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ルール作りが肝!ゼロから始めた内製化によるAWS移行
~ノウハウ蓄積でクラウドのメリットを最大限享受~

ミツカングループ

導入製品/サービス…
アマゾン ウェブ サービス  

ミツカン AWS 事例

お酢をはじめとした調味料・加工食品、納豆を製造販売するミツカングループでは、「ミツカン デジタル変革!」として、マインドと基盤強化の両面でデジタル化の推進に取り組んでいます。デジタル化推進で求められる柔軟性への対応と将来のクラウド活用促進に向け、同社では全社共通クラウド基盤「MIRAI」をアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS) で構築しました。
環境整備の内製化により、インフラ構築の期間やコストを大幅に削減できただけでなく、ガイドラインの整備によってIT統制にも大きな効果を得ています。

ミツカングループ

ミツカングループ 情報システム部 鈴木 隆太 氏

「AWS化によりインフラ構築期間や初期コストが大幅に削減しました。また、AWS標準化ガイドライン整備により、自社ポリシーに沿った設計で環境構築や運用・統制が可能になりました」

ミツカングループ 情報システム部 鈴木 隆太 氏

ミツカングループ 情報システム部 今井 陸央 氏

「自社主体+パートナー支援による体制で取り組めたことにより、ベース知識・スキルを取得できました。現在は、自社で環境設計や運用改善、社内活用促進をしています」

ミツカングループ 情報システム部 今井 陸央 氏

課題/背景

  • 基幹系を中心とした約200のシステムはオンプレミスで稼働し、柔軟性や機動性がなくデジタル化を推進する上で課題となっていた
  • デジタル化推進で案件ごとのクラウド利用があり、IT管理面での統制が困難な状況になりつつあった
  • 現行基盤課題の解決と将来のクラウド活用促進に向け、全社共通クラウドの整備が求められた

対策

  • 市場評価/開発ロードマップ、技術サポート、他SaaSとの親和性などから移行先にAWSを選択
  • クラウドのメリットを最大限享受するため、スキルやノウハウを蓄積する「自社主体+パートナー支援」の内製化をベースにクラウド移行を計画
  • AWS社とアシストの伴走型支援により、アジャイル的な進め方で構築・移行と標準ガイドラインの作成を実施

効果

  • ガイドラインを作成したことで、自社の考え方やポリシーに沿った設計で環境構築や運用・統制が可能となり、AWSの活用意識が向上
  • 対応サイクルを回す仕組みにより、人材育成に加え、スピーディーなAWS移行を実現
  • AWS移行でインフラ構築期間は数か月から数日、初期コストは大幅に削減。ハードウェア環境の維持管理工数は2.5人月/年からゼロに


システム概要図


システム概要図


デジタル化の推進の中で構想された全社共通クラウド基盤


ミツカンでは、デジタル化を推進しビジネスを発展させるため、マインドと基盤強化の両面で、「ミツカン デジタル変革!」への取り組みをグループ全体で推進しています。情報システム部では、ミツカングループの日本国内とアジア地域の事業を支えるシステムやITインフラの構築・運用・保守を担当しています。

従来、基幹系を中心とした約200の国内の社内システムは、ほとんどがオンプレミス環境で稼働していました。これは、DXやデータ利活用等のデジタル化を支えるサーバインフラを、迅速かつ柔軟に提供できないことや、初期コストの削減が難しいこと、ハードウエアの維持管理など、幾つかの課題を抱えていました。また、各部門でのデジタル化の推進により、案件ごとの独立したクラウド環境が誕生し、運用やセキュリティ、コストなどIT管理面での統制が困難な状況になりつつありました。

情報システム部 鈴木隆太氏によると、課題解決と将来のクラウド活用促進に向け、全社共通クラウド基盤 『MIRAI』の整備・移行が構想されたと言います。

鈴木氏  全社共通クラウド基盤への期待は、データ利活用、IT統制、コスト最適化です。クラウドのメリットを最大限享受するためには、クラウドのスキルやノウハウの蓄積も必要と考えており、『自社主体+パートナー支援』の内製化をベースにクラウド移行の検討を進めました。


AWS内製化に向け3社体制でプロジェクト化

クラウド事業者は主要3社を、市場評価と開発ロードマップ、技術サポートの充実、他SaaSとの親和性の3点で主に比較し、自社の今後のクラウド基盤としてはAWSが最も相応しいと判断しました。

対象は、老朽化が近い仮想サーバを初期移行対象とし検討を開始しました。ところが、内製化を念頭でのAWS移行では、スキルや経験不足などの課題に対する対応策を検討すると、さらなる懸念点があがってきたと言います。

鈴木氏  AWS社の支援を受け、自社ガイドラインを作成をすることにしました。しかしながら、ガイドライン作成のための宿題や作業を行う自社のメイン担当は2名であり、リソース不足の懸念やスキル習得への不安がありました。一方で、ガイドラインは今後のAWS活用の標準的な考え方であり、しっかりとした検討が必要という認識もありました。そんな折に、アシスト社から支援の提案をいただき、ミツカン、AWS社、アシスト社の3社でAWS移行プロジェクトをスタートすることになりました。


今後を意識したガイドライン作成と共通クラウド基盤

プロジェクトは、AWS社からの説明、サービスの復習、ハンズオン、ガイドラインと移行計画検討、環境構築・移行の一連の流れをいちから2週間で回す、アジャイル的なアプローチがとられました。

AWS社がコンサルと移行支援。アシスト社は、サービスの復習時の支援や、ガイドラインと移行計画検討に関連する各種宿題対応をミツカンの立場で支援する役割として参画しました。ミツカンは関係者を含む7名で、計11名の体制でしたが、全てのやり取りをオンラインで実施することで、日程調整がしやすく柔軟に進めることができました。

鈴木氏 ガイドラインは、AWSベストプラクティスに基づき、構築・運用・統制において実施すべき内容をルール化していきました。例えば、AWSアカウントの構成方針では、AWSアカウントを操作するためのユーザー管理について自社方針を決め、その使い方や設計情報を整理し、展開ルールを定めました。ネットワーク構成やセキュリティ監査についても同様です。また、共通機能や運用監視についても定めました。

共通基盤の設計・構築は、今回作成したガイドラインの内容を踏まえ、マルチアカウントで用途ごとに環境を約3ヵ月で構築しました。作成したガイドラインは、今後も既存環境の運用や、新たなAWSの活用時に参照されていきます。


内製化で進めたからこそ得た効果

AWSへの移行は、当初の納期・コスト・運用工数の課題に対し、定量・定性両面で大きな効果を得ることができました。DXやデータ利活用を支えるサーバインフラ提供の迅速化では、オンプレミスで最大6ヵ月かかっていたものが数日で実現でき、最新のセキュリティやログ機能も即時利用できます。

環境構築の初期コストも大幅な削減となり、コストが可視化され問題点の抽出が可能になったことも大きな効果です。ハードウェア環境の維持管理は不要になりますので、年間2.5人月は削減され、担当者はコア業務にシフト可能となっています。

今井氏  内製化にあたり、AWS標準化ガイドラインを整備したことは有意義で、自社の考え方やポリシーに沿った設計で環境構築や運用・統制が可能となり、AWSの活用意識も向上しています。今回のAWS移行プロジェクトを通じ、「座学・ハンズオン・検討・実践・他の人に教える」という対応サイクルを回す仕組みを確立できたことは、スピーディーなAWS移行だけでなく、人材育成面でもメリットを生んでいます。

また、アシスト社のような、ユーザー企業の立場で支援してもらえるパートナーとの協働も有意義でした。AWSパートナーの技術者と一緒に取り組むことで、AWSスキルや経験の不足を補い、彼らの持っているノウハウを蓄積することが可能となりました。


AWSのさらなる活用推進へ

田平氏  今後は、既存システムの移行やデータレイク基盤の整備など、AWSへの移行・統合をさらに進めていく予定です。これにあたり、AWS活用促進のための体制整備、組織体制の検討、育成プランの策定、ガイドラインを塩漬けにしないよう内製化支援パートナーも必要だと考えています。可視化によるコスト意識の向上とAWSコスト抑制の工夫なども考えています。内製化したことを強みとし、早い、安い、柔軟な次期クラウド基盤の確立を目指していきます。


<取材協力>

ミツカングループ
 情報システム部
  課長 田平 浩樹 氏(写真 右)
  主任 鈴木 隆太 氏(写真 左から2人目)
  主任 市原 裕也 氏(写真 右から2人目)
     今井 陸央 氏(写真 左)



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 ミツカングループ
本社 愛知県半田市中村町2丁目6番地
設立 創業:1804年(文化元年)
従業員数 約 3,700名(含、国内および海外。2022年4月1日時点)
URL https://www.mizkan.co.jp/
取材日 2022年5月

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パッケージ・インテグレータとして培ったノウハウと、長年にわたりデータベースを中心にお客様のビジネス・インフラを構築・サポートしてきた実績を元に、AWSの利用を強力に支援します。

  • 長年のOracle DB導入実績を土台とする豊富な技術支援
  • ユーザーニーズに最適なデータ活用基盤の提案
  • アシスト取り扱いソフトウェア導入に適したAWS環境構築

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