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開催報告:Paxata新製品発表セミナー

開催報告:Paxata新製品発表セミナー

アシストが販売を開始した新製品「Paxata(パクサタ)」の発表セミナーを2016年10月25日に御茶ノ水ソラシティ(東京)にて開催しました。
日本初上陸のデータ・プレパレーション・プラットフォームを初めて発表する機会ということもあり、全国のお客様から高いご関心をお寄せいただき、セミナー当日は満席での開催となりました。

製品の開発元であるPaxata社(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)のFounder CEOによるプレゼンテーションをスタートに、当日の講演をダイジェストでレポートします。

データと分析のギャップを埋めるエンタープライズ・データ・プレパレーション

Paxata社 Prakash氏

Paxata
Founder CEO
Prakash Nanduri氏


私たちPaxata社は2012年にカリフォルニアのレッドウッドシティ(米国)に創業し、今年で4年目を迎えました。『ローデータ(生データ)を瞬時に情報に変えるテクノロジーでビジネスに寄与することをミッションに、データ・プレパレーション・プラットフォーム製品「Paxata」を開発・提供しています。カリフォルニアを本拠地に、オハイオ、ニューヨーク、シンガポールに拠点を置き、アジアではいよいよ本日、パートナーのアシストとともに日本の皆さまにPaxataをご紹介できることとなりました。来年は、インドやオセアニア地域、そして欧州全域に展開する構想を進めています。

さて、世界のデータ量は現在の4.4ゼタバイトから、わずか数年後には440ゼタバイトに到達すると予測され、進化を続けるインターネットサービスと便利なスマートデバイスによって、私たちは情報をうまく活用しながら豊かな生活を享受しています。

しかし企業内のデータ活用に目を向けると、企業が保有するデータ量のうち、分析に使われているデータはわずか2%にとどまっているのが現状です。また企業データの50%以上はその企業の「外」から持ち込まれているにも関わらず、社内データと融合しながら活用できている企業は、ほとんどいないと言ってもよいでしょう。

近年の顕著な傾向として、構造化されたデータだけではなく、非構造化や半構造化データも、ローデータのまま扱っていきたいという要件が多く聞かれています。ビジネス・アナリストやデータ・サイエンティスト、データ・エンジニアやデータ・ディベロッパーと呼ばれるデータを必要としている人たちが、自分たちで簡単にデータを扱い、即座にインサイトを得られるプラットフォームが強く求められています。IT部門からのデータ提供を待つのではなく、必要とするユーザが自分たちで”データ準備“できる環境、それがPaxataの「データ・プレパレーション・プラットフォーム」です。

Paxataは、ユーザ自身でローデータを可視化できるセルフサービスをコンセプトに、機械学習や意味解析のテクノロジーを用いてユーザに示唆を提示しながら、より高度なデータ準備へと導くガイデッド型のアプローチを採用しています。AIや分散コンピューティングなどの革新的なテクノロジーを取り入れていますから、ユーザの思考と同じスピードで瞬時にデータを質の高い情報に換えることができますし、データの専門家だけでなく、すべてのビジネスユーザやインフォメーションワーカーにその情報を提供できるのが最大の特長です。

ビジネスは、データではなく「情報」によって動いています。データはそのままでは意味を持ちませんから、私たちが手にしている膨大なデータの拡張性を高めることで情報に変換し、インサイトを得て、より競争力のある意思決定を行えるようになります。

Paxata社 Shanker氏

Paxata
Head of Global Field Operations and CRO
Shankar Ganapathy氏


<Paxataのユーザ導入事例>
◎デルモンテフーズ
デルモンテフーズは100カ国以上で事業を展開し、サプライチェーンを介して食品を提供しています。製品の過剰在庫や在庫切れを把握するために、IT部門が手作業でデータを整備していましたが、月次でのデータ処理が限界を迎えており、Paxataを導入されました。Paxataでは、多岐にわたるサプライヤーと製品分類を関連付けて1画面で確認できます。そのため、マーケティングの担当者が直接データを扱えるようになり、余剰在庫や滞留在庫を抱える小売業者やサプライチェーンのボトルネックを発見できるようになりました。在庫切れも解消でき、データ準備にかかる工数を削減できただけでなく、大きなビジネスインパクトをもたらしています。

◎シティバンク
金融機関で世界最大手のシティバンクでは、アンチマネーロンダリングの分析スピードが課題に挙がっていました。入金のトランザクションデータをもとにマネーロンダリングを迅速に調査するには、莫大なデータを相手に難易度の高い分析を繰り返す必要があります。Paxataの導入によって、入金パターンの抽出からマネーロンダリングの識別まで従来は1ヶ月を要していた調査が、わずか数時間で完了できるようになりました。

また、規制当局から求められるストレステストにもPaxataを利用しています。ストレステストは、金融市場で不測の自体が生じた場合に備え、資産運用における損失の程度や損失の回避策をあらかじめシミュレーションしておくリスク管理手法のことです。これまでは、リスク分析担当者が手動で不正データを特定するには限界があり、データ品質によっては高額な引当金を保持するリスクもありましたが、Paxataによって、データのパターンや異常値を検知でき、正確な引当金残高を証明できるようになり、罰金リスクの減少や、ストレステストの精度向上を実現できるようになりました。

Paxataとは何か?データ活用は新たなステージへ

株式会社アシスト 花井

株式会社アシスト
製品統括部2部 部長
花井 正樹


アシストは長年にわたってお客様の情報活用をご支援しており、WebFOCUS製品は1,230社、Qlik製品は1,020社のお客様にご導入いただいています。近年お客様から、「BIツールの進化によって高度な分析はできるようになったものの、分析に至るまでのデータ準備が追いつかない」というお悩みをよくお聞きするようになりました。ビッグデータやIoTの隆盛とともに、企業の内外で膨大なデータがあふれるようになり、それらをいかにして経営に役立つ情報に変えていくか、多くの企業で課題になっています。

「データ準備」や「データ・プレパレーション」がこれからのデータ活用に欠かせない重要なキーワードになる中、数年前からデータ・プレパレーション分野の製品調査を進めておりまして、2015年にPaxataに出会い、いよいよ本日ご紹介できるはこびとなりました。

Paxataに注目したのは、従来型のリレーショナル・データベース内の構造化データであっても、IoTやオープンデータなどの非構造化データであっても、自在にブレンドしてデータ準備や加工ができる、それもすべて可視化された状態で全工程を管理できるプラットフォームというこの分野で傑出した特性を持ち合わせていたからです。

企業を取り巻く環境は今、ユーザ部門がクラウドを利用して単独で事業を立ち上げることもできますし、セルフサービスでデータ分析ができる強力な環境も整いつつあり、AIや機械学習のテクノロジーはビジネスに利用するものだという文脈で語られています。

ユーザ部門でも、第3者データやデータレイクにためられるJASONなど、あらゆるデータを取り回して分析していきたいという機運が高まっており、ほしいデータがなかなか手元に届かない状況を何とかしたいと思っています。一方のIT部門も、増え続けるデータ量とデータフォーマットの多様化に対応できるデータ・マネジメントと、現場のデータ活用とを両立できる方法を模索しています。このような現状を解決する手法として、ビジネスユーザ自身にデータ準備のプロセスに参加してもらい、ビジネスに必要な形にデータを加工・編集できるようにするのが「データ・プレパレーション」です。

PaxataはWebベースの製品で、ウェブブラウザ上で操作できます。スプレッドシートでデータの概観を視覚化できますから、ビジネスユーザにとっても慣れ親しんだインターフェイスになっています。SQLやマクロなどのコーディング無しにデータを加工できますし、機械学習のリコメンデーションをもとに良質なデータを生成できるのも、Paxataの強みのひとつです。

また、Sparkのエンジンを搭載していますので、高速なデータ処理が可能です。データの一部をサンプリングする手法ではどうしてもデータが限定されてしまいますから、Paxataはフルデータセットにこだわり、必要なすべてのデータを網羅して対話しながら加工できます。

さらに、Paxataはデータ加工のすべてのステップを記録します。スタンドアロンのデータ・プレパレーション・ツールでは、誰がいつどのようなデータ加工をしたのか管理しきれず無秩序な状態を招きかねませんが、Paxataは共有とガバナンスを実現させたプラットフォームとして、エンタープライズ要件を充分に満たした製品だと評価しています。

皆さまのデータを最大限に活用するためのデータ・シェアード・サービスとして、またイノベーションの促進にも寄与できるプラットフォームとして、この分野にお取り組みのお客様にぜひPaxataをご提案させていただきたいと考えております。

データ活用による企業競争力への貢献

有吉様は、本田技研工業株式会社(以下、HONDA)におけるIT部門長としてシ ステム戦略や活用を長年牽引してこられ、現在はそのご経験をもとに データ・マネジメントからオペレーションに至る様々なIT分野のコンサルティング を提供されています。

OFFICE ARIYOSHI 有吉氏

OFFICE ARIYOSHI
有吉 和幸氏


グローバル化の進展、お客様への新価値提供など企業課題への対応スピードは大幅な向上が求められ、IT部門の役割も、効率化から企業の競争力へ貢献するIT活用へと大きく変わってきています。BIやクラウドをめぐる環境は進化を続けていますが、問題は「データ」です。

HONDAのグローバル事業を例にご紹介しますと、データの重要性を認識したのは、3.11をはじめとする世界各地での自然災害や超円高などの経済要因がきっかけでした。特定の拠点に依存した部品供給体制では、変化にスピーディに対応できず、ビジネスの即応力を確保できなくなるという課題に直面しまして、供給体制そのものの見直しと合わせて、クローズアップされたのがデータでした。

ある拠点の部品生産が停止してしまい、次の仕入先を即座に判断するような場面では、供給能力の検証や営業・生販の荷繰り、物流やサービスも含めた全体のビジネスプロセスを可視化した上で、経営判断を行う必要があります。しかし、必要なデータが無かったり、地域間・拠点間で情報が途切れていたり、粒度やフォーマットがバラバラという情報基盤では、このグローバル・オペレーションを支えられません。HONDAでは「グローバル・データ・マネジメント」の強化をポイントに、地域間・拠点間のすきまをITでつなぎ、「つながる/見える/淀みない/品質のよい」データをいつでも提供できるグローバル共通の情報連携基盤を構築しまして、ビジネス現場がデータを活用しながら“考動”できるようになりました。

データ活用にあたっては、データをどうつなぐかがポイントになります。IoTのセンサーデータを集めても、データ形式がバラバラで活用できないという状況も随所で聞かれるようになっていますが、今までのような個別インターフェイスでつなぎ合わせる力づくの手法では、変化に対して迅速に追随できません。IT部門には、データを共通のプラットフォームにまとめて一元管理し、データ辞書でメタ管理しながら、価値ある情報を選択してビジネス部門に提供するという新しい役割が期待されています。

企業では今、従来型のコーポレートBIと並ぶほどにセルフサービスBIが普及してきました。要件をしっかりと積み上げてサプライチェーンのパフォーマンスを見せるようなBIの使い方(コーポレートBI)と、個人の感性や発想を活かして試行錯誤するようなデジタルマーケティングでの使い方(セルフサービスBI)を切り分けている状況が主流かと思いますが、将来的には、現場の分析結果をコーポレート側に取り込んでいく融合が進んでいきます。

その時に、どちらかのプラットフォームに寄せてしまうと、新しい発想が生まれなくなってしまいます。経験を持った人がひらめく環境として柔軟なプラットフォームが必要とされますから、ここにデータ・プレパレーション・プラットフォームは最適なソリューションになるでしょう。IT部門として現場の分析力をサポートするために、データをしっかりと保証してガバナンスを効かせていくという側面からも、データ準備を支援するプラットフォームは時代が求めているとも思っています。

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