ケーススタディ
新しい発想は、現場から生まれる!
運用改善をきっかけとした新たな取り組み事例。
2014年06月01日
■プロフィール
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アットホーム株式会社では、2012年、JP1/AJSを利用したバッチ管理業務の改善を行い、障害時の早期対応を実現した。さらに「千里眼 イベント管理 for JP1」(以下、千里眼)」を導入して、稼働状況の収集から集計、分析、報告書作成までの作業時間を1/5 にまで短縮した。しかし、改善はここまでに留まらず、当初想定していなかった現場起点での改善活動が生まれていた。
システム“ カイゼン” のきっかけ
同社では、JP1/AJS を利用してバッチジョブ管理・運用業務を行っていた。インフラ設計チーム(以下、チーム)では、『システム単位のジョブ実行時間や追加/改修されたジョブの把握』『稼働レポート作成などのメンテナンス負荷』といった課題を抱えていたが、アシストが提案した千里眼を採用し、運用情報の可視化による業務改善の取り組みを行った。当時の改善ポイントは次の2点である。
“ 見える化” という原動力
チーム長の宮之原秀雄氏はこう振り返る。「千里眼を利用することで、色々な分析を行うことが可能となり、運用業務を通して蓄積したデータをさらに活用していく意味と便利さを得たことが成功のポイントとなりました。運用業務を“見える化”することによって、開発部門など他部署への改善要求などの際にも説明しやすくなりました」。運用業務の改善といっても、なかなか具体的な成果が見いだせないというケースもよくきかれるが、同社では、“見える化”という明確な目標を共有することで、メンバーの士気も高まったのである。
“ カイゼン” 後の取り組み
千里眼の利用から1 年、チーム内に変化が起こった。千里眼ではレポート用のテンプレートを用いて必要な情報をアウトプットするのであるが、当初提供された定型レポートを使用しているうちに、メンバーが独自にテンプレートを作成し始めたのである。
導入当初、運用チームのニーズに基づいて提供されたテンプレートであるが、活用しているうちに、「もっと運用改善を進めたい、進められる」という考え方に変わり、メンバーが新たなテンプレート作りに独自に取り組むようになった。具体的には、実際の運用に照らしながらカスタマイズを始め、機器障害やジョブのエラーなどをインシデント情報として蓄積し、そのデータから対応件数、発生部署、発生時間などを紐付けし、それまで把握できていなかった障害発生傾向を分析することまでが可能となったのである。
このような活用は、千里眼導入当初には想定しておらず、現場の自主的な取り組みからスタートし、運用チーム全体に広がった改善活動の1つなのである。
ボトムアップ型の“ カイゼン”
このように運用改善への取り組みが広がった要因としては、チーム全体で運用を主体的に考えるようになったことと言えるだろう。「メンバーが『こうすれば見やすい、伝えやすい』と、物事を自発的に考え始めるという意識の変化がありました。千里眼のレポートエンジンは非常に使いやすいので、思いついたことをすぐに実行することができました」(宮之原氏)。新しいアイデアが発想できる環境というのは、担当者のモチベーションアップのためにも大いに有効である。「今使っているツールを最大限活用し、どうしたら現状の仕組みが改善できるかを考えることからだと思っています。チームメンバーに対して、とにかく改善案を出して、などと言っても、なかなか良いアイデアは生まれません。
考えていることを何でも言えるような雰囲気をつくることに努めています」(宮之原氏)。守りの運用だけではなく、継続的なカイゼン活動に取り組むことで、若いメンバーにとっても、新たなチャレンジ意欲が湧いてきているという。1 つの運用改善への取り組みが、さらなる改善意識を芽生えさせ、定着していく。継続的な運用改善サイクルを現場起点で推進できたのは、宮之原チーム長を始め、自由な発想で様々なことにチャレンジできる運用チームを形成してきた同社の取り組みの成果でもある。