ソリューション
運用部門のさらなる挑戦!!自動化からはじめる業務"カイゼン"
第3回 自動化の展開を成功させる3つのステップ
2016年11月17日
自動化の展開を成功させる秘訣
RBAソリューションを始めとする自動化推進に注力したが、期待したほどの効果が見込めなかったというケースもあります。陥りやすい失敗例としては、 RBAの適用範囲をいかに拡大していくかに邁進し、軽微な処理まで自動化し、自動化すること自体が目的になってしまう場合です。
RBAソリューションは、システム運用自動化をスムーズに行うための1つの有用な選択肢ですが、あくまで手段に過ぎません。手段を目的化することなく、常にビジネス的かつユーザ・サービスの視点を持ち、どのような効果や成果が得られるのかを見極めながら展開することが必要です。
アシストでは、自動化を検討する場合、ワークフローを適用する前段階で以下の3つのステップに沿ってプランニングすることを推奨しています。
【ステップ1】運用基盤の整備
最初のステップでは、自動化の展開を進める上での自動化の目的やゴールの設定、その効果予測を行います。
また、自動化を検討する前に、自社内の運用基盤状態の見直しも必要です。運用基盤には、「ジョブ管理」、「監視」、「バックアップ」、「インシデント管理」など様々なものがあり、その各々の業務に最適化されたソリューションが提供されています。RBAは各々の管理分野に特化した機能を提供しているわけではありませんが、各運用プロセス間の連携を補完する上では大いに役立ちます。まずは、各運用基盤をしっかりと整備していくことで全体最適化の土台となります。そして、自動化する対象オペレーションを洗い出します。すべてのオペレーションを自動化し、無人運転することは理想ですが、RBAによる自動化で効果が出るもの、出にくいものを様々な観点で洗い出し、特に高い効果が見込める部分やユーザ・サービスへの貢献が高い部分を優先的に展開していくことが成功の早道となります。
【ステップ2】オペレーション手順化/標準化
RBAは本来手順書を自動化する仕組みです。そのためには、システム運用のポリシー決めと手順の標準化が重要です。ハードウェアや利用するソフトウェアなどもある程度標準化ができていれば、様々なオペレーションに伴う仕様差異等のリスク発生を低減させ、個別の対象ごとにオペレーション手順を策定するような コストも抑えることができます。
【ステップ3】オペレーションの自動化
いよいよRBAへの実装です。標準テンプレートは、実装負荷の低減に役立ちます。様々な分岐処理が発生するようなワークフローは事前に十分な検証を行いリリースします。リリース後に実践していただきたいのが、適用効果測定とナレッジ化です。「最初に想定した期待効果が出ているか」、「なぜ、期待通りにならなかったか」など指標の計測とフィードバックは、次の改善活動に活かされるとともに、RBA展開の推進力にもなります。
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メリットだけではない自動化の注意点
RBAによる自動化にはデメリットもあります。最後に注意すべきポイントを紹介します。
自動化することで隠されてしまう業務オペレーション
手作業でオペレーションを経験していれば自動化されたとしてもバックグラウンドで何が行われているか想像できますが、経験がなければ想像できません。自動化は便利ですが、一方でオペレーション・スキルの低下や育成面での弊害となる場合もあります。何らかの障害が発生し、マニュアル・オペレーションに切り替えざるを得ない場合には相当なリスクになるため、日頃のトレーニングも必要となります。
定期的なリハーサル
RBAの自動化は、例えば、サーバ障害発生時の切り替えオペレーションの自動化など、稀にしか発生しないオペレーションも対象となりえます。RBA実装時には十分な検証を実施した上でリリースしているはずですが、定常的に発生するシステム変更などに起因して、必要な時にエラーとなってしまうケースがよくあります。定常的に発生しないオペレーションをRBAで自動化している場合は、定期的に稼働リハーサルを実施することが望ましいと言えます。
自動化がもたらす非生産性(適用範囲)
場合によってはRBA適用がかえって非効率になったり、コスト高になるケースもあります。作業統制や作業品質向上が目的であれば問題はありませんが、省力化を目的にする場合は、運用全体を俯瞰した上で進めることが必要となります。
第1回では自動化の必要性、第2回ではRBAの効果、そして第3回で自動化を成功させるポイントをご紹介しました。RBAは、システム運用全般の様々なオペレーションを自動化/省力化し、システム運用に大きく役立つソリューションです。仮想化やクラウドの浸透の中で注目を集めているこのソリューションは今後ますますニーズが高まると思われます。システム運用で様々な課題を抱えているユーザの方々に是非ご検討いただきたいソリューションです。