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QlikView事例セミナー
広告効果測定システム「AD EBiS」、
QlikViewを活用して柔軟な分析を実現

本稿は、2014年3月12日に大阪で開催された「QlikView事例セミナー」の講演録です。

これまで広告といえばテレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体でしたが、テレビの次に広告費が多い媒体がインターネット。2013年のインターネット広告費は、1兆円に迫る勢いです。株式会社ロックオン(本社:大阪市北区)が提供する広告効果測定システム「AD EBiS」(アドエビス)は、打ち出したWeb広告がどれくらい効果をもたらしているのかを測り、成功するWebマーケティング戦略を見い出すためのサービスです。株式会社ロックオンの畑晋平様よりQlikViewを使ったAD EBiS の分析事例をご紹介いただきました。


Web広告と『AD EBiS』


まず株式会社ロックオンとWeb広告についてお話しします。ロックオンは2001年に設立された若いベンチャー企業で、インターネット広告やEコマース関連のサービスを提供しています。大阪に本社、東京に支社、アメリカにリサーチ拠点、そしてベトナムにオフショア拠点と、4箇所を拠点として事業を展開しています。

本日お話しする「AD EBiS」は、Web広告の配信から効果測定、検証までWebマーケティングの広告効果の最大化をワンストップで実現するというサービスです。インターネットのWeb広告を見た人がそれをクリックしてサイトに入ってサイト内を回遊し、最終購入に至る、という一連の流れがありますが、その効果を測定するというサービスです。具体的には、Web広告がどんな媒体に何回表示され(インプレッション)、そのうち何パーセントがクリックしてサイト内に流入してきたか。流入した人はどういう動きをして最終購入という成果に至ったかを特定します。おかげさまで多くのお客様にご利用いただき、10年間で6千アカウント以上開設され、Web広告の効果測定というニッチな分野ではありますが、国内でNo.1のシェアを獲得しています。

Web広告って何?


Web広告はテレビには及びませんが、広告費はテレビ以外のマス媒体(新聞、ラジオ、雑誌)をすでに抜いており、広告費に締める割合でみると2005年から12年で12%から24%へと2倍に伸びている元気のいい広告媒体です。広告は大きく分けてリスティング広告とバナー広告があります。リスティング広告というのは、ユーザ(インターネット検索の利用者)の関心に合致する情報をWebページ上に目立つように表示し、ユーザを自分たちのWebページに誘導する検索連動型の広告です。もう1つはバナー広告で、Webページ上に画像やバナーを広告として貼り付け、ユーザを広告主のサイトに誘導する手法です。広告費用は掲載期間や回数、掲載先のWebサイトのページビューやインプレッションに応じて設定されます。AD EBiSはこれらWeb広告の効果を測定します。

図1. Web広告の種類

広告の効果とは何でしょうか。100年ほど前、アメリカの百貨店王、ジョン・ワナメーカー氏は「広告費の半分が金の無駄遣いに終わっていることはわかってる。わからないのはどっちの半分が無駄なのかだ」と言ったといいます。看板や新聞広告を出すとお客様が増えたが、それぞれがどのくらいの効果があったのかがわからない、というのがアナログ広告の時代でしたが、Webだと各広告の効果をほぼ完全に測ることができます。

例えば、ユーザが「検索結果」に表示されたリスティング広告をクリックするとします。するとWebページはAD EBiSのサーバを経由してリンク先に遷移し、ユーザは広告主のサイトを閲覧することになります。サイト内の色々なページを見るわけですが、すべてのページ内にJavaスクリプトの検索用タブが設定されているのでユーザが移動するとJavaスクリプトが動いて裏側でAD EBiSにデータを流し込むという通信が発生するわけです。これによってどの広告から遷移してきたのかという履歴や、どのようなページを回遊したかについてのすべてのアクセスログが、AD EBiSのDBサーバに保存されていくのです。

図2. AD EBiSの仕組み

AD EBiSの測定と分析


AD EBiSの効果測定、分析の一例をご紹介します。Webサイトでは、購入や会員登録などの「成果」をコンバージョン(CV)という言葉で表します。資料請求やお問い合わせなどもCVとなります。

広告は最終的に購入してもらうことを目指して露出するわけですが、ここで大切なのはCVに至るまでにほとんどのユーザは複数回広告に接触しているということです。

例えば、最初Yahoo!のバナー広告をクリックします。しかし、その時は購入には至りませんでした。次にDSPのバナー広告をクリックし、それでも購入に至らず、3回目にGoogleの広告をクリックして購入に至ったとします。これだとGoogleのリスティング広告で1回とカウントすることになりますが、実はそうではないのです。初回、2回目の訪問でユーザの態度に変容が起きた、と解釈します。つまり直接CVに結びついた広告が直接効果ですが、訪問が認知度を向上させ、きっかけ作りをする間接効果ということです。ちなみにAD EBiSでは過去5回にさかのぼった効果測定が可能です。サッカーに例えると点数を入れたフォワードだけを評価するのではなく、そこに至るプロセスをアシストしてきたミッドフィルダーやディフェンダーも分析して、広告を最適化していくことが大切なのです。

最も投資対効果が高い広告は?


AD EBiSの効果測定では、最終的にCVを獲得した広告だけを評価するのではなく、認知に役に立った広告にも成果を分配します。初回接触や最終接触のポイントを高くしたり、または均等に配分する場合もあります。このように再配分してトータルコストを照合するとCV1件あたりのコストが算出できます。これで各広告のコストと成果が明確になります。

しかしこれで終わりではありません。ここから最適化を行い、投資対効果を最大にしていくために広告ごとのコストと成果の関係を計算します。コストを横軸、成果を縦軸とすると、傾きが急なほど効率がよい広告といえます。また広告費で三角形の大きさは異なります。最適化をするためには直角三角形の傾きが急なものからゆるい順に並べ替えていきます。

図3. 最適化の原理(1)

例として、4つ打った広告の三角形を傾きが急なものから順番に並べます。傾斜のゆるい、コストの大きい広告予算の一部を急なほうに回します。これによって同じコストでより多くの成果物が見込めるようになります。このように最適化することで、成果を上げたり、またはコストを減らすことができるのです。

図4. 最適化の原理(2)

QlikViewで作る分析レポート


当社はこのようにAD EBiSを利用して測定を行い、その結果をレポートにしてお客様に提供していますが、この分析レポートを作る上で直面した課題をQlikViewを使って解決しました。

これらの分析結果をレポートするのに、当初は表計算ツールでレポートを作成していました。しかしレポート数が増えると問題が続出しました。手作業によりメンバーの負荷や工数が急増したり、また手作業に起因する数字の誤りや計算ロジックの属人化という問題などです。お客様によっては月数十億件というデータがありましたが表計算ツールでは大量データが扱えないこと、そして最大の問題はデータを選択しながら柔軟な分析ができないということでした。そもそも表計算ツールで実現することに無理があったのです。

このため、BIツールの導入を検討し、全レポートに対応可能で検索条件の保存ができたり、データ取り込み設定が簡易で運用面でも優れているQlikViewを採用しました。サポートセンターがあること、大阪でのオンサイト技術支援にも対応しているといった教育、サポート面でのポイントも重要な要因でした。

QlikViewの導入により、これまで4.3時間かかっていたレポート作成が50分と大幅に省力化された上に数字の誤りの撲滅も達成しました。さらに、計算ロジックをツールに登録しておくことにより、属人化がなくなり、誰がやっても同じ高品質なレポートが作成可能になりました。また大量データの取り扱いや、念願であったデータを取捨選択しながら柔軟な分析を行うことも可能になり、本当にいいことづくめでした。

図5. QlikView導入の結果

QlikView導入時の5つのポイント


QlikViewを実際に使ってみて重要なポイントをお伝えします。1つ目はとにかく繰り返すこと。導入して終わり、ではなくフィードバックしてさらに改善を重ねることが大切です。当社は、計画、開発、導入、評価という形でフィードバック・改善というサイクルを2ヶ月で回しています。

2つ目はインプットデータの整備。これは必須です。QlikViewを導入したらすべての課題が解決するわけではなく、QlikViewの機能を使いこなすためにはインプットのデータを整備する必要があります。これまではAD EBiSの標準機能を使ってCSVファイルを出力していましたがQlikView導入後はQlikViewが扱いやすい形でCSVファイルを出力する機能を別途開発しました。読み込みデータを正規化して整備するのです。

3つ目はデータリテラシーの重要性です。インプットデータを整備したら、いよいよQlikViewアプリケーション(QVWファイル)の作成を行うわけですが、これが少しテクニカルで、かなりSQLライクなロードスクリプトを作成する必要があります。このようにソースドキュメント(当社はCSVファイル)を読み込むための仕組みを作成する必要があります。当社ではエンジニアをアサインするとともに、アシストの研修を受講することでリテラシーの向上を図りました。

図6. ロードスクリプト例

4つ目はユーザインタフェースとユーザエクスペリエンスです。QlikViewアプリケーションのすべてが、利用者にとって使いやすいデザインであることが大事です。当社では最初、それまで表計算ツールで使っていたものを焼き直していましたが、やはり見た目、使いやすさの追求は重要なポイントです。

5つ目はサポートの重要性です。データやスクリプトやユーザインタフェース、ユーザエクスペリエンスを十分に検討して進めていっても、それでも上手くいかない時があります。標準偏差の算出はどうするのか、棒グラフの色を一色にできるのか、ロードスクリプトが上手く動かない・・・等々。当社はこんな時、迷わずアシストに問い合わせるようにしています。するとモノの数時間でレスポンスがあるので感動しています。自社ですべてを解決しようとせず、アシストやQlikViewパートナーのサポートサービスを上手く利用することが大切です。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。


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