プレミアムインタビュー
実践から生まれた確かな技術力。学び、試し、得る。
必要なのはその環境作り。だからこそ、人間っぽさを大事にしたい。
2014年06月11日
■プロフィール
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株式会社インターネットイニシアティブは、IPネットワークのプロフェッショナル集団という強みを持ち、卓越した技術力を活かして幅広いネットワーク・ソリューションを提案し続けてきた。最近では、クラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)サービス」を提供し、インターネット接続事業で培ったノウハウをベースにメール、セキュリティなどのアウトソーシングサービス、ネットワーク構築からシステムインテグレーション、運用に至るまで、あらゆるニーズに応えるサービスを総合的に展開している。運用現場における技術スキルの習得について、エンジニア 原田健氏が語る。
これからはクラウド技術の習得が鍵
いま求められる運用スキルとはどんなことでしょうか…
クラウド関連技術の知識や理解が重要になってくると考えています。VLAN技術が一般化し始めた時に物理ネットワークと論理ネットワークの構成が一致しなくなりました。今はサーバ仮想化技術によって物理サーバと論理サーバの関係が動的に変化する時代になってきています。
今後、OpenFlowなどのSDN技術が一般化すれば、ネットワークも含め物理(環境)と論理(環境)の乖離はさらに大きくなっていくはずです。システム状況によって、動的に構成が変化するということを理解し、適切に運用する。今まで以上に高度なスキルが求められることになるでしょう。
機能ではなく、仕組みを理解する
運用担当として戦力となるためには何が必要でしょうか…
運用現場では、常に安定したサービスを提供するために、障害発生時にはスピーディかつ適切な対応ができる力が必要です。ただ、やはり障害発生時の対応力はメンバーの経験やスキルに依存するところが大きいと思います。安定した運用は、システムとその運用体制の構築や改善を繰り返しながら作り上げられていきます。ある程度、現場で時間をかけながら戦力化していくことも必要です。
障害対応のスキルはどうやって身につくのでしょうか…
運用手順の工夫やドキュメントの整備も重要ですが、 障害の影響範囲を正確に把握し、素早く原因を特定するためには、それだけでは足りません。運用するシステム全体を理解するための幅広い知識が必要になってきますね。
偏った知識だけではなく、全体を理解するということですね…
私自身はこれまで、業務で必要となった技術については、単なる知識だけでなく、その原理や仕組みを理解するように努めてきました。その動作原理を理解することはシステムの挙動を理解するために必須であり、 障害の原因切り分けや同系統の技術を理解するために大いに役立ちます。
実務で培った知識を実践に生かす
初歩的な学習方法としては、どこから始めれば良いのでしょうか…
Windows,Linux,Cisco,Oracle など、実務で利用しているものから、体系的な学習ができる書籍を1 冊選んで通読すると良いと思います。最初は理解できないところも多いかも知れませんが、 網羅的に学習しながら用語を覚えることで、要素技術の概要の理解につながります。こうした学習を行うだけでも、先輩社員と会話をしていてわからない単語がかなり減るはずです。実務ベースから、さらに関連技術の学習へと進み、運用に必要な幅広い知識が習得できるようになると、いざという時の対応にも機転が利くようになります。
自由に使える環境作りを
スキル習得を進めるためには、どんな取り組みが必要でしょうか…
やはり、実際に操作できるシステム環境があることです。技術スキル習得の効率は大幅にアップします。しかし、職場においてそのようなシステム環境を作れないこともあります。システムによっては、検証環境が十分に整っていない場合もあります。このような場合には、複数のシステムで共用の検証環境を用意するなどの工夫も必要だと思っています。経験を積んだエンジニアでも、まだまだチャレンジすることは多いですが、若手メンバーのスキル習得のために実践する環境も整えてあげたいですね。