TOP>セミナー/イベント>開催報告>JP1ユーザ会 東日本支部会 2015 開催報告:マネジメント・トラック

JP1ユーザ会 東日本支部会 2015 開催報告:マネジメント・トラック

JP1ユーザ会 東日本支部会 2015 開催報告:マネジメント・トラック

【ユーザ講演】
システムは武器!お客様第一主義を実現するシステム改善への取り組み

株式会社ベルーナ
情報システム本部長代理
浅沼 泰匡 様


総合通販、専門通販を中心としたビジネスを展開されるベルーナ様における、お客様目線での「業務改革」の取り組みについて語っていただきました。

簡単な質問に答えられない

通販業界での激しい競争に打ち勝つため2006年に業務改革プロジェクトを発足させました。お客様との接点であるコンタクトセンターは顧客サービスに大きな影響がありますが、当時はDBが未整備で、折り返しの電話をするケースが多く、簡単な質問であっても答えらないということがありました。部門間、担当者間でのやりとりに紙の「作業依頼書」や受注センターのやりとりをFAXで行なっていたためです。

業務改革の4要素「人材」「IT」「業務」「組織」

業務改革を進めるにあたって、まず、あるべき姿に向かって「何を実現するのか?」「どのように実現するのか?」そして「何を変えるのか?」をしっかり定義することから始めました。最後の「何を変えるのか?」にあたるのが業務改革の4要素である「人材」「IT」「業務」「組織」です。例えば、「IT」は目的を達成するための一つです。導入したけど目的が実現出来ていなければ、使われないシステムになってしまいます。このような場合はITの見直しが必要です。ITに限らず目的が不明確な業務はやめることも重要です。「組織」ならば各部署によってKPIは違いますので、自分達のKPIが悪化するような活動はしたくありません。関係部署が多くなればなるほど、より深堀して、どこに問題があるのか原因を追求する必要があります。

業務改革の効果と成功の決め手

先にあげた「簡単な質問に答えられない」ですが、まず現状を把握し、問題点を見つけ、原因を追求したあと4要素の観点から「何を変えるのか?」を検討しました。紙で業務を行う慣習でしたので、「人材」ではコンピュータ利用スキルの向上、「IT」では商品情報の電子化、「業務」では紙を使用しないルールの策定、「組織」ではルール遵守をチェックする役割の定義を行いました。これらの取り組みの結果、問い合わせに対する回答スピードがあげることができました。また、紙資源の費用削減や、情報検索にかかる時間の削減など業務効率の向上に繋げることが出来ました。

ご講演では、この他にも業務改革の事例をご紹介いただきました。また、経営層から「お客様に関係ない仕事はしないように」と宣言されたことがきっかけで「お客様」を強く意識するようになったことをご紹介いただきました。最後に、業務改革プロジェクトの成功の決め手は、目的を「ベルーナのお客様に喜んでもらいたい」という「お客様目線」にすることだとご説明いただきました。


【キーノート】
次世代に向けたIT運用管理ビジョン

株式会社日立製作所 情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部
部長代理 瀬戸山 正幸 様


IT運用管理は、業務プロセスの合理化から、 企業ビジネスのイノベーションに大きく関わってきている時代です。 そして、これからのIT運用管理は「使う」から「使いこなす」ことが重要になってきます。

本セッションでは、IT人材は、ITの変化にどのように向き合うべきなのか。IT運用管理が始まった当初から将来的な展望も踏まえ、一貫して「未知に対応出来る知的想像力」とはどういうものか、解説していただきました。

ITによる価値創出が求められる

ビジネス環境は「ものを作れば売れる」という工業社会から、「選ばれるものを作れば売れる」という情報社会になり、今後は「予期せぬものが売れる」という知的創造社会になりつつあります。ビジネスとITはより融合し、それに従いIT人材の役割も拡大しています。ITへの期待や位置付けも変化しており、現在はITの戦略的活用という段階になっています。それはITがビジネス上の価値を創出できなければ、その存在価値がないという段階です。今、IT活用による新しい創出価値が求められています。

JP1は新たなステージへ

ビジネス環境の変化に迅速・柔軟に対応できるITシステムとそれを支えるIT運用管理が不可欠です。これからのIT運用管理は「自動化」や「見える化」、「俊敏性」、「最適投資」、「伸縮自在」が重要な要素となってきます。社会イノベーションやIoT、人口知能、デジタルビジネスにより「IT運用管理」も新たなステージに進みます。JP1は1歩前へ出て、現場の皆様の課題を解決出来るよう、プロダクト提供だけでなく、ソリューションを皆様と一緒に創っていきます。JP1エコシステムにより新たなサービスが生まれる場を創っていきます。

IT人材に求められること

今、IT人材がビジネスをリードするようになることが求められています。我々自身が変わらなければ社会や顧客の期待に応えることはできません。これからは「既知の解」の解決ではなく、「未知の解」の解決が求められるようになっています。
最後に、ただ単に技術力を身に付けるのではなく、実践・実現出来る「活用力」を持って、進化に合わせて「変化出来るIT人材」の育成が重要というメッセージをいただきました。


【パネル討論】
夕方まで生討論!? Season3 運用管理のSuccess To!!

毎回好評を得ている、ユーザ様代表によるパネルディスカッション。
変動するIT環境でどのようにIT運用管理で成果をだしていくのか?
運用現場の第一線で活躍されているパネリストの皆さまに、「クラウド運用」というテーマについて討論していただきました。
クラウド提供側、利用者側の率直な意見が飛び交い、クラウドに対する課題や期待については会場の皆様も共感する点が多かったと思います。

【パネリスト】
いすゞシステムサービス株式会社 運用サービス本部 部長 生田 充 様
株式会社インターネットイニシアティブ サービスオペレーション本部 エンジニア 原田 健 様
株式会社ヴィンクス アウトソーシング事業本部 部長 天野 孝 様
TDK株式会社 経営システムグループ 部長 中村 眞一 様

(モデレータ 株式会社アシスト)

クラウドに関するテーマとご意見

クラウド利用のメリットやデメリットは何ですか?

  • ビジネスの規模に合わせて、新しいことに挑戦できる環境が容易に始められることはメリットである。
  • クラウドサービスを利用すればBCP対策も検討しやすくなることはメリットである。
  • クラウドのメリットとしてよく挙げられる「コスト」「スケール」「スピード」、これは提供者側の売り文句でしかない。
  • 提供サービスのターゲットや仕様を限定しながら、徹底的に自動化できれば、クラウドを安価に利用することもできる。
  • セキュリティは不安要素であると言われているが、運用面もシステム化されており、セキュリティ事故が起こるケースはない。

クラウド利用のサービスレベルは?

  • クラウドに移行するシステムの重要性にあわせたサービスレベルの検討が必要である。
  • 基幹システムをクラウドへ移行するような場合は、クラウドベンダーとの入念な準備や折衝を行う。

クラウドに期待することは?

  • クラウドだけでなくIT全般は単なるツールである。ビジネスを行うためのツールとしての利用価値を期待したい。
  • クラウド環境では、雲の中のように全く見えない(ブラックボックス)という状態ではなく徹底的に見える化して欲しい。

クラウド利用の拡大にともなう課題はありますか?

  • 「リソース管理」と「課金管理」。システムを使いたい時に使えない、どれだけ使っているのか分からないというのは問題である。
  • 「ID管理」。A社のクラウド、B社のクラウドとマルチクラウドで利用しているとパスワードの変更・管理が煩雑となる。
  • クラウドいっても選択肢が多岐にわたるので、自社の期待に合致しているクラウドサービスを選択することが課題となる。

まとめ

パネルディスカッションでは、「スキル継承」についても討論していただき、運用担当者は広い視野を身につけて経営層の考えを知るべきであるというビジネス意識の提言など、今後の運用部門の在り方を問う活発な意見交換が行われました。また、会場の参加者からのご意見やアンケートでは、「10年後のIT運用管理」として、運用業務の自動化への期待など貴重なコメントをたくさん頂戴いたしました。

ページの先頭へ戻る