解はないので、いまだに苦労することもあります。
働き方改革の最も重要な成功要因は「トップダウン」
御社は現在、働き方改革を積極的に進める企業としても広く知られています。
2011年の合併直後から、当時の社長がトップダウンで全社レベルの労働環境改善を推し進めてきました。長時間労働が当たり前だと考えられていたIT業界の悪弊を打破すべく、残業時間を減らすためのさまざまな取り組みが行われてきました。
私の部署でも、かつては月平均40時間ほど残業していましたが、これを20時間以下に減らす全社方針が打ち出され、現在では16 ~17時間ほどになりました。はじめは大変でしたが、フレックスタイム制をフル活用し、直行直帰を奨励するなどした結果、かなり無駄な労働時間を減らすことができました。
働き方改革の成功の秘訣は一体何だったのでしょうか?
やはり経営トップが強力な意思とリーダーシップを持ち、トップダウンで施策を進めたことが一番の成功要因ではないかと思います。
単なる掛け声だけでは、どうしても現場の事情が優先されて中途半端に終わりがちですが、弊社の場合は目標を達成すれば、部門に追加ボーナスが出る仕組み(2013年度、2014年度実施。その後は月20時間または34時間分の残業代を定額手当として支給。)を作りましたから、取り組まない理由は無くなりました。
私自身も、部下が定時退社しやすい雰囲気を作るために、率先して早く帰るよう心掛けました。
苦しい状況でも笑顔で乗り越える職場に
マネージャーとして若いメンバーを指導する際心掛けていることはありますか?
「製品バカになるな」とは若いメンバーにはよく言っています。
私たちはJP1をはじめとするソフトウェア製品を売る立場ですから、製品知識には自信があります。しかしそれだけでなく、連携して動作する他の製品やテクノロジーに関する知識がなければ、価値の高い提案やサポートを行うことができません。
弊社では、特定分野に深い知識を持つ「I型人材」よりも、広い分野の知識を有する「T型人材」を目指すよう奨励されています。担当する製品の深い知識を持ちつつ、他の分野に関しても視野を広げるということです。担当製品以外にもう1つ詳しい分野を持つことをメンバーには勧めています。
また、職場の雰囲気はとても大事です。どんな状況でも明るく振る舞っていれば、周りを活気づけることができますので、いつも笑顔がある職場にしたいです。
お客様の多様なニーズにも柔軟に応えられるようになりますね。
RPAの製品をお客様に提案する機会が増えてきましたが、業務知識の重要性を痛感しています。
これまで販売してきたシステム監視やジョブ管理の製品は、どちらかというと企業の情報システム部門の方がお客様でしたが、RPAは場合によっては事業部門の方がお客様になりますから、これまでのようにITの言葉だけではコミュニケーションが取れないこともあります。メンバーがお客様との対話を通して、新たな気づきを得て、そこから学び取ることはとても大きいと考えています。
システム運用の世界にも自動化の波が徐々に押し寄せていますね。
システム運用の現場でも人手不足は年々深刻化しています。例えばJP1にRBAやRPAなどの自動化製品を組み合わせることで運用業務を自動化するようなソリューションのニーズは今後ますます高まるのではないかと考えています。既存の技術を組み合わせることで多くの業務で自動化が可能ですし、JP1も今後は自動化の機能がどんどん強化されてくるのではと期待しています。
こうした自動化の結果として、人間にしかできない上流工程の仕事にどんどんシフトすれば、より価値の高いIT活用を実現することができるでしょう。