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ベストセラー『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』の著者が語る 「イノベーション、ビジネスモデルの本質と教育の役割」

「イノベーション、ビジネスモデルの本質と教育の役割」

投資家の気を引くためのバズワードに過ぎなかった「ビジネスモデル」という言葉は今、新たな意味を見い出されています。それが「持続的競争優位」と「イノベーションの乗り物(vehicle)/素(source)」です。イノベーションとビジネスモデルの本質とは、そしてこれからの経営/個人/教育に求められることは何か。

ベストセラー『経営戦略史』『ビジネスモデル全史』の著者、K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授 三谷宏治氏より、三井・越後屋、ジレットからリンカーズ等、多様な事例をご紹介いただきました。以下はその抄録です。


必要なのはビジネスモデル全体を変えるチャレンジ


大企業でのイノベーションは難しく、顧客志向の優良企業ほど破壊的イノベーションに敗れ去る。既存事業顧客からの要望をすべてと思い込むからだ。自らイノベーションを起こすには、既存事業や会社の仕組みから上手に離れなくてはならないのだ。

そんなビジネスモデル革新の代表が17世紀の三井・越後屋と言えよう。従来の呉服店の既成概念を覆す「店頭/はぎれ/つるし売り」「現金」「掛け値なし(同一価格)」「呉服と両替商兼業」「持ち株会社」といったビジネスモデル全体の革新は、既存顧客を抱えた他社には追随しにくく、同社の繁栄を保障した。持続的競争優位にはビジネスモデル全体を変えるチャレンジが必須なのだ。


「座って悩むな、動いて考えよ」


インターネットの急激な成長は、ビジネスのサービス化とオープン化も推し進めている。イノベーション時代の経営は多様性と自由度との戦いなのだ。そこでは「高速試行錯誤」こそが、イノベーションのそしてビジネスモデル革新の実現を可能にする。駄目なら駄目と早目に見切り、次へ挑戦するのだ。それには、ビジネスモデル全体を変える力を持つチーム力、さらにはリスクに挑む突破力のある個の力が必要となってくる。

そのためにも発想力や決める力、伝える力のスキルが必要だ。そして単に幅広い知識ではなく、異質なものを結びつけられるコミュニケーション力のある人材、「高速試行錯誤力」を持ち、失敗にめげない人材が求められている。そうした人材の育成が急務だ。しかし残念ながら現在、日本の教育や大人たちが、子どもたちの発想力や決める力を阻害している。人と同じであれ、座っていろ、知識を覚えろ、相談しろ、と言い続けることで。

皆さんに最も伝えたいのは「座って悩むな、動いて考えよ」ということ。「悩む」とは思考の停止状態だから。子どもたちの未来のために、皆さんの意識と行動の変革、そして人生の革新を期待する。


講演の様子


三谷宏治 氏 プロフィール

K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授。著書多数。
『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』(ディスカヴァー21)はともにダイヤモンドHBR読者が選ぶベスト経営書第1位、前者はビジネス書大賞2014大賞に選ばれる。
『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は、啓文堂書店による2012年ビジネス書大賞を受賞。子ども向けの『ルークの冒険 ~カタチのフシギ』(実務教育出版)、親向けの『親と子の「伝える技術」』(同左)、『お手伝い至上主義でいこう!』(プレジデント社)も好評。
最新著は『発想力の全技法』 (PHP文庫)。


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