TOP>事例>製造業>生産設備データの見える化とDX人材の育成により、データドリブンなモノづくり革新に挑む

生産設備データの見える化とDX人材の育成により、データドリブンなモノづくり革新に挑む

日本ガイシ株式会社

導入製品/サービス…
Qlik  

日本ガイシ株式会社 Qlik 導入事例

セラミックスやエレクトロニクスなど多分野で事業を展開する日本ガイシ株式会社(以下、日本ガイシ)。近年はDXを推力にデジタルによるモノづくりの変革を推進しています。伝統的な企業ゆえの課題であった現場の属人的な判断を廃し、可視化されたデータに基づく生産現場の生産性改善と品質改善を推進。2030年までにDX人材1,000人目標の育成計画も着実に進めています。

日本ガイシ株式会社

導入のポイント


1.Qlikをモノづくり領域におけるデータ分析基盤としてグローバルで導入し、国内外の情報を集約。生産設備データの見える化を実現
2.生産性向上と品質改善に向けた共通のKPIを設定。データに基づく改善で、設備総合効率を20%向上する事例も出現
3.データ利活用のためのツール共通化により全社のモノづくり変革が進展。DX人材育成にも貢献


課題

  • 生産設備データを活用したグローバルでの生産性改善と品質改善が求められていた
  • グローバルでの共通KPIが無く、成果を出すための仕組みや体制が整備されていなかった
  • 改善マインドの醸成や、必要な人材のビジョン・要件が確立されていなかった

対策

  • 生産現場のデータを集約・解析して設備状況の見える化を推進し、品質不良の原因究明や対策を実施
  • 共通KPIの設定と見える化により、全工場の稼働状況把握と改善施策を実行
  • グローバルでの改善活動で人材交流や連携を促進、経営層とも生産性情報を共有

効果

  • データに基づく改善の結果、設備総合効率(OEE)を20%向上する事例も出現
  • 経営層との情報共有によって、データに基づく設備投資の判断とそれに伴う投資抑制効果の創出
  • 設備状態の見える化で、自動化と省人化の進んだ生産現場では予知保全活動も実施可能に
  • データ活用ツールを社内標準化し、DX人材の育成を早期に促進

システム概要



共通KPIの標準化と目標値を設定し、データを活用した生産性向上の推進へ


1919年に設立した日本ガイシ。セラミックスをはじめとするモノづくりの現場では、長い歴史を通じて継承されてきた膨大な経験と知見が蓄積されています。2010年から生産設備のIoT推進に取り組んだ同社ですが、当時の状況をDX推進統括部 製造DX推進部 部長の齊藤隆雄氏は次のように振り返ります。

齊藤氏  製造原価低減と設備投資の抑制を狙い、グループ全体の生産性向上を推進する上で、生産設備のデータをいかに活用するか、その重要性は認識していました。しかし、当時は勘や経験などのアナログが強い生産現場に対して、データ活用の価値を十分には訴求しきれていなかったのです。

データ活用を推進する基盤作りを進める上で、グローバルでの比較が可能なKPIの標準化とそのデータに基づく改善活動は不可欠でした。

齊藤氏  共通KPIの標準化と目標値を決めて見える化し、生産現場では設備総合効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)をKPIの一つとして設定しました。このようなKPIを数値化しながら、数値に基づいた改善マインドの醸成や改善支援に取り組むことになったのです。また、データに基づく改善を実現するには、ドメイン知識、IT知識、設備の知識に加えデータサイエンスの知識も必要なことがわかってきたのです。このようなスキルを連携できる人材を育成するための環境や制度の導入も課題でした。


グローバルでの活用を見据えて「Qlik」を採用、設備データの見える化で改善に着手


生産現場におけるデータの見える化の取り組みの初期段階では、モデルラインを設定して工場のIoT化から着手した後に価値証明を行いました。コストを最小限にするために最小の人員で、かつ自分達で設計や構築ができるデータ分析ツールを検討し、Qlikを採用しました。

齊藤氏  Qlikとの出会いは、製品検討の際に参加した体験セミナーがきっかけです。デモの処理スピードを見て「これはすごい!」と感動したことは今でも忘れません。その後アシストと接点ができ、テスト導入することになりました。実際に使用してみると、自分でダッシュボードを作成し、データを容易に可視化できることがわかりました。国内外の工場にQlikを紹介したところ、導入拠点が急速に拡大していったのです。データを収集・可視化する、グローバル共通のプラットフォームの整備が契機となり、グローバルでKPIの見える化と分析作業が段々と本格化していきました。

Qlikを採用した理由は、大量データを高速に処理できる、グローバルで購入できる、サポートの品質に期待できるという3点が大きなポイントでした。

齊藤氏  NGKグループでは、海外の生産拠点は11ヵ国に19社あり、各拠点のデータは膨大で生産データの収集には時間がかかっていました。これほどの大量データを高速に収集、分析、可視化できるのはQlikの最大の特長だと評価しました。またQlikは、海外ではブランドとしても確立しており、グローバルでのシェア・支持率が高く海外拠点の現地でも購入しやすい点や、生産現場や改善組織のメンバーが自分たちで操作でき、情報システム部門の手を借りなくても自前で設計や開発ができることなどもメリットでした。

更に導入の段階で、アシストの支援が受けられた点も見える化の取り組みを進める上で重要なポイントです。特に、Qlikによって可視化したデータを解釈し活用していく上でのアドバイスは非常に参考になりました。


設備総合効率OEEの20%改善と予知保全を実現、見える化により拠点間に競争意識が芽生える


Qlikの導入に伴い、モノづくりの共通したKPIの設定と見える化による情報共有が進められました。世界中の工場や設備の稼働状況のデータをリアルタイムに収集し、Qlikで「見える化」しました。この仕組みによる生産ラインにおける不良の原因究明や対策の実施が、生産活動の改善に貢献したのです。

齊藤氏  Qlikを活用して情報を集め、全工場のOEEから製品ごとのOEEまで、ドリルダウンで深堀できる仕組みを作りました。見たい情報にすぐにたどりつけるように、情報システム部門に頼らずに自分達で画面設計を行いました。その結果、OEEの3要素である時間稼働率、性能稼働率、良品率の状況把握が容易になると共に、ドリルダウンによる簡易な解析によってロスの原因推定も容易になったのです。拠点間を比較したなぜなぜ分析が可能になり、改善を進めたことである工場ではOEEを20%向上させられたことは大きな成果の一つです。

Qlikによって整備された生産設備の見える化の仕組みは、省人化・自動化が進む生産現場の予知保全でも効果を発揮しています。

齊藤氏  こうした数値データによる分析の結果は、従来の「勘と経験」による推定と大きく異なるものではありませんが、時には「思わぬ発見」があり、そこから新たな改善方法につながることもあります。また、分析データを色分けした表や推移グラフで表示し、メンバーに自動送信することで、いち早く設備状態の変化に気づけるという予知保全のための兆候監視に役立てています。

一連の見える化の仕組作りをきっかけに各拠点間の競争意識が芽生え、交流活動が進みました。横串による改善実行チームが生まれたことや、経営層の現場への理解が進んだことも成果だと言えるでしょう。


データ利活用のための標準ツール化を進め、DX人材1,000人計画を支える存在へ


生産設備データの見える化と、それに基づいた改善施策の実行は、日本ガイシのモノづくりのDXを加速させています。2014年から始まった全社プロジェクトである“新・ものづくり構造革新”は、2021年から次の段階に突入しています。これまで取り組んできた生産現場の生産性改善だけでなく、生産工程のサプライチェーンと開発工程のエンジニアリングチェーンの全工程をデジタル化することで、部門横断の新製品やサービスを実現するというものです。2025年に向けたこの取組みは「モノづくり∞(チェーン)革新」と名付けられています。

齊藤氏  今までの取り組みは、「製造現場(工場)」を中心にした改革でした。今後は製品の企画からお客様にお届けするまでの「全てのプロセスの変革による新たな価値創造」がテーマです。材料開発を機械学習やデータ実験で高速に行うマテリアルズ・インフォマティクスや、生産ラインを3D CADやサイバー空間上で動作検証する「サイバーフィジカルシステム」(CPS)などがあります。

Qlikは、日本ガイシが進めるDX人材育成における標準化ツールとして、欠かせない存在となっています。

齊藤氏  こうした取り組みに挑戦する中で、日本ガイシとして今後必要となる人材像や教育内容も次第に見えてきました。モノづくりのドメイン知識に加えてITやデータサイエンスの知識を習得してもらい、2030年までに国内の従業員の20%にあたる1,000人のDX人材を育成する計画を進めています。

現在はまだ道半ばと言えますが、こうした人材計画の中でQlikをはじめとするデータ活用ツールを社内の標準として定着させていきます。データドリブンなモノづくりに挑戦する企業としての活動をこれからも推進していきます。



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。


お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 日本ガイシ株式会社
概要 1919年の設立以来、モノづくりによる価値創造を追求してきた日本ガイシ。NGKグループの「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」というビジョン実現に向けて、DXによる事業変革に挑んでいます。
本社 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号
設立 1919年5月5日
従業員数 単独 4,382名 連結 20,099名(2022年3月現在)
URL https://www.ngk.co.jp/
取材日 2022年7月

関連製品/サービス

Qlik

Qlik Cloudは、企業のデータドリブンを日常にするデータ活用基盤製品です。 BIとAIが融合され、それらに必要となるデータ統合の自動化もオールインワンで構築し、データがビジネスアクションにつながるデータドリブンを実現します。

  • ビジネスユーザが使いこなせるセルフサービスBI
  • データを可視化して分析!Qlik Sense、QlikView
  • 30日間無償トライアルのスタートアップガイド進呈!

詳細へ

事例に関するお問い合わせ

資料請求/お問い合わせはこちら(専門の担当者が確認し、ご対応します。)

ご興味のある事例がございましたら、お気軽にお問い合わせください。より詳しい情報をお届けします。

ページの先頭へ戻る