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プレミアムインタビュー 前例が無いから、新しいものを創造する

2017年06月28日

■プロフィール
1965年愛媛県生まれ。素材メーカーでの生産管理・営業管理・IT部門を経て、2007年から荏原製作所のIT部門へ。仮想環境を初めとした情報インフラの構築・管理、システム運用の管理・標準化等を担当。昨年より趣味として20年ぶりに復活させたゴルフのリハビリ中。

荏原製作所 佐藤様

荏原製作所は、創業以来100年以上培ってきた世界トップクラスの流体技術をベースに、数々の挑戦と創意工夫により、優れた技術と最良のサービスでお客様の期待と社会の二ーズに応えてきました。
現在、ポンプ、コンプレッサなどを扱う風水力事業、こみ焼却プラントの建設・運営を行うエンジニアリング事業、主に半導体製造装置を製造する精密・電子事業のもとで展開しています。情報通信統括部では、2004年よりサイロ型で構築された個別最適のシステムから、レイヤ型で全体最適の「共通情報基盤」実現に向け、基盤の再構築を進めてきました。2011年には基幹システムからオープン環境への移行プロジェクトが発足され、システム運用室(当時)では、共通情報基盤の運用業務の見直しに着手しました。同室佐藤氏は、従来の運用業務の棚卸しを行い、課題抽出から設計/導入まで行い、IT部門における運用標準化推進のための大きな役目を果たしました。



積年の課題となっていた「運用」の見直し

これまでのご経歴をおきかせください。

前職では、工場の生産管理/生産計画から、営業管理部門の販売計画や費用/顧客情報管理などの業務に従事していました。
30代半ばにシステム部門に異動しSFAシステムの開発/構築に携わることになりました。当時はまだSFAシステムは一般的ではなく、JavaアプレットやC言語を用いてフルスクラッチで開発しました。SFAシステム導入によって、営業計画から受発注、仕入れ/支払いまでのすべてを管理することができるようになりました。それまで旧態依然としていた営業プロセスを変えるきっかけにもなったと思います。

いまの会社に転職されてからはどのようなお仕事に携わったのでしょうか?

システム会社への転職を経て当社に入社し、IT部門でインフラやサーバ構築を担当しました。2011年にオープンシステムヘの移行プロジェクトに参画し、運用業務の見直しに着手しました。当社IT部門にとって運用業務の見える化/標準化は積年の課題だったこともあり、プロジェクトにとっても大きなチャレンジとなりました。

運用業務の見直しはどのように進められたのですか?

共通情報基盤の構築に向けて仮想化によるシステム統合や展開が一段落したところで、運用業務の見直しという課題は我々にとっても難問でした。従来のサイロ化されたシステムは、業務ごとにやり方が属人化されていて完全にブラックボックスとなっていたシステムばかりでした。それらの運用業務フローを標準化することをターゲットとして、各自の作業ステップを洗い出すところから始めたのですが、やり始めたら壁一面がポストイットで埋め尽くされました。それらをワークフローで標準化して、承認手続きや作業指示のステップの共通化を行いました。

個別の業務システムだけではなく、全体をまとめて共通化するのは大変ですね。

すべてを共適化するのは難しいです。特にワークフローを作成するまでの作業が大変でした。さらに、それまでのシステムごとの担当制を役割ごとの担当制に変更することにしました。たとえば受付担当は複数のシステムの受付窓口業務を行います。またシステム登録やリソース管理、スケジュール設定などすべてのステップを明文化しながら、各部門との調整を行っていきました。
前例の無いことでしたから、はじめからスムーズに受け入れられることはありません。ワークフローに関することはすべてドキュメントを作成して、粘り強く説明すると、やがて良い反応を示してくれるようになりました。



いま、「運用」を変えるということは

前例の無いことにチャレンジできたのは何故でしょうか?

今回のプロジェクトは上位方針が明確だったので、統制力をもって進めることができたのは大きかったです。また常に新しいことに取り組む姿勢を持つことは大事です。インフラであれば新しいものを積極的に取り入れれば良いですし、前例がないのであれば、オリジナルで新しいものを作れば良いと考えています。前例がないからこそ、新しいことができるチャンスにもなります。上手く行かなければ、それまでの前例を付け加えていけば良いのです。

プロジェクトを上手く進めるためにはどうすれば良いでしょうか?

プロジェクトに限らず、仕事を上手く進めるためには、事前準備が7割を占めると考えています。今回の提案書も何度も作成し直しましたが、繰り返し提案書を見直すことで事前準備の精度が上がります。また、事前準備の段階から関係者との調整は綿密に行っておかなければなりません。何度も担当者のところに足を運んで行き、相手のニーズやリクエストをきちんと聞くことで、良い提案にもつながります。



これからの、I T部門はどのようになっていくでしょうか?

これまでの経験をふまえて、IT部門の将来像についてお聞かせ下さい。

当社では、IT業務は積極的にアウトソーシングを採用する方針が打ち出されています。同時に、IT部門としての役割も変わって行くでしょう。こうした変化を乗り切るために重要なことは、「コミュニケーション」と「テクノロジーの情報収集」だと思います。
運用担当者は、なかなか外に出る機会が少なくなりがちですが、折に触れユーザ部門と会話しておくことが大切です。ユーザ部門が独自でITベンダーの提案を受けたりSaasなどを利用することもあるのですが、社内インフラを活用するメリットの方が大きい場合もあります。運用部門は、ユーザの利用サービスごとにシステム利用の効果やコストをきちんと把握しながら最適なものを選択できるようにコーディネイトする役割を持つべきでしょう。

コーディネータとしての役割を持つためにはどうしたら良いでしょうか?

新しいテクノロジーの情報収集は必要です。loTやAIといったキーワードなどがあれば、セミナーを受講するなど、一通りは目を通しておいた方が良いでしょう。ベンダーの提案をそのまま聞いているだけでは、自社にとってメリットがあるのかどうか判断できない懸念があります。新しい技術やIT動向をキャッチしておけば、ベンダーから商品やサービスを提案された時にも適正な選択をすることができます。



IT変革に向けた一歩を踏み出す

さらなるチャレンジのために必要なことはどんなことでしょうか?

どんな仕事に対しても、自分なりに考えて答えを出すようにしていくことです。メンバー自身が自立して行動できるようになれば、部門全体のパフォーマンスが上がっていくと思います。もちろん基本的な手順やルールを守ることは大事です。「攻めの運用」ができるのも、守備があってのことですので、面倒だといって手を抜かず、きっちりと守り抜くことです。
IT部門の役割は、ユーザが楽になって喜ぶようなサービスを提供することです。新たなチャレンジは、苦労も多いですが、必ず相手の喜びにつながるでしょう。

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