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2015.08.19

「Where」の分析に威力を発揮する QlikView + GeoQlik

「Where」の分析に威力を発揮する QlikView + GeoQlik

QlikViewは、スウェーデンで創業、現在はアメリカ・ペンシルバニア州を本社として世界展開するクリックテック社(Qlik Technologies Inc.)が提供しているBIツール。「インメモリ連想技術」を使い、大量データを簡単な操作で自由に分析できることが特色で、多くのユーザに評価されてきた。このQlikViewに対し、「『Where(どこ)』の分析に強くなる」拡張機能として登場したのがGeoQlikだ。この組み合わせによる情報活用につき、QlikView国内導入実績トップ、さらにGeoQlikの日本国内代理店でもあるアシストでお話を伺った。

「出典:GIS NEXT52号(2015年7月号 p26-29) ネクストパブリッシングより許可を得て抜粋」


何を見るべきかを発見できるプラットフォーム


「当社アシストは、2009年3月からQlikViewの日本国内扱いを開始していますが、それから約6年、860社以上への導入実績をあげています(2015年6月現在)。

これはアシストが扱っているソリューションのなかでも群を抜いた数字で、それだけ、QlikViewが高い評価を得ていることを示していると思います」(製品統括部 技術2部部長、花井正樹氏)

BIとしてそれなりに積み重ねてきた歴史もあり、代表的なツールとして、必ず名前が上がる存在でもあるQlikView。もともとスウェーデン発祥のクリックテック社が開発したもので、提供サイドでは「ユーザ主導型情報分析プラットフォーム」というタイトルを冠している。

特色は、クリックテック社が開発した特許技術、「連想技術」を用いて、インメモリの能力を最大限に発揮するところにある。・・・・・・と言っても、使ったことがない人にはピンと来ないかもしれない。

「QlikViewでは、データベースを構築する必要がありません。あらゆるデータソースを独自のデータ圧縮技術でファイルにロード。いちいちディスクにデータを読み出しに行くことがないので、高速なレスポンスが可能です。しかもデータは集計ではなく、明細の形で保持していて、ユーザのクリックに応じてリアルタイムに計算を行う。そのぶん、ユーザの自由度は高く、クリックしながら、『どんなデータから、どんなことが見えてくるか』を探していける。それがQlikViewの特色なんです」(花井氏)

たとえばその圧縮技術。QlikViewでは、関連付けを行いながらデータの重複を排除。一般に、明細データは重複する値を多く含むので、この方式によって元データの1/5~1/20という高い圧縮率を実現できる。もちろんそれでも一般のファイルサーバよりは性能の高いものが望ましいが、昨今はハードウェアの性能向上が著しく、通常は、とりたてて特殊な仕様を求めるまでもないという。

エンタープライズ型の旧来のBIツールであれば、IT部門なりSIerなりがデータ部門にヒアリングし、ユーザ要件をもとに仕様を設定し、設計に移ることになる。しかし、それが可能なのは、要件がきっちり定まっていて揺るがない場合だけだ。

膨大なデータを分析し、それを可視化すること——それがBIの役割だとしても、そもそも、「何を見たいのか」が定まっていれば苦労はない。しかし往々にして、「見たい」という欲求はあっても、その対象は曖昧であることも多い。現場では、日々のビジネス自体もめまぐるしく変化する。そこで不変のニーズを定めろと言うほうが、どだい無理なのかもしれない。

しかしQlikViewは、そんなもやもやとしたデータの大海から、「何を見るべきかを発見できる」ツールなのだという。また、わかりやすいユーザインターフェース、簡単な操作で、現場でビジネスに携わる誰もが短時間で使いこなすようになれる。データソースからのデータの取り込みから分析画面の作成まで、機能がワンセットになっているため、導入・構築にも時間が掛からない。

アシストによる日本国内での導入実績は先の花井氏の言葉にある通りだが、世界的にも、100ヵ国で3万5千社以上の企業で使われている。

「どこで何が起きているか」を可視化


そんな定評のあるQlikViewに、先端の地理情報分析機能を付加するのが、GeoQlikである。

QlikView専用のコンポーネントだが、開発したのはフランスのビジネス・ジオグラフィック社(Business Geografic)。Web GISや地理空間BIを専門とするソフトウェア・ベンダであり、世界各国の地方自治体や公的機関、民間企業などに、個々の用途にあわせたWebマッピング・ソリューションを設計し提供。そしてクリックテック社の長年の技術パートナーでもある。

「2012年の夏ごろ、GeoQlikのメーカーによるデモが行われました。引き続いて、この製品を日本市場でもどうかという話があったのですが、もともとそのために設計された以上当然ですが、QlikViewとの連動性が高く、特別な専門知識や技術がなくても、分析に地理情報を活かせる。優れた製品だということで、2012年12月、アシストはビジネス・ジオグラフィック社と、GeoQlikに関する日本国内での代理店契約を締結しました。GeoQlikは、GISをより一層、ビジネス・ユーザ層に広げていくことを可能にしたと思います」(花井氏)

前述のように、GeoQlikは、QlikView専用の拡張機能。QlikViewのユーザが、ビジネスデータや指標を自由に地図上に展開、“地理的に分析”することを可能にする。行政地域、商業地域、都市や市街地、商業機関、衛星や航空イメージなどの地図データを幅広く管理することができる。

連携イメージ1

QlikViewとGeoQlikの連携イメージ。
日本地図上に人口をヒートマップで表現したもの

連携イメージ2

QlikViewとGeoQlikの連携イメージ。
量販店の店舗数で都道府県を塗り分けたもの

「どこで何が起きているか」を一目で把握することができるようになり、より俯瞰的で迅速な判断につなげることができる。地図情報と連動することで、Where(どこ)の分析が強化され、業務上の課題発見も容易になるのだ。

「GeoQlikの大きな特色は、QlikViewのひとつのオブジェクトとして動作するイメージであり、QlikViewユーザであれば違和感なく簡単に操作できるということ。QlikViewの他のオブジェクトとの間も、操作したものは相互に反映される双方向性を保持しています。

ベースマップとしては、OpenStreetMap(OSM)を採用。また国土数値情報ダウンロードなども活用でき、俯瞰的な地図連携チャートなども短時間で作成が可能です。

もともとGISは、導入と構築に高額なコスト、高い専門技術が必要とされてきましたが、オープンソースの地図を利用し、QlikViewの操作性のなかでそれを扱うことで、企業内に蓄積されている膨大なデータと視覚的な地図情報との連動が、コスト的にも技術的にも簡単に実現できるようになったわけです」(花井氏)

すでに国内ではおよそ20社がGeoQlikを導入。「Where(どこ)」の分析に役立てているという。

連携イメージ3

QlikViewとGeoQlikの連携イメージ。
本州中央部の地図に売上げ構成の円グラフを重ねたもの

連携イメージ4

GeoQlikにおる東京都心部のマップ表示。地図の塗り分け、グラフ表示など、左のメニューで自由に選択できる

さまざまな「空間分析」の可能性拡大


導入事例の一社が、有機・低農薬野菜や、無添加食品等の宅配販売事業を全国展開している、らでぃっしゅぼーや株式会社だ。

アシストによる導入事例紹介によれば、らでぃっしゅぼーやでは、全国に11万人いる会員の受注分析、7000品目以上の商品の開発など、PDCAサイクル(事業における管理業務を、Plan:計画→ Do:実行→ Check:評価→ Action:改善という4段階にわけ、これを繰り返すことで業務全体を改善・円滑化していく手法)にQlikViewを活用。さらにそれに関連して、既存会員の稼働率、新規会員の未開拓エリアの洗い出し、潜在顧客の把握など、エリア分析にGeoQlikを積極的に役立てているという。

以前、同社では新規会員の集客手段として新聞の折込チラシを止め、ウェブ広告に全面移行。しかしその結果は、都心エリアでは効果が上がったものの、郊外エリアでは逆に集客がダウンし、戦略の練り直しを迫られたことがあったのだという。

その経験から、「エリアの特性に応じたきめ細かな施策」の必要性を痛感。それが、GeoQlikの導入に繋がった。

現在同社では、顧客の緯度経度情報に国勢調査のデータを付加し、GoogleMap上に展開。QlikViewによる分析結果を合わせて地図上にレイヤ表示させ、地域特性の把握、プロモーションほか施策の立案に活用している。

「今のところ、GeoQlikのユーザ様としては、小売、流通、物流など、やはり直接に『Where』がビジネスに結びついている業界がメインです。特に最近では、データの動きがあるもの——『From to』の分析などについてお問い合わせをいただくことがよくありますね。

単純にビジネスの現状を確認するだけではなく、地図上にポテンシャルを見出し、『その先』の発想ができるということが、空間分析の大きな強みだと思います。

今後は、業種的にもさらに拡大していくのではと思います。たとえば『Aさんのご紹介で、Bさんが会員に。その紹介でCさんが会員に』といった、会員ビジネスにおけるインフルエンサ分析などにも有効でしょう。また、レイヤさえ作ってしまえば、いわゆる地理的な地図だけではなく、大型ショッピングセンターのフロア図のように、図面的な地図上での分析にも活用できます。

このように、今後はさらにユーザの幅も広げていきたいと考えています」(花井氏)

連携イメージ6

普通の地図の代わりにフロア図面を読み込んだ例。フロア内での売上分析等に利用できる

「出典:GIS NEXT52号(2015年7月号 p26-29) ネクストパブリッシングより許可を得て抜粋」

執筆者のご紹介

アシスト花井 正樹

花井 正樹
東日本技術本部

1996年入社。主にビジネスインテリジェンス分野に従事。米Qlik社が指名するエバンジェリスト“Qlik Luminary”に日本で唯一6年連続で選出され、執筆・講演活動を通じて顧客事例やデータ分析のトレンドを発信している。また、日本市場でのデータ・プレパレーション・プラットフォーム「Paxata」のスタートアップを兼任し、さまざまな角度からデータ活用の課題解決支援に取り組んでいる。

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